【ソッカー男子】第8節 セットプレーという落とし穴の前に3連勝ならず 駒大戦

この日も攻撃の中心を担った日髙

先制点を奪われ、引いた相手を崩せない――。中大、国士舘大と連勝で波に乗る慶大の今節の相手は、ここまで最下位に沈んでいる駒澤大。この日勝てば首位も見えるだけに、何が何でも勝ち点3を奪いたい相手だったが、今季初勝利を目指す駒大の気迫の前に苦戦。セットプレーで3失点を許し、完敗を喫した。

 

2011/6/18(土)11:30 KO@NACK5スタジアム大宮

駒澤大学3-1慶應義塾大学

{得点者}25分砂川太志(駒澤大)、71分三澤祥馬(駒澤大)、73分河井陽介PK(慶大)、80分渡邉諒(駒澤大)

 

負傷した田中副将に変わり右SBに入った香川

前半、戦前の予想通りロングボール主体で攻める駒大を前に、セカンドボールをことごとく拾い、リズムをつかんだ慶大。トップ下に入った日髙(総4)を起点として、8分に黄(総4)、9分には香川(商3)と両サイドバックのクロスからゴールを脅かす。しかしいずれも中で合わせられず、得点には至らない。そんな中、15分を過ぎると、徐々に競り合いで負けはじめ、セカンドボールも拾われる苦しい展開に。そして25分、スローイングからゴール前にクロスを上げられ、これをはっきりとクリアできなかったところを詰められ失点。先制を許すと、その後は主に左サイドで切り崩すシーンが見られるものの、「フィニッシュがうまくいかなった」(増田・環1)という言葉通り、なかなかシュートまで持ち込めない。さらに、この日ワントップとして初先発を飾った松田(経4)にもなかなかボールが収まらず、大きなチャンスを作れないまま前半を終える。

後半、ワントップに入った森田

まずは試合を振り出しに戻したい後半、慶大は松田に代えて森田(経3)を投入。「速い選手を入れたい」(須田監督)という意図のもと、駒大DF陣をかき乱す作戦に出る。だがけが人続出で苦しい台所事情の慶大は、「パスは回るけれど最後のアイデアはない」(山浦新・総1)という言葉に表れるように、日髙頼みの攻撃に終始し、厚みのない攻めが続く。そんな中、河井(政4)、日髙、森田が前線でさかんにポジションチェンジを繰り返し、攻撃にアクセントを加え始めると、21分山浦新がグランダーのクロスを上げ、これに森田がニアで走り込む。しかしこれはわずかに合わずGKにキャッチされてしまう。すると26分、CK後のゴール前での混戦から押し込まれ痛恨の追加点を許してしまうが、28分に松下(総2)のロングフィードから抜け出した黄がペナルティエリア内でGKに倒されPKを獲得。そしてこのPKを河井が落ち着いて決め、再び1点差に。ところがここから今季初勝利を目指す駒大の気迫あふれるプレーの前になかなかチャンスを作れない。そして35分、またもCKから失点を許すと、その後は球際で負け、ボールをなかなか支配できない展開が続き、そのままホイッスル。最下位・駒大にまさかの敗戦を喫した。

セットプレーからの3失点に肩を落とす笠松主将

今季ここまであまりクローズアップされていなかったセットプレーでの守備という面で課題が出たこの日の慶大。現代サッカーにおいて、セットプレーでの得失点は試合の鍵を握るだけに、セットプレーではより一層の集中が求められる。さらに、「相手が先制してしっかり守ったので、なかなか崩せなかった」と須田監督が振り返る通り、引いた相手をどう崩すかという点でも課題が見られた。中断まで1試合を残すのみ。次節の相手である神大は、「セットプレーには強い」(笠松主将)と語る通り、この日出た課題を修正できるかが試される試合となる。昨季2戦2勝と好相性の相手である神大に対し、パスで崩すという自分たちのサッカーを取り戻し、一つでも上の順位で中断期間を迎えてほしい。

By Daiki Yamamoto

 コメント

須田監督

(振り返って)まずセットプレー3つがポイント。あまりにも多すぎるので、気持ちの部分というよりかは、技術的な守りの部分がね。(セットプレーからの失点は今まであまりなかったが)身体をぶつけていかなければならないし、そこの部分が足りないかなと。もったいない。ある意味改善点かなと思うので、そこは改善していくことと、今度うちの攻撃がどんなにパスを回しても最後フィニッシュまで行かないところも改善点だし、3敗しているけれども負けているのはほぼ同じタイプのチームだから、そこの辺を一工夫して考えていかなければならないところが修正点だね。 (FWで先発した松田選手の評価は)よく頑張ってたし、前からプレッシャーもかけてたし、クロスに対しても前から入りこむのもあったし。できれば得点できればもっと自信がついただろうが、そんなに甘くないので。よく頑張ったと思う。(松田選手は前半で交代したが)先取点を入れられたので、速い選手を入れたいというのと、あと1枚イエローも出てたから、そういった意味で活きのいい小さいのを出した。(後半流れが良くなったが指示などは)流れは悪くなかったが、相手の先制点してしっかり守ったので、なかなか崩せなかった。もうちょっとワイドにボールを動かして、サイドから攻める、あるいは空いたところに中央突破とかもっとできたらよかったが、その辺が修正点。ああいう引いたチームには。(引いたチームに対してどう崩していくかがあまり見られなかったが)今言った通りにワイドに開くことと、慌てないこと。変に急いで前へとやると、カウンターを食らうので、慌てないでパスを回して、その間にDF陣が崩せてきたらというところ。ちょっと慌てすぎた。(セカンドボールへの対応は)もうちょっと拾いたかった。蹴られたあとのポジショニング、競り合ったところの周辺というところが、最初は良かったが、徐々に埋められ、なくなったというのがあったし、やっぱり先取点を入れられちゃうと前へ前へとなるので、仕方ないところはあった。(前半も後半も立ち上がりは急がずにゆっくりボールを回すという形ができていたが、それができなくなってしまったのは点を取られてしまったからか)いいタイミングで点を取られてしまったので、慌ててしまった。もっと回して、自分たちのサッカーを貫けばよかったところだった。でも点を取りに行きたいし、前に速い選手を置いているから前へ前へという気持ちもわかる。その辺はこっちの指示が足りなかったのかもしれない。

笠松主将

(振り返って)自分たちが試合の主導権を握っていただけに、3失点してしまって、DFとしてはそこを守り切れなかったことは非常に責任を感じますし、攻撃陣としても最後決めきれないということで、課題の残る試合だったと思う。(駒大のロングボールの対策は)今日失点してしまったのはセットプレーだったが、セットプレーはそこまでやってなかったが、ロングボールの対応という部分ではしっかり前から自由に蹴らせない部分であったり、競ったところのこぼれを拾うという部分はやってきたので、そこに関しては今日は問題なかったと思う。(球際でなかなか勝てない部分があったと思うが)相手の方がそこは気持ちで上回っていたという部分もあったと思うが、印象としてはそこまで(球際で)負けていたという印象はなかったので、自分たちとしてはゴール前でどれだけ絡めるかという部分だと思う。(先制されて前がかりになったところでカウンターを受けるというところもあったが)自分たちが良い流れを作っていたところで、ああやって失点してしまったということで、精神的に不安定になるというか、慌てちゃう部分もあったと思うので、そこは自信を持ってやっていかなければならないと思う。(セットプレーから3失点ということで課題が残ったと思うが)間違いなくそこが今日の試合の課題だと思うので、競った後のセカンドボールだったり、そこをもっと徹底してやらないと、来週も神大ということで、セットプレーには強いと思うので、1週間いい準備をしたい。(次節・神大戦が前期の最終戦となるが)今日負けてしまったが、内容的にはそう悲観する内容じゃないと思うし、課題というのもセットプレーというのがはっきりしているので、そこをしっかり修正して、最後いい形で前期を終えて、少しでも上位に位置づけられればいいと思う。

中川

(振り返って)セットプレーから3失点ということで、そこに明らかな課題があると思います。今日の試合を次につなげないといけないので、修正していきたいです。(セットプレーからの失点は今まであまりなかったこと。何が悪かったのか)はっきりとしたことはわからないですが、上手いこと相手の選手のところにボールがこぼれてしまったという印象です。それは相手の選手の気持ちであったりが味方をしたのかなと思いますが、難しいですね。(相手のロングボールへの対策は)後ろから蹴ってくるのは明らかだったので、FWが前からプレスをかけて自由に蹴らせないようにという事は考えていました。ただそれが90分間できたかというとそうでもなくて、相手のサッカーにやられてしまったと思います。(次の試合が大事になってくると思うが)神大は良い相手だと思いますが、自分たちのサッカーをして、勝ち点3を積み上げる事が大事。上位に残って後期を迎えるためにも絶対に勝ちたいと思います。

日髙

(今日の試合を振り返って)失点の仕方が全部セットプレーとロングスローということで、警戒していた部分でやっぱり締められなかったことが敗因だったと思います。(ケガ人が多いことについて)いる選手で十分戦えるとは思うんですけど、やっぱりいつもやってるメンバーと違うってところでやっぱり一人一人が自分の役割ってのをしっかり把握してプレーしないとやっぱり結果はでてこないと思うんで、そういう意味でやっぱり今日の試合だとまだ一人一人何をすべきかってのがわからないまま試合に入っちゃったのかなと思います。(今日初スタメンの松田選手については)彼もずっと4年間頑張ってきたし、関東リーグ出れるだけの力はあると思うので、ただもう少し自分をだそうっていう気持ちでやっていければ、これからもっとよくなっていくんじゃないかなと思います。(今日の攻撃はほとんど日髙選手を経由していましたが、監督からの指示だったのか)本当はあんまり自分が動きすぎないで、最後のところで点決めるだったりアシストってところでやりたかったんですけど、ちょっと人がいないってところで自分がボールに積極的に絡んで攻撃の形を作んないとっていうか、まあそれが良かったのか悪かったのかはわかんないんですけど自分としてはやっぱ、結局PKの一点だけだったんで、やっぱりまだ課題があるかなと思います。(次節とその先にある早慶戦に向けて意気込みを)こういうふうに下位のチームに負けてしまって、多分チームの雰囲気っていうのは落ちちゃうと思うので、それを落とさずにこの一週間でしっかり神大に勝つことが早慶戦にもつながっていくと思うんで、気持ちの面から準備して、チームの士気を高めていければと思います。

河井

(今日の試合を振り返って)前負けたときの、青学とか順天のときと同じような形でやられてしまったんで、もうちょっと学ばなきゃいけないとこがあるかなと思います。(ケガ人が多くて、満足な陣容を組めないことについては)それは全然言い訳にしちゃいけないとこなんで。一週間そんなに悪い準備をしてきたつもりもないし、やれる自信はあったんで、それを言い訳にしちゃいけないと思います。(今日初スタメンの松田選手については)練習から全然連携とれてやってたんで、全然不安はなかったし、しっかりポストプレーやら自分の仕事をやってくれていたんで、全然悲観するような内容じゃなかったと思います。(監督からはどのような指示をうけて今日の試合に望みましたか)6月は全部勝つってことで今日の試合が一番重要だと思ってたんですけど、その試合で勝てなくて非常に残念です。(次節とその先にある早慶戦についてもお願いします)6月あと2試合なんで、残りの力を全部出すというか、しっかりあと2勝して、休みを迎えられるように、頑張りたいと思います。

松田

(初先発でしたが)4年目になっての初先発ということだったのですが緊張しました。ただチームメイトに助けられながら、試合に入れたかなと思います。(イメージしていたプレーは)自分は、監督からも言われていた通り、前から激しくプレスにいく部分と、ポストプレーがメインになってくるので、それらを意識していました。(駒澤のDFは特に強さを持った相手だったと思うが)そうですね。ただ想像していたよりもという感じで、やれなくはないと感じました。そういったところから、日々の練習をやっていれば大丈夫だと実感しました。(今後も試合に出るチャンスは巡ってくるかと思うが、どういったプレーを心掛けたいか)自分はFWなので、チャンスが巡ってきたら点を取るということを意識したいです。ゴールという結果を残せたらと思います。(次節への意気込み)試合に出られるかはわからないが、次の試合まであと1週間なので。日々の練習を大事にやっていきたいです。次節はしっかり勝てるように、その後には早慶戦もあるので、良い流れを作っていきたいです。

増田

(今日の試合は個人的にどのような試合だったか)駒澤はシンプルにゴールへボールを放り込んでくるスタイルだから、セカンドボールを取れるように意識しました。(勝敗を分けたのは何だと思うか)自分たちが主導権を握ってボールをキープできていたけど、フィニッシュがうまくいかなったことです。(次節への課題は)セットプレーを意識してフィニッシュの持っていき方などを一週間チーム練でしっかり練習して、勝ち点3を取るようにしたいです。

山浦新

(試合を振り返って)今日は最初から相手は蹴ってくるということはわかっていたんですけど、最初の方はこぼれ球とかも拾えていたんですけど、途中から拾えなくなってきて。パスは回るけれど最後のアイデアはない、というところで、やっぱり得点力不足だったんだと思います。自分としても、相手にスカウティングされて良いところも全部消されてしまって、何も出来なかったので本当に悔しいです。(駒大の印象は)去年ヴェルディのユースだったときに試合をして、そこでも天皇杯で負けてしまったので勝ちたかったです。(今日の印象は)去年と同じでヘディングが強くて、セットプレーから3失点ということで、こっちももう少し対策しなければいけなかったなと。(気持ちの面での差は)向こうは勝ち点3を取れてなかったんですけど、監督からは「今日が前期で1番大事な試合だ。天王山だ」と言われていたので勝ちたかったです。(次節に向けて)けが人とかが多くて、大変な状況なんですけど、普段出ていない僕たちができることをやってチームの力になって、次こそ勝ち点3を取りたいです。

慶大出場選手

GK 中川翔太(環4)

DF 黄大城(総4)

DF 松岡淳(商3)

DF 笠松亮太(総4)

DF 香川佑介(商3)→59分藤田息吹(政3)

MF 増田湧介(環1)

MF 松下純土(総2)

MF 河井陽介(政4)

MF 日髙慶太(総4)

MF 山浦新(総1)→74分川久保理 (理3)

FW 松田健佑(経4) →45分森田達見(経3)

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