箱根駅伝予選会まであと2日!慶スポでは本番を直前に控えた選手方・スタッフにインタビューを行いました。特集8日目の本日は、次の長距離ブロックを担う3年生コンビ!後編では、今シーズンの振り返り、現在のチームについて、更には予選会への意気込みについてお届けします。これを読んで是非当日も声援を送りましょう!
稲生: 今まで陸上をやってきた中で、一番しんどいシーズンだったと思います。今年の冬は大学に入ってから一番練習を積むことができ、春先のハーフマラソンでも大幅に自己ベストを更新することができました。ただ、その後調子を崩して立て直すことができずに怪我をしてしまいました。陸上をやってきた中で一度も長期離脱をしたことがなかったのですぐ治ると思っていたんですが、そんなことはありませんでした。

「一番しんどいシーズンだったと思います」(稲生)
最初は冬に練習を積めた分「大丈夫だ」と言い聞かせていたんですが、(離脱期間が)2週間、3週間と伸び、さらに1ヶ月となると焦りも出て、走っては痛くなるというのを繰り返してしまいました。結局、3ヶ月近くまともに走ることができませんでした。冬の練習の成果を結果に出すことができず本当に悔しくて。復帰してからも体力は落ちるし、マイナスからのリスタートとなっていしまいました。ただ、夏合宿前から合宿中にかけて(試練を)乗り越えることが出来て、今は何とか持ち直してる段階かなという感じです。
芦野:今シーズンは、4月からは1次関数のように順調に伸びてきたシーズンでした。逆に1、2年と今年の3月くらいまでは本当に調子の悪い時期が続いていて 、本当に自分の陸上人生の中でどん底っていうくらいの状態でした。それが4月からはグングンと伸びてきて、夏休みの前くらいにAチームの練習に合流して、今ではそのAチームの練習に何とかついていけているような状況です。

「1次関数のように順調に伸びてきたシーズンでした」(芦野)
(出場前に)大学に入ってから一番継続して練習を積めたことが要因だと思います。それによって自信がつき、目標にしていた66分切りを出せる、と思えたことが結果につながりました。また、練習の前に怪我を予防するための準備をしたことや、練習後の補強といった取り組みも前述の自信や結果に繋がったと思います。
昨年の紋別合宿に行くことができなかった悔しさだと思います。昨年も春は5000mでベストを出して以降、結果を出すことができず、さらに選抜合宿も行くことができませんでした。このままでは(昨年と)同じ思いをしてしまうと考えて、何としても絶対に合宿へ行くんだ、という気持ちでやりました。自分の力を出せる限り出し切ることだけを考えて練習をした結果、なんとか(合宿を)やり切ることができて、とてもいい経験を積むことができたと、今考えると思います。

「何としても絶対に合宿へ行くんだ」(稲生)
本当はもっと(タイムが)出ていてもおかしくないくらいの調子なんですよ。その要因としては、一番はオンとオフの切り替えだと思っています。陸上以外のところで明確に頑張るべき目標が大学3年生になってできたので、ある意味では陸上に取るべき時間が制限されました。そこで陸上に使っている時間は頑張らないといけないな、と思って、練習の効果を考えながら(練習に)取り組めるようになりました。限られた時間でしっかりとやるようになった、というのが調子の上がった要因なのかなと思います。
稲生:太陽(鈴木太陽=環4・宇都宮)さんと言いたいところですが、芦野です。
芦野:えっ!ホントに?
稲生:ホントに。彼はこの春から合宿にかけて本当にすごく速くなったと思いますし、距離走が得意なところも含めて一番期待しています。今の芦野なら64分前半は夢ではないとおもいます。
芦野:自分はやっぱり、太陽さんが一番いけるんじゃないかなと感じています。今年の結果を見てもそうですけど、(自分は)5000m、10000mでもまだまだ太陽さんの実力に見合ったタイムは出ていませんし、太陽さんは単純に走力があると思います。今年の合宿での安定した走りを見ていても、ハーフマラソンはめちゃくちゃ走れるんじゃないかな、と思っています。
稲生:やっぱ太陽さん。今シーズンの主役だと思います。
芦野:自分も同じですね。合宿強化期間までは本当に良い練習ができていましたし、予選会直前になって1週間くらい休んでいた時期もあったんですけど、(太陽さんにとっては)ちょうど良いリフレッシュ期間だったんじゃないかと思っています。今は練習に復帰してきていますし、今年の夏一番練習が積めたっていう点でも、一番は間違いなく太陽さんじゃないかなと思っています。

2人のイチオシ選手・鈴木太陽
稲生:親はもちろんそうなんですが、保科さんとかに今まで散々期待してもらってきて、それに応えることができなかった分、今度こそは期待を超えるような走りをしたいです。また、本当に色々な人に支えてもらってきたので、そういった人たちへの感謝を見せられるような走りをしたいです。
芦野:一番は両親であったり、保科さんであったり、応援してくださったOBの方々です。 また、身近にいる存在で言うと4年生の先輩方で、特に今年の夏、Aチームで自分を引っ張ってくれた(先輩方の)存在は大きかったです。名前を挙げると関口(功太郎=経4・宇都宮)さん、太陽さん、安田(陸人=商4・開成)さん、東(叶夢=環4・出水中央)キャプテンあたりかなと思っています。

Aチームでの練習。東主将(手前)、安田(奥)
練習ができたときにはナイスランって褒めてくださったり、練習ができずに落ち込んでいるときには「次はこういう風にしたらいいんじゃない」とアドバイスをくれたり、本当に寄り添ってくれました。合宿のときには3000m×6本というとてもきつい練習があって、ラスト1本なんかは本当に垂れそうだったんですけど、「芦野行けるぞ!」って感じでずっと応援してくださって、その時に(4年生からの)期待を感じました。その期待に応えて、予選会では(4年生の)背中をぶち抜くつもりで走りたいです。
稲生:久しぶりの公式戦で緊張もありますが、楽しみです。特にここまで応援してくれる人がいる中で走ることができ、観客の人もここまでいるレースは初めてなんです。その幸せを噛み締めて、自分の力の限り頑張ります。

「観客の人もここまでいるレースは初めてなんです」(稲生)
芦野:1、2年時は公式戦で走る場が作れず、 自分のタイムも思うように出なくて、去年(の予選会)もエントリーこそされましたけど出走はできずに、皆さんに感謝を伝える場をなかなか作ることができませんでした。今回は走る機会を与えていただいて、あとは感謝を見せる走りをするだけだと思っているので、当日は魂からの感謝を伝えられるような走りをしたいです。

「あとは感謝を見せる走りをするだけだと」(芦野)
――稲生選手、芦野選手、ありがとうございました!
(取材:竹腰環 編集:鈴木拓己)