長丁場のリーグ戦も遂に佳境を迎えつつある。14日目の対戦相手は法政大。一巡目では白星を奪い取ることが出来た相手だが、決して油断することは許されない。苦手な相手であるにも関わらず、チーム一丸となって相手に総合力を見せ付けた。ゲームの入りがスムーズでなかった等の反省点は露呈してしまった一方で、コート・ベンチの選手が一人ひとりの役割を遂行して大差でライバルを圧倒。更なる高みへと挑戦する上で重要な一勝を、この日も手堅く守り抜いた。
2013/10/13(日)@日本体育大学世田谷キャンパス | |||||
第89回関東大学バスケットボールリーグ戦2部 14日目 vs法大 | |||||
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 | |
慶大 | 24 | 22 | 33 | 22 | 99 |
法大 | 18 | 21 | 13 | 17 | 69 |
◆慶大スターティングメンバー◆ | |||||
PG | #16 伊藤良太(環3・洛南高) | ||||
SG | #21 西戸良(総1・洛南高) | ||||
SF | #14 大元孝文(環2・洛南高) | ||||
PF | #4 蛯名涼主将(法4・洛南高) | ||||
C | #23 黒木亮(環2・延岡学園高) | ||||
◆主要選手スタッツ(背番号/選手名/成績)◆ | |||||
#16 伊藤良太:31得点 #21 西戸良:12得点 #13 吉川治瑛:10得点 #23 黒木亮:10得点、8リバウンド |
慶大ボールで幕を開けた第一ピリオド。序盤から相手を圧倒したい慶大であったが、「ゲームの入り」という課題に足を引っ張られて上手く流れに乗れない。ディフェンスの綻びを割られ、またリバウンドを取りきることが出来ず、立て続けに痛い失点を被ってしまう。もどかしい状況を打開したのは絶対的なスコアラー・伊藤だった。「今日は個人で打開できた」と語る通り、果敢なプレーで容赦ないディフェンスからバスカンを奪取。このプレーが慶大に火をつけ、西戸の高精度なミドルシュートや権田隆人(政3・慶應高)・黒木のリバウンドが次々と飛び出す展開に。その後もガード陣の勢いは止まらず、慶大のお家芸である速攻で地道に得点を積み重ねていく。西戸のオフェンスリバウンドが生んだセカンドチャンスに伊藤がスリーで応え、6点のリードでこのQを締めた。 続く2Qも伊藤・西戸を軸に走るバスケットを繰り広げる。ダブルチーム等で厳しく慶大のオフェンスを阻む相手に屈することなく、頭を使ったパスワークで法大を攻略。フリーになった伊藤が正確無比なスリーポイントを連続で沈め、チームの士気を一層高めた。終始ゲームの主導権を慶大が握ってはいたものの、終盤で若干雲行きが怪しくなり始める。「ディフェンスやリバウンドが相手に簡単にやられすぎたのが原因」(権田)で、リズムを狂わされ、思うようなプレーを封じられてしまう慶大。このQは得意のトランジションバスケットも鳴りを潜め、一進一退の攻防を見せた末に44-39で終了。一定の点差を保ったまま、先行きの見えない試合は後半へと折り返す。
勝負所の3Qに突入すると、慶大の勢いは息を吹き返した。大元のタフショットが決まると呼応するかのように伊藤・西戸が積極的にリングを狙い、相手を脅かす。慶大を流れに乗せまいとファールゲームに走る法大に臆することなく、全員がリバウンドに絡む等、泥臭い肉弾戦を選んで応戦する選手たち。慶大の勢いを更に加速させたのは、残り時間4分で投入された吉川治瑛(環3・世田谷学園高)だった。伊藤のアシストをきっちりと得点に結びつけると、今度は権田へのアシストを生み出して会場を沸かせた。極め付けにトップから一対一を仕掛け、見事なフェイドアウェイを披露。吉川の一連の活躍で会場のボルテージは最高潮に。興奮冷めやらぬ中、25点にまで点差を広げてこのQは幕を閉じた。 最終ピリオドではサブメンバーが躍動。上級生主体のメンバーで臨んだ4Qの序盤は、派手なプレーこそ少なかったものの、終始落ち着いたゲーム運びで得点を量産する。平石健斗(環4・慶應高)が高身長の相手からスクープショットを決めると、矢嶋瞭(総4・福大大濠高)もレイアップとスリーを確実に沈め、四年生の存在感を発揮。法大に反撃の余地を与えず、更に勢いに乗ると下級生も見せ場を作る。大元は持ち味のバネを駆使してダンクショットを試み、成功とはならなかったものの観客を大いに盛り上げた。復帰を果たした真木達(環2・国学院久我山高)もアグレッシブなプレーでチームを鼓舞。試合終了間際に真木のアシストを長命祐樹(経4・慶應高)が受け止め、バックシュートに繋げた。最終的には30点差にまで強敵を引き離し、昨シーズンからの進歩を見せ付けてこの一戦を締めくくった。
リーグ戦も残すところあとわずか。この日の勝利で入れ替え戦という大一番への切符を慶大は手にした。ゲームの入りこそスムーズには行かなかったが、「ディフェンスはある程度機能している」(佐々木HC)という言葉通り、一貫して慶大らしい堅守速攻のプレーが実現される、良い内容の一戦となった。「先を見据えてやっていくことは大事だが、本当に一戦一戦やることも大事」と伊藤が語るように、更なる高みを意識しつつも堅実に結果を積み重ねることが期待される。現在14連勝。勢いを維持したまま、全勝で入れ替え戦以降に突入することを願ってやまない。
(記事・埜村 亮太)
◆試合後コメント◆
佐々木三男HC
試合の入りがあれじゃあ心配ですね。でもディフェンスはある程度機能している部分もありました。自分たちのペースで出来ると気が抜けちゃうんですよね。そこらへんがまだ修正できていないですよね。あと悪い流れを断ち切れたのは、伊藤がああやって頑張ったからです。それで助けられてますかね。(法政大のディフェンスに苦しめられたことについて)選手たちは考えていないんですよね。自分たちのすることを。感覚的にやっている訳です。蛯名は体の使い方が分かっているからインサイドを割れるけど、体の当たりが強くない人はそれをやっちゃいけないんです。それは練習でも言っていることです。フィジカルが強くない選手はインサイドに入っちゃいけないんです。ディフェンスを中に寄せてサイドを空けさせる、といったことを練習通りにやるべきなんです。(サブメンバーの起用について)今のスターターに限界があります。ということは控えの選手が今のスターターを少なくとも二人は引きずり落とさないとチーム力が上がりません。 (インカレなどを見据えた今後の抱負は)もう少しチームの精度を上げて、練習は悪くない練習をしているから、それにさっき言ったようなことをプラスして進化していくこと。それが課題ですね。四連敗しなければ二着は取れるはずなので。入れ替え戦で勝つことだけが我々の目標じゃないですし。一応インカレで優勝することを目標にしているチームなので。
[G]伊藤良太(環3・洛南高)
(試合を振り返って)一試合を通して僕たちのディフェンスで速攻を出すということをあきらめずにやり続けて、最終的にあの点差になったのはよかったと思うんですけど、やっぱり前半ゾーンに対してみんな受け身になってしまったので、そういう時にガードとして他の4人を動かせることができればもっと良かったんですけど、今日は個人で打開することはできたのでまた良かったと思います。(法政への対策は)基本相手はゾーンディフェンスを敷いてくると思うんで、そのゾーンディフェンスに対してオフェンスリバウンドに飛び込むことを意識することと、あいだにしっかりとオフェンスを立ててそこにボールを入れて周りが動くということを意識しながら今日は展開しました。(3Q引き離せた要因は)本当にそれはディフェンスだと思います。ディフェンスを僕たちが前からプレッシャーを与えて、相手も多分前半から苦しんでいて疲れてきたと思うんで、そこでみんなが走れて点差が開いたと思います。(シュートタッチがよかったが)法政戦ゾーンで来ることはわかっていたので、外からシュートを決めるということはずっと前から意識していて、1本打ったシュートがすごいいいタッチで打てたので、それで空いていたらしっかり打とうということは意識してやりました。(入れ替え戦の進出が決まり、来週勝てば優勝ということに対して)先を見据えてやっていくことは大事なんですけど、本当に一戦一戦やることも大事ですし、練習を一つ一つやっていくことも大事だと思うんで、チームとしても個人としても練習から向上心をもってやって、来週の日大と国士舘にしっかりと勝って全勝で入れ替え戦にいきたいと思うんで、頑張っていきたいと思います。
[F]権田隆人(政3・慶應高)
(入れ替え戦出場決定に関して)一部に上がりたいということを今まで目標としてやってきていたので、それが近づいたということはうれしいことだと思いますし、また短期の目標として全勝優勝というのを目指しているので、今日の一勝は大きいですけどまだ4試合あるので気が抜けない戦いが続くと思います。でもとりあえず今日のことはとてもよかったと思います。(今日の試合を振り返ってみて)一戦目はなかなか点差も離せなくて難しい試合でしたし春も全然勝てなくて相性の悪いチームだっていうのは分かっていたんですけど、でも今日みたいにいい形で30点差つけられましたし、自分たちがやりたいこともうまく発揮できたのですごくいい試合だったと思います。(2Qでの相手の追い上げに関して)自分たちがやらないといけないディフェンスやリバウンドが相手に簡単にやられすぎたのが原因になったと思うので、蛯名さんも先生も言っていたんですけど、ディフェンスリバウンドをもう一回しっかりやろうということを意識していました。(3Q関して)ディフェンス、リバウンドが自分たちの中で大切なところであるので、それができたのがあの結果につながったと思います。あと走ること、速攻というのが自分たちの持ち味だと思うので、あれだけ試合中イージーに出せたのはすごくよかったと思います。(試合に出て意識していること)僕はわりといろんなポジションで出させていただくことが多いので、バランスをうまくとること、あとはどのポジションに関しても言える走ることや、ディフェンスなどを常に意識しています。(来週に向けて)日大、国士舘という今2位、3位と強いチームだと思うので、何としても来週二連勝して、全勝優勝に向けていいはずみになると思うので頑張りたいと思っています。そのためにも自分たちがやりたいディフェンスやリバウンドでも貢献していきたいと思います。
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