【ラグビー】仲宗根組始動特集④“新生Fwdの核” 藤本慎二郎×明本大樹

Fwdの中心として期待される藤本と明本(右)

特集の第四弾はFwdリーダーに就任した藤本慎二郎(環4)と明本大樹(総4)。「昨季はFwdで負けた」という思いから、今季は新生Fwdとして飛躍を誓う。その核となるお二人に、今季にかける思いや新体制について、また高校時代を共に過ごした仲だからこそ知ることなど、様々なことをお話していただいた。

*この取材は4月8日に行いました

 

春のテーマは「個を育てる」

 
――まずは昨季を振り返っていかがですか
藤本 去年は夏までは調子が良かったんですけど、夏合宿の最終日くらいに怪我をしてしまって、去年はそこからずっとリハビリだったので。去年はそこまで充実したシーズンは送れなかったですね。

 

――でも、去年は初めて菅平メンバー入りも果たしました

藤本 そうですね、選ばれたのは凄く嬉しかったんですけど、最終的に対抗戦とかAチームに関わる公式戦に出られなかったので、あまり良くなかったかなと思います。

 

――明本選手いかがですか

明本 僕は去年は春から試合に出させてもらって色々な経験をさせてもらったので、今振り返ってみて良いシーズンだったなと改めて思います。対抗戦にも出られたので、今年はレギュラーをとるつもりで、去年以上に良いプレーをして上にあがれたらなと思います。

 

――具体的に収穫は
明本 僕自身の収穫はフィットネスという面で、2年生のときから1年生のときより上がったと思いますし、自分の中で体力というのは誰にも負けないようにやりました。

 

笑顔で取材に応じる2人

――では今季についてうかがいます。お2人とも4年生になって、心境の変化などは
藤本 実際に4年生になって思うのは、昨年の4年生の存在というのは大きかったなということですね。今は練習をやっていても、4年生として足りない部分もまだまだ多いですし、僕ら自身がまだまだ成長していかなくては日本一というのは見えてこないなと思います。
明本 僕も慎二郎(藤本選手)の言うとおりで、去年の4年生の存在が大きくて。今4年生になって自覚が芽生えたというか、自分がなんとかしていかないと日本一は本当に遠いと思うので、しっかり自分たちで責任というか自覚をもってやっていきたいと思います。

 

――足りない部分とは
藤本 監督も変わって色々環境も変わったので、そういった面でもっと4年生がチームの芯がぶれないようにしっかり支えていくということが必要ですし、まだ4年生として引っ張っていかなくてはいけないという自覚が持てていない選手もいます。そういったところがまだまだ足りないのかなと思います。

 

――お話にもありましたが、田中新監督の印象というのは
藤本 林監督(前監督)のときは、林さんが全部の練習を全部仕切っていたので。
明本 そうだね。
藤本 どちらというと、今の練習を仕切っているのは野澤さんなんですけども、監督も全部の練習を見てくれますし。ウェイトでもフィットネスでも顔を出して、やっぱり新しい監督なので全部の選手のことを知らなきゃいけないと思って、色々なところに顔を出して声をかけてくれます。そこらへんが今までとは凄く違うのかなと思います。
明本 そうですね、真一さん(田中監督)は本当に上から下まで全員の選手を見ようとしてくれるので、それは全然林さんとは違うのかなと思いますね。
 

――広い視野を持っている

明本 そうですね、色々な選手を育てていきたいという気持ちがあるんだと思います。

 

――新チームになって調子はどうですか
藤本 最初は凄くハードな練習が多くてですね、4年生も戸惑うことが多かったんですけども。まあ、その練習もね。
明本 うん、慣れてきた。
藤本 慣れてきて、良い感じになったときに、ああいった地震の影響で練習ができなくなってしまって。でもその後も、空いている期間で各々が練習をやってくれていたので、そんなに影響もなく一歩一歩上がっていっていると思います。
明本 調子というか、まだまだチームが出来ていない状態なので。
藤本 今年の春のテーマとしては、「個を育てる」というのがあるので、一人一人が成長していければ、と思って練習しています。

 

――では個人としての出来は今のところどうですか
明本 個人としては、本当に厳しい練習も耐えてやっていますし、個人の調子は良いんじゃないかと自分自身思っています。
藤本 そうですね、僕は去年の怪我はまだちょっと痛んだりするんですけど、徐々に調子は上がってきているので良くなってきているのかなと思います。

 

――どこを怪我なさったんですか
藤本 腰ですね。ヘルニアまではいかなかったんですけど、その一歩手前くらいになってしまって、中々治らなくて。

 

チームメートの後押しもあってFwdリーダーに就任した
――藤本選手はFwdリーダーに就任しましたが、どのような意識で取り組もうというのはありますか

藤本 僕がFwdリーダーになった過程に、同期が凄く背中を押してくれたというのがあって。そのときに、同期のためにもしっかりFwdリーダーとしての役職を全うしなきゃいけないなという強い思いがありました。去年試合に出ていない分、試合に出ているメンバーがその経験から言葉を色々言ってくれたりしています。環境も変わったので、全体を見ながら個人個人が抱えている悩みなんかを聞きながら、チームを一つに向かわせていけるようにはしています。でも去年はFwdで負けたので、強いFwdになるために新しく入ってきた太田トレーナーと一緒に凄く厳しいトレーニングをやっているんですけど。まあ、強くはなってきてるかな(笑)

――では明本選手から見て、藤本選手はどのようなFwdリーダーですか

明本 (笑)いや、でも僕は高校からの仲なので。慎二郎は本当に優しいですし、みんなから慕われていると思います。言葉に説得力がありますし、みんなをまとめる力はあると思うので、ついていきたいリーダーの一人だと思います。

――引っ張っていく、というよりみんながついてきてくれる

明本 そうですね。慎二郎のことを慕っているやつも多いです。

――ではFwd陣についておうかがいします。とても厳しい練習をしているようですが、今季のFwd陣の売りや特徴というのは

藤本 うーん、正直まだ見えないですね。
明本 そうですね、試合をやっていないので。
藤本 ABCDとかのランク付けもまだされていないので、まだ見えてこないんですけども。去年の凄く機動力もあってボールを動かすラグビーっていうのは継続してやっていくんですけど、その中でFwdが負けないように、セットプレーでも接点でも負けないFwdになれるようにやっていきたいですね。
明本 慎二郎の言う通りですね。80分間通して走りきれるFwdっていうのを目指しているので、僕ら身体は小さいですけど、力では負けないように今季はやっていきたいです。

――解説者の経験もある野澤HCは、どのような指導法でやっているのでしょうか

藤本 解説者的な目で見ると、ラグビー界に知り合いが多いので、例えばSHのある有名な選手に、SHの映像を見せて良い点と悪い点を指導してもらったりしています。そういうのは、人脈を使って色々やって下さっています。あとは、練習は…どうだろう?とにかく激しい。
明本 激しい。
藤本 激しいです(笑)
明本 去年と比べても、全然コンタクトの量が違いますし、野澤HC自身がとてもアグレッシブな人なので。
藤本 あと、自分がラグビーをやっていたので、実演してくれるのでとてもわかりやすいですね。できなかったりしたらすぐに教えてくれますし。見本となってくれるコーチで、凄くわかりやすくて良いですね。

――帝京大などの大型Fwdの対策としてどのようなことをやっていますか

藤本 まだ取り組んではないんですけど、今はやっぱり「個の成長」をテーマとして挙げているので、個人として強いFwdになるっていうのを各々が目指してトレーニングをやっています。帝京大を意識したトレーニングというよりは、個人が力をつけていくためのトレーニングですね。

――個を強くすれば、自ずとFwd全体も強くなる

明本 そうですね。僕らは本当に身体も小さいので、身体のサイズアップというのは意識してやっています。ご飯の量をあげたりだとか、ウェイトの量を増やしたりだとか。

――今季の慶大ラグビー部のスローガンは「for」ですが、それについて

藤本 一番頂点にあるのは、やっぱり日本一になるために。その下に、もちろん自分のためにやることもあれば、チームのために努力してチームに貢献したい。日本一になるためにチームに貢献するという気持ちを持ってみんながラグビーをすれば、凄い力が生まれると思います。そういう意味で「for」というスローガンを掲げました。
明本 本当に慎二郎と同じなんですけど(笑)チームのために自分のために、っていうのを第一に考えているんですけど、日本一になるために絶対にそれはやっていかなくてはいけないと思っているので。そういうスローガンにしました。
 

藤本「明本はラグビーに関しては真面目」

明本「藤本はプレーは本当にすごい」

 
――次にお二人についてお伺いします。まずお互いを紹介し合っていただけますか
藤本 アケ(明本選手)?あけはねー…
明本 (笑)
藤本 本当にラグビーが大好きで、ラグビーに関しては真面目ですね。まあ、それ以外は適当です(笑)ラグビーになったら、凄く練習もしますしウェイトもしっかりしますし。でもラグビー以外になると、ちょっとまあ…抜けてるというか。こいつ、自分自分ってなってしまうタイプなんですけども、でも最近練習をしてて感じるのは、周りに気を遣って声を出していて、ちょっと変わってきたなと思います。大学4年目になってちょっと変わってきましたね。
明本 慎二郎ですか…慎二郎は本当に無口なんですよ。僕も普段あんまり喋んなくて、何を考えているかあんまり聞いたことないですね。慎二郎について深く入ったことはないんですけど。
藤本 入らないでください(笑)
明本 (笑)入っていかないよ。でも本当に優しくて、チームのことを第一に考えているチーム想いなやつだなと思います。主将の仲宗根(総4)とか副将の栗原(総4)とかいますけど、そいつらがいないときでも引っ張ってくれますし、慎二郎がいないとFwdっていうのはやっぱりまとまっていかないのかなと思います。そういう面では凄く感謝しています。
 

突破力が魅力の明本

――ではお互いのプレースタイルはどうですか
藤本 アケは、ボールを持ったらとにかく自分で行くっていう。凄く強いですし、ディフェンスのときもタックルしますし。高校のときは、自分タックルしたくないっていうやつだったんですけど、慶應に入って慶應のFLはタックルだって感じになってからは、タックルも凄く練習して良くなってきたと見てて思います。慶應のFLらしい選手になったなと思いますね。
明本 慎二郎は僕より全然強くて、当たり強いというか。慎二郎についていけばゲインしてくれますし、僕はいつもその裏を狙っているんですけど(笑)慎二郎がゲインをきってくれるんで、頼りがいがありますし、プレーは本当に凄いと高校時代から思っています。
藤本 いや、凄さだったらこっち(明本選手)のほうが凄いです。

――お二人とも凄い選手です

藤本・明本 (笑)
明本 いやでも、慎二郎は身長が高いのにタックルとかも低くいきますし、僕はそういうところは見習わなきゃいけないなと思います。

――やはり伝統の低いタックルを意識している

藤本・明本 そうですね。
藤本 去年は低くタックルしなきゃ使われないとか、そういうことを言われていたので。まあそれは大学1年生のときから言われていましたし、練習でもそういう練習ばかりしていたのでもう染み付いてきましたね。でも今年はちょっと変わってきて。
明本 うん、変わったね。
藤本 低いタックルはもちろんするんですけど、二人目でボールにしっかり絡むってところを徹底しようということで。タックルも少し変わってきています。変わってきたというか、野澤さんが社会人で学んできたことを色々教えてくれるので、今までにない練習ができています。毎回の練習が凄く有意義なものになっていますね。

――お二人はポジションが被るところもありますが、意識などはしますか

藤本 そんなに意識しては…。
明本 ないですね。
藤本 意識してる?(笑)
明本 してない(笑)
藤本 一緒に試合に出てるときは、僕はLOもできるので。
明本 意識は全然してないですね。

――お二人はプライベートでも仲がよろしいのですか

藤本 全く遊ばないですね。一緒に遊んだのいつよ?
明本 いや、遊ばないですね。二人で、とかは絶対にないですね(笑)一回もないよね。
藤本 ないですね。意外にね。

――ではオフの過ごし方はどんな感じですか

藤本 今年のオフは、ウェイトしたり走ったり就活したり勉強したり、ですね。ほとんど就活とラグビーでしたね。
明本 僕はもう、ぐうたらしてやりたいことやって。
藤本 遊んでるだけでしょ。
明本 遊んで(笑)、ウェイトするときはウェイトして。集中するときは集中して、自分のことやりたいときはそれに費やすって切り替えですね。

――オフのときもラグビーのことは考えますか

藤本 考えますね。
明本 考えてましたね、一応。
藤本 4年でのミーティングなんかも多くて、監督とかも変わって色々話すこともありましたし。そういう時間も多かったですね。

――ミーティングではどんなことを話すんですか

藤本 4年生としてどういう4年生を目指すのかとか、主将副将を決めたりだとかそれぞれのリーダーを決めたりだとか。あとは何だろう。あと一人一人の…
明本 あー…
藤本 この3年間をやってきて、一人一人に対してみんなが意見を言うみたいな。もっとこういうところをこうしたら良くなるよみたいなことを言って。結構残酷な…
明本 残酷的な。お前こういうところが駄目だから直せよ、みたいな。まあ色々言われるとこはありますよね(笑)
藤本 まあ色々あるんですけど(笑)でもそういうことをやっていかなきゃ、自覚は芽生えないので。チームも自分ももっと良くしていこうという気持ちは出てこないので、凄く良い機会に結果的になったと思います。
 
 

秋に向けてどういう風に成長していけるか

 
――では春シーズンについてお伺いします。春の展望をお聞かせください
藤本 結果も大事なんですけど、一試合一試合何か成長できて、また課題をみつけて次の試合に向けてその課題を克服できるようにしたいですね。一試合一試合レベルアップして、最終的に日本一になれるように。春結果を出しても最終的によくならなきゃ意味がないので、一個一個レベルが上がっていけるように、一試合一試合大切にしたいです。そのために毎日良い練習をして強くなっていきたいです。
明本 僕も慎二郎の言う通りなんですけど、春は勝つことよりも成長するってことが一番大切だと思うので、秋に向けてどういう風に僕らが成長していけるかが重要だと思うので、本当に一試合一試合成長して、修正できるところは修正したいですね。チーム内でコミュニケーションをとって、秋を迎えたいなと思います。
藤本 もちろん、春も勝ちにはこだわりますけど。

――シーズン開幕が例年よりも遅いですが、影響などはありますか

藤本 どこも多分同じ状況だと思うので、そこまでですね。与えられた時間で自分達がどれだけ練習して成長していけるかは、今後の自分達にかかっていると思います。これからまたしっかりやっていきたいです。
明本 本当にみんな一緒の状況なので、僕らは僕らでしっかりやっていきたいと思います。

――春は遠征が多いですが、コンディション面などでの心配はありますか

明本 遠征自体はみんな慣れていると思うので、コンディションとかは自分の調整次第なのであんまり変わらないですね。色んな県に行けるので逆に楽しみですね。

――特に楽しみにしている試合はありますか

明本 やっぱり早慶戦はね。
藤本 早稲田はね。あと春は帝京ですかね。
明本 帝京には去年負けているので、借りを返すつもりでやりたいです。絶対に負けられない相手なので。

――今年一年の抱負を教えてください

明本 僕は一年間、怪我をせずに、まあ今までもそんなに大きな怪我はないんですけど、チームにずっと貢献できるような選手になって、「こいつがいたから良かった」ってそう思われるようになって今年一年を終えたいです。
藤本 去年4年生が大きくこのチームを支えていて、その4年生がごっそり抜けて新しいチームを作っていこうというときに、4年生がしっかりまとまらないと良いチームは作っていけないと思うので、チームをしっかりまとめていくとともに、個人としてはレギュラーをしっかりつかめるように一日一日がんばっていきたいです。

――チームが目指す目標は

明本 それはもう、日本一です。
藤本 はい、日本一です。

――最後に、慶大ラグビーを応援している人たちにメッセージを

明本 必死になって大学日本一を目指していますが、みなさんの力が必要だと思うので、是非会場に足を運んでいただけたらなと思います。
藤本 そうですね、応援していただけていることは凄く嬉しいです。そのことに結果で応えていかなくてはと思うので、日本一を目指してがんばっていきます。

By Nao Hara

 

藤本 慎二郎(ふじもと・しんじろう)

桐蔭学園高を経て、現在環境情報学部4年。桐蔭学園高時には2年生からLOのレギュラーとして活躍した。昨季はオーストラリア、菅平遠征にも帯同したが、故障のため満足のいくシーズンは送れなかった。今季はFwdリーダーに就任して再起を目指す。ポジションはLO/NO8。1㍍81、95㌔

明本 大樹(あけもと・だいき)

桐蔭学園高を経て、現在総合政策学部4年。桐蔭学園高では小澤前副将(総卒)がいながら2年生からNO8でレギュラーを獲得。高3時には高校日本代表にも選ばれた。体格は大きくないが持ち前の突破力を生かして対抗戦・帝京戦などでトライを挙げた。今季はFwdの中心として高いパフォーマンスが期待される。ポジションはFL/NO8。1㍍74、90㌔

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