【テニス】次代を担う若き力、春の大舞台で輝く  関東学生テニストーナメント大会

フォアハンドで食らいつく高田

フォアハンドで食らいつく高田

新緑に包まれた有明テニスの森公園では、5月6日より関東学生テニストーナメント通称春関の本戦が行われており、大会4日目となる9日には男子シングルスに登場した近藤(環3=湘南工科大付属高)、高田(環2=湘南工科大附属高)らが宿敵・早大のトップ選手を相手に接戦を繰り広げた。また、女子ダブルスでは春関本戦初出場の今橋(環2=東海大付属相模高)・坂元(政2=湘南工科大附属高)とフルセットにおよぶ熱戦を展開。新生慶大の若い力が成熟しつつあることを鮮烈に印象づけた。

 

 

2013/05/09(木) @有明テニスの森公園

関東学生テニストーナメント大会

 

試合結果

男子シングルス4回戦

志賀正人(政4)

○6-4,6-3

ヘルナンデス匠(青学大)

近藤大基(環3)

●2-6,6-3,3-6

遠藤豪(早大)

高田航輝(環2)

●7-6(3)、1-6,4-6

田川翔太(早大)

女子シングルス4回戦

西本恵(総2)

○6-1,6-4

首藤みなみ(日大)

男子ダブルス3回戦

志賀正人・近藤大基

○6-2,6-3

山田昊大・村上彰啓(法大)

矢野隆志(環3)・高田航輝

○6-3,6-2

大城光・松崎勇太郎(早大)

井上善文(経3)・谷本真人(環2)

○6-4,6-4

井口裕大・熊倉周作(明大)

女子ダブルス2回戦(中断試合)

今橋真優(環2)・坂元君佳(政2)

●4-6,7-6(3)、5-7

山本翔子・伊波佳苗(亜大)

女子ダブルス3回戦

池田玲(環2)・西本恵

○6-3,6-2

馬場早莉・辻恵子(早大)

白熱のラリー戦でもインパクトに視線を残している

白熱のラリー戦でもインパクトに視線を残している

今季を占う春の大一番で、慶大期待の若手が存在感を示した。1番コートに登場した新二年生・高田の4回戦の相手は、インカレ二連覇を果たした絶対王者の田川(早大)。湘南工科大附属高時代の先輩ということもあり厳しい展開が予想されたが、成長著しい若い力はそんな下馬評を見事に覆してみせた。第1セット、持ち味の粘り強いストロークをいかんなく発揮した高田は、強打を放つ相手に主導権を譲らずシーソーゲームのままタイブレークに持ち込む。ここでも驚異の精神力を見せポイントを重ねると、鉄壁と思われた大学王者からついに第1セットを奪い取ることに成功した。しかし続く第2セット、集中の糸が切れてしまったのか、相手の猛攻の前にミスが重なり1-6とされる。このままでは終われない最終セット、2-5と追い込まれた場面から高田が反撃を見せた。サービスゲームで流れを作ると、リターンゲームでは相手のセカンドサーブを果敢に攻めてブレーク成功。もう一度サービスキープで追いつけば、勝機は見える。しかしそんな思いが手元を狂わせたか、高田のサーブは向かい風に威力をそがれ、それとは対照的に勢いを取り戻した相手にライン際に強打を叩き込まれてしまい、ゲームセット。下剋上には一歩届かなかったものの、誰もが予想しえなかった大熱戦を見せた高田。王者を脅かしたその存在感に今後注目が集まるのは間違いない。

 

伸びのあるサーブを武器にポイントを組み立てる近藤

伸びのあるサーブを武器にポイントを組み立てる近藤

躍進の予感を放つのは高田だけではない。今季も慶大の主力を担う近藤は同じく4回戦で早大主将・遠藤と激突。シングルスでは春関では決勝の舞台に足が届かずにいる近藤だが、3年目の春関で雪辱なるか。越えなければならない強敵がそこに立ちはだかった。まずは落ち着いてポイントを重ねたい第1セットだが、相手の広いコートカバーと多彩なストロークに翻弄され、2-6で落としてしまう。しかし第2セットで近藤も粘りを見せる。互いに競り合う状況でも自分のペースを見失わず、迎えた第7ゲームでは慎重なリターンから力強いアプローチショットで追い込み確実に仕留めてブレーク成功。ミスを抑えてセットカウントをタイに持ち込む。だが、迎えた最終セットでは早大主将が実力を見せつけ、近藤の3度目の春はベスト16に散った。追いかける背中はまだ遠いが、霞に消えて見えないわけではない。貴重な1セットをもぎ取った感触は、その手のひらに残るだろう。進み続ける慶大の主砲が、宿敵を射程距離に捉える日は近い。

 

笑顔を見せる若手ペア(右から坂元、今橋)

笑顔を見せる若手ペア(右から坂元、今橋)

女子ダブルスでは、今橋・坂元のフレッシュな新二年ペアが第1シードであり昨年度全日本学生準優勝の強敵、山本・伊波(亜大)ペアにあと一歩のところまで迫った。前日開始した2回戦で、「チャレンジャー精神で思いっきりやる」(今橋)という言葉通り、第1セットから粘りを見せた二人。その攻めの姿勢は百戦錬磨の強豪ペアをも揺るがし、第2セットではタイブレークの末競り勝ち、続く第3セットでも一歩も引かない接戦を展開した。しかしゲームカウント5-5の場面で無情にも試合は中断。翌日に持ち越された。若い二人にとって再開後の緊張を振り払うのは至難の業だ。なんとか流れを作ろうと今橋の地道なラリーや坂元のパワフルなサーブでポイントを稼ぐが、ポーチに出る足は一歩届かず、ストロークは相手前衛に捉えられ、焦りばかりが募る。つかみかけた金星を引き戻せぬまま、二人の二年目の春関は幕を閉じた。「いざ勝ちが見えてきたときにどんなプレーをすればよかったのか」(坂元)。試合後の表情にはやり場のない悔しさがにじむ。その悔しさは次の戦いへと彼女たちを駆り立てるだろう。強敵との対戦を経て、大きく強く成長する二人の今季から目が離せない。

(写真・記事 伊藤明日香)

選手コメント

(春関ダブルス2Rの試合を振り返って)

今橋  序盤からチャレンジャー精神で思いっきりやるということを徹底してやっていたので、昨日は自分たちの形でできていたのですが、やっぱり今日ファイナルセット5-5で中断になって、(再開後は)絶対全員が緊張するという場面で向こうの強さや経験の差が出てあっさり負けてしまったので、自分達の課題がすごく見えた試合でした。

 坂元  2Rを振り返ると、昨日はノンプレッシャーで失うものもないですし相手は第一シードなので、本当にやることをやるだけだったんですけど、いざ勝ちが見えてきたときにどんなプレーをすればよかったのか、コートに立つ全員が緊張している中でどういうプレーをすればポイントが取れたのかということをもっと考えるべきでした。今は本当に悔しいので、とりあえずインカレ予選でインカレに上がることだけを考えて練習していきたいです。

 

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