【ラグビー】対抗戦初白星も、課題の残る内容に 関東大学対抗戦/立大戦

今季対抗戦初勝利を挙げたタイガー軍団

筑波大との対抗戦初戦を落としてしまい黒星発進となった慶大。第2戦は心地よい秋空の下、前橋にて行われた。次なる相手は今年から対抗戦Aへ上がってきたばかりの立大。勝ち星とともに内容も求められる試合であったが、ペナルティや相手のディフェンスに阻まれ、攻めきれない場面が多く見られた。結果は慶大が6トライを挙げ、36−15で対抗戦初勝利を収めるも、内容的には「不満足」(田中監督)なものとなった。

 

関東大学対抗戦A VS立大

2012/10/7(日)12:00K.O.@前橋敷島公園

 

得点
慶大 チーム 立大
前半 後半 前半 後半
PG
DG
21 15 小計 10
36 合計 15
 

得点者(慶大のみ)

T=武谷、白子、浦野、新甫2、大石

G=武谷3

 

出場選手
ポジション 名前(学部学年・出身高) 交代選手
1.PR 小田 基貴(商4・小倉) →16 青木 周大(商2・慶應)
2.HO 渡辺 祐吉(経4・慶應) →17 神谷 哲平(総2・桐蔭学園)
3.PR 平野 裕馬(環4・国学院久我山)
4.LO 吉田 真悟(環4・国学院久我山) →18 松野 裕大(経3・慶應)
5.LO 佐藤 大朗(総4・国立)
6.FL 茂木 俊和(理4・清真学園) →19 伊藤 豪(総4・福岡)
7.FL 森川 翼(環2・桐蔭学園)
8.NO8 白子 雄太郎(商2・慶應)
9.SH 宮澤 尚人(法2・慶應) →20 渡辺 諒介(経3・慶應)
10.SO 浦野 龍基(政2・慶應志木)
11.WTB 新甫 拓(経4・慶應)
12.CTB 甲斐 鑑(理4・千種) →21 慶田 兼紹(商3・慶應NY)
13.CTB 大石 陽介(環3・修猷館)
14.WTB 位田 陸(法3・慶應) →22 川原 健太朗(環2・小倉)
15.FB 武谷 泰(総3・国学院久我山)
 

 

武谷は対抗戦初出場ながら活躍した

慶大は序盤から相手のラインアウトをスティールするなど、セットプレーからチャンスを作るが、ペナルティを犯し得点につなげることができない。また、粘る相手のディフェンスをなかなか崩すことができず、両校無得点のまま20分が経過した。前半22分、敵陣深くでラインアウトを得た慶大は、隙の空いた左サイドに展開。最後は対抗戦初スタメンとなったFB武谷(総3)がトライを挙げた。コンバージョンも武谷が決め、7−0と先制に成功する。ところがその直後、相手のキックオフのボールを奪われると、そのまま突破されトライを献上してしまう。その後もキック処理のミスやタックルのミスが見られ、主導権を手にすることができない。しかし35分、敵陣深くでのスクラムからNO8白子(商2)がそのまま押し切りトライを挙げると、前半終了間際にはSO浦野(政2)が40mのビッグゲインを見せトライ。21−5と点差をつけて前半を終えた。

 

この日2トライを挙げた新甫拓

この勢いのままトライを量産したい慶大だったが、後半の序盤もペナルティが目立った。11分には慶大のオフサイドから相手にPGを決められてしまう。その後も立大のディフェンスに苦しめられ、もどかしい時間が続いた。しかし徐々に相手の運動量が落ち始めてきたところを慶大は攻め立てる。18分、WTB新甫(経4)が相手をかわしてトライを挙げると、21分にはNO8白子が運んだボールを受けたCTB大石(環3)がトライ。さらに26分には相手のパスをインターセプトしたWTB新甫がそのまま独走し、この日2本目のトライを決め、36—8と点差を広げた。しかし試合終了間際、ラストプレーのボールを外に出そうとしたところを相手にブロックされターンオーバーされると、そのまま独走されトライを許してしまう。立大のコンバージョンが決まり36—15となったところでノーサイド。対抗戦初勝利を手にした茂木組だが、やや後味の悪い勝利となった。

 

「満足度はとても低い」(茂木主将・理4)と、対抗戦初白星にも選手たちに笑顔はなかった。試合の入りの部分でのペナルティの多さや、「相手の厳しいディフェンスシチュエーションを突き破るための強いプレー」(田中監督)ができずに攻めあぐねてしまったことが課題点であろう。しかし、この日はスクラムトライを挙げたり、相手のラインアウトを何度もスティールするなどセットプレーが安定していた。さらに後半は走り勝つラグビーで主導権を握るなど、慶大の強みを再認識することができた試合でもあった。次なる相手は大学王者・帝京大。春の練習試合でも完敗を喫した相手だ。チャンピオンチームを前に、今回の課題をいかに修正し、いかに自らの強みを生かしきることができるか。この日の勝利を機に、茂木組は再スタートを切った。

 

【ケイスポ的MOM】WTB仕込みの突破力 NO8白子雄太郎

力強くゲインする白子

 

この試合を通じてボールを前へ前へと運んでいたのは、対抗戦初出場となったNO8白子雄太郎だ。この春まではWTBとして出場していたが「ボールを持って走るプレースタイルなのでWTB よりもNO8のほうがいっぱいボールに触れられる」と、NO8にコンバート。「まだセットプレーで分からない部分が多い」と本人は言うが、スクラムトライも決めたほか、WTBの経験を生かしたランやステップで、慶大Fwdの新たな司令塔の誕生を予感させた。

 

(記事・大貫 心明)

 

コメント

 

田中監督

(今日の試合を振り返って)不満足です。勝利できたことに対しては非常に喜ぶべきことですが、ただやはり内容がどうであるか振り返ったときに、粘り負けてしまった。立教さんも必死に戦ってきている中で、相手の厳しいディフェンスシチュエーションを突き破るための強いプレーの選択ができずに、どこかで逃げているプレーが多かった。たとえば本来、もう一人入ることによって早くボールが展開できるところのサポートが遅れているとか、特に二人目のサポートが遅かった。最後にスコアが離れてきたのは、相手がバテてきたというところです。相手がバテて、うちがバテていないということは、ある意味でこちらの力が勝っていることかもしれないけど、相手のだめなところにつけ込むより、相手が強くてベストの状況の中でも、いかにそこを突き破っていけるかという強さを持たないと、強豪校とあたっていくには最後の最後に打ち勝てないなという危機感を感じます。で、特にミスが多い。ハンドリングエラーも含めて、判断のミスもある。細かいミスをきちんと減らしていかないと。前半の最初にいきなりペナルティを犯して、その数分後にはまたフリーキックを与えてしまった。あれだけノーペナということをチームで徹底しながらも犯してしまう。それはもう意識をしていないとしか思えない。何か日頃の練習が試合に出ているだけなので、日頃の練習での意識の向上、質の向上をしていかなければならないと思っています。(スクラムトライも決めたが、Fwdはどうだったか)悪い部分だけ言ってしまいましたが、スクラムトライができたり、ラインアウトのクオリティが高かったりということは非常によかったと思います。ただそれも強豪校に対して通用するかというとまだまだその域にはいっていない。スクラムやラインアウトがいけていると思うのであれば、自分たちの強みとして自覚し、そこを軸にしたアタックを仕掛けて相手を追い込んでいくべきだし、まだまだ強みを生かしきれていないということです。試合にはしっかり準備と分析をして臨むんだけれども、実際ピッチに立つと出来ることと出来ないことがあるんだよね。そのときにどう対応するかが問われるわけで、自分たちの強みが何で、何が通用して何が通用しないのか、自分たちは何にやられているのか、そういったことを分析した上でプレーの選択をしていくことが正しい判断だと僕は思うので、そういった意味で、そこがまだやりきれていないのは判断力でのミスというのがあったと思います。(次の相手はBチームが東海大でAチームが帝京大ですが)東海大さんは夏合宿ではAからEまですべての試合で負けました。5タテをくらって、さらにD、Eグレードについては100点を奪われた試合です。非常に強いチームです。その中で自分たちがどれだけやれるかということの挑戦だと思っています。帝京大は名実共に日本の大学ラグビーをけん引するチームなので、そのチームに我々がどこまでチャレンジできるか、挑戦者という姿勢を失うことなく挑むだけですね。慶應の持ち味は何なのか、自分たちのラグビーは何なのか、そこをもう一度見つめ直して、シンプルなことを突き詰めていきたいと思っています。選手に最後に言ったのは、悲愴感を持つ必要はないけれど危機感を持とうと。危機感を持たない限りこのチームの成長はないと思うので、あと2週間どれだけできるか、帝京戦に向けてしっかりと準備をしていきたいと思います。

 

FL茂木主将

(試合を振り返って)とりあえず1勝出来たことは良かったです。課題も出たんですが一度明日オフ挟んでクールダウンできることになったので勝てたことが良かったです。(フォーカスしていた点は)慶應のラグビーをやりきろうということです。自分たちが夏にやってきたことをやりきろうと決めて臨みました。(この結果への満足度は)満足度はとても低いです。勝てたことはありますけど、勝つことは最低条件で慶應のラグビーをしようということでしたので、その中で課題が残ったということはそれだけできなかった部分が多かったということなので満足度は60%くらいですかね。(自分のプレーについては)僕は最近非常に調子が悪くて今日もタックルを何度か外されましたし、飛び込んでダメだったのもありましたので僕のほうの満足度はもっと低いです。(課題はどのような部分か)コミュニケーションの部分が足りなくて、誰をノミネートしているとかどこを見ているとかそういう部分が足りなくてやられていることが多かったです。人数が一人余りくらいでもそういう部分がなくて抜かれてしまいすごく下がってディフェンスをすることもありました。まわりの見てるコーチや学生コーチから試合中すごく静かだと指摘されたんですけど、そこを直せなかったことも課題です。(攻撃面はどうだったか)一人一人がコンタクトで負けているとは思ったですが、もっとラインを深くするとか自分で走るとか足を掻いて前に出るとかそういう部分が足りなかっです。(次は帝京大戦となるが)自分たちの今の力がどのくらい通じるのかということをチャンピオン相手に試してみたいですし、チャレンジすることが大切だと思います。

 

HO渡辺祐吉

(今日の試合を振り返って)自分の責任は果たせたのかなと思います。特にスクラムとラインアウトは。(立教大の印象)しっかり自分たちのラグビーをすれば勝てる相手だと思っていました。(思ったよりも苦戦してしまったと思うが)Fwdの部分ではやられたところもあったので課題を修正していきたいと思います。(モールやスクラムの出来)スクラムではしっかり制することもできましたしモールも寄せてから取るということができたので、もう少し対応できるところはあったんですけど、できなきゃいけない相手だったんでよかったと思います。(今日の一番の収穫)勝っても課題があるということですね。みんな直さなきゃいけないところがあるのでこれに満足しないでしっかりやっていきたいと思います。(対抗戦初勝利の感想)今までやってきたことが勝ちになるか負けになるかだと思うんでしっかり次の相手、その次の相手にも勝てるように頑張っていきたいです。(帝京大戦に向けて)Fwdが強いんで8人でまとまって低くぶつかっていきたいと思います。

 

NO8白子

(試合を振り返って)勝ててよかったんですけど、内容はよくなかったので修正しないといけない部分は多いです。(今日の出来は)今日は初めての対抗戦だったので緊張してガチガチで出来ないかなと思ったんですけど、ボールキャリアーとしてボールをもらって自分の仕事は出来たと思います。WTBからのコンバートでNO.8となった理由は)僕のプレースタイルがボールを持って走るプレーなのでWTB よりもNo. 8のほうがいっぱいボールを触れて活躍できると思ったことからです。WTBの経験がNo.8でも生きているか)スピードとかBKラインにFWとして入ったときもBKをやっていた経験があるのでFWの人たちよりは走れると思います。(スクラムトライもあったがFWとしての現段階での手応えは)まだセットプレーでわからないことだらけで、今日のスクラムトライも危なかったのでそこを修正したいです。(今日出た課題は)キックのキャッチですね。一つ落としてしまったので修正したいです。(次の試合に向けて)やはりもっとボールキャリアーとしてどうもらったら抜けるかとかゲインできるかとかを考えていきたいです。

 

SO浦野

(今日の試合を振り返って)勝てたことは対抗戦初勝利ですし良かったですが、自分たちがやろうとしたことの半分も出来ていなかったです。また、ディフェンスも良くなかったため、素直に喜べないです。(具体的に出来なかったこと)攻めながらしっかりとエリアをとっていったりであるとか、2次のアタックであったりだとか、しっかりと前に出てディフェンスするところです。(トライシーンを振り返って)監督からは自分で勝負を仕掛けていいと言われていましたので、その通りにやった結果です。(攻撃の組み立てで意識したこと)しっかりとBksでオーバーラップをつくることです。(自身のプレーについて)良かったことは、トライをとったことです。悪かったことは、周りがみえていなくて、Fwdを酷使してしまったことです。(オフェンスの総括)1つ1つゲインはできていましたが、そこからどのようにトライに繋げていくかがはっきりしなかったです。(ディフェンスの総括)前にでようとしましたが、それが出来ない時間が多く、リズムが掴めなかったです。SOというポジションについて)初戦よりかは良かったですが、慶應の10番に相応しいプレーはまだまだ出来ていません。(次に向けて)もうやるしかないです。

 

WTB新甫拓

(今日の試合を振り返って)課題が多く残る試合だったと思います。(課題というのは)意図した攻め方ができなかったということで、なあなあな攻め方といいますか、メリハリのある攻撃ができなかったと思います。(トライシーンを振り返って)1本目は自分でも予想してなかったといいますか、ああいう形でトライを取れたことは自分の自身になるので次の帝京戦でもやっていきたいです。2本目はディフェンスからのターンオーバートライだと思っているのでそういった意味ではいいトライだったと思います。(立教大の印象)慶應としては慶應らしいラグビーを貫くということを目指していたんですけど立教大に逆にディフェンスとかでやられてしまった印象があります。当初は詰めてくるだろうなと、シャローディフェンスしてくるなと思っていたんですけど流されてしまったのでそこにしっかり順応していく判断が試合中必要だと思います。(対抗戦初勝利の感想)勝ちを取れたことは喜ばしいことなんですけど僕たちが目指しているのはもっと高いところにあるので今日の反省を生かしてしっかり練習していきたいと思います。(次の帝京大戦に向けて)今日いい形で2本トライ取れたので次も取りたいなと思います。

 

FB武谷

(今日の試合を振り返って)今日はBksが中途半端に余っていて、とりあえずボールを回す方向でやっていたのですが、コミュニケーションが上手く取れず攻めあぐねてしまいました。(自身のトライシーンは)あれはパスした方が楽だったのですが、僕はキッカーであまり練習してなかったので。トライしました。(それが1本目のトライとなった)10分か15分までに、3トライ取るという目標があったので、トライを取れて良かったといえば良かったのですが、3トライは取れなかったのでそこはしっかりやっていかなくてはいけないと思います。(キックの出来は)今日はすごく良かったです。(対抗戦の雰囲気は)とても緊張しました。出られない人もたくさんいるので、その人たちの分まで頑張ったつもりなのですが、抜かれてしまったので残念です。(課題は)Bksのラインスピードをもっとあげるのと、もっと最初の10分の戦術を固めて攻めることですね。(次に向けて)頑張ります。

 

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