前節の日本大学戦では終了間際の立石宗悟 (法4・桐蔭学園)の得点で劇的な勝利を収めた慶大。勝てば無条件で残留を決められる一方で、負ければ他会場の結果次第では自動降格が確定するという状況で迎えた最終節では、前節の結果で2部降格が決まった東京国際大学との一戦となった。プレッシャーのかかる一戦となった中で持ち味を発揮できないままスコアレスで前半を折り返すと、後半開始早々にミスから先制点を許す展開に。逆転を目指す慶大は攻撃的な交代カードを切ると、迎えた68分、途中出場の清水皇貴(経4・三田学園)に同点弾が生まれ同点に。さらに逆転ゴールを奪いに行く慶大だったが、最後まで得点は奪えず、1−1で試合は終了。この結果、入替戦圏内の10位が確定し、11月22日に行われる入替戦で、一部残留をかけて法政大学と戦うことが決まった。
2025/11/22(土)14:00キックオフ@東京国際大学第1グラウンド
【スコア】
慶應義塾大学1ー1東京国際大学
【得点者】
46分 東国大 神谷悠介
68分 慶大 清水皇貴
【慶大出場選手】 | |
ポジション | 背番号 選手名(学部学年・出身高校) |
GK | 1 洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース) |
DF | 2 大下崚太(商4・慶應/東京ヴェルディユース) |
| 4 斎藤大雅(文3・立命館宇治/京都サンガF.C.U-18) |
| 16 藤平一寿(法4・桐蔭学園) |
| 6 永澤昂大(政4・國學院久我山) |
MF | 7 齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース) |
| → 86分 14 村井亮友(商4・桐生/ザスパクサツ群馬U-18) |
| 8 田中雄大(商4・成城学園/三菱養和SCユース) |
| 9 柳瀬文矢(法4・駒大高) |
| → 59分 17 辻野悠河(商4・暁星国際) |
| 10 角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース) |
| 30 オノノジュ慶吏(政1・前橋育英) |
| → 55分 清水皇貴(経4・三田学園) |
FW | 11 立石宗悟 (法4・桐蔭学園) |
劇的勝利を収めた日大戦からのスタメンの変更は1人。岡田朋希(商4・國學院久我山)に代わって、日大戦で久々のベンチ入りを果たした柳瀬文矢(法4・駒大高)がスタメンに。早慶戦直前の負傷もあり悔しい思いをした柳瀬だが、残留をかけた大一番で先発に復帰し立石宗悟 (法4・桐蔭学園)と2トップを形成。4−4−2でのスタートとなった。

帰ってきた柳瀬
試合前のコイントスで、慶大の主将・田中雄大(商4・成城学園/三菱養和SCユース)はコートチェンジを選択。後半勝負を見込んだのか、前半は太陽のある眩しい向きへ攻めることとなった。

1年間主将を務めた田中
試合は長いボールからの前進を狙う東国大と自陣からのビルドアップで前進を狙う慶大という構図に。お互いに決定機がなかなか生まれない中で先にチャンスを作ったのは慶大。16分、角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース)のサイドチェンジから前進すると、斎藤大雅(文3・立命館宇治/京都サンガF.C.U-18)のフィードから抜け出したのは柳瀬。ペナルティエリア内から左足でシュートを放つも惜しくも枠外に外れる。
この試合最初の決定機を作った慶大だったが、その後は東国大ペースの時間が続くことに。21分には自陣深くで与えたFKからゴール前へボールを入れられヒヤッとする場面を作られるも、ゴール左へ逸れる。押し込まれる要因となったのはロングボール対応の危うさ。日光と重なることもありボールが見づらい中での処理を強いられたことで、ダイレクトで弾き返せずにバウンドさせてしまうなど苦しい対応が続く。それでも大下崚太(商4・慶應/東京ヴェルディユース)、斎藤大の両CBを中心に対応していく。

精神的支柱とも言える大下
すると前半終了間際、左サイドから角田が左足でクロスを供給。相手GKとDFの間を抜く絶妙なボールも、惜しくも合わせるには至らず。前半は0−0で折り返した。

スタメンの続くオノノジュ
後半は日差しの向きも有利になり、押し込んでいきたいところだったが、キックオフ直後に先制を許す。左サイドでボールを失うとカウンターを浴びることに。一度はボールを奪ったものの、中盤で奪い返されると最後はこぼれ球を流し込まれ失点。後半開始44秒、集中して後半戦に入ることが求められる中で痛恨の失点となった。

後半早々失点を許す
このまま敗戦すると他会場の結果次第では自動降格となる可能性も残されている慶大は、55分に清水皇貴(経4・三田学園)、59分には辻野悠河(商4・暁星国際)と、4年生の2人を投入し、慣れ親しんだ3トップにシステムを変更し巻き返しを図る。

便利屋・辻野を投入
すると迎えた68分。斎藤雅のフィードのこぼれ球が清水へ渡ると、左足を振り抜いたシュートはゴール右隅へ吸い込まれる。途中出場の4年生が現役最後のリーグ戦の試合で、自身1部初ゴールとなる得点を奪ってみせた。

清水のゴールで同点
4年生の大仕事に沸き立つスタンドとともに。慶大は自力残留を決めるため逆転を目指すも、なかなかゴールをこじ開けられない時間が続く。一方守備では、80分、相手の放ったGKから離れていく軌道の難しいシュートを洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース)が横っ飛びで弾く好守を見せるなど、集中した対応を見せ同点のまま試合はアディショナルタイムへ突入する。

洪の攻守が光る
攻勢を強める慶大は、終了間際にチャンスを作る。94分、角田の左足のクロスに、ゴール前の3人が反応するも、ボールはGKにキャッチされ得点とはならず。さらに96分にも角田が左足でクロスを上げるも、これまたボールはGKの手の中へ吸い込まれた。

久々の出場となった村井
このプレーがラストプレーとなり、試合は1−1で終了。慶大は自動降格を免れることとなった一方で、残留の行方は入替戦にもつれ込むこととなった。

勝負は法大戦へ
4年生にとって最後の試合は「大学サッカーの聖地」とも呼ばれる西が丘で残留をかけた入替戦となった。4年生の代の始まりは入替戦での悲劇だった。1部復帰を目指したシーズンも苦戦続きで2部残留をかけた入替戦に臨むことになると、終了間際の2失点でまさかの3部降格を味わうことに。それでも戦い続け、1年後には同じ地での入替戦を制し2部昇格、昨季は2部優勝で1部昇格と這い上がってきた選手たちである。3年前からの成長を見せるため、1部の舞台を下級生に残すため、入替戦に勝利し、西が丘で若き血を響かせたい。
(記事:首頭千紘 取材:愛宕百華、重吉咲弥、塩田隆貴、小野寺叶翔、甲大悟、髙木謙、首頭千紘)
◇清水皇貴(経4・三田学園)
ーー勝てば残留が決まる、一方で負ければ自動降格もあるという難しい試合だったと思いますが、今週1週間どんな過ごし方をされてきましたか?
勝ったら残留というところだったので、勝つことだけを目指してチーム全員で準備をしてきました。
ーー1点ビハインドという状況での出場となりましたが、どんな思いでピッチに入りましたか?
勝てば残留というところだったので、なんとしてでも同点に追いついて追い越して勝つというところに自分が関わるということを考えて入りました。
ーー同点ゴールを振り返って
うまくいっていない時間がずっと続いていたので、自分のゴールから流れを変えてもう1点取るぞという形にしたいと思っていました。
ーーご自身のゴールは
関東リーグでは初です。
ーー法政大学との入替戦が残ることとなりましたが、どんな思いで最後の1週間を過ごしますか?
みんなで練習して試合に出るという期間が伸びたので、それをプラスに捉えて全員でいい準備をして絶対に勝ちたいと思います。
◇中町公祐監督
--今日の試合を振り返って
最低限プレーオフに進めたとはいえ、厳しいシチュエーションの中で迎えた試合で、難しいゲームでした。
--怪我から復帰した柳瀬選手、同点ゴールを決めた清水選手など4年生が躍動。選考の決め手は
もちろん、彼らの4年生としての意地という部分にも期待はしていましたが、選考基準という部分で言うと、学年云々ではなく、シンプルにコンディションが良くて実力の高い選手を送り込んだという形です。
--同点弾後もチャンスを作ったが、あと1歩ゴールには及ばなかった。ゴールを奪うには何が必要か
前期リーグ戦で大量失点を喫し、勝ち点を積み上げられなかったことが頭にこびり付いていているのだと思います。失点をを減らそうとする分、攻撃的なサッカーとの乖離が生まれてしまうというのは自然な現象です。ただ、後期は攻守のバランスを均衡させることが出来ていたので、もう1度攻撃のタイミング、パワー、エネルギーの部分を整理して最後の試合に臨みたいです。
--入替戦に向けて
今年のチームでもう1試合サッカーができるという幸運を噛み締めて、しっかり残留を決めたいと思います。


