【ラグビー】負傷交代相次ぎ無念の敗退、正月越えならず/大学選手権 第2戦 大東大戦

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熱戦が繰り広げられる大学選手権セカンドステージ。二戦目の相手は、強力な外国人選手を擁する大東大だ。リーグ戦4位通過ながら、筑波大に31-21で勝利し、勢いづいているチームである。初戦の同志社大戦を0ポイントで終えた慶大は、この試合に勝利し、ファイナルステージへの望みを繋ぎたい。しかし大東大の力強いプレーに終始圧倒される。選手の入れ替えも多い中、後半になんとか2トライを返したものの、結果は14-40と厳しい現実を突きつけられた。

 

 

第52回全国大学ラグビーフットボール選手権大会

セカンドステージ第2戦vs 大東大  

2015/12/20(日)1200K.O.@熊谷ラグビー場

 

得点

慶大

 

大東大

前半

後半

 

前半

後半

PG

DG

14

小計

28

12

14

合計

40

 

得点者(慶大のみ)

T=出口、江嵜

G=中村2

 

出場メンバー

ポジション

先発メンバー

交代選手

1.PR

加藤 宏(経4・慶應)

 

2.HO

松岡 大介(環3・小倉)

 →16佐藤 耀(総4・本郷)

3.PR

八木 悠太朗(商4・慶應)

→18出口 桂(商4・明善)

4.LO

辻 雄康(文1・慶應)

 

5.LO

佐藤 大樹(総2・桐蔭学園)

 

6.FL

廣川 翔也(環3・東福岡)

 

7.FL

鈴木 達哉(環3・茗溪学園)

 

8.No8

岩本 龍人(政4・國學院久我山)

 

9.SH

江嵜 真吾(商1・小倉)

 

10.SO

矢川 智基(環4・清真学園)

→22 青井 郁也(商2・慶應)

→20松村 凛太郎(商2・慶應)

11.WTB

清水 祐輔(環3・明和)

 →23中村 敬介(経4・慶應)

12.CTB

古橋 純(理4・千種)

 

13.CTB

田畑 万併(環4・桐蔭学園)

 

14.WTB

金澤 徹(商2・慶應)

 

15.FB

澤根 輝賢(総4・佐倉)

 

 

 

将来が嘱望されるLO辻

将来が嘱望されるLO辻

試合は慶大のキックオフで始まった。1年間を通して積み上げてきた、「低く刺さるタックルと前に出るディフェンス」(金沢ヘッドコーチ)をテーマに掲げた慶大。しかし、前半の10分・11分と、大東大に立て続けにトライを許してしまう。早大戦、同志社大戦に見られたのと同様、立ち上がりの悪さに不安がよぎる。相手陣でのプレーも多い中、終始我慢の時間が続いた。保持したボールを確実に得点したいが、相手のプレッシャーに、なかなかディフェンスラインを割ることができない。さらに前半21分・25分には、パワーのある外国人選手のゲインにディフェンスが追い付かず、トライを献上してしまう。慶大も、体が大きく突破力もあるLO 佐藤大や辻を中心とし、大きく陣地を返すシーンも見られたが、得点には至らないまま、28-0で前半を折り返した。

 

 

 

 

 

慣れないBKでプレーするも、体の強さで突破する松村

慣れないBKでプレーするも、体の強さで突破する松村

 迎えた後半。もう後に引けない慶大は、前に出るアタックを展開し徐々に攻めの時間を増やしていく。後半4分にはトライを許したものの、後半8分についに慶大にチャンスが訪れた。FB中村のビッグゲインを皮切りに相手陣でボールを繋げると、ゴール前でマイボールスクラムのチャンスを得る。そして、そのままPR 出口がボールを確保し相手ディフェンスを突破すると、ゴールポスト付近にグラウンディング。コンバージョンも決まり、巻き返しが期待された。CTB田畑やWTB金澤のゲインをはじめ、相手陣に大きく攻め入る場面も増える。しかし、突破した選手への味方のサポートが追いつかず、ボールを継続して繋げることができない。追加点を決めたのは後半37分。ゴールライン前で相手のペナルティを誘うと、SH 江嵜がクイックリスタート。そのままトライを決め、SOの位置に入った中村もコンバージョンを確実に決める。しかし、勢いづいたのが遅すぎた。慶大に残されたのは、ラストワンプレー。意地の得点を決めたいが、最後はペナルティでノーサイドのホイッスル。14-40で敗戦。慶大のファイナルステージ進出の道は閉ざされてしまった。

 

 

 

 

慶大らしいラグビーが出来れば。春には勝利している相手だけに結果が悔やまれる試合であった。前半は、アタックディフェンスともに、相手の勢いにのまれてしまい、ブレイクダウンからチャンスを作れないシーンが目立った。「後半はある程度改善できて、ディフェンスが上がって(相手に)ボールを繋がせなかった」(鈴木)と、後半には持ち前のディフェンスを発揮し、大東大の追加点を0点に抑えた。アタックにおいても2トライを返し、粘り強く前へ前へ攻め続けた。先発メンバーの一部変更だけでなく、試合中にも負傷交代が目立った一戦。しかし、選手たちは慣れないポジションにも対応し、四年生を中心にチーム一丸となって戦った。次戦は矢川組の集大成として臨む試合となる。「(筑波大戦では)慶大らしいラグビーを出し切る」(金沢ヘッドコーチ)。ファイナルステージ進出のチャンスはなくなってしまったが、最後まで諦めずに闘志を燃やし続けてほしい。

 

 

【ケイスポ的MOM】進化を遂げた慶大の切り札 FB/SO中村敬介

アグレッシブなプレーで会場を沸かせる中村

アグレッシブなプレーで会場を沸かせる中村

 

 昨シーズンの早慶戦で発揮されたトリッキーなプレーを記憶している人も多いだろう。今季は、故障で試合に出場できない期間が続いた。本試合で、満を持してついにAチームに復帰だ。BK陣が次々と負傷交代に見まわれる中、FBやWTB、SOなど様々なポジションを担い、チームの救世主となった中村。巧みなステップで敵を翻弄し、大きくゲインする雄姿は、観客を沸かせる。「リハビリは本当に苦しかったですが、怪我する前より良い選手になれた」(中村)。アタック力もますます増強され、いまやその存在感は、小柄ながら大柄な外国人選手にも勝るとも劣らない。四年生の意地と貫禄でチームに貢献する姿は、大きくなったのは身体だけではないことを物語っていた。

 

(記事・室塚あす香)

 

 

ヘッドコーチ、選手のコメント

 

金沢ヘッドコーチ

 

(試合を振り返って)このチームがあと一試合で終わってしまうことがすごく残念です。早大戦から、入りのところで簡単に相手に取られてしまうことが続いています。それが、今回も修正できずに進んでしまいました。(試合前にどのような言葉をかけられたか)もともと自力の準決勝進出はなかったのですが、慶大の意地を見せようと話しました。(試合のテーマは)慶大らしさを出すことです。低く刺さるタックルと、前に出るディフェンスにフォーカスしていました。(先発メンバーが変わっていた)怪我人が出ていたこともありますし、ラグビーのテンポを少し変えようと思って、SHなどを変えました。(試合中でも怪我人が出てしまった)残念ですが、負けた言い訳にはなりません。ただ、代わりに出た選手が自分のポジションでなくても、意地を見せてくれたと思っています。普段の慶大らしい規律のとれたアタックではなかったのですが、ある意味追い込まれたことで吹っ切れて、前に出る意欲が上がったのだと思います。(後半の中盤からアタックが良くなった)実際そうだと思います。ある意味点差が離れたり、不測の事態が起きたことで、シンプルに前に出なくてはならないと選手が実感しながらプレー出来たのだと思います。ただ、やはりまとまりのないアタックになってしまいました。次の試合では、この前に出るメンタルを持って慶大らしいアタックができれば、いいラグビーができると思っています。(筑波大戦に向けて)最後は意地を見せるだけなので慶大らしいラグビーを出し切ります。

 

FL 廣川翔也

 

(試合を振り返って)先週と同じでほとんど何もできずに相手の流れに呑まれてしまったというのが今日の印象です。(ブレイクダウンでの相手のプレッシャーは)ディフェンスに関しては意外にいけた部分があったのですが、そこで取りきれなかったです。僕らがもっとプレッシャーをかけても良かったのかなというのが、試合が終わってから感じた反省点です。(自身のタックルの出来は)そんなに良くなかったですね。もっとタックルに行かないといけないのですが、できていなかったです。(後半はボールキャリーの役割を担っていたように感じました)いや、特に担っていた訳ではなくて、ボールが回って僕が持った機会は多かったです。もう少し良い判断ができたのかなというのがあります。(チームとして、特に課題だと感じる点はなんですか)ディフェンスも然り、自分たちのラグビーが先週、今週と全然できていないので、もっと僕たちのやってきたことを思い返してやらないといけないなと思います。(筑波大戦に向けて意気込みを)まだどうなるのかわからないので、一から日吉で頑張って、最後なので良い形で四年生を送り出せるようにしていきたいです。

 

 

FL 鈴木達哉

 

(試合を振り返って)低いタックルと、ディフェンスのラインスピードを意識して戦っていこうという話だったのですが、相手の大きくて速いランナーに前半から突っ込まれてしまって、厳しいゲームになってしまったと思います。(選手の入れ替わりが多かったがチームの状態は)BK陣もほとんど怪我をしてしまって厳しくはあったのですが、そこは開き直って、FW陣はしっかり前に出ようということを、ゲームの中で話し合いました。(外国人選手への対策は)外に外国人の選手がいるのでそこにボールを回させないようにしようと、内からディフェンスをあげていこうと話していましたが、やはり相手のBKが上手で、外に回されて、前半は自由に走られてしまいました。後半はある程度改善できて、ディフェンスが上がってボールを繋がせなかったのは、よかったかなと思います。(次戦に向けて)大体のチームは負けてシーズンが終わることになると思うのですが、最後4年生を勝たせてシーズンを終われるチャンスと考えてしっかり体を張っていきたいと思っています。

 

No.8 岩本龍人

 

(試合を振り返って)低いタックルと運動量で大東大にチャレンジしようということだったのですが、外国人選手を中心とした力強いプレーの前に、僕達のプレーが出来なくて、こういった結果になってしまって凄く悔しいです。(矢川主将が負傷交代した後はゲームキャプテンを務めていたのか)そうです。(どのようにチームを率いようと思ったか)僕達の今出来るプレーをやろうということでした。難しいことじゃなくて、シンプルに、低いタックルであったり運動量の多さなど、慶大のラグビーをしっかりやろうとみんなに言いました。(後半は比較的良いラグビーが出来たのでは)ある意味開き直ってというか、ペナルティを貰ったら速攻で攻めていったりだとか、アタックもディフェンスもアグレッシブに、チームとしてそういう流れになれたと思います。(岩本選手自身のプレーを振り返って)自分が求められていることはタックルや運動量だと思います。自分自身は精一杯、全力でプレーしたつもりですが、こういった結果になってしまって、自分の力が足りなくて悔しいですね。(ファイナルステージ進出の可能性はなくなってしまった)Aチームの試合のために準備して下さるスタッフの方であったり、雑務をやってくれる下級生であったり、試合に出れなくて悔しい思いをしている選手が寄せ書きを書いてくれたり、スタンドから応援してくれたり…。本当にみんなの協力があって試合が出来ていて、そういった人達の思いに応えたかったので、負けてしまって悔しい気持ちと、申し訳ない気持ちがあります。でも、あと一試合あるので、最後までやり切って、何か後輩達に残せるような試合にしたいと思います。そのために、あと一週間頑張って、最後は勝って終わりたいです。

 

SH 江嵜真悟

 

(今日の試合への意気込みは)今日は勝たないといけない試合だったので、絶対に勝つという気持ちで臨みました。(スタメンに抜擢されたときの気持ち)控えに南さんがいるので、最初から飛ばしてどんどん攻めていこうと思いました。(前半の立ち上がりから、どのように修正しようとしたか)SHにインサイドを抜かれた部分の修正と、あとは外の外国人選手に一人張り付いて、長いパスを通させないようにしようとしました。(自身のSHとしての持ち味は)FWサイドの攻め方や、テンポだと思います。(そのアタックのテンポはどのように評価するか)相手も順目の攻撃に慣れてきて、だんだん僕らの足も止まってきてという状況で、ちょっとコントロールしきれなかった部分があります。(1ゲーム通して出場しての印象は)まだまだだったので、もっとやれるようにまた頑張ります。(筑波大戦をどのように戦って締めくくるか)勝つのがベストなので、ベストを出すように頑張っていきます。

 

CTB 田畑万併

 

(今日の試合にかける思いは)とにかく勝つことでしか、次に繋がることはできないので、全員で一つになって今日の試合に勝とうという話をしていました。(試合を振り返って)早大戦に負けた後の3試合が、どうしても開始早々に相手に乗られてしまう課題があって、それを直そうとしていたんですけど、 今日も最初の20分で3トライされてしまって、そこから相手に乗られてしまったということが印象深いです。また、それを直すことが最後まで出来なかったことに悔いが残ります。(大東大相手にどのような対策をして臨んだか)大東大は外国人の選手がたくさんいて、その選手がキーになることはわかっていたので、その選手をどう止めるか。さらにSHの小山選手がすごいいい選手なので、その選手をずっと見て、コールしてという守備をやっていました。(突破しても、サポートが間に合わず攻撃を続けられなかった)選手は今日ずっとディフェンスをしていて、後半やっとアタックするチャンスがきました。アタックをすれば乗れる部分もあったのですふぁ、サポートの選手が疲れて走れなくなってしまいました。もっと前半から同じようにアタックできていれば、結果は違ったと思います。(怪我人の影響でポジション変更が多かった)怪我をしてしまったことはしょうがないので、怪我人が出ても入ってきたみんなでやろうと逆に切り替えて、いい方向に行ったのではないかと僕は思います。(来週の筑波大戦に向けて)1年間この代としてやってきたことを残せるチャンスは筑波大戦だけです。なんとかこの大学選手権という大会に爪痕を残したいと思っているので、勝って終わりたいです。

 

WTB 金澤

 

(同志社大戦から修正した点は)僕達らしい順目で走り勝つことと、低いタックルに集中して練習しました。(大東大への対策は)春は走り勝てていたので、秋も同様走り勝つことを意識していました。(試合を振り返って)今日は僕達のやりたいことができず、ミスや怪我人も多く、何とも言えない状態でした。(ゲインする場面もあった)チームが苦しい時に少しでも前に出たかったのですが、僕のミスで取り切れない場面も少しあったので、そういったところは今後修正していきたいと思います。(対面が外国人選手でしたけれども印象は)特に意識はしていなかったのですが、いつも通りディフェンスしていれば大丈夫だと思っていました。(筑波大戦に向けて)今年最後の試合になるので応援よろしくお願いします。

 

FB/SO 中村敬介

 

(久しぶりの公式戦だった)4月に大きな怪我をしてから、約8ヶ月離脱していました。復帰してからは満足のいくパフォーマンスを出来ていましたが、選手として足りない部分もあって今日まで復帰が延びてしまいました。今日は、結果には満足していないですし、年内で終わることが決まってしまいましたが、再び、黒黄のジャージを着られることができたのは嬉しかったです。(途中出場した時のチームの雰囲気は)チームの中に勝てる感覚はありました。ただ、キャプテンが離脱してしまったことで、まとまりがなくなってしまったり、焦りが出てしまいました。怪我人の多さなど不測の事態も多かったので、チームとしてまとまりきれない部分もあったのだと思います。(自身の体の動きは)怪我してから、かなり上半身を大きくしたので、体が重いかと不安だったのですが、そんなこともなかったです。リハビリは本当に苦しかったですが、一生懸命取り組んだので、怪我する前より良い選手になれたかなと思っています。(FBSOなど様々なポジションでプレーしていた)それは、そのポジションの選手が離脱してしまったためでもありますが、僕自身は、もっと上手く適応できればよかったと反省しています。(SOに入ってから流れが変わったように見えたが)僕たちの方が体力が余っていると判断したので、どんどんボールを動かして走って順目にアタックしていくように指示を出しました。ただ、結果が伴わなかったことには責任を感じています。(ボールを持って走るプレーという中村選手の持ち味が発揮されていました)FBに多く入ると思っていたので、ランプレーを沢山しようと考えていました。ただ、SOに入ってもスペースが空いていたら積極的に走ることを意識していました。(4年生として思うこと)年内で終わることが決まってしまいましたが、4年生としてのプライドや意地もありますし、後輩に残せるものがある限り、真剣に戦わなければならないと思います。あと一週間、濃密に過ごせればと思っています。

 

 

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