2025年春、36名が“第111代目の部員”として競走部に新たに加わった。その1人が、長距離ブロック所属の松波一翔(環1・桐蔭学園)。高1まではサッカー部で汗を流し、高2から本格的に陸上を始めたという異色の経歴を持つ。遅れてきた挑戦者は、いまや慶大駅伝チームの一員として“箱根路”を真剣に目指している。
この記事は(【競走】ルーキーたちよ、集まれ!! 新入生紹介企画 第一弾(藤井南月子/喜久里彩吹/松波一翔/岸村祐月) | KEIO SPORTS PRESS)の続きになります。こちらの記事も併せてご覧ください。

「サッカーに限界を感じた時期に、中学で少し駅伝を走った経験を思い出しました」
自分の高校のサッカー部は、推薦で全国レベルの選手がたくさん集まる強豪で、その中でやってきました。でも正直、小学生から続けてきたサッカーに限界を感じてしまったんです。「これ以上続けても、自分の能力を伸ばせるかどうか…」と思ったんです。それで、もっと自分を活かせる競技はないかと考えた時に、中学で少し駅伝を走った経験を思い出しました。走る方が自分の力を発揮できるんじゃないか、と思って。やっぱりスポーツをやる以上は上を目指したい。その思いから、陸上を選びました。
正直、1年だけの経験で大学体育会に通用するか、不安は大きかったです。ただ、高校では悔いの残る終わり方をしてしまって、「もう一度本気で挑戦したい」という気持ちが強くありました。ちょうど顧問の先生が競走部の※保科さんと知り合いで、その話を聞いて「自分にもチャンスがあるんじゃないか」と思えたんです。最初はサークルでやることも考えたんですが、どうせやるなら全力で、4年間でどこまでいけるか挑戦したい。そう思って、体育会に入る決断をしました。

保科コーチの存在が体育会で陸上を続ける原動力になった
※保科光作:慶大競走部の現長距離コーチ。大学時代は日体大、実業団では日清食品で主力選手として活躍しチームの優勝に貢献。同チームコーチ職を経て、2017年4月より現職。
まだレース経験は少ないんですが、強みは“怪我をしないこと”だと思っています。入部して5か月ほど経ちますが、長期離脱もなく継続して練習できています。長距離は結局「いかに継続できるか」が強さにつながるので、まずはこの強みを活かして成長していきたいです。
他の種目に比べて走っている時間が長い分、スタンドや沿道からの応援をずっと感じられることです。苦しい中でも応援の声が支えになる。そこが長距離ならではの魅力だと思います。
入部した理由の一つが「箱根予選会を突破して本戦に出ること」なので、思いはとても強いです。今年、自分が走りでどこまで貢献できるかはまだ分かりませんが、できることはすべてやってチームに尽くしたいと思っています。また、4年生をはじめとした先輩方の“箱根への思い”を肌で感じ取り、自分もこれからその思いを受け継いでいきたい。部のレガシーを実際に体感しながら、成長していきたいと思っています。

「先輩方の“箱根への思い”を肌で感じ取り、受け継いでいきたい」
(取材:竹腰環、塩田隆貴)


