【野球】加藤拓の投打にわたる活躍で乱戦を制す 立大①

5月16日(土)東京六大学野球春季リーグ 立大1回戦

7回裏二死2塁、沓掛の中前打で好走塁を見せ、ホームに生還した横尾。貴重な追加点となった

7回裏二死2塁、沓掛の中前打で、好走塁を見せホームに生還した横尾。貴重な追加点となった

前カードから一週空いて迎えた立大との対戦。先発の三宮舜(商4)は変化球の制球に苦しみ2回でノックアウトされたものの、打線が立大先発澤田圭を攻めたて3回までに試合を振り出しに戻す。すると、4回からマウンドに上がった加藤拓(政3)が立大打線をねじ伏せ、打っては勝ち越しの本塁打を放つ大活躍。優勝に向けて負けることが許されない中、乱戦を制して勝ち星をもぎ取った。

 
法大
慶大 ×
 

立大:澤田圭、●小倉、齋藤俊、小林昌―鈴木、松本

慶大:三宮、加嶋、○加藤拓―小笠原

 

◆慶大出場選手

  ポジション 選手名(学部学年・出身高校)
[4] 照屋塁(環2・沖縄尚学)
[8] 梅野魁土(環4・福岡大大濠)
[5] 横尾俊建(総4・日大三)
[9] 谷田成吾(商4・慶應義塾)
[7] 重田清一(環3・佐賀西)
  木村健人(政3・慶應義塾)
  齋藤大輝(商3・慶應義塾)
[3] 沓掛祥和(商3・慶應義塾)
[6] 山本泰寛(環4・慶應義塾)
[2] 小笠原知弘(環4・智辯和歌山)
[1] 三宮舜(商4・慶應義塾)
  岩見雅紀(総2・比叡山)
  加嶋宏毅(商4・慶應志木)
  加藤拓也(政3・慶應義塾)
 

どんよりとした曇り空の下行われた立大との1戦目は、荒れた立ち上がりとなった。

2回裏無死、右中間への三塁打を放つ山本泰。打撃好調だ

2回裏無死、右中間への三塁打を放つ山本泰。打撃好調だ

慶大の先発三宮舜(商4)は序盤から制球に苦しみ、初回にいきなり二死満塁のピンチを背負う。この場面は空振り三振で切り抜け無失点に抑えたものの、続く2回も一死満塁のピンチを招き、内野ゴロとタイムリーヒットで計3失点。2イニングでマウンドを後続へ譲ることとなってしまった。

一方、打線は立ち上がりから苦しむ澤田圭を攻めたて初回に無死満塁のチャンスを作る。この場面は澤田圭にしのがれるものの、続く2回には先頭の山本泰寛(環4)のスリーベースヒットでチャンスを作り、小笠原知弘(環4)の犠牲フライでまず一点を返す。そして、3回には再び無死満塁のチャンスを作り、沓掛祥和(商3)のタイムリーヒットと山本泰の犠牲フライで同点に追いつき、澤田圭をノックアウトした。

3回裏一死満塁、中前適時打を放った沓掛

3回裏一死満塁、中前適時打を放った沓掛

同点に追いついた慶大は、4回から加藤拓也(政3)をマウンドに送る。加藤拓は1番から始まる立大の攻撃を3人で終わらせると、その裏先頭バッターとして打席へ。「たまたま当たりました」と謙遜するものの、豪快なスイングから放たれた打球は打った瞬間それとわかるホームラン。その後、谷田成吾(商4)の痛烈な内野ゴロの間にさらに一点を加え、2点のリードを奪う。

加藤拓は5回以降も好投を続け、8回まで被安打3、無失点に抑える。また、打線も7回に沓掛のタイムリーヒットで中押しとなる1点を加え、試合の流れを慶大に引き寄せた。

しかし最終回、加藤拓をアクシデントが襲う。先頭打者を打ち取りベースカバーに走った際、バッターランナー佐藤拓と接触、さらに出塁も許してしまった。加藤拓はその後もマウンドに上がったものの、立大打線に連打を浴び、1点を失ってなおも一死1,3塁のピンチを背負う。なんとか抑えたい加藤拓であったが、続く代打・田中和に初球をライト線へ運ばれてしまう。しかし、この場面で守備にビックプレーが飛び出す。クッションボールを処理した谷田が内野に返球すると、ショートの山本泰が素早くホームに転送。3塁ランナーに続いてホームを狙った1塁ランナー豊村を見事アウトにし、同点のピンチを防いだ。なおも2死二塁と同点のピンチは続いたが、後続を抑えゲームセット。負けられない一戦で見事逆転勝利を挙げた。

勝ち越し本塁打を放った加藤拓(写真中央・背番号18)を、ベンチが笑顔で出迎えた

勝ち越し本塁打を放った加藤拓(写真中央・背番号18)を、ベンチが笑顔で出迎えた

序盤に3点のリードを奪われながらも好投手・澤田圭を早々にノックアウトし、逆転勝利を収めた慶大。「もう本当に負けられない」(横尾俊建・総4)、「とにかく勝つことを第一に」(沓掛)と、勝利への思いはチーム全体を通じて非常に高くなっている。優勝に向けて依然厳しい状況が続くことには変わりない。しかし、勝利への執念を燃やし、目の前の一試合一試合を全力で勝ちにいけば、昨春以来の優勝も現実のものとなってくるだろう。

 

 

【Today’s Legend】   投手陣の大黒柱 加藤拓也

投げて打って、実に頼もしいKEIOのエースだ

投げて打って、KEIOのエースは実に頼もしい

慶大の絶対的エースとして君臨し続けている加藤拓。持ち前の剛速球を武器に他大の並みいる強打者たちをねじ伏せてきた。これまで主に先発として起用されてきた加藤拓であるが、優勝に向けて負けることが許されない状況となった今、勝負の懸かったしびれる場面での切り札としてリリーフ起用されることも増えてくるだろう。そうした場面で相手をねじ伏せたその先に、栄冠は待っている。優勝に向けて加藤拓がどのようなピッチングを披露するのか、注目だ。

記事:布寺智裕

 

 

◆打撃成績

   
[4] 照屋 右安 空三振   投バ安   二ゴロ   左飛
[8] 梅野 二バ安   二安 投犠打   左飛   一ゴロ
[5] 横尾 四球   四球 四球     左中2  
[9] 谷田 右飛   右安 一ゴロ①     見三振  
[7] 重田 二直   一ゴロ          
H 木村健       三飛        
齋藤             空三振  
[3] 沓掛 遊ゴロ   中安①   空三振   中安①  
[6] 山本泰   右中3 右犠飛①   中飛   左2  
[2] 小笠原   中犠飛① 右飛   空三振   二ゴロ  
[1] 三宮                
岩見   三ゴロ            
加嶋                
加藤拓       左中本①   空三振   空三振
◆投手成績
  投球回数 打者数 球数 安打 三振 四死球 失点 自責
三宮 13 69
加嶋 10
○加藤拓 26 89
 

◆監督・選手コメント

大久保秀昭監督

(今日の試合を振り返って)ほんと毎試合しんどい。ただ、先制された中ですぐ点数を取り返して。加藤を早めに投入せざるを得ない状況だったけど、打つ方でまさかのホームランで流れを引き寄せてくれて。あとは、最終回はずっと開幕からバタバタするような展開になるんだけれど、そこを粘って勝ち切ったというところで、それはそれでよかったなと思っています。(9回マウンドの加藤拓投手になんと声をかけたのか)ちょっと(ランナーと)ぶつかったから、その確認だけ。ほんとにダメだったら次用意して代えるだけだから、自分で行けると思うなら決着つけてこい、と。(9回は加藤拓投手に任せるつもりだったか)初めから代えるつもりはなかった。ただ、ああいうアクシデントはわからないので、一応準備だけはさせていたけど。(今季初めて三宮投手を1戦目の先発に起用した意図は)それは考えて、察して。負けられないという状況の中で、明日のことも考えてないし、今日どうやって勝つかということだけに専念したので、明日のことはこれからまたしっかり考えます。(谷田選手と横尾選手の打順を入れ替えた意図は)要は1点でも多くとれるように。チームが機能するというか、打線になるにはどうしたらいいのかというのも考えて。横尾も生かしながら谷田も生かす、というところで色々やってみました。それが良かったのか悪かったのかはわからないですけど、結果的につながってはいるので、良かったと思います。(次の試合への意気込み)明日は明日の風が吹くということで、全力を尽くすだけです。

横尾俊建主将(総4)

(大事な試合で見事な逆転勝ち)勝ててよかったです。(去年まで苦しめられてきた澤田圭投手を攻略した)そうですね、いいピッチャーなのでみんなが後ろにつなぐ気持ちでやった結果、いい形で打線がつながったかなと思います。(今季初の3番に入ったがどう受け止めたか)僕としては3番のほうがやりやすかったです。谷田の調子も上がってきていて4番でやりやすそうだったので。多分、僕のほうが出塁率が高いから3番になっているというだけなのでこれが変わってきたら僕が4番、谷田が3番になると思います。(3番のやりやすさ、というのは)後ろにいいバッターがいると思うとやりやすいです。(7回には見事な二塁打。それまで3連続四球と厳しい攻めをされていたが)チームのためにフォアボールでも塁に出たいという気持ちが強かったので、最初の3打席フォアボールで出れて、そのあとヒットも出てよかったです。(負けられない戦いが続くが明日に向けて)もう本当に負けられないので一戦一戦頑張っていきたいと思います

梅野魁土(環4)

(今日の試合を振り返って)結構苦しい試合だったのですが、勝ち切ることができてよかったと思います。(一打席目のバントヒットは狙ってましたか)そうですね。できればいいなと思っていい所に転がったのでよかったです。(二打席目のボテボテの安打については)今日は結構運が良かったと思います。(結果的には盗塁はしなかったですが、盗塁を試みる場面に対しては)カウントとか見ながら行ける時に行こうって思っていて、様子見ながらやってました。(この苦しい試合、ベンチの雰囲気は)終始いい雰囲気で、点を取られても行ける、行けるっていう感じでやれていたのでよかったと思います。(明日に向けて)2連勝しかないので勝つことだけ考えてやってみたいと思います。

小笠原知弘(環4)

(今日の試合を振り返って)疲れました。(負けられない一戦だったが、チーム内でどのような声かけを行っていたか)真剣にやっても負ける時はあるのでそれはしょうがないからできることを全力でできることをやっていこうと声をかけ合っていました。でも試合が始まるとやっぱり負けたくない気持ちになりますね。(最初の打席では犠飛で貢献した)3点を取られて、最初の1点を取るのが中々難しいだろうなと思っていましたがその1点が入ればうまくのれるかなと思って、とりあえず外野フライを打つ自信はあったので狙って打っていきました。(7回の打席では惜しくもアウトを取られてしまった)僕もセーフかなと思ったんですけど、思い切ってやった結果なのでしょうがないですね。(守備でそれぞれの投手に積極的に声をかけていた)声をかけることが僕の仕事なので、そこは頑張ってやっています。捕手がしっかりしないとだめかなと思って。(最終回では加藤投手にどんな話を?)加藤が怪我をして戻ったときに(応援席から)拍手をもらったので「ここで活躍しないとかっこ悪いぞ!」と声かけました。(それに対して加藤投手は)素直に「はい」と答えてくれました。(立ち上がりの満塁や相手の最後の追い上げでピンチが度重なったことについて)やっぱり「神のみぞ知る」というか。思い切ってだめだったら終わりなので、すべては終わったときに考えようと思ってとりあえず攻めきりました。(優勝の望みがまだ残っていることについて)やっぱり優勝したいです。今日、早稲田が負けたのでかなりチャンスですよね。もしかしたら明日次第では、ということもあるのでいい慶早戦にしたいです。頑張ります。(明日に向けて一言)明日も1点でも多くとって、エラーをしてもとにかく勝って、楽しい早慶戦にできるようにとにかく頑張ります。

三宮舜(商4)

(本日の試合を振り返って)勝ててよかったです。(リーグ戦初のカード初戦先発でしたね)加藤を後ろで使うと言われたので、僕が第1戦ということになりました。(調子は)コントロールが悪かったです。(打者に粘られる場面が多かったが)まっすぐはよかったのですが、変化球もコントロールも悪かったです。それで投げる球がなくなってファールを打たれてフォアボールになってしまいました。(次回に向けて)明日も試合があるのでそれに向けて準備して、次は点を取られないように頑張ります。

谷田成吾(商4)

(今日の試合を振り返って)勝つことだけ考えてやってたのでとりあえず勝てて良かったです。(4番での出場となったがその意図について監督から説明はあったか)監督からは「一番得点の取れる打順でいくぞ」と言われて。それだけです。(実際に4番で出場して感想は)1シーズン通してやったこともあるので、何の違和感もなく、横尾が前で(塁に)出てくれたので楽にやれました。(3回の打席ではチャンスを拡大する安打を放った)良かったです、はい。(明日に向けて)負けられないので、明日も勝ちます。

山本泰寛(環4)

(今日は慶大らしい打ち勝つ野球でしたね)全員が本当にいいところでしっかり打ってくれたので、打撃のチームと言っていたのがようやく後半戦で結果が出たなと思います。(早い段階で3点のビハインドを背負った時の心境は)確かに3点取られましたけど、ベンチでも冷静に1点1点行こうぜという話ができていたので、今日は気持ちに余裕がありました。今日はそこがよかったですね。(その点では2回裏先頭での3塁打は大きかったですね)そうですね。ピンチの後には絶対チャンスがあるんで、7番ですけどしっかり出なきゃいけないと思って気持ち入れていきました。(打順の7番は、個人的には関係なくプレーしている状態ですか)はい、与えられたところでしっかり自分の役割をするだけなので。はじめは悔しかったですけど、今はもう全然問題ないです。(今日は全打席で芯を食っているようにみえましたが、かなり状態も上がってきましたね)いやー、本当に良くなったと思います。やっぱり調子があるんで。調子を上げるためにしっかりやってきたので、こうして上がってきてよかったです。(9回に内野陣で集まったときの話は)最悪同点でもいいので、1個ずつアウトを取って27個取れば勝ちだということを話していました。(先週の結果もあって、ここまで優勝可能性を残しているのは大きいですね)いやもうそうですね。モチベーション高くできていますし、もう勝つだけなんですごく思いっきりいけているのがいいと思います。(明日へ向けて)明日も負けられない試合があるので、今日と同じようにみんながいい役割を果たせればいいなと思います。

加藤拓也(政3)

(今日の試合を振り返って)1点差だったんですけど、とりあえず勝てて本当に良かったです。(カード初戦ブルペン待機というのはいつから決まっていたのですか)先週の日曜ぐらいから後ろ(リリーフ)で使うと言われていたので、しっかりそれに向けて調整していました。(4回からの登板となりましたが、早いなという感じはあったのでしょうか)きのうのうちに早くて4回からと(大久保監督から)言われていたので、その通りになったなという感じでした。準備はできていました。(先頭をストレートの四球で出した後、後続を併殺に打ち取りました。あれで楽になったのでは)そうですね、マウンド上がったら自分自身緊張している部分があって最初にボール4つ続いてしまったのですが、うまくその後ゲッツーとれたので、そこから気持ちを落ち着かせて投げることができました。(そして4回裏には自ら完璧な勝ち越しの本塁打を放ちました)たまたま当たりました(笑)。(野手顔負けの素晴らしい打球でしたね)いつも当たればいいなと思って思い切り振っているので、当たってくれてよかったです。(打った瞬間いったなという感じだったのでしょうか)(本塁打を)打ったことないので、わからず走っていたら転んでしまいました。(最終回の投球はそれまでの回と比べて違いはあったのでしょうか)いえ、たまたま先頭打者のファーストゴロが跳ねてしまったので、そこは切り替えてそのあとも投げようとしました。3点差がヒットだけでひっくり返されるとは思っていなかったので、フォアボールが無かったので抑えられたのだと思います。そんなに気にはしていないです。(最後は気持ちで押し切った感じでしたね)最後は後悔しない球を投げようと思って真っすぐで押したんですけど、それがよかったなと思います。(これで優勝への望みをつなぎました。明日に向けて一言)一戦一戦勝つしかないので、次のことを考えずに明日の立教戦しっかり戦えるように準備します。

木村健人(政3)

(今季初出場でした)緊張はしなかったんですけど、思い切って振っていこうと思って打席に入りました。結果はサードフライになってしまったのは悔しいです。(ここまでベンチ入りの期間が長かった)うちのチームは最初にスタートダッシュを決められなかったんですけど、ベンチの雰囲気は明るくて、僕自身もその明るくしてましたし、その流れで徐々にチームも後半に調子が上がってきたのかなと思います。(今日の打席前に、監督から耳打ちがありました)思い切って打ち込んで来いと言われたので、思いっきり行きました。(明日以降の意気込み)優勝するには勝つしかないので、チャンスがあれば思い切って 行って、ベンチでもベンチワークをしっかり支えて勝ちに行きたいと思います。

沓掛祥和(商3)

(今日の試合を振り返って)とりあえず勝てて良かったです。(前回と引き続き好調なバッティングの要因は)気合いです(笑)。今日はバッティングは良かったんですけど、守備がダメだったので。(今日の試合から得た今後の課題は)やっぱり守備ですね。最終回で佐藤拓也選手の打席でのファーストエラーがなければあのような展開にならずに済みましたし、加藤に申し訳ないことをしたなと思います。(チャンスで打席が回ってくることが多かったが、どんな気持ちで打席に立ったか)自分が返してやるという気持ちと根性で向かいました。1打席目は満塁で打てず、法政戦の時も満塁で打てなかったので、2打席目からは絶対に返すという気持ちで臨みました。(次はどんなプレイがしたいか)次は堅実なプレイがしたいです。(明日へ向けて一言)とにかく勝つことを第一に。自分の思うようなプレイができなくとも、とにかく勝てればいいなと思います。チームの勝利を第一にいきたいです。

照屋塁(環2)

(初回先頭ライトへの安打、逆方向への意識はありましたか)引きつけて打つことを意識していたので、結果が出てよかったです。(4回のバント安打、セーフになると確信しましたか)やれば成功すると思いました。小倉投手との対戦は初めてでしたが、雰囲気で行けると感じました。(1年の時から期待されてきましたが、最近ようやく先発機会が増えてきました)やることをやってきた、その結果だと思います。

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