【野球】王者・慶大 劣勢をはねのけ開幕戦を白星で飾る 東大① 

9月8日(土)東京六大学秋季リーグ戦 東大1回戦

2点適時打を放った正木

まだ夏の暑さが残る神宮で、いよいよ東京六大学野球秋季リーグが開幕した。2連覇を果たした王者・慶大は東大との開幕戦に臨んだ。慶大は初回に髙橋亮吾(総3・慶應湘南藤沢)がスリーランを浴びる厳しい展開。しかし、2回に正木智也(政1・慶應義塾)の2点適時打を口火に、続く3回には嶋田翔(環2・樹徳)、高橋亮の適時打、さらには中村健人(環3・中京大中京)のツーランで一挙4点を挙げ逆転に成功する。その後は、得点を挙げられず苦しむも、7回からマウンドに登った高橋佑樹(環3・川越東)が9回までを抑え、開幕戦を辛くも勝利で飾ることができた。

 

 

東大

慶大

X

 

東大バッテリー:小林大、宮本、有坂、奥野―三鍋

慶大バッテリー:髙橋亮、髙橋佑―郡司

 

東大本塁打:岡1号3ラン(1回)

慶大本塁打:中村1号2ラン(3回)

ーグ三連覇、そして、日本一に向けて、慶大野球部が初めの一歩を踏み出した。慶大の開幕投手を託されたのは髙橋亮だったが、初回から安打と四球で2死一、二塁のピンチを迎える。そして、5番の岡俊希(文Ⅰ2・小倉)に3点本塁打を浴び、初回に重い3点がのしかかった。

 

反撃したい慶大打線はその裏。東大先発の小林大雅(経3・横浜翠嵐)から安打と2つの四球で2死満塁のチャンスを作る。しかし、後続が倒れて無得点に終わる。

勝ち越し適時打を放った髙橋亮

 

先行を許し、チームに嫌な流れが立ち込めたが、この流れを断ち切ったのは、一塁手の嶋田だった。2回、1死一塁から9番宇佐美舜也(法4・桐朋)は、痛烈なライナーを一、二塁間に放つ。しかし、一塁手の嶋田が横っ飛びで捕球すると、飛び出していたランナーにそのままタッチしてダブルプレー。まずは、ファインプレーでチームを鼓舞する。そして、その直後、打席に入った嶋田はレフト線を破る二塁打を放ち、好機を演出。嶋田のプレーが慶大に徐々に良い流れを持ち込んだ。その後、四球と犠打で2死二、三塁のチャンスを作ると、打席に立つのは開幕スタメンに抜擢されたルーキー正木。正木は一塁線を破る2点適時打を放ち、見事に監督の起用に応える。正木が反撃の口火を切ると、続く3回の攻撃では嶋田、髙橋亮の適時打でこの回に一気に逆転を果たし、途中からライトのポジションについた中村が秋風に乗せてバックスクリーン右横にツーランを放つ。ベンチ、スタンドからの大歓声を背にダイヤモンドを一周。リーグ戦初となる本塁打は値千金の一打となった。結局、慶大はこの回一挙4点を挙げて6―3とした。

 

先発の髙橋亮は、直球が甘くなるシーンも多々あったが、ピンチの場面では縦の変化球を有効的に使い3回以降はなんとか持ち直す。6回まで投げ切り、3失点。先発としての最低限の役割を果たした。髙橋亮の粘投に応えたい打線であったが、東大の宮本直輝(教育3・土浦第一)・有坂望(教育4・城北)・奥野雄介(文Ⅲ1・開成)の三投手の前に安打はわずか1本。相手投手の四死球でもらったチャンスも生かすことができずに、4回以降得点を挙げることができない。守りでも、8回に1死一塁からレフトのポジションについた柳町達(商3・慶應義塾)が風に煽られた平凡なフライを捕球できずに失点につながるなど、もったいないプレーがあった。

見事な救援で開幕戦勝利を導いた髙橋佑

それでも、7回からマウンドに登った高橋佑が「“東大”ということを意識せずに投げよう」と言ったように、春のリーグ戦でも随所に見せた危なげない投球を演じ、3イニングを1失点に抑える好リリーフを見せた。9回も最後の打者を空振り三振で打ち取り、試合終了。慶大は開幕戦を無事に勝利で飾ることが出来た。

開会式にて選手宣誓をする河合主将

辛くも初戦で勝利を収めた慶大。しかし、試合後選手の顔は一切満足の色を見せていなかった。大久保監督も「優勝とは言っていられない内容だった」と厳しい表情で今日の試合を振り返る。しかし、監督をはじめ選手たちが厳しい表情をしていたのは、チームが春を超越し、三連覇、そして、日本一というより大きな目標を果たそうとしているからだろう。慶大なら今日出た課題を克服し、さらに強くなる糧とするはずだ。リーグ戦はまだ序章に過ぎない。この先のリーグ戦、慶大の躍動が楽しみでならない。

(記事:菊地輝 写真:小林歩

◆打撃成績

 

 

 

[9]

河合

三ゴロ

右飛

      
 

中村

  

中本

 

遊飛

 

四球

 

[7]

正木

二ゴロ

右安

二飛

     
 

渡部

     

中飛

四球

 

[8]7

柳町

左安

中安

 

三邪飛

 

四球

空三振

 

4 

[2]

郡司

四球

三ゴロ

 

三直

 

四球

左飛

 

[5]

内田

四球

 

死球

四球

 

捕邪飛

 

二飛 

[4]

小原

遊ゴロ

 

三犠打

中飛

 

死球

 

遊飛

[3]

嶋田

 

左2

左安

 

左飛

左飛

  
 

H3

梁瀬

       

二直

[6]

瀬戸西

 

四球

投ゴロ

 

左中2

 

四球

 

[1]

髙橋亮

 

投犠打

左安

 

空三振

   
 

髙橋佑

      

投犠打

 

 

◆投手成績

 

投球回

打者数

球数

安打

三振

四死球

失点

自責

◯髙橋亮

25

105

髙橋佑

3   

11

38

 

◆監督・選手コメント

大久保秀昭監督

――今日に試合を振り返って

良かったのは勝ったことだけですね。劣勢を逆転できたのは良かったと思います。あとは、拙攻、拙守含めて、これで優勝とは言っていられない内容だったので、課題として明日以降しっかりとした野球をやっていかなければならないと思います。

 

――先発の高橋亮について

立ち上がりが難しいのは分かりますけど、開幕投手を任されるなら、1回の本塁打はもったいないかな。そのあとは粘りながら何とか持ちこたえて、勝ちもついたので、次もしっかりやって欲しいと思います。

 

――明日に向けての意気込みを

9月に6勝というのを目標に掲げてやってますので、そこに向けてしっかりやっていきたいと思います。

 

河合大樹主将(総4・関西学院)

――開幕戦勝利という形でのスタートとなりましたが、今日の試合を振り返って

勝ったことは良かったと思いますが、守備の面でも悪いところがありましたし、攻撃でも10個以上四死球を貰った中で点が取り切れなかったというところはまだまだだなと感じています。

 

――試合前はチームにどのように声を掛けましたか

普段通り、一人一人やるべきことをやっていこうという風に声を掛けました。

 

――初回3失点というピンチの場面を迎えましたが

ビハインドでもいつも通り慌てることなくやっていこうとチームで心がけました。

 

――明日の試合に向けて

まず一戦一戦勝っていって勝ち点をあげていくことが大事だと思うので、まず明日も勝てるように頑張っていきたいと思います。

 

高橋佑樹(環3・川越東)

――今日の試合を振り返って

まさか、髙橋(亮吾)が3ランを打たれるとは思いました。最初は苦しい展開でしたけど、中盤打撃で逆転できて、何より勝てたことが良かったと思います。

 

――今日のストレートは140km以上出ていましたが

去年の春の終わりくらいから、この夏にかけて練習してきて、ストレートは速くなっている実感があったのですが、もう少し出したいな、というところですね。

 

――東大打線をどうやって抑えようと思って投げましたか

東大打線というよりは、去年の秋に東大戦で先発して負けてしまいました。今回は“東大”ということを意識せずに投げようと思って頑張りました。

 

――三振もたくさんとれていたと思いますが

たまたまというか、追い込んだ後に良いところにボールが入ってくれたというのが一番大きかったです。思ったよりも投げれたことが原因だったかなと思います。

 

梁瀬彪慶(総3・星稜)

――神宮の舞台に立って、率直な感想を

そこまで緊張しなかったんですけど、やるべきことをしっかりやるだけだなと思いました。代打から出場で、結果的にはセカンドライナーだったんですけど、とりあえず出塁しようという意識でバットもファーストストライクから振れたので、まあまずまずかなと思います。でもやはりこれからどんどん結果を出していかないいけないと思っています。

 

――今日の試合を振り返って

チーム的には春のリーグ戦を経てだいぶ状態良くなって迎えたはずだったんですけど、やっぱり東大さんにもいろいろ研究されていたのか、苦しい展開でした。ピッチャー中心にしっかり守れていたのですが、こういう展開を続けていると今後法政、明治とか強い相手と戦う時に苦しい展開になってしまうと思います。もっと、チーム全体でもっと点を取って、ピッチャーに楽に投げさせてあげられるようにしていければいいなと思います。

 

――夏には母校(星稜)の活躍も

年代としてかぶってないですけど、やっぱり刺激にはなりました。

 

――これからどう活躍したいですか

この秋のリーグ戦では、今日みたいに代打で出て、嶋田のあとの代打だったら、その後守備って形になると思います。しっかり試合中も試合を見ながら、自分の準備をして、主にバッティングで、いずれチャンスで代打がきた時とかに結果出せるようにしていきたいと思います。

 

――最後に意気込みを

僕の結果ももちろん大事なんですけど、やっぱり3連覇、とにかく成し遂げたいなと思います。4年生を笑顔で卒業させたいなと思ってます。

 

嶋田 翔(環2・樹徳)

――今日の試合を振り返って

リーグ戦の開幕試合は勝つことが難しいので、勝てて良かったです。

 

――2打席目は二塁打でしたが、変化球で崩されながらも上手く打っていたように見えました。

初回僕がファールフライを取れず、やられてしまったのでここは塁に出ようという強い気持ちでやった結果です。

 

――3回裏でのタイムリーで同点に追いつきました。

先ほども言った通り、僕がファールフライを落としてしまったのでなんとか打たなきゃなという気持ちでした。変化球だったんですけどなんとか食らいついて打てたので良かったです。

 

――前半はファーストゴロが多く見られました。以前苦手だとおっしゃっていましたがいかがですか?

昨季リーグ戦中に、守備はバッティングよりも自信がついてきたので、夏はバッティングに重点を置いていたのですが、上手くいかない日が続いていました。今日ヒット2本打ててちょっと安心はしていますが、まだまだだなとも思っているので向上心を持ってこれからも頑張りたいです。

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