ついに秋季リーグ最終週、伝統の早慶戦を迎えた。早大先発は防御率リーグトップのエース有原。慶大打線は有原の投球の前に大苦戦を強いられる。慶大先発の白村(商4)もピンチを最少失点で切り抜けるが、今日の有原の前ではその失点が致命傷となってしまった。終わってみれば慶大の放った安打は手銭(環4)のセーフティーバントによる内野安打1本のみ。宿敵相手にまさかの完封負けを喫した。
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慶大 |
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早大 |
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慶大:●白村、小原、山田、加藤-手錢
早大:○有原-土屋
慶大出場選手
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ポジション |
選手名(学部学年・出身高校) |
1 |
[8]7 |
佐藤旭(商3・慶應) |
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4 |
牧野(商4・千葉東) |
2 |
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山本泰(環2・慶應) |
3 |
[3] |
松本大(環4・桐光学園) |
4 |
[9] |
谷田(商2・慶應) |
5 |
[5] |
横尾(総2・日大三) |
6 |
[7] |
渡邊暁(商4・慶應) |
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87 |
春山(商4・慶應) |
7 |
[1] |
白村(商4・慶應) |
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8 |
藤本知(環3・慶應) |
8 |
[2] |
手銭(環4・大社) |
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H |
竹内惇(商3・慶應) |
9 |
[4] |
堀野(理4・掛川西) |
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1 |
小原(環1・花巻東) |
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1 |
山田(環4・中京大中京) |
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1 |
加藤(政1・慶應) |
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H |
齋藤(商1・慶應) |
前カードでは終盤明大の粘りに屈し勝ち点を落とした慶大。白熱した優勝争いも先週明大の春秋連覇に終わってしまった。しかし本日は絶対に負けられない早慶戦。なんとしても連勝し、春勝ち点1からの躍進のシーズンを有終の美で飾りたいところだ。
しかし早大先発はここまで41回1/3を投げて自責点わずかに4と絶好調のエース有原。初回、今季3割を超える高打率で慶大打線を支える山本泰(環2)、松本大(環4)の2、3番を150キロ超の直球で見逃し三振に仕留めるなど、これ以上ないほどの立ち上がりを見せる。
早大の3年生エースに負けじと、開幕試合の立大戦以来、久々の先発マウンドとなった慶大の4年生
エース・白村も、春には本塁打を打たれた3番中村から空振り三振を奪う上々の立ち上がり。試合は初回から投手戦の様相を呈する。
慶大は2回、先頭の谷田(商2)が低めの球を見極め四球で出塁するも、横尾(総2)が二併殺に倒れチャンスを広げられない。その裏、白村は四球の後、6番河原の放った打球が高く跳ね一塁手の頭を超えるアンラッキーな二塁打となり一死二、三塁のピンチを招く。だがこの場面は続く有原を伝家の宝刀スライダーで空振り三振、土屋を遊ゴロに打ち取り得点を許さない。
3回、慶大は1死の後、手銭が相手の意表をつくセーフティーバントを決め、さらに盗塁も成功。続く9番堀野(理4)は内野ゴロでランナーを進塁させ、二死三塁のチャンスを迎える。しかし1番佐藤旭(商3)は二ゴロに倒れ、チャンスを生かすことができない。
その裏、白村は先頭の東條を四球で出塁させるも、東條は1番中澤彰の打席で盗塁死。これで落ち着くかと思われたが中澤に中前にきれいに運ばれる安打を許すと、続く重信に放った1球目が暴投となりまたもピンチを広げてしまう。ここで重信の放った打球は中前へ。これを佐藤旭が懸命にチャージし捕球しようとするも及ばず、逆にそれが裏目となって後逸。適時二塁打となり先制を許してしまう。
その後のピンチはしのぎ1失点で食い止めたものの、白村は5回にも重信の適時二塁打によりさらに1点を失う苦しい展開に。6回、慶大は1年生左腕小原(環1)にスイッチする。先頭の武藤の放った強い打球は三遊間へ。抜けるかと思われた矢先、遊撃手の山本泰が逆シングルで追いつくと一塁へ華麗な遠投を披露。間一髪アウトをもぎ取り、大勢の観客で埋まる3塁側スタンドからは大きな拍手が沸き起こった。その後7回は山田(環4)、8回は加藤(政1)に継投し共に無失点。慶大打線の反撃を待つ。
しかし有原がさらにギアを上げて慶大に立ちふさがった。常時140キロ中盤~150キロを計測する直球と、切れ味鋭い変化球、そしてそれをコーナーに投げ分ける投球術の前に今季好調の慶大打線もお手上げ状態。8回はわずか3球で三者凡退に仕留められるなど、全体的に早打ちが目立つ慶大打線からさくさくとアウトの山を築いていく。結局慶大は4回以降1人のランナーも出せないという、痛恨の敗戦となってしまった。
この試合、早大打者陣はファールで球数を稼いだりボール球をしっかり見極めたりすることで、打者
有利なカウントから得点の契機を作っていた。それと対照的に、慶大で有原に対しフルカウントまで粘った打者はわずか2人。そして打球が外野に飛んだのは渡邊暁の左邪飛のみというのは少し寂しすぎる結果である。「完敗です。有原君一人にやられました」(手銭)「いいピッチャーだということは当然わかってはいたのですが、今日はその中でもいい球が来ていた」(佐藤旭)と選手も本日は好投手の前に潔く完敗を認めた。しかし、初戦を落としたとしても、そこでの反省点を次戦への足がかりにし勝利を手にするのが今季の慶大野球の真骨頂だ。必ずやこの悔しさを糧に連勝し、ライバル早大から3季ぶりの勝ち点を手に入れてくれることだろう。
(記事 角谷 明香)
以下、選手コメント
堀野 真主将(理4)
(今日を振り返って)今日は有原が良いということは分かっていたんですけど、それに対して淡白で粘りない攻撃を続けてしまいました。それができていればもっと中身の濃い試合になっていたのかなと思います。(有原の攻略法などは何か)まずはバットを短く持つということと、ああいう投手は全部のボールを打てるわけではないので、なんとか粘って甘い球を打つということだったのですが中々粘り切れず、見逃し三振が多く、そこは反省点です。(早慶戦の独特な雰囲気などは感じられたか)早慶戦っていうだけでもいつもとは違う空気でした。あとなぜか雨が降るのでそれもまた早慶戦だなという思いがあります。(明日に向けて)慶應として早稲田に勝たないといけないので、明日から切り替えてちゃんとした慶應を見せたいと思います。
手錢 大(環4)
(今日を振り返って)完敗です。有原君一人にやられました。(3回、チーム唯一の安打であるセーフティーバントを決めたが)初めから狙って打席に入りました。いい球、待っているコースに来たらやってやろうと思っていました。(盗塁阻止を目標に掲げた中での2刺殺だが)1個1個見ればそうですけど、他にも反省するべきところはありますし、あれで勝てばいいですけど、負けたんで、修正していけるところは修正していこうと思います。(明日以降への意気込み)明日負けたら引退なんで、もう勝つしかないです。1日でも長くこのメンバーで野球が出来ればいいなと思います。頑張ります。
渡邊 暁眞(商4)
(本日を振り返って)完敗ですね。打てなかったのが全てです。(最後の早慶戦。直前の心境は)最後なんだという気持ちと普段通りな気持ちがどっちもあった。気合いはいつものように入っていました。(有原投手がすばらしいピッチングしていましたが打席ではどう感じた?)僕は正直打てると思って見ていたんですけど、早く変えられてしまったので。もう少し打席があれば結果が変わったかなと思います。第3戦にもつれたら打つ自信があります。(明日に向けてお祭り男としてどのような気持ちで望みますか)今日もそのつもりだったんですけどね。チャンスが少なかったので。チャンスがあれば思いっきり打ちたいと思います。
春山 凌(商4)
(早慶戦初打席の感触は)良いピッチャーだったので準備はできるだけしました。惜しい当たりだったですが自分としてはできることはやりました。明日は有原は投げてこないから、明日は勝ちたいと思います。(今日は練習の時に4年生全員で守っていたが)最初にバッティング済ませて後は守備だけだったので、ベンチ入れてもらったし初めての早慶戦だからよりこの空気に触れたいなと思って楽しく練習ができました。(明日に向けて)個人的には反省点もあるし、そこを意識して明日の勝利に貢献できるように頑張ります。
山田 貴大(環4)
(今日の試合を振り返って)負けてしまったのですが、明日勝って3試合できるように頑張りたいです。(最後の早慶戦、どういう気持ちで臨んだか)今日はそんなに実感がなかったのですが、多分明日明後日となってくると、野球をみんなで長くしたいなという気持ちが出てくると思います。(捕手・手錢との4年生バッテリーだったが)最後に手錢とバッテリーを組めて、嬉しく思います。(雨の影響は)少し球がすべってしまいましたが、雨のせいとか言っていられないので、抑えられて良かったです。(明日に向けて)明日、絶対に勝って、明後日につなげます。
佐藤 旭(商3)
(早慶戦を迎えるにあたって試合前の雰囲気などは)4年生が最後の試合ということなので、いい形で4年生を送り出したいという気持ちで臨みました。(今日の試合を総括して)向こうの有原がすごい良かったというのもあったですけどなかなかチャンスか作れなくて、ピッチャー陣が頑張っていたので点を取ってあげたかったですけど、打てなかったということが敗因だと思います。(有原投手の投球について)いいピッチャーだということは当然わかってはいたのですが、今日はその中でもいい球が来ていたなと思いますしコーナーにもしっかり決まっていたので、打ち崩すのは難しかったのかなと思います。(早慶戦を以て今季終了となるがどのような形で来年につなげていきたいか)早稲田も3年生以下主体のチームなので来年以降もこのメンバーが中心になってくると思うので、嫌なイメージを作りたくないのでしっかり勝って終わりたいという思いです。(明日以降に向けて)今日は負けましたけれどあと2日しっかり戦って勝利して4年生を笑顔で送り出したいなと思います。
谷田 成吾(商2)
(今日の試合を振り返って)もう少しチャンスを作れれば勝機はあったと思いますが、チャンスを作れず残念です。(有原投手の投球について)もっと対応できたと思います。気持ちだけが先走ってしまいました。(前カードから2週間空いたが)球が速いのはわかっていたので、対応しようと思って準備していたんですけど、チェンジアップにやられてしまいました。(明日に向けて)明日勝てば明後日も試合できるので、1試合でも多くできるように明日は絶対勝ちたいと思います。
山本 泰寛(環2)
(本日の試合を振り返って)相手の投手にどんどんストライクを取られて、初回からかなりいいテンポで投げられたので、粘ることができなくて悔しいです。(6回の武藤の打席でのファインプレーについて)守備範囲なので、グローブに当てたら絶対取らなければいけないので、そこは食らいついて行ったというか、しっかりアウトにしようという気持ちで守りました。(明日へ向けて意気込み)今日は打撃ではダメでしたけれど、明日勝って、またその次も勝って、勝ち点取りたいなと思います。
小原 大樹(環1)
(今日の試合を振り返って)早慶戦というのもありますけど、4年生と一緒に公式戦で野球のできる最後の試合ですし、ベンチに入りたくても入れなかった先輩もいた中で、自分がベンチに入れさせていただいたので、絶対にその先輩たちの分も背負って力一杯投げよう、といった思いで試合に臨みました。(前試合の明治戦から二週間が空いたが)僕が試合で投げるとしたら一イニングかワンポイントでの登板だと思っていたので、実際にバッターを立たせて、変化球だったり、インコースを投げる練習を多めに取り入れていました。(白村の後を受けてビハインドの場面での登板)できれば3人で打ち取って良い流れで攻撃を迎えたかったんですけど、ランナーを出してしまって、ランナーを出した以上はしょうがないと思って、絶対に点をやらないぞ、という気持ちで臨みました。(明日の早慶戦に向けて)明日の早慶戦にまず勝って、少しでも長く試合をやって、先輩方と長いシーズンを送れたらな、と思います
加藤 拓也(商1)
(早慶戦初登板だったが)初登板でしたが、そんなに緊張もなく、自分のピッチングができたかなと思います。(マウンドで投げてみて違う感覚などは)人の数がいつもの試合と全然違って、周りの声援も違ったんですよ。でも試合自体は全然変わった点はなかったです。(中継ぎとしての登板だったが)自分がどういう場面でまわってきてもいいように準備をしているので、そこは問題なかったです。(明日以降に向けて意気込みは)0点に抑えることだけ考えてやっていきます。
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