【バスケ】遠く関西の地で成長の証。関大に完勝! 慶関定期戦初日

 

主将として泥臭いプレーでチームを引っ張った蛯名。

主将として泥臭いプレーでチームを引っ張った蛯名。

 

 

毎年4月に行われている81度目の慶大と関西大による伝統の定期戦が、今年も開催された。今年は関大のホームで行われた慶関戦。昨季は1勝1敗と引き分け(得失点差で優勝)に終わった同大会だけに、本年度は完全優勝を手にしようと、慶大は熱く燃えている。一日目の今日は、その意気込みと春からの取り組みの結果が目に見える形で快勝。この先に待ち構える京王電鉄杯、関東トーナメント、早慶戦に勢いを付ける為の完全優勝に向けて、幸先の良いスタートを切った。

 

  1Q 2Q 3Q 4Q 合計
慶大 24 20 30 13 87
関大 21 9 18 21 69
◆慶大スターティングメンバー
  選手名(#背番号・学部・学年・出身校)
PG #16 伊藤良太(環3・洛南高)
SG #4    蛯名涼(法4・洛南高)
SF #10 矢嶋瞭(総4・福大大濠高)
PF #11 権田隆人(政3・慶應高)
C #7  本橋祐典(環4・佼成学園高)

豪快にオフェンスリバウンドを奪い取る本橋。

豪快にオフェンスリバウンドを奪い取る本橋。

立ち上がりからリズムを掴みたい慶大は、「矢嶋さんと僕との中で上手くマッチしてやれた」(伊藤)という様に、伊藤と矢嶋の2人のスコアラーが得点を重ね、試合を作っていく。ケガから帰ってきた矢嶋が持ち前の高い運動能力とシュート力を活かして得点を量産。最後の得点を3ポイントで締め、13得点を連続で奪うという離れ業をやってのけると、伊藤も果敢なドライブや思い切りの良いジャンプシュートからスコア。1Qに慶大が挙げた24点の内、実に20点をこの2人で稼ぐという活躍を披露。六大学で課題だった、2人のスコアラーの共存という難題について、解決の兆しを感じられる素晴らしいプレーを見せる。だが、関大も素早い速攻や確立の高いアウトサイドシュートを軸に慶大に対抗。オフェンス面では上々ながら、ホーム開催の関大の勢いを抑えることが出来ず、24-21と思うように離せない展開で1Qを終える。関大を突き放したい慶大は2Q、1Qではイマイチはまらなかったディフェンスから流れを掴む。1対1でのディフェンスは勿論のこと、ローテーションやダブルチームなど足を使った激しい攻めのディフェンスを展開。プレッシャーに煽られた関大のパスミスを拾って得意の速い攻めを繰り出すと、流れの中から大元孝文(環2・洛南高)や福元直人(環2・福大大濠高)、伊藤らガード陣が得点を重ねて行き、残り7分を切ったところで2桁のリードを奪う。だが、関大の勢いを完全に鎮火するには至らず。連続トラベリングなどのミスも絡み、点差をそれ以上に離すことが出来ない。だが、佐々木HCが矢嶋、蛯名の4年生コンビを再び投入すると試合が動く。タイムアウト明け後最初の得点を矢嶋のこの日2本目の3ポイントで飾ると、その後はゴール下――特にリバウンドの面で、慶大がアドバンテージを奪っていく。その立役者となったのは蛯名。強靭な体を活かした積極果敢な飛び込みリバウンドを連発。関大のオフェンスの時間が短く、慶大の攻撃時間が長くなっていくと、必然的に流れは慶大へ。終了間際にゴール下で得点を重ね、44-30で後半へ。

3Qに3本の3ポイントを決めた大元は、流石の爆発力を見せた。

3Qに3本の3ポイントを決めた大元は、流石の爆発力を見せた。

後半の出だしをエース矢嶋の連続得点から始めた慶大は、序盤こそシュートが落ちてやや停滞するものの、3Q中盤を過ぎたところから爆発。山崎哲(環2・秋田高)のゴール下で口火を切ると、そこからは大元の独壇場。難しい体制からながら3本の3ポイントを沈める活躍を見せると、悩める大黒柱の本橋もゴール下でリバウンドを量産し粘り強く加点していく。更に終了間際には、途中出場の中村滉平(理3・慶應高)がブザーと共にテクニカルなリバウンドシュートをねじ込むと、ベンチは大盛り上がり。理想的な形で点差を離し、最高のムードの中で74-48と大きくリードして最終Qへと突入する。その4Q、既に試合を決めた慶大はリザーブメンバーを中心としたメンバーをコートへと送り出すが、必死に追いすがる関大の強烈なプレスを前にリズムを掴むことが出来ない。明日に繋げる為にも良い形で最終Qを終えたい慶大は、残り6分を切ったところで再度スターティングメンバーを投入。Aチームも関大のプレスに苦戦こそしたものの、落ち着いてゲームをコントロールしながらも矢嶋のタップシュートや黒木亮(環2・延岡学園高)のゴール下で、確実に得点を重ねて行った慶大。終わってみれば87-69と、目標であった70点以下に抑える」(伊藤)を達成する形で圧勝し、明日の第2戦に向けて最高の形で試合を締めくくった。

六大学での課題であり、春から取り組んで来たことでもあるディフェンス面で大きな成長を見せた慶大。六大学リーグという実戦形式の練習の中で得た課題を、今季初の公式戦で見事に修正して見せた。だが、1試合成功しただけでその課題が完全に解決した訳ではない。大切なのは「再現性」であり、2試合続けるということが大事」(佐々木HC)。チームとしての成長の証を見せ付けるためにも、目指すのは明日の勝利、即ち「完全優勝」(伊藤)の4文字だけだ。

(記事: 大地一輝) 

佐々木HC

ケガ人の復帰ということがあったので、それで去年組めなかったチームで試合が出来たということは、本年度の第1戦の公式戦としては良かったかなと思います。(ディフェンスは形になってきたか)少しずつですが、そう思います。でも、それが関東の一部のチームに通用するかと言ったら、不確実なところがあるので、もう一回距離を詰めてやれるようにならなければなりません。それともう一つは、私の言っていることの理解がイマイチ出来ていないということです。ああいうディフェンスをすれば確立が落ちてくるということが、周りの子は見えているけど、試合をやり始めると忘れてしまう。でもその形が、こっちに来る前の木曜日に高校生とやってある程度実感が出来たので、その流れで今日はやれたのかなと。こういうディフェンスをやると成果があるんだな、ということが少しは分かったのではないかと思いますけど。でもディフェンスは時間がかかるんで、根気強く言い続けるしかないですね。(リバウンドで相手を苦しめていたが)結局ああいう守り方をするとシュートが不安定になるので、そういう意味で言うとリバウンドが取りやすいし、パスカットもしやすくなる。だから、今取り組んでいるものをきちっとやれば、リバウンドは大きな相手に対しても取れるようになる筈なので。今日は随分取り損ねていますので、それをもう少し本物にしなければならないですね。(相手のゾーンディフェンスに対する指示)関東の戦いでもゾーンアタックをしなければならないので。ゾーンになったら矢嶋があれだけ外から放れば、入る、入らないは別として、崩せると思います。去年のようにシューターがいない形でゾーンを組まれると困りますけど、シューターがいるんで。放ることによってゾーンディフェンスは壊れてくるので、彼がいれば大丈夫だと思います。(明日に向けて)目標として70点には抑えようということで、それは出来たので、それをもう一回。再現性がないとチーム力にならないので、2試合続けるということが大事ですし、それをやって欲しいですね。もう一回ディフェンスで70点以内に抑えないといけないです。

[G] 蛯名涼主将(法4・洛南高)

目標はいろいろあったんですけど、初めての公式戦で勝てたのは評価すべきだと思います。5人が5人全力で自分たちの実力を出せているかというとそうでもないので、自分の欠点を反省して、全員がしっかり実力を出し切れば、それが自分たちの主力だと思うので、その状態に持って行きたいです。(オフェンスリバウンドについて)僕はあれしか特徴がないので。全然取りきれなかったり、味方にはたいてるつもりが相手が理解してくれなかったり、僕のパスが悪かったりしてました。もうちょっと感覚的に詰めれる部分はあるかなと思います。(メンバーについて)やっと全員揃いました。これ以上欠けることはできないと思ってます。戻ってきてよかったです。(六大学リーグ戦からの練習について)さほど変わったことはしていません。ディフェンスをがんばって速攻出せるように、あとはセットオフェンスの確認をしたりしてました。(明日に向けて)明日は点差うんぬんというよりも、今日できなかったことをできるようになりたいです。リーグ戦までに2戦できるというのは貴重な体験なので、最初にやったところの欠点をいかに次で直せるか、また自分たちの特徴を抑えられたときに、次の動きができるかがリーグ戦でも大事になってくると思います。去年2戦目は負けているので、今日よりいい試合ができるようにがんばりたいと思います。

[G] 伊藤良太(環3・洛南高)

チームとして目標だった、相手を70点以下に抑えるということが達成出来たことがチームとしても自身になったので、良かったかなと思います。ディフェンスを徹底して行くことが少しずつ出来ているので、チームとして纏まりが出来ていて良い感じだと思うんですけど、個人個人のミスが少しあるんで、そのミスを無くしてチームとして少しずつでも積み重ねて良い方向に持っていければと思っていて。試合では良い所が出たと思うんで、積み重ねで明日も頑張って行きたいと思います。(ディフェンスの意識として変わったこと)ガードはオールコートで当たることは徹底しています。後は、1人1人が自分のマッチアップにやられないっていうことは意識していて、凄く守れていることだと思うんで。これからは1対1に強い相手が出てくると思うんで、守れない所を2人や3人で守るということを意識して、チームとしてやっていると思います。(六大学リーグでの課題の克服は)自分としては、この試合でどう出来るかということが大事なことだったんですけど、その面では矢嶋さんと僕との中で上手くマッチしてやれたことは凄く良い収穫でした。その中でも、六大学で上がった課題が少しずつ修正出来ていて。自分はガードですし行きたい時に行くということはいつでも行けると思うんで、後は周りを活かしつつ苦しい場面で自分が決められるという、自分としての理想的な形はハッキリして来たので、本当に良かったかなと思います。(明日に向けて)完全優勝ということが目標なので、B戦からしっかり戦うことが大事だと思いますし、A戦で出た時はチームに貢献することを、僕自身先ずディフェンスから頑張って行きたいと思いますし。今日よりも明日、ということを徹底して、良い試合が出来る様に頑張りたいと思います。

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