【野球】 課題は2戦目 望みを繋げ 立大戦展望

第6週に慶大が4戦目を戦うのは立大だ。昨季は慶大と優勝争いを繰り広げたが、今季は投打の歯車が狂い、3カードを終えて獲得した勝ち点は1つと苦しい状況に置かれている。慶大としては優勝争いのために勝ち点を落とすことは許されない。立大の現状を探るとともに、慶大がいかに戦うべきかを考察した。

1.投打に苦しむ立大

昨季は絶対的エース田中誠也(コミ3・大阪桐蔭)とどこからでも一発が飛び出す打線を武器に優勝争いに絡んだ。しかし、田中誠以外の投手の不安定さや打線の粗さが仇となり慶大明大と第3戦までもつれたものの落とし、優勝争いから脱落してしまった。

そして今季は第2戦先発として川端健斗(コミ1・秀岳館)が確立され、打線も夏の練習により強化されて迎えた。
投手ではその川端健が2番手としてここまでリーグ2位の防御率2.14を記録し、独り立ちを果たした。一方でエース田中誠は早大1回戦で5回途中4失点で降板するなど春ほどの結果は残せていない。体調不良の影響で、直前の法大戦ではついにベンチからも外れてしまい、万全ではないようだ。昨春の日本一に貢献した手塚周(コミ3・福島県福島)や中川颯(コミ2・桐光学園)も昨秋以降調子を落としたまま復調の兆しは見えていない。そんな中この秋登板機会を増やしているのが江口奨理(経営3・浦和学院)だ。3試合連続無失点を記録すると、法大2回戦では先発を務めた。3人目の左腕の登場で春に比べ投手層は少し厚くなっていると言っていいだろう。
野手を見てみると傾向が大きく変わった。昨季リーグ5位だったチーム打率.234は今季ここまでリーグ2位の.274まで上がっている。昨季規定未到達ながら4割越えの打率を残した種田真大(経営4・大垣日大)がレギュラーを掴んで打率.393と好調をキープし、法大2回戦では4番を務めるなど打線の中心だ。2番松﨑健造(文4・横浜)、3番飯迫恵士(社会4・神戸国際大附属)も打率3割を超えている。下位打線ではショートの笠井皓介(経済3・桐蔭学園)がチーム2位の打率.375と大ブレイク中で、7試合中2試合で猛打賞を記録している。一方で昨季は主に4番を務めた三井健右(コミ2・大阪桐蔭)が打率.077で長打ゼロと大ブレーキ。早大3回戦以降はスタメン落ちが続いている。代役で4番を務めた藤野隼大(経営3・川越東)も打率2割を切り、ここまでホームランは出ていない。昨季13試合で8本を記録した本塁打が今季はここまで7試合で2本と大きく数が減っている。その結果、打率は大きく上がった一方で長打は減ってしまった。しかし、粗さは改善されたとは言い難く、むしろIsoDはリーグ最下位まで低迷している。
 
※IsoPは長打率-打率、IsoDは出塁率-打率。

 

得点率

打率

長打率

出塁率

OPS

IsoP

IsoD

18春

3.31④

.239⑤

.355⑤

.298⑤

.653⑤

.116③

.059⑤

18秋

3.43⑤

.274②

.363④

.320④

.683④

.089④

.046⑥

 

2.法大戦振り返り

リーグ戦初勝利を挙げた木澤

勝ち点2で並ぶ法大との3連戦は熾烈を極めた。1戦目は髙橋佑樹(環3・川越東)、髙橋亮吾(総3・慶應湘南藤沢)のリレーで強力打線を被安打4の1失点に抑えると、小原和樹(環3・盛岡三)のリーグ戦初となる2点本塁打が5回に飛び出して逃げ切った。しかし2戦目は投手陣が打ち込まれ8失点、打線も相手の継投に2得点に抑えられて大敗を喫した。3戦目は中村健人(環3・中京大中京)の今季4本目の本塁打などで先行するも、髙橋佑が満塁弾を浴び逆転される。その後内田蓮(総4・三重)の本塁打や代打・植田将太(商3・慶應)の適時打などで再逆転するも、再び一発で振り出しに戻されるシーソーゲームが続いた。延長に進んで11回表に3本目の本塁打を浴び、万事休すと思われたがその裏に植田清太(総4・慶應)や大平亮(環4・鎌倉学園)らがつないで同点に追いつくと、12回に長谷川晴哉(政4・八代)がショートに内野安打を放ってサヨナラ勝ちを収めた。

法大戦は慶大の粘り強さが十分に発揮された。特に3回戦は投打ともに厳しい局面を何度も、なんとか乗り越えて1勝を掴み取った試合だった。この粘り強さを今後も続けることができれば優勝の二文字も近づいてくることになるだろう。

しかし、大きな不安要素は第2戦の先発投手だ。2回戦では明大戦、法大戦共に二桁被安打を許し、7失点8失点と試合を壊してしまった。特に失点が序盤に集中したことで、打線が試合を作り直すこともできずに負けている。2戦目を落とすことで1戦目に続き3戦目で再び登板する二人の髙橋の負担が大きく増えてしまっている。打線の調子は悪くないだけになんとか最少失点に抑えて試合を壊さないようにしていきたい。

 

3.立大対策とは

田中誠の復活登板はあるか

立大打線は法大打線同様左打者が多い。ヒットを放った5試合中4試合で複数安打の種田、同じく7試合中5試合でヒットを放っている松﨑、ここまで全試合でヒットを放っている飯迫ら特に上位打線の3打者は好調をキープしているだけに気を付けたい。法大戦でスタメンに抜擢された小野大成(文3・横浜)も2試合共に3安打を放っており、要注意の打者だ。唯一と言っていい右打者である藤野は不調ではあるが本塁打は現役3位の6本を放っている。一発の危険性は春ほどではないとはいえ、ここまで慶大投手陣はリーグワースト9本の本塁打を許しているだけにもちろん楽観視はできない。左投手の髙橋佑を中心に、春同様うまくボール球の変化球を振らせて投手優位に持ち込んでいきたい。カギを握る2戦目の先発は不透明だが、既に2先発の森田晃介(商1・慶應)、法大3回戦で勝ち投手となった木澤尚文(商2・慶應)や経験豊富な津留﨑大成(商3・慶應)、左キラー前田和真(商4・津西)らの継投で粘り強く最少失点で繋いでいきたい。

慶大打線は立大の左の先発陣をまず捉えることが重要だ。パワーピッチングのできる川端健、制球力が武器の江口、そして秀でた投球術を持つ田中誠とそれぞれ投球スタイルは異なる。田中誠に比べて対戦経験が少ない川端健と江口だが、春季の慶大戦で登板しており、両投手とも失点している。苦手意識を持たないうちに打ち崩したいところだ。中継ぎで控える手塚、中川両投手も春季の対戦では打ち崩している。慶大としては普段通りの攻め方をしてきっちり得点を重ねていきたい。実は立大投手陣はここまで被本塁打がわずかに1本。ここまでリーグ2位の8本塁打を放っている慶大打線とのマッチアップも見ものだ。

 

ここまで課題となっている第2戦を取ることができれば早慶戦に向けて弾みをつけることができるだろう。チーム全体で粘りを発揮して4つ目の勝ち点を獲得したい。

(記事・尾崎崚登)

対戦成績(第5週終了時点)

 

慶大

立大

明大

早大

法大

東大

慶大

 

第6週

○2-1

●4-7

○7-4

第8週

○2-1

●2-8

○9x-8

6―4

10―4

立大

第6週

 

第7週

●●

○○

明大

●○●

第7週

 

第6週

●●

早大

第8週

○●○

第6週

 

○○

法大

●○●

○○

 

第7週

東大

●●

●●

●●

第7週

 

 

順位表(第5週終了時点)

順位

大学

勝ち点

試合

勝率

慶大

0.750

法大

11

0.700

早大

0.625

立大

0.429

明大

0.429

東大

0.000



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