リーグ戦11日目。前回の江戸川大戦におけるディフェンス面での反省から、相手の外回りへの対策を立てて挑んだ慶大。1Qは相手にペースを握られ苦戦を強いられたが、2Qからは持ち直して安定感のある攻撃で徐々に点差を詰め、同点にまで持ち込んだ3Qを経て一進一退の攻防の末に開幕11連勝という華々しい結果を残した。一方で、早いゲーム展開の中でディフェンス面における新たな課題も浮き彫りになり、更なる成長が望まれる一戦となった。
2013/10/05(土) @日体大世田谷キャンパス |
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第89回関東大学バスケットボールリーグ戦2部 11日目 vs江戸川大 |
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1Q |
2Q |
3Q |
4Q |
合計 |
慶大 |
21 |
17 |
25 |
26 |
89 |
江戸川大 |
32 |
10 |
21 |
21 |
84 |
◆慶大スターティングメンバー◆ |
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PG |
#21 西戸良(総1・洛南高) |
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SG |
#16 伊藤良太(環3・洛南高) |
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SF |
#14 大元孝文(環2・洛南高) |
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PF |
#4 蛯名涼(法4・洛南高) |
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C |
#23 黒木亮(環2・延岡学園高) |
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◆主要選手スタッツ(背番号/選手名/成績)◆ |
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#10 矢嶋瞭:19得点
#16 伊藤良太:18得点 #23 黒木亮:12得点、8リバウンド |
11試合目である江戸川大戦は、開始前、キャプテン蛯名がフリースローを2本放ってからトスアップが始まるという、やや異例のスタートに。1Q序盤、激しいゾーンプレスによってパスがなかなか繋がらない慶大は流れを掴むことができず。バックコート陣のミスから攻撃のチャンスを失う場面が目立つと、中盤には逆に相手の素早い攻撃に翻弄されリードを許す苦しい展開となる。その後も伊藤と西戸を中心に攻めるも流れは変わらず、11点ビハインドの21‐32で1Qを終えた。巻き返しを狙う2Qは大元の連続ポイントに始まり、黒木と交代で投入された権田隆人(政3・慶應高)から矢嶋瞭(総4・福大大濠高)への連続アシストによって息が合った攻撃が見え始める。中盤には「代わって出るときにはディフェンスからチームを盛り上げて頑張ろうと思っていた」と語る矢嶋の思惑通りにディフェンスも機能し出し、攻守一体となった慶大は相手に反撃の隙を与えず。じわりじわりと点差を詰め、38‐42で後半に臨むこととなった。
4点差を追って突入した3Qは矢嶋の攻守に渡る活躍により開始3分でリードを奪い返すも、江戸川大のアウトサイドを止めることができず、お互いに譲らない一進一退の試合展開が続く。中盤は権田と黒木のリバウンドで着実に点を重ね、相手のリバウンドに対しても懸命なディフェンスにより最終的には63‐63の同点に追いつき、前半のビハインドを清算した。最終Qは序盤黒木のゴール下、大元の3ポイントで一気に慶大ペースに。外からのシュートを外し始めた江戸川大に対し、黒木を中心とする連携も機能した慶大は高確率のシュート、激しいディフェンスでリードを更に広げる。終盤は相手の速攻により連続得点を決められるも、タイムアウトを利用し高い集中力を保った慶大が落ち着いたプレイで逃げ切り、勝利を収めた。
これまでの連勝を更新することに成功した慶大だが、今回は思いのほか苦戦を強いられたことで、新たな課題も見えてきた。ディフェンス面におけるチーム単位での課題に加え、「抜いたらしっかり逆サイドにキックアウト等をして展開」(矢嶋)すべき、「打たれたあとのカバーも課題として挙げられたので、その部分をもっと詰めていきたい」(矢嶋)と個人のレベルでの反省点も見つかっている。勝ち試合からも課題を見出し、更なる高みを目指してゆくこの姿勢が開幕11連勝という結果を導いた。今後の試合でも経験を重ね、一段と成長を遂げることが期待される。
(記事: 藤井祐未)
◆試合後コメント◆佐々木三男HC
(前半は相手のゾーンプレスに苦しめられていたが)焦る必要はなくて、すぐにポンポンとパッシングダウンすれば良いのに変なことばっかりやっています。あんなボールダウンは教えていません。ポジショニングは教えているけどあんなにゆっくりやりなさいとは言っていません。もっと強いパスを出して、縦に繋いでいけばもっと簡単に行くと思うんですよね。ただ相手がゾーンプレスをやってくることはウチにとって悪いことではなくて、展開が速くなるんです。それを相手が一試合中やり通せるとは思っていませんが。引っ掛けられたとしても、逆にこっちが今度はプレッシャーをかけて展開を速くする。ただ展開を速くしようとしてちょっとやろうとすると全部いれられているんです。もうちょっとドリブルに対して早くヘルプすれば済むのに、ヘルプしないものだからいつまでもいっちゃう。だからもうちょっと早くヘルプすればパスが出るので、それを右にパスさせないように左からかぶってディレクションすれば右に出すパスが、いわゆるマウンテンパスになったりバウンズパスになったりするから、後ろから追いかけている人が取れる、ということを目論んでやっているんですが、そこらへんがまだ全然理解できていないです。 (速いゲーム展開を予想はされていたか)やっぱり多くのチームが走ることを実践していると思うんですが、それを40分間続けられるかという練習をしているかというと、そういう考え方で練習してはいないと思うんです。だから今日は、最後やっぱり相手の外のシュートは落ちてますよね、実はその落ちたボールを拾って速攻しないとその差が広がる。それで相手に少し拾われたりしているので。ただそういう考え方でこっちはやっているので1回やられても、次は3回それを仕掛けて3回ともやられるかというとそんなことはないです。そうすると相手はどんどんダメージによって「何でシュートが短いんだろう」なんてことを考えてくれると面白いんですがね。(トップのディフェンスという課題に関して)今日もダメですね。練習でやってるディフェンスのスタンスがもうちょっと出れば良いのですが。(明日に向けて)とりあえずペイント内にパスを入れさせない。それからインサイドのディフェンス。ゾーンアタック。これから日大を除けば全部ゾーンがあるので。これらをしっかりやっていきたいです。
[F] 矢嶋瞭(総4・福大大濠高)
今日は入りが悪かったのですが、うまく逆転して勝ち切ることができて良かったです。(ディフェンスで心がけていたことは)最初にベンチから見ていて、慶應が重視しているディフェンスがあまりうまく機能しておらず、代わって出るときにはディフェンスからチームを盛り上げて頑張ろうと思っていたので、それがうまくつながったのだと思います。(今日の試合で見えてきた新たな課題)江戸川大と前回戦ったときは外を沢山決められたので警戒をしていたのですが、今回は違うやり方でやられてしまったので、前からプレッシャーをかけて打たせないことも大切ですが、打たれたあとのカバーも課題として挙げられたので、その部分をもっと詰めていきたいと思います。(終盤の監督からの支持について)自分の前を抜いた後に同じところに戻したらディフェンスを助けてしまうだろ、抜いたらしっかり逆サイドにキックアウト等をして展開しろと言われました。終盤に僕は詰めた後にまたディフェンスがいるところに返してしまったので、ああいうところはもっと広めてやっていかなければならないと思いました。(今後に向けて)今日こういう展開でも勝ち切ることができたので、また明日、来週と一戦一戦しっかり目の前の相手を意識して戦っていきたいと思います。
[G] 大元孝文(環2・洛南高)
前からディフェンスでプレッシャーをかけて慶應のリズムに持っていこうという話を昨日していて、前から当たることは出来たのですが、その後のリカバリーが出来ずに結局ゴール下のイージーバスケットをされてしまって、前半は相手にすごく流れを持って行かれたということで、その点差が終盤まで響いてしまった結果、ああいう形の接戦になってしまったなと感じました。(前半の流れを変えるために意識したこと)僕が97番の人にやられてしまったことで相手に流れを持っていかれ、慶應のリズムが作れなかったのですが、自分が変えようと思って意識したことは、まず相手にドリブル突破で全部持って行かれないようにということで、後半はドリブルで全部運ばれるということはなかったので、そこはちゃんと前半と後半で切り替えられたかなと思います。(明日に向けて)明日は日体大のホームコートで恐らくすごく盛り上がるでしょうが、その波に飲み込まれないように慶應本来のバスケットができれば、そんなに競る相手でもないと思うので、自分はあまり気負わず、できることを淡々とやっていきたいと思います。
[C] 黒木亮(環2・延岡学園高)
前回、外回りが決められていたので、ドライブからのピッチパスを狙って外を打たせないようにするとかチームで色々と考えていたのですが、結構ドライブされて最初にやられてしまったのがよくなかったです。僕自身も簡単にヘルプに出てしまって、自分のマークマンにゴール下を決められてしまったので、明日どう修正していくかが大事だなと思います。(勝負所で特に意識したこと)ディフェンスとリバウンドですね。リバウンドをとればいい流れにもっていけるので、3Q中盤で権田さんと僕がリバウンドに絡めたことがよかったと思います。(最近のオフェンス面での貢献について)矢嶋さんや伊藤さんがドライブに合わせたのに対しピッチパスをもらって決めるのが最近になって機能し出していて、今後も継続してできたらなと思います。(明日に向けての抱負)日体でホームゲームですし、気合いを入れて臨んでくると思うので、自分達も挑戦者としての気持ちを忘れず、日体の流れにさせないようにディフェンスとリバウンドからいい流れをつくりたいと思います。
[G] 西戸良(総1・洛南高)
1Qは相手に流れがあったのですが、そこから巻き返して最終的には30点差位で勝つことができたので、プレイしていて気持ちのいい試合でした。(3Qでリードすることができた要因)相手に好きにプレイさせないようディフェンスすることを指示され、それを実行できた結果が後半のいい流れになったのだと思います。(後半の積極的なプレイについて)相手がゾーンだったので、ドライブからパスにつなげていきました。ただ今日は自分がドライブで突っ込みすぎてしまいミスが目立ったので、そこは修正をしてまた来週に臨めたらと思います。(点差が離れてから意識したこと)あまりスタメンの人が出ていないシーンだったので、やはり自分が得点できるときには進んで得点しようと思っていました。(次の試合に向けて)今日から二週目に入って、初戦を勝つことができたので、この流れのままインカレや入れ替え戦につなげられるように頑張りたいと思います。
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