【特集】「強い組織になるためには」 第2回慶應スポーツKEIO Future Sports Conference

大学関連

登壇者である慶大蹴球部関係者とモデレーターの鈴木寛教授

「慶應義塾体育会の学生が中心となり運営し、学生や社会人、指導者とともに、慶應スポーツのあり方や可能性について熟議し、捉え直す場」として開催されたKEIO Future Sports Conference。第2回となる今回のテーマは「強い組織になるためには」。慶大蹴球部関係者が登壇し、モデレーターを鈴木寛教授が務めてConferenceが執り行われた。

「慶應義塾体育会の学生が中心となり運営し、学生や社会人、指導者とともに、慶應スポーツのあり方や可能性について熟議し、捉え直す場」として開催された、「第2回KEIO Future Sports Conference ~ラグビー編」が、4月13日(木)に都内某所で開催され、体育会学生や大学スポーツ関係者ら約50人が参加した。

 

本イベントは、理論と実践を繰り返してソーシャルプロデューサーを養成することを目的とする、慶應義塾大学鈴木寛研究会(通称・すずかんゼミ)が主催となって行われた。この試みは、鈴木寛教授がアドバイザーを務める、東京ユナイテッドFCとのコラボプロジェクトとして発足した。

 

そして、第2回目となる今回のテーマは、「強い組織になるためには」。スピーカーとして3名の方々が登壇した。1人目は、慶應義塾體育會蹴球部のHCを務める金沢篤氏。2人目は、同部主務の田中陽太郎氏(経4)。3人目は、同部OBで、元ラグビー日本代表で主将経験もある廣瀬俊朗氏。この3名のスピーカーと、モデレーターである鈴木寛教授も交え、熱い議論が展開された。

 

はじめに登壇者が考える、「強い組織とはどのようなものか」という点から話が進められた。廣瀬氏は日本代表での経験から、「強い組織になる為には、勝つための意味(大義)を設定することが大切である」と語った。

慶大出身、日本代表の主将も務めた廣瀬氏

続いて、大義を成すためには、目的と現状との間で大きな隔たりが存在していることに着目し、蹴球部主務の田中氏を中心に、常日頃抱えている悩みをスピーカーに相談する形式で議論は及んだ。田中氏が、現在抱えている悩みの種である、「組織が一つの目的に向かっている中で、同じ価値観を(部員全員に対して)共有してもらうことの難しさ」について話した。それについて同部HCの金沢氏は、「同じ価値観でも部員によって捉え方が違うので、その認識のズレを減らすために、一人ひとりに合わせたコミュニケーションを図っていくことが大事である」と語った。

 

これに対し廣瀬氏は、コミュニケーションを円滑し、価値観を共有する手段の一つとして、部員一人ひとりの「場」を作ることの重要性を説いた。全員が集まる場づくりや様々権限委譲を行った後に個別で話す時間を作ることによって、メンバー全員の意見を聞ける可能性があるという。

慶大蹴球部主務を務める田中主務

また田中氏は、ラグビー部の駐輪場の自転車整頓をしたり、通常下級生が行う仕事にも積極的に参加している、と語り、このような自身の行動は部員に対して「小事をこだわることの大切さ」を意識付ける目的があり、さらには雑用時に下級生の輪に入ることによって、部員の悩みや気持ちを自然と聞く環境づくりに役立てているという。この事例には、廣瀬氏や鈴木寛教授も共感し、プレー以外で細部を徹底することが、プレー中においても細部を大切にする行動につながり、結果的に組織が強くなると示した。

 

また廣瀬氏は、強い組織になるために必要な要素として、「大義を成すためには、良い仲間を作ることが大切」と語った。「ラグビーのみならず、スポーツは非常にしんどい時が多くある。そんな時に、『一緒にプレーしたい仲間』であれば、しんどい時には乗り越えやすくなり、また乗り越えた分だけ、組織は強くなる。」と自身の経験から伝えた。そのためには、仲間との関係性を、上辺だけの関係ではなく、お互いに思ったことを言い合える関係を築くことが肝要だと説いた。

次に、金沢氏。「ある目的に対して情熱があるというのは、強い組織になる1つの原点かなと思う」と述べた。田中氏は、「日本一になるためには、それぞれの立場でどれだけ100%でハードワークできるかだと思う。」と最後を締めくくった。

 

 

パネルディスカッション後の質疑応答では、「強い組織になるための具体的な方法」「接戦を制する方法」「スポーツ界の裏事情」に至るまで質問は多岐に渡った。

参加者からの「僅差の試合で差を分ける要素はなにか」という質問に対して廣瀬氏は、「まずブレないことだと思う。拮抗した最後のプレーでチームの規律を守れるかどうか。そこにかかっている」と答えた。

 

 

質疑応答後に、ネットワーキングが30分ほど行われ、スピーカーも交えて参加者の親睦が深まった。

今回参加した体育会に所属する学生からは、「自分たちの部とは考えていることが一回りも二回りも違って勉強になった」という声も挙がった。同じ日吉下田地区で練習している者同

様々な質問がされた

士でも、話すことがあまり多くない体育会のコミュニティ。KEIO Future Sports Conferenceは他の体育会について知れる場でもあり、部活を超えた重要なつながりを提供する場でもあるようだ。

 

企画責任者の市川嵩典さん(総合4年)は、「参加者の真剣な目や質問のレベルの高さを感じ、企画した甲斐があった」と振り返った。

 

参加者が日々スポーツに触れる中で感じたことや直面する問題について、改めて捉え直す機会になったに違いない。次回のKEIO Future Sports Conferenceから目が離せない。

(記事:KEIO Future Sports Conference、田中壱規/写真:KEIO Future Sports Conference、川下侑美、)

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