【ラグビー】春季大会最終戦 後半の追い上げで闘志を魅せるも無念の敗戦 秋の逆襲を誓う一戦に/関東大学春季大会第5戦 対青山学院大

ラグビー

 春季大会最終節となる青学大戦。最終順位を争う大事な一戦として、慶大蹴球部は春の集大成をぶつける。春季大会全試合スタメンの山本・小舘に加え、今戦は主将・今野が復帰。BK陣からいかにチームをまとめ上げるのか、注目がかかる。
 先制したのは慶大。前節でも活躍を魅せた藤森が、この試合でもトライを決めた。その後は青学大に3トライを奪われ、7-21で前半を折り返す。
 巻き返しを見せたい後半は、再び藤森がトライ。慶大の攻撃を牽引する。その後もさらに2トライを奪い、試合終了時点でトライ数は両校均衡。しかし、コンバージョンキックでの差が開き、24-28と惜敗を喫した。
 悔しくも反省が残る最終節であったが、また一から定期戦や合宿で経験を積み重ね、秋はパワーアップした慶大蹴球部に期待が膨らむ。

 

2025年6月15日(日)関東大学春季交流大会 対青山学院大学 @下田グラウンド

  • 慶大 24{7―21、17―7}28 青山学院大◯

関東大学春季交流大会 第5節

慶應義塾大学

2025/6/15(日)12:00 K.O.@下田グラウンド

青山学院大学

前半

後半

 

前半

後半

トライ(T)

コンバージョン(G)

0

ペナルティゴール(PG)

ドロップゴール(DG)

7

17

21

7

24

合計

28

前半8分 藤森(T)

前半10分 和田(G)

後半4分 藤森(T)

後半26分 渥美(T)

後半27分 和田(G)

後半35分 安西(T)

得点者

前半13分 田中(T)

前半14分 井上(G)

前半20分 山本(T)

前半21分 井上(G)

前半39分 松﨑(T)

前半40分 井上(G)

後半20分 松﨑(T)

後半21分 井上(G)

 

慶應義塾大学

#

氏名

身長(cm)/体重(kg)

学部学年

出身校

1

井吹 勇吾

175/100

環2

桐蔭学園

2

藤森 貴大

173/99

経3

慶應

3

廣瀬 宇一朗

180/107

環2

桐蔭学園

佐々木 一帆

180/97

経3

慶應志木

西野 誠一朗

184/91

法1

桐蔭学園

6

岩垂 樹希

177/93

政4

慶應

本田 李成

179/90

政1

慶應

8

中野 誠章

176/103

文2

桐蔭学園

9

橋本 弾介

169/76

法4

慶應

10

和田 健太郎

168/73

理2

清真学園

11

伊吹 央

176/81

経4

慶應

12

今野 椋平

183/90

環4

桐蔭学園

13

小舘 太進

173/84

商4

茗溪学園

14

山本 大悟

174/85

環4

常翔学園

15

田村 優太郎

174/80

総2

茗溪学園

 

青山学院大学

#

氏名

身長(cm)/体重(kg)

学部学年

出身校

1

木村 陽太

175/108

國學院栃木

2

田中 太陽

173/94

4

常翔学園

相川 拓也

180/113

4

桐蔭学園

荒川 真斗

185/112

4

國學院久我山

梁取 駿太

186/100

茗渓学園

松﨑 天晴

173/98

東福岡

八尋 祥吾

168/85

東福岡

8

角谷 銀次朗

180/97

京都成章

9

小林 純岳

160/66

東海大付属相模

10

井上 晴生

182/85

東福岡

11

山本 啓太

176/82

常翔学園

12

穴澤 開

171/80

東海大付属大阪仰星

13

内藤 基

175/98

東福岡

14

丸岡 大地斗

165/75

流通経済大柏

15

幸内 良真

176/75

目黒学院

 

慶應義塾大学

 

青山学院大学

97.6kg

FW平均体重

100.8kg

781kg

FW合計体重

807kg

178cm

FW平均身長

177.5cm

 怪我で離脱していた主将・今野、この春1年生で最も早くデビューを果たした本田がスタメンに復帰。秋の公式戦で同じカテゴリーに所属する青学大に勝利し、今春培ってきた集大成を見せたい慶大だったが、立ち上がりは青学大FWの圧を受け後手に回り、自陣22mライン付近まで押し込まれる。しかし、粘り強いディフェンスから相手のノックオンを誘うと、復帰した今野が持ち味である飛距離の長いキックで敵陣22mまで陣地を回復し、ピンチを脱する。

すると8分、蹴り合いの展開から今度は和田が敵陣5mラインに迫る50:22を成功させ、マイボールラインアウトを確保する。このラインアウトからモールで押し込むと、最後は藤森がグラウンディング。更に、タッチライン付近からの高難易度のコンバージョンキックを和田が沈め、序盤のピンチをしのいだ慶大が先制に成功する。

しかし先制直後の12分、今度は青学大のキックで押し込まれると、自陣深くでペナルティを犯し、ラインアウトからモールで押し込まれるという、慶大トライを奪われ、コンバージョンキックと合わせて7-7の同点に追いつかれる。

 

タイスコアに戻った中、青学大は密集でのFWのフィジカルを強調し、慶大は粘り強いディフェンスとBKのランスキルで対抗するという一進一退の攻防が続くと、20分に試合が動く。慶大がハーフウェイライン付近でパスの乱れからボールを失うと、青学大は慶大のディフェンスラインが整う前に、その背後へのキックを選択。このキックはタッチを割るかと思われたが、バウンドが変わってピッチの内側に戻り、楕円球は小舘と入れ替わる形で青学大WTB山本の手中に収まり、そのままトライを許す。慶大は一転して7点を追いかける立場となった。

 

ミスと不運が重なった失点から立ち直りたい慶大は26分、自陣から今野の50:22で先制トライと同じような位置でのラインアウトを獲得し、このボールを確保してモールに持ち込むが、密集の中で青学大にターンオーバーされ得点に結びつけられない。

チャンスを逸した慶大は前半終了間際の37分、自陣深くに転がったキックの処理で連携ミスが生まれ、田村がこれをカバーしキャリーバックで一時的に難を逃れるも、5mスクラムを起点として青学大のFW陣に押し込まれ、さらに点差を引き離されるトライを献上。そのまま7-21というスコアで前半を終えた。

 なんとしてでも最小失点に抑え、一気に巻き返しを図りたい後半は、慶大キックで開始した。慶大は早々から敵陣での攻撃を試み、慎重にゲームを展開する。後半4分、相手のペナルティから、慶大ボールのラインアウトを佐々木がキャッチし、モールを形成。ボールを受けた藤森がモールの外側からうまく相手の死角を使って回り込み、インゴールに飛び込む。F W陣の力によって慶大の攻撃の先陣を切った。

  8分、青学大フェーズの中でルーズボールとなったものを和田が慶大のトライラインドロップアウトとするが、そのままハーフウェイラインでボールをキャッチした青学大が優位となる攻撃を展開される。自陣5mライン付近のラインアウトを成功されると、徐々に攻め込まれる苦しい時間に。しかし慶大もFW陣を中心に耐え忍び、見事相手のペナルティーを誘発。トライまで後少しという大ピンチを脱した。

 12分、慶大は藤森に代えて渥美和政(経4・慶應)本田に代えて申驥世(文1・桐蔭学園)を投入。この試合で状態が良いF W陣から変化を持たせ、新たな攻撃展開を試みる。しかし、その後の18分、慶大は粘り強くデフェンスに徹するも、アドバンテージを取られる。青学大はスクラムを選択し、自陣に押し込まれる。そのままフェーズを重ねられ、得点を許す。残り約20分で12ー28というスコアに持ち込まれる。流れを取り戻したい慶大はここでS H橋本に代わり杉山雅咲(総4・大阪桐蔭)を起用する。

 後半23分、山本が青学大ボールをインターセプトし、一気に慶大の攻撃の起点を作る。

敵陣5mライン付近での慶大ボールのラインアウトから、F W陣の組むモールに一部のB K陣も加わり、総力戦で得点を狙う。最後はモールの進む方向の逆をついて飛び出した渥美がトライラインを割り、トライを決める。タッチラインからの距離約5mというところからのコンバージョンキックも、和田がしっかりと成功させ、スコアを19ー28とする。

 このままの流れで逆転まで持っていきたい慶大だが、しばらくは一進一退でスコアに変動はなかった。その中で、戦況が動いたのは後半34分。自陣寄りでの慶大ボールのスクラムから、パスを繋いでいく。外側にいた田村が抜群の脚力で相手選手を寄せ付けないランを披露。約20mの独走を魅せたところで敵陣で待ち受けていた相手選手に直面するも、田村の左で並走していた途中出場の安西良太郎(商1・慶應)にパスを放る。安西はそのままライン際を一気に駆け上がり、春季大会初トライを決めた。試合時間残り少ないところで追い上げを見せる。

 慶大は複数選手の入れ替えを行い、土壇場での逆転に望みをかける。ところが、青学大も最後まで簡単にはトライラインの明け渡しを許さない。終盤は青学大が時間をたっぷり使う攻撃を仕掛けてくるが、その中でも両校ペナルティを誘発し合い、攻守が激しく入れ替わる激闘となる。最後まで敵陣でのプレーでチャンスを演出するも、ミスが重なり相手ボールに。死闘の末、24ー28のスコアのまま、熱気に包まれた下田グラウンドに試合終了のホイッスルが鳴り響いた。

 

 試合後、今野主将は「今まで調子良かったBK陣が足を引っ張ってしまった」と振り返った。春季大会を悔しい結果で締めくくることとなったチームは、この結果を糧にして夏合宿を迎える。「そこでもう一回自分たちの強みを見直してそれをしっかり磨いていく」と意気込む今野が率いる慶大蹴球部は今年、【日本一】を目標に掲げる。

上級生の意地と、その背中を猛追する下級生の奮闘がぶつかり合った春季大会。得られたものは反省だけではなく、秋に繋がる光もあったに違いない。昨年度越えられなかったベスト4への壁、そして今春に得られたことを胸に、「魂のラグビー」で慶大蹴球部は今秋、捲土重来を期す。

 

以下、今野主将・山本副将・この日2トライを決めた藤森選手、3名のインタビューです!ぜひ最後までご覧ください。

今野主将

ーー今日の試合を振り返って

自分たちが今試合でやりたかったこととして、ディフェンス・ゲインラインというところを掲げていて、そこに対しては結構上がれたりして、相手を止められて、自分たちはそこまで悪くなかったかなと。特に今まで調子良かったBKが今週足を引っ張ってしまったというところはあって。あとは要所要所の規律のところ。ペナルティを簡単にして、ずっと自陣でプレーをしてしまった。一人一人の役割をもう一回徹底しないといけない。

それと、本来ここで負けてはいけないというところだったので、そこで敗戦したことに対してチーム全体で危機感を持ってここから上がっていかないといけないというのは一番思います。

ーー春の締めくくりとして、今後の夏の合宿・秋の対抗戦に向けて

もう一回「自分たちの強みは何なのか」というところから全員で話し合って、突出した選手があまりいない中で、どのチームにも負けない自分たちの強みをしっかり明確にしていかないと強い相手に勝てないので、もう一回自分たちの強みを見直してそれをしっかり磨いていく。そこで自信をつけて、秋の初戦に臨むというのが大事かなと思います。

 

山本副将

――今日の試合を振り返って

春シーズン、ここまで7、8試合くらいやってきた中での最後の試合、春の集大成ということでこの試合に臨んだんですけど、いいところもありつつ、なかなか結果につながらなかったことが、率直に悔しいです。

 

ーー青学大相手に、今日までどんな準備を?

青学に対してどうこう、というよりかは自分たちがどうするか、ということに重きを置いてこの2週間くらい準備してやってきたんですけど、僕たちの武器でもありアイデンティティでもあるディフェンス面を重点的に準備してきて、その成果は試合の中でも見れたかなという感じはするんですけど、結果に繋がらなかったのが悔しいなと思います。

 

――これまで今野(椋平)選手が不在の中、ゲームキャプテンを務めているが、どのようにチームをまとめている?

ゲームキャプテンという形でやってはいますけど、特に特別なことをするわけではなくて、自分が一番体を張って声を出して、そこでみんなをまとめていければなという風に思っていました。今日は今野が戻ってきてくれて、今までの2倍の力でできたかなと思います。

 

――春の締めくくりとして、今後の夏の合宿・秋の対抗戦に向けて

例年よりも試合数が少ない春シーズンだったんですけど、良くも悪くも収穫はたくさんあった春シーズンだったのかなと。前の3年を振り返っても今年が一番よかったかなと思うので、そこをしっかり修正して、これからシーズンまであと2、3ヶ月、ディフェンスを特に磨いていけたらなと思います。

 

藤森選手

ーー今日の試合を振り返って

今週、DFが前に上がることをフォーカスしてきた中で、最初良い感じでトライは取れたのですが、その後受けてしまった部分があって、前半3本取られて、そこはDFが前に上がることができなかったと思います。結果、失点につながってしまいました。

 

ーー今日のモールから2トライ、感触は?

春季大会前半、セットプレーがあまり上手くいかなくてチームに迷惑をかけてしまった部分があったのですが、先週の同志社戦から少しずつラインアウトが安定してきて、そんな中で2トライに繋がることができたのは良かったと思います。

 

ーー青学に対して、特定の準備は?

青学だから特定の準備をしたということは特になくて、春シーズン最初に1番フォーカスしていたディフェンスで前にあがるという点が、試合を重ねるごとに徐々にできなくなっていたので、慶應としてもう一回やり直そうと、自分たちの準備をしました。

 

ーー春の締めくくりとして、今後の夏の合宿・秋の対抗戦に向けて

春季大会、絶対勝たなければいけないところで落としてしまったのは、自分たちにまだ甘さがあると思うので、そこを山中湖合宿、練習でもう一個引き締めて、対抗戦また青学とやると思うので、そこで絶対に勝ちたいと思います。

 

(取材・記事:愛宕百華、島森沙奈美、檜森海希、髙木謙)



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