【ラグビー】流れを掴めぬまま完敗/関東大学Jr選手権 帝京大戦

体の大きさが持ち味PR大塚

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 帝京百草園グラウンドで行われた関東大学Jr.選手権。前回の明大戦では試合終了間際にトライを許し逆転負けを喫してしまった。今日の相手帝京大は、圧倒的強さを見せる対抗戦だけではなく、Jr.選手権でも3戦3勝と無類の強さを見せる。先日の対抗戦での借りを返すべく臨んだ1戦であったが、前半10分に先制トライを許すとそこから立て続けに5トライを奪われ0-33で前半を折り返す。後半も、慶大ディフェンスを尻目に攻撃の手を緩めない帝京大。SO古田のターンオーバーを起点に2トライを奪うも時すでに遅し。終わってみれば10-66と大差での敗戦となってしまった。

 

 

 

関東大学Jr.選手権 vs 帝京大

2015/11/8(日)13:30K.O.@帝京大学百草園グラウンド

 

得点

慶大

 

帝京大

前半

後半

 

前半

後半

PG

DG

10

小計

33

33

10

合計

66

 

得点者(慶大のみ)

 

T=佐野、松岡

 

 

出場メンバー

ポジション

先発メンバー

交代選手

1.PR

堀切 厚輝(環3・國學院久我山)

 

2.HO

松岡 大介(環3・小倉)

 

3.PR

大塚 健太(環4・國學院久我山)

→18 出口 桂(商4・明善)

4.LO

吉田 雄大(総2・秋田)

 

5.LO

西出 翼(経4・慶應NY)

 

6.FL

岩本 龍人(政4・國學院久我山)

 

7.FL

永末 千加良(法2・慶應)

 

8.No8

徳永 将(商4・慶應)

 

9.SH

江嵜 真悟(商1・小倉)

 →21中鉢 敦(経3・慶應)

10.SO

古田 京(医1・慶應)

 

11.WTB

吉迫 雅俊(商3・慶應志木)

 

12.CTB

古橋 純(理4・千種)

 

13.CTB

木口 俊亮(経3・仙台三)

 

14.WTB

佐野 航太(政4・慶應)

 

15.FB

澤根 輝賢(総4・佐倉)

 

 

 

 

対抗戦出場も果たした一年生SH江嵜

対抗戦出場も果たした一年生SH江嵜

 この日の天候は雨。ボールが滑りやすいことを生かして、相手のミスを誘うべく双方とも開始からキックを多用する。帝京大がキックで効果的に陣地を奪う一方、慶大はキックを生かせていない。それでも、慶大のディフェンス陣が魅せる粘り強く低いタックルで相手のラインブレイクを許さない。試合の均衡が破れたのは12分。帝京大のラインアウトから着実にパスをつながれ最後は相手CTBに抜け出され被トライ。コンバージョンも決められ7点を先制されてしまう。何とか得点のほしい慶大は、スクラムから素早くボールを出し、SH江嵜を軸に細かなフェーズを重ねるも、強固な帝京大ディフェンス陣の圧力を受けハンドリングエラーで好機を逃してしまう。こうなると流れは当然帝京大に傾く。25分には相手のラインアウトからモールで押し込まれトライ。しかしこのコンバージョンはWTB吉迫がチャージし2点の追加を防いだ。このファインプレーで流れを手繰り寄せたい慶大であったがそうは問屋が卸さない。序盤までは互角であったスクラムで押し込まれたり、相手を一発で仕留めるタックルができず、インサイドブレイクを許す。こうして前半は計4トライを奪われ、0-33と大差をつけられて折り返す。

 

 

敵を仕留めにかかるLO吉田

敵を仕留めにかかるLO吉田

 迎えた後半。「ペナルティも重なって、相手のペースにのまれてしまった」(LO西出)という言葉通り、帝京大の勢いを止められない。11分には自陣ゴール前5mでのラインアウトモールからそのまま押し込まれる。15分にはモールの後のディフェンスのセットが間に合わず相手FBがインサイドブレイク、トライを許す。何とか意地を見せたい慶大は20分。SO古田の好タックルでターンオーバーすると、江嵜が密集から出してパスをつなぎ最後はWTB佐野が右隅にトライ。さらに33分にはまたもや古田のターンオーバーからPR堀切が抜け出しFR出口が大きくゲイン。CTB木口につなぐと、最後はHO松岡が左隅にグランディング。両トライともコンバージョンは成功しなかったものの、古田の「狙っていた」ターンオーバーから素早い展開で10点を返した。この後は、慶大のミスを逃さずゲインを重ねる帝京大にさらに得点を許し10-66となる。試合終了間際には波状攻撃を見せるも慶大のノックオンでノーサイドのホイッスル。Jr選手権リーグ最終戦を勝利で締めくくることはできなかった。

 

 

 試合開始当初は相手のアタックを食い止めることはできていた。しかし前半12分にトライを許すと「相手のペースにのまれてしまった」(LO西出)という言葉通り、慶大のハンドリングエラーやペナルティを見逃さない帝京大が着実に得点を重ねた。また「セットプレーを安定させられなかった」(PR大塚)ことが敗因として挙げられる。そのせいもあってか、相手ボールスクラムやモールの後のディフェンスのセットが間に合わず、インサイドブレイクを許す場面が何度も見られた。再三、選手が口にした“流れ”を手にするためにはまずチームとしてセットプレーを安定させ、個人としては不用意なハンドリングエラー・ペナルティを減らしていくことが修正点として挙げられる。こうした点を改善して互角に戦える時間をいかに増やしていくか。Jr選手権決勝トーナメントでの雪辱を期待したい。

 

 

 

【ケイスポ的MOM】 慶大の将来を担う期待のSO 古田京

今後の活躍が楽しみだ

今後の活躍が楽しみだ

 苦しい試合展開の中で奪った2トライ。その起点となったのがどちらも古田のターンオーバーだった。この試合で見られた高いボール奪取能力だけではなく、SOとしてゲームメイクをする力を持っていることは、一年生ながらもJr選手権で全試合起用しているという首脳陣の期待の高さからも伺える。この試合では影を潜めたキックの精度は今後の課題ではあるが、医学部に在籍しているという多岐に及ぶ才能を有する彼が慶大の中心選手として活躍する日はそう遠くはないだろう。

 

(記事 合場 將貴)

 

 

【コメント】 

PR 大塚 健太

(試合を振り返って)セットプレーを安定させられなかったのが敗因に繋がったと思います。(前半の終わりなど、終盤に攻め込まれるシーンが多かったが)帝京大に良いテンポで出され始めると、止めることが難しかったです。後半は多少疲れもあってペナルティが増えてしまい、自陣に攻め込まれて、相手にペースを与えてしまったことが課題です。(次回への改善点は)セットプレーが安定しなかったので、スクラムとモール含めて相手のアタックを止められるようにしたいです。個人的にはタックルが良くなかったので、改善していきたいと思っています。

 

LO 西出

(試合を振り返って)ペナルティで崩れた箇所が多かったことが反省点です。(試合のテーマは)ブレイクダウンで相手を押すということです。前半は、少し遅い部分もあったのですが、後半は改善できたと思います。(雨の影響は)ボールを落とすことが多かったです。ただ、雨が降っているのにラインが浅くなってしまって、その分相手に詰められてボールを落とすことが多かったのが反省点です。(終盤に攻め込まれたことについて)疲れはあまり感じていませんでした。疲れと言うよりは、流れを持って行かれたという部分が多かったです。前半の初めは戦えていたのですが、一本トライを取られてからペナルティも重なって、相手のペースにのまれてしまったことが原因です。(改善したいこと)ペナルティを減らすこととラインを深く作って相手としっかり当たりに行きたいです。また、ディフェンスで前に出ることが出来なかったのでそこを改善したいです。

 

SO古田

(大差の試合となってしまったが)自分がゲームを作れなかったのが一番大きいと思います。(ご自身の出来は)前半に何本かのミスがあってそれでゲームが終わってしまったのでそこはもう反省します。(ゲームメイクは)最悪で、やろうとしていることは良かったのですが、その精度がチームとしても個人としてもついていけてなかったです。(キックの出来は)キックもよくなかったです。前回と同じようなミスをしてしまったのでまた練習をしなければいけないと思います。(ブレイクダウンは)自分はブレイクダウンの場面がそんなになかったかと思いますが、チームとして最初はできていたと思うのですが、後々差がついてしまったのは気持ちの問題かなと思います。(トライにつながるターンオーバーがあったが)あれは自分が狙っているプレーなのですが、その分反則もしているので、これで許してといった感じです。

 

WTB 佐野 航太 

(試合を振り返って)前半のはじめの20分、30分は2トライに抑えられていて、3本目取られるところまでは耐えられたのですが、4本目を取られてからどんどん相手のリズムになっていって、後半に入ってもリズムが変わらないまま試合が進んでしまって負けてしまったという印象です。自分たちでペナルティを犯して、自分たちの首を絞めてしまったゲームだったので、もう少しゲーム中に修正できればよかったな、という印象でした。(雨の影響はあったか)雨もあって相手も僕たちもハンドリングのミスがあったので、それで相手のチームにプレッシャーをかける意味合いで、ディフェンスで前に出るということをフォーカスしていました。そこはある程度機能していたのですが、もっと意識的に前に出ないといけないなと感じました。(試合中よく声を出して周りの選手を鼓舞していた)トライを取られたときに相手に沈んでいる雰囲気を見せてしまうとやっぱりそのまま勢いに乗らせてしまうので、そこで自分たちが奮起し直して一発やり返すぞ、という風に切り替えることが、僕は重要だと思っています。それで鼓舞しようと思って声を出しました(BK陣のコンディションは)雨もあったので、本来のハンドリングスキルは発揮できなかったのですが、タックルという部分では相手に対して前に出てタックルできていたので、そこは良かったのではないかと思います。(早慶戦に向けての意気込みを)早大ということで絶対に負けたくないです。まだあと2週間あります。慶大はディフェンスのチームなのでそこを修正して、勝てるように頑張ります。

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