【應援指導部】『孔明』の威力、恐るべし 5季ぶりの優勝へ大きな後押し/対明治大学3回戦

應援指導部

対明大5季ぶりの勝ち点獲得へ、負けられない3回戦。彼らの真価が発揮されたのは5回表慶大攻撃時の応援だった。鳴り響く「孔明」と部員たちの声に、応援席は奮い立った。

その後の大量得点は、彼らの執念が打線に乗り移ったかのよう。勝利の味を知る4年生と、まだ見ぬ勝利を目指した下級生——彼らの悲願がまず一つ実った瞬間だった。 

 

4月27日(月)慶應義塾大学○10ー2●明治大学

~試合概要~

先発の渡辺和大(商4・高松商)は初回に2点を失うも、その後は立ち直り8回2失点(自責点0)、13奪三振の好投を見せる。打線は2回、吉開鉄朗(商4・慶應)の2点本塁打で同点に追いつくと、この回一挙4得点で逆転に成功。5回にも4点を挙げ攻撃の手を緩めず、12安打10得点の猛攻で試合を決定づけた。投打がかみ合った慶大が2年半ぶりとなる対明大戦勝ち点を獲得。優勝争いに向け、大きな一勝を挙げた。

 

まず、この一戦に臨むにあたり、部員たちの中には共通した思いがあった。対明大戦での勝ち点獲得は、優勝した2023年秋季リーグ戦以来の悲願。一勝一敗で迎えた3回戦。この試合に勝利すれば、慶大は2カード連続の勝ち点獲得。さらに、優勝候補・明大を相手に勝ち点をもぎ取ることとなり、5季ぶりのリーグ優勝へ大きく前進する。「久々のチャンスを絶対に逃すまい」——そんな執念を、一人一人が胸にしまい込んでいたはずだ。

そんな彼らの真価が見えたのが、5回裏、慶大の攻撃時の応援だった。

まず、先頭2番・小原が本塁打性の当たりを放つ。フェンスオーバーかに見えた。瞬時に得点と判断した部員たちは『若き血』を流し、応援席と喜びを分かち合おうとする。

すると、明大がリプレイ検証。本塁打か否かの判定を巡って審判団による審議が行われた。ただちに演奏を止める。本塁打か、三塁打か——今か今かと判定が下るのを待ち、ダグアウトに目線を集中させる部員たち。胸のざわめきの中、一塁側応援席に沈黙が続いた。

判定は、「三塁打」。得点ではなく、無死三塁での再開となった。

 

次の瞬間、美爆音が流れ始めた。『孔明』——慶大應援指導部が対明大戦の攻撃時にのみ流す限定曲だ。

得点ならず、チャンスと判定が出た瞬間、部員たちの想いは一致したはずだ。

「よし、この曲でいこう!」

一塁側応援席にスイッチが入った。畳み掛けるように、『突撃のテーマ』『シリウス』とチャンステーマをかけ続ける。3番・今津の内野安打に始まり、気がつけば打者8人の攻撃で一挙4点を追加し、勝利に大きく前進していた。リクエストのさなかの数分間、そこでの部員たちの一瞬の判断と切り替えが勝負を分けたと言える。

この5回裏に象徴されるように、この日の応援の集中力は前節対立大戦の時よりさらに威力を増していた。

2回、5回に各4得点を挙げた慶大打線の集中打は、一塁側応援席が生み出した熱気が後押ししていた。2回裏、無死二、三塁の好機で流れた『朱雀』から『ダッシュケイオウ』のメドレーは打線の勢いを加速させ、5回裏には『孔明』を起爆剤に一挙4得点。応援が流れを呼び込み、得点へとつなげていた。

その熱を最前線で形にしていたのが、部員たちのかけ声である。

1回裏、2点を先行されて迎えた場面で、応援企画責任者M.Eさんは「慶應の応援席にあって、明治の応援席にはないものを3つ紹介しようと思う!応援団の数、野球部員の数、そして観客の数である!我々3つが揃えば負けることなどないだろう!」と締めくくると、『若き血』が流れ、スタンドは一気に反撃の空気に包まれた。

3回裏、4-2とリードして迎えた攻撃では、3年のK.Yさんが「この慶明戦は天王山である!」と一声。

そして5回裏。この試合の分岐点となった場面で、4年のN.Yさんは「さっきまで雨降っていたけど、今はメチャクチャ空青いですね!今朝起きたら、喉ガラガラだったんですけど、この青の龍角散を飲んだら、今喉絶好調です!この空の青さと龍角散の青さに合わせて、『Blue Sky KEIO』行くぞ!」と観客を引き込み、『Blue Sky KEIO』を演奏開始。スタンドに一体感が生まれ、その熱は直後の『孔明』、そして一挙4得点の猛攻へとつながっていった。

さらに守備時には、明大のチャンステーマ「狙い撃ち」の指でピストルの形を作るサインを逆手に取り、「このマークで明大打線をゲッツーに抑えましょう!」と声をかけるなど、相手の流れすら応援に取り込んだ。

終盤の7回裏には、坪井樹音代表が明治のチョコレートに合わせ、

「もうほろ苦い思いはしたくない。甘いチョコ(勝利)を味合わせてくれ!」と呼びかけた。

坪井代表たち4年生は1年時に優勝を経験し、その歓喜を知る世代。「もう一度、あの景色を全員で見たい」という思いを胸に臨む。一方で、3年生以下は入部以降、優勝を経験していない。「初めての優勝をこの目で見たい」、その渇望があった。部員たちの中での“経験の違い”も、この日の応援に影響を与えていたのかもしれない。

3年ぶり、念願の明大戦での勝ち点獲得。しかし、喜びに浸るにはまだ早い。東大戦、法大戦、そして最後には早慶戦が待っている。

「勝って兜の緒を締めよ」——試合後、応援席を後にする部員たちの表情からは、今季の優勝へ向けたただならぬ決意がにじんでいた。『ファンファーレ』とともに、悲願へまた一歩、前進。

 

〜試合後インタビュー〜
K.Yさん

ーー試合を終えての感想

明治に勝利するのが5季ぶりで、私は3年生なのですが、これまで勝利を味わったことがなかったので、今回2勝することができてすごく嬉しいです。

 

ーー応援の中で個人として心がけてきたこと

自分は声の大きさに自信があって、応援席をまとめ上げるブロックサブや塾生注目といった役割を任せていただいていたので、そこで絶対にみんなに届く声を出すということと、その届いた声で一緒に応援席の声を引き出すということを意識してきました。

 

ーー3回の塾生注目の際に心がけていたこと

勢いと、絶対に勝つという強い気持ちだけです

 

ーー今後に向けた意気込み

今回の勝利で春季リーグ優勝に一歩近づけたと思うので、野球部の皆さんの背中を押す、支えになることが私たちの役割だと思っています。これから東大戦と続いていきますが、張り切って応援していきたいと思います。

 

N.Yさん

ーー試合を終えての感想

私は4年生なのですが、優勝を1年生の時に経験していて、そこからなかなか明治に勝てずで、なかなか順位とかも良くない状態で、なんとしても最後の年は勝ちたいと思っていました。この明治戦にかかっているという思いはすごくあって、昨日負けてしまってからは、もう昨日のことは考えずに、とにかく今日勝とうっていう気持ちで望んでいました。

 

ーー試合が拮抗する展開での5回の塾生注目で意識していたこと

5回の回曲が”Blue Sky KEIO”というタイトルそのもので、何か青で引っ張ることができないかなと思った時に、ちょうど雨が降っているところから青空が広がりはじめていて。それが自分たちに今チャンスが来ているんじゃないかという確信があったので、青のインパクトっていうところを残したくて、塾生注目で取り入れました。

 

ーー5季ぶりの勝利。試合が終わった瞬間の心境

本当に泣きそうでした。エール交換で演奏をしないといけなかったので、静かにはしないといけなかったんですけども、心の中では叫んでいて、念願が叶って言葉にできないぐらい嬉しかったです。

 

ーー今後の意気込み

残り3カードあるんですけれども、優勝をするためには1戦1戦が大事になってくるので、1つ1つ抜かずに真摯に試合に向き合って、応援席全体で選手たちを応援できる応援席作りを頑張っていきたいなと思っています。

 

(記事、取材:竹腰環 取材:神谷直樹)

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