秋季対抗戦最終節。慶大は今季ここまで4勝2敗の帝京大を相手に迎えた。キーヴァーブラッドリー京(総2・常翔学園)や草薙拓海(政1・桐蔭学園)が今季初スタメンを任され、期待が寄せられた。
前半からBK陣のキックを活用し敵陣に攻め込むも、堅牢な相手ディフェンスにペナルティを誘われ、なかなか得点に結びつけることはできないまま慶大ディフェンスの壁を破られ、0-26で前半を終える。
後半からCTBに副将・山本大悟(環4・常翔学園)を投入した慶大。先制は再び帝京大に許したが、10分には22m付近でのラインアウトからモールで押し、その後山本がビックゲイン。そして後ろにいた申驥世(文1・桐蔭学園)がトライエリアに飛び込んだ。7-38で迎えた20分には途中からFBに回った伊吹央(経4・慶應)がボールを受けてからディフェンスの隙を縫いトライ。12-38と追い上げを見せる。帝京大の壁は高く、次に訪れた慶大のチャンスは終了間際の44分、左サイドへのロングパスが石垣慎之介(政4・慶應志木)に通り、石垣がトライを決めた。全員で繋げた得点であったが、小林祐貴(政1・慶應)のコンバージョン後にノーサイド。
最終節は悔しい敗戦となったが、「日本一」に向け蹴球部は歩みを止めない。
2025年11月30日(日)関東大学対抗戦 対帝京大学 @熊谷ラグビー場
●慶大 19{0-26、19―24}50 帝京大○
関東大学対抗戦 | ||||
慶應義塾大学 | 2025/11/30(日) | 帝京大学 | ||
前半 | 後半 | 前半 | 後半 | |
0 | 3 | トライ(T) | 4 | 4 |
0 | 2 | コンバージョン(G) | 3 | 2 |
0 | 0 | ペナルティゴール(PG) | 0 | 0 |
0 | 0 | ドロップゴール(DG) | 0 | 0 |
0 | 19 | 計 | 26 | 24 |
19 | 合計 | 50 | ||
|
後半11分 申(T) 後半12分 小林(G) 後半20分 伊吹(T) 後半44分 石垣(T) 後半45分 小林(G) | 得点者 | 前半9分 呉山(T) 前半11分 大町(G) 前半18分 生田(T) 前半19分 大町(G) 前半29分 吉田有(T) 前半30分 大町(G) 前半34分 吉田有(T) 後半3分 生田(T) 後半4分 大町(G) 後半13分 フィシプナ(T) 後半30分 生田(T) 後半31分 大町(G) 後半39分 日隈(T) | ||
慶應義塾大学 | ||||
# | 氏名 | 身長(cm)/体重(kg) | 学部学年 | 出身校 |
1 | 井吹 勇吾 | 175/100 | 環2 | 桐蔭学園 |
2 | 藤森 貴大 | 173/102 | 経3 | 慶應 |
3 | 中谷 太星 | 180/115 | 環2 | 東福岡 |
4 | 西野 誠一朗 | 184/92 | 法1 | 桐蔭学園 |
5 | キーヴァー ブラッドリー京 | 182/90 | 総2 | 常翔学園 |
6 | 恩田 優一郎 | 175/100 | 政3 | 慶應 |
7 | 申 驥世 | 175/93 | 文1 | 桐蔭学園 |
8 | 中野 誠章 | 176/107 | 文2 | 桐蔭学園 |
9 | 橋本 弾介 | 169/76 | 法4 | 慶應 |
10 | 小林 祐貴 | 168/75 | 政1 | 慶應 |
11 | 草薙 拓海 | 177/87 | 政1 | 桐蔭学園 |
12 | 今野 椋平 | 183/90 | 環4 | 桐蔭学園 |
13 | 安西 良太郎 | 180/84 | 商1 | 慶應 |
14 | 伊吹 央 | 176/81 | 経4 | 慶應 |
15 | 田村 優太郎 | 174/80 | 総2 | 茗溪学園 |
16 | 渥美 和政 | 173/103 | 経4 | 慶應 |
17 | 西澤 賢佑 | 178/109 | 文4 | 膳所 |
18 | 廣瀬 宇一朗 | 180/111 | 環2 | 桐蔭学園 |
19 | 岩垂 樹希 | 177/99 | 政4 | 慶應 |
20 | 持木 太心 | 180/95 | 総2 | 桐蔭学園 |
21 | 森 航希 | 170/75 | 環3 | 桐蔭学園 |
22 | 山本 大悟 | 174/85 | 環4 | 常翔学園 |
23 | 石垣 慎之介 | 176/82 | 政4 | 慶應志木 |
帝京大学 | ||||
# | 氏名 | 身長(cm)/体重(kg) | 学部学年 | 出身校 |
1 | 上野 凌大 | 181/114 | 医療2 | 大阪桐蔭 |
2 | 梶川 尚能 | 172/100 | 医療3 | 大阪桐蔭 |
3 | 森山 飛翔 | 180/109 | 医療3 | 京都成章 |
4 | 坪根 章晃 | 185/105 | 医療2 | 東福岡 |
5 | アントニオ フィシプナ | 192/115 | 医療1 | 青森山田 |
6 | 呉山 史桃 | 190/90 | 医療3 | 大阪桐蔭 |
7 | 河村 ノエル | 175/87 | 教育4 | 大阪桐蔭 |
8 | カイサ ダウナカマカマ | 184/115 | 医療3 | 大分東明 |
9 | 三田村 喜斗 | 169/75 | 医療2 | 流経大柏 |
10 | 本橋 尭也 | 181/88 | 医療3 | 京都成章 |
11 | 生田 弦己 | 170/82 | 医療4 | 御所実業 |
12 | 大町 佳生 | 173/80 | 教育4 | 長崎北陽台 |
13 | 佐藤 颯斗 | 180/87 | 医療2 | 尾道 |
14 | 吉田 有佑 | 185/89 | 経済3 | 成城学園 |
15 | 吉田 琉生 | 176/85 | 医療1 | 東海大仰星 |
16 | 三浦 楓太 | 177/106 | 医療1 | 秋田工業 |
17 | 遠藤 廉士 | 183/108 | 経済3 | 熊本工業 |
18 | 佐藤 蒼 | 177/123 | 医療3 | 國學院大學栃木 |
19 | 鈴木 彪馬 | 182/103 | 医療3 | 御所実業 |
20 | 祝原 久温 | 180/110 | 医療1 | 石見智翠館 |
21 | 山本 晴大 | 162/72 | 医療4 | 御所実業 |
22 | 高本 とわ | 176/79 | 医療3 | 東福岡 |
23 | 日隈 太陽 | 186/92 | 医療4 | 大分東明 |
2025年の関東大学対抗戦も最終節を迎え、慶大は第6節終了時点で5位が確定。12月の大学選手権出場を手にしつつ、暫定4位の帝京大学との一戦に臨んだ。
今季の慶大は主将・今野を中心とした堅守を武器に成長を遂げてきたが、前節・早慶戦では7トライを許して敗北。それでも後半30分まで14点差に迫るなど、攻守で光る時間帯もあった。

今節の先発は1年生が5人とフレッシュな構成。前節のFL申、LO西野、SO小林、CTB安西に、今節ではWTBに草薙がスタメン入り。FWでは石垣、BKでは副将・山本ら頼れる4年生が前節に引き続きベンチ入りを果たした。秋季最終節の帝京大戦では、相手の強力FWに対しまずはディフェンスで主導権を握り、ロースコアの展開に持ち込みたい一戦だ。

帝京大ボールでキックオフ。序盤はキックを多用しながら陣地を回復する慶大と、力強いキャリーで前進する帝京大という構図に。2分にはSO小林のキックが相手の反則を誘うなど、狙い通りの場面をつくっていく。しかし9分、キックが小さくなったところをハーフウェイラインあたりで拾われると、相手のフィジカルに押され前進を許し、最後は大外からのトライで先制点を与えてしまう。
早い段階で追い付きたい慶大は、13分にラインアウトを得るもノットストレートで惜しくも好機を逃す。このプレーで相手ボールのスクラムとなったが、慶大の平均体重を4㌔以上も上回る帝京大に対して力強く押し込んでいくと、相手の反則を誘い、再び5mラインアウトのチャンス。しかし、ここもボールを取ることができず、トライまでつなげることができない。

すると18分、一瞬の隙を突いた相手WTBに中央を突破されると、そのままゴールラインまで運ばれ、0―14とリードを拡げられる。これ以上失点したくない慶大だったが、29分、34分にもトライを許す厳しい状況に。

前半終了間際は得意のラインアウトモールにBK陣も加わるも、帝京大の硬い守りをこじ開けることはできない。最後は10フェーズにまで及ぶ攻撃を展開したがトライには至らず、前半を0―26とビハインドで終える。

後半開始直後、慶大は相手SH田村にラックサイドを突かれ大きくゲインを許す。続くスクラムでもペナルティを献上し、防御が整わないまま右サイドへ展開され5本目のトライを奪われた。苦しい立ち上がりとなった。
それでも、ここから慶大らしさが戻る。帝京大の精度が落ち始めた後半8分、相手のペナルティで敵陣左ラインアウトを得る。
後方でボールを確保すると、CTB山本が縦へカットイン。オフロードを受けたFL申がインゴールへ飛び込み、待望の今試合初トライ。SO小林のキックも決まり、7―33とした。

続く時間帯、ワイド展開から帝京LO陣に再び突破を許し6本目のトライを喫したが、慶大も食らいつく。後半20分、帝京大の反則から再び敵陣へ。ラインアウトからテンポよく3次攻撃までつなぐと、スペースへ走り込んだWTB伊吹が鋭いステップで守備網を突破。スピードとスキルを生かしたトライで12―38と追い上げる。

終了間際には、帝京大のペナルティから素早く再開。途中出場のWTB石垣が左サイドで相手を振り切り独走。4年生として意地のトライを挙げた。しかし反撃もここまで。帝京大が最後まで攻撃の強度を落とさず、19―50でノーサイドとなった。

前半の大差が重くのしかかった。「取り切る帝京、取り切れない慶應」という構図が顕著となったこの試合。慶大は序盤からキックでエリアを確保しチャンスを作ったが、セットプレーのミスや帝京大のモールディフェンスに阻まれ得点には結びつかず。対して帝京大は体格差を生かし、倒れ際のオフロードや素早い2次展開で前進を繰り返し、慶大は防御ラインを整える前に外へ振られてしまった。
後半はキックの回数を減らしてボールを動かし、山本・石垣ら4年生を中心に攻撃の流れをつくり3トライを奪取。FWも最後まで粘り強くタックルに入り、ブレイクダウンで圧力をかけ続けた。スクラムは苦しい場面が多かったが、ラインアウトは改善の兆しが見られた。
MIPには1年生FL申が選出。攻守で存在感を示し、チームの新戦力として更なる勢いをチームにもたらした。

慶大は2週間後、大学選手権3回戦で関西2位・京都産業大学と対戦する。会場は、東大阪市花園ラグビー場。ここからは負ければ終わりの一発勝負。一路西へ、「日本一」を掲げてきた第126代・今野キャプテン率いるチームが、もう一度秩父宮へ戻るための新たな戦いが始まる。
以下、試合後インタビュー↓↓
⭐️MIPに選出された申選手
--今季最終戦となった。この試合に向けての準備と、試合の結果を振り返って
準備は、自分たちのプランとして裏に蹴ってテリトリーで優位に進めることと、相手の接点が強い分、そこに対してダブルタックルで2対1でしっかり返すというところを練習していました。
ですが、思ったより相手のプレッシャーが強くて、そこで受けてしまった部分がありました。先手を取らないといけないのに、後手後手に回ってしまったなと思っています。
--MIPインタビューで「自分たちのラグビーができなかった」と話されていたが、具体的に何が足りていなかったか
先ほどと少し重なりますが、自分たちの接点のところ、ディフェンスでのタックルの場面で、一人ではなく二人でコネクトして、しっかり返すディフェンスができなかったという点があります。本来であれば、自分たちがもっとチャレンジしてアクションを起こさなければいけないのに、相手に任せてしまい、主導権を握られた試合になってしまった、というところです。
--MIPの感想、トライの感触
MIPはそんなに意識していなくて、どちらかというと今日は自分的に悪いプレーが多かったなと振り返っています。特にディフェンスのところで、もっとコネクトして、しっかり守ることを意識しなければいけなかったと感じています。
トライに関しては、大悟さん(山本)が抜けて、自分は練習の時からあそこにサポートで付くことを意識していたので、そこが結果として形になったのは良かったなと思っています。
--大学選手権に向けて
もうここからは、どっちにしろ自分たちはチャレンジャーなので、自分たちでできることは多くないと思います。その少ないできることを貫いてやり続けることを、チーム全員で意識し続けて、あとはそれを出し切るだけだと思っています。
⭐️全試合フル出場の主将今野選手
--対抗戦を振り返って
昨年とか例年と比べて一試合ごとの成長が感じられるシーズンでした。最後、今日の帝京戦で自分たちの課題が浮き彫りになったので、選手権も次負けたら自分たちの代が終わってしまう。標準を合わせて試合に向かいたいです。
--今季最終戦となった。この試合に向けての準備と、試合の結果を振り返って
早慶戦が終わって、1週間しかない中で、自分たちができる限りの準備をしたと思っていたけど、想定を上回る帝京さんの圧力とプレッシャーに圧倒されてしまいました。
準備のところでは帝京を分析していつもと違うプランを用意していたけど、80分間クオリティ高くプランを実行することができませんでした。
--キックゲームを仕掛けたが陣地が取れなかった。 要因は
相手に直接キャッチさせてしまうようなキックが多かったことと、BKでのコミュニケーションが少なく、セイムページを統一できていなかったことです。
--次戦に向けて
選手権は敗退したらもう終わってしまうので濃い内容を準備することと目標は日本一なので成長し続けることを忘れず一戦一戦勝ちに行きたいと思います。
⭐️トライを記録した伊吹選手
--4年生である伊吹さんにとって最後の対抗戦。どのような思いでピッチに立ったか
4年間、対抗戦に出ることを目標として頑張ってきたノンメンバーの4年生たちの想いを胸にプレーしようと思っていました。ピッチで歌う塾歌も最後だったので、噛み締めていました。
--今季最終戦となった。この試合に向けての準備と、試合の結果を振り返って
この試合に向けて、個人的には体のコンディションやメンタルの準備が難しかった1週間でした。結果から見ても、準備の段階でチームとしても足りていなかったと反省しています。チャレンジャーとして自分たちがやりたいラグビーを帝京大学さんにやられてしまった印象でした。
--大外の粘り強いディフェンス、ランではトライもあげた。ご自身のプレーを振り返って
ディフェンスの面では、相手の多彩なアタックに対してなかなか前に出れず、受けに回ってしまい、試合中に修正しきれなかったのが反省です。アタックでは途中からFBに移動し、得意としているランコースで久しぶりにトライができましたが、総じてもっと精度を上げていきたいという印象です。
--大学選手権に向けて
負けたらシーズンが終わる試合が続くので、一戦一戦しっかり準備して、日本一に向かって行きたいです。
早大 | 帝京大 | 明大 | 慶大 | 青学大 | 筑波大 | 立大 | 日体大 | 勝 | 分 | 負 | 勝点 | |
早大 | ⚫︎ 20-25 2T2G1PG1DG | 12/7 14:00 国立 | ◯ 49-21 7T7G | ◯ 59-12 10T3G1PG | ◯ 39-13 5T4G2PG | ◯ 78-0 12T9G | ◯ 59-7 9T7G | 5 | 0 | 1 | 32 | |
帝京大 | ◯ 25-20 3T2G2PG | ⚫︎ 17-21 2T2G1PG | ◯ 50-19 8T5G | ◯ 62-7 10T6G | ⚫︎ 14-18 2T2G | ◯ 48-21 8T4G | ◯ 113-7 17T14G | 5 | 0 | 2 | 33 | |
明大 | 12/7 14:00 国立 | ◯ 21-17 2T2G1PT | ◯ 24-22 4T2G | ◯ 91-7 13T13G | ⚫︎ 24-28 4T2G | ◯ 76-7 12T8G | ◯ 43-12 7T4G | 5 | 0 | 1 | 30 | |
慶大 | ⚫︎ 21-49 3T3G | ⚫︎ 19-50 3T2G | ⚫︎ 22-24 3T2G1PG | ◯ 32-18 4T3G2PG | ⚫︎ 12-21 2T1G | ◯ 61-5 11T3G | ◯ 45-17 6T4G1PT | 3 | 0 | 4 | 22 | |
青学大 | ⚫︎ 12-59 2T1G | ⚫︎ 7-62 1T1G | ⚫︎ 7-91 1T1G | ⚫︎ 18-32 2T1G2PG | 12/6 14:00 熊谷B | ◯ 40-31 6T5G | ⚫︎ 21-26 3T3G | 1 | 0 | 5 | 11 | |
筑波大 | ⚫︎ 13-39 1T1G2PG | ◯ 18-14 3T1PG | ◯ 28-24 4T4G | ◯ 21-12 3T3G | 12/6 14:00 熊谷B | ◯ 64-3 10T7G | ◯ 99-7 14T11G1PT | 5 | 0 | 1 | 28 | |
立大 | ⚫︎ 0-78 | ⚫︎ 21-48 3T3G | ⚫︎ 7-76 1T1G | ⚫︎ 5-61 1T | ⚫︎ 31-40 5T3G | ⚫︎ 3-64 1PG | 12/6 11:30 熊谷B | 0 | 0 | 5 | 6 | |
日体大 | ⚫︎ 7-59 1T1G | ⚫︎ 7-113 1T1G | ⚫︎ 12-43 2T1G | ⚫︎ 17-45 3T1G | ◯ 26-21 4T3G | ⚫︎ 7-99 1T1G | 12/6 11:30 熊谷B | 1 | 0 | 5 | 10 | |
◎勝ち点の多い順に順位決定を行う。 ・勝ち:5、引分:3、負け:1、不戦勝:6点、不戦敗:0点、不成立:3点 ・負けても 7 点差以内ならば、勝ち点 1を追加。 ・3トライ差以上での勝ちならば、勝ち点1を追加。 | ||||||||||||
(取材:塩田隆貴、島森沙奈美、竹腰環、月井遥香、神谷直樹、柄澤晃希、髙木謙)

