慶大の体育会を深掘りしていく新企画、「What is ○○部?」。第27回目は柔道部!今回ケイスポは、日吉道場で行われた練習の様子を取材した。また、主将・井口虎太郎(総4・暁星学園)と入道隼人(商4・慶應)にインタビューを行い、柔道の魅力や普段の練習内容について詳しく伺った。さらに、9月27日に行われる全日本学生体重別選手権大会で好成績に期待がかかるルーキー・真田優誠(法1・慶應)に意気込みを語ってもらった。

打ち込みの様子(跳腰)
慶應義塾大学体育会柔道部は柔道部としてだけでなく、運動部としても日本最古の伝統ある部だ。歴史の授業で学んだことがある人も多いだろうが、柔道は嘉納治五郎が1882年に創始した。一方、柔道部の創部は1877年にまで遡り、1世紀半にわたって柔道界の発展に寄与してきた。今回、ケイスポは日吉キャンパスに位置する柔道場を訪れ、2時間の練習に密着した。

歴史を感じる練習場
普段の練習は週6日、2時間行う。練習メニューは幹部が中心となって、学生主体で考えて作っている。慶大柔道部の練習の最大の特徴として、ほぼ毎日練習メニューが異なることが挙げられる。部員たちは、限られた時間の中でそれぞれの課題と向き合い、練習に励む。
練習後、主将・井口虎太郎(総4・暁星学園)と入道隼人(商4・慶應)にインタビューを行った。
――柔道を始めたきっかけを教えてください
井口:僕は小学校1年生のときに駅前の家に引っ越して、何か習い事を始めよう、となって。家の隣の隣が柔道場で、父がラグビーをやっていたこともあって、その影響で柔道を始めました。
入道:自分は父が慶應幼稚舎のコーチをしていて、柔道部の寒稽古に2、3歳のときから参加していました。それで、気づいたらそのまま柔道をやっていたという感じです。
――大学でも柔道を続けようと思った理由は何ですか
井口:小さい頃から生活の軸が柔道だったというのもありますし、高校ではコロナで試合が全部なくなってしまって、消化不良という感じでした。高校生のときに慶應の練習に来て、雰囲気がすごくよかったので。慶應義塾大学に入りたい、というよりは、この柔道部に入りたい、という思いで受験しました。
入道:自分は中等部からなので、言ってしまえば流れで入ったような感じです。柔道部は特に塾校と大学の繋がりが強くて、一緒に練習をすることが多いので、稽古をつけてくれる優しい先輩に憧れて入りました。
――柔道の魅力を教えてください
井口:柔道の魅力は、投げたときにすごく爽快感があるところです。試合や練習ではフィジカルの面できついところもあるのですが、その分、一本取れたときの気持ちよさは魅力かなと。あと僕は応援するのも好きで、早慶戦もそうですけど、知っている人が柔道をするのを応援することも楽しいです。
入道:本当に、井口の言ったことが教科書のような回答なんですけど(笑)。
井口:いやいや(笑)。
入道:柔道はきついことやつらいことの方が多いので、魅力って言われたら「何!?」となるんですけど。人を投げることって、結構いかれてるじゃないですか。でも柔道は人を投げるという非日常的なことができるので、それが魅力かなと思います。
――練習内容について教えてください
井口:時期にもよるんですけど、今は(乱取りは)5分×6回を2セット。みんなの疲労度とかも考えて日々メニューは変えています。基本的にストレッチして、回転運動して、打ち込みして、乱取りの流れです。
入道:アップ15分、打ち込み15分、乱取り1時間、整理運動15分がベースですね。うちの部は練習メニューがほぼ毎日変わるという特徴があります。他の大学は大体決まっているんですけど。
――練習の中で意識していることがあれば教えてください
井口:僕は自分より大きい相手とやるということを意識しています。今年のチーム目標は「無差別階級で1部復帰」で、全国では階級が違う相手と戦うことが当たり前なので、階級のこだわりを捨てて、練習の段階から大きい相手と当たることを意識していました。
入道:自分は練習を盛り上げることを意識しています。声を出したり、乱取りとかも休まず全部出るようにしていて、自分が一番練習して雰囲気をつくるようにしています。
――体育会柔道部“ならでは”のことがあれば教えてください
井口:二つあるかなと思っています。一つは、幹部4人が中心となって学生主体で練習メニューを考えていること。もう一つは、幼稚舎から大学、OBの先輩まで集まって練習する機会があるなど縦の繋がりが強いことです。この二つは他の大学にはない特徴だなと思います。
入道:全部言われちゃったよ(笑)。あとは、仲がいいところとか。他の部活に比べて人も少ないので。1年生と4年生でご飯に行くこともよくあります。
井口:あと、大学から柔道を始めた人も多いね。
――大学で柔道を始めた人は部に何人くらいいますか
入道:4年生が二人と1年生が一人で三人います。
――柔道部としての歴史や伝統を感じる瞬間はありますか
井口:年次の高い柔道部OBの方が大企業の重役にいたりして、そういう方達から就活のお話を聞けることは、歴史のある柔道部だからこそだなと思います。
入道:どこに行っても、「慶應の柔道部といえば最初にできた部活」と言われることが多くて、伝統ある部活として認知されているのを感じます。
――ここまでの今年の活動を振り返っていかがですか
井口:昨年先輩たちが2部大会で優勝してくれたので、1部復帰をかけた試合に臨むことができて、東京学生柔道で3回戦まで勝ち進んで、無事1部復帰を果たしました。全国大会では3年ぶりにベスト32までいくことができたんですけど、最後明治大学に0-7で負けてしまって、やっぱりレベルが高いなと思いました。ただ、結果としてはベスト32まで勝ち進むことができたので、よかったなと思います。
――今後の意気込みをお願いします
井口:部としては体重別団体戦と早慶戦が残っているので、そこで一つでもいい結果を残すこと、早稲田に勝つことが目標です。個人としては、キャプテンとしてチームを勝利に導けるように。柔道はもう3ヶ月くらいで引退なので、有終の美を飾れるように頑張ります。
入道:チームの目標としては今言ってくれた通りで、自分は団体戦と早慶戦だけなので、あと3ヶ月、死力を尽くして、早慶戦では10人抜きできるように頑張ります。
さらに、8月に行われた東京学生柔道体重別選手権大会でベスト8の成績を収めた真田優誠(法1・慶應)にも、次大会への意気込みを語ってもらった。
――8月に行われた東京学生柔道体重別選手権大会でベスト8、強豪校の選手が多い中でどのようなことを意識していましたか
普段の練習で、強豪校よりも練習をしているという自信を持ってやりました。
――全日本への意気込みをお願いします
まずはベスト16を取って講道館杯に出られるように、次に繋げられるように頑張ります!

左から入道、真田、井口
講道館杯は学生・社会人が出場する大会で、全日本強化選手や国際大会の日本代表選考も兼ねる非常に大きな大会だ。若き慶大の星に、期待がかかる。
(取材:梅木陽咲)