9月13日(日)東京六大学野球秋季リーグ戦 立大2回戦
劇的な幕開けで始まった秋季リーグ戦。今日も慶大は昨日の流れに乗って、序盤に谷田成吾(商4)の3ランなどで4点を先行した。しかし4回に先発・亀井倫太朗(商2)が手痛い一発を食らい、3失点。5回に同点に追いつかれて迎えた9回、4番手・加藤拓也(政3)が豊村にサヨナラ弾を浴び、1勝1敗のタイに持ち込まれてしまった。
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
慶大 | 0 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 |
立大 | 0 | 0 | 0 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1× | 5 |
立大:田村、○齋藤俊―松本
慶大:亀井、小原大、三宮、●加藤拓―小笠原
◆慶大出場選手
| ポジション | 選手名(学部学年・出身高校) |
1 | [6] | 山本泰寛(環4・慶應義塾) |
2 | [8] | 梅野魁土(環4・福岡大大濠) |
3 | [5] | 横尾俊建(総4・日大三) |
4 | [9] | 谷田成吾(商4・慶應義塾) |
5 | [7] | 山口翔大(環3・桐光学園) |
6 | [3] | 沓掛祥和(商3・慶應義塾) |
7 | [2] | 小笠原知弘(環4・智辯和歌山) |
8 | [4] | 北村祐樹(商4・丸亀) |
| 1 | 加藤拓也(政3・慶應義塾) |
9 | [1] | 亀井倫太朗(商2・慶應義塾) |
| 1 | 小原大樹(環3・花巻東) |
| 1 | 三宮舜(商4・慶應義塾) |
| 4 | 川崎晃佑(環3・智辯和歌山) |
4点差をひっくり返し、奇跡的なサヨナラ勝利から一夜明けて迎えた立大との2回戦。慶大の先発を任されたのは亀井。この試合がリーグ戦初先発。大舞台での初先発にも動じず、3回まで立大打線をヒット1本に抑える好投を見せる。
一方立大の先発は田村。この夏にはオールスターにも選出されるなど立大の投手陣の中では中心的存在だ。その田村から慶大は2回チャンスをつかむ。先頭の山口翔大(環3)が7球粘って四球で出塁すると、続く沓掛祥和(商3)はきっちりと犠打を決めて1死二塁とする。打席には好調の小笠原知弘(環4)。ここは小笠原がきっちりとレフトへはじき返して、昨日に続いてのタイムリーでまずは1点を取る。3回、田村が制球に苦しむ。先頭の山本泰寛(環4)にストレートの四球、横尾俊健(総4)にも9球粘られて四球を与える。この好機に迎えるは昨日のヒーロー・谷田。2ストライクと追い込まれたが、5球目を見事に仕留めてスタンドイン。谷田の2試合連続となるリーグ通算12号3ラン(2試合連続は14年秋の東大戦以来)で3点を追加して慶大の勝利を一気に手繰り寄せたかに見えた。
しかし4回。今度は亀井の制球が定まらない。先頭佐藤拓に四球、寺田にも死球を与えてピンチを迎えることに。ここでバッターは昨日本塁打を含む5打点と大暴れした笠松の登場。初球こそボールになるものの、2ストライク1ボールと追い込むことに成功。だが4球目の甘い球を笠松は見逃さなかった。ふらっと上がった打球はぐんぐん伸びてレフトスタンドに運ばれてしまった。先発・亀井がノックアウトされて、2番手小原大樹(環3)がマウンドに上がった。小原大も安打と四球などで再び2死一・二塁のピンチを迎えるが、ここは松本を6-4-3の併殺打に切って取り、リリーフに成功する。
一方打線は田村に代わって登板した立大の2番手・齋藤俊を打ち崩し切れない。4回に亀井、山本泰の連続安打で2死一・二塁の好機も生かし切れない。その後は齋藤俊のキレ味抜群の変化球に慶大打線は手が出ず、チャンスの糸口すらつかめない。
これで試合の流れは完全に立大に傾く。5回、好リリーフを見せた小原大が先頭・大城の二塁打などで1死三塁のピンチを再び迎えると、佐藤拓にはレフトオーバーの適時二塁打を打たれ、この回あっさり同点に追いつかれてしまう。6回、3イニング目に入った小原大は、下位打線を3人で抑える。小原大の後を受けて投げた3番手・三宮舜(商4)も7回を3人で抑えて攻撃へのリズムを作る。
そしてゲームは終盤8回。立大は5イニング目となる齋藤俊を続投させると、慶大は1死からオープン戦絶好調だった山口が二塁打で出塁すると、小笠原が四球で繋いで、齋藤俊から今日最大のチャンスを作る。ここで昨日2安打を放つも、この日はここまで出塁ができていない北村(商4)に打順が回る。この場面も齋藤俊のボール気味の球に手が出てしまい、空振り三振に切って取られる。
慶大は8回から絶対的エース・加藤拓がマウンドに上がる。昨日ほどの速さはないものの、持ち前の力強い球で相手をねじ伏せていく。またバックも加藤拓を盛り立てる。四球で背負ったランナーを女房役・小笠原が盗塁を阻止する。しかしドラマは9回に待っていた。
9回表、三者凡退で攻撃が終了して迎えた9回ウラ。加藤拓が先頭・豊村のライトスタンドに突き刺さるサヨナラソロを打たれ、ゲームセット。最悪の結末となってしまった。
開幕して早くも2戦目で黒星がついてしまった慶大野球部。この2試合劇的な形で勝敗が決まったことについては「相手も必死なので。力は五分五分ですよ。(大久保監督)」と一つ勝つ難しさを口にした。一方で慶大打線の繋がりは機能している。1戦目に続いて3番・横尾が出て、4番・谷田が返すという慶大の理想的な得点が見られるなど、この2戦打撃陣は好調だ。それだけに、投手陣の奮起が期待されよう。いずれにせよ優勝という目標を達成するためにはここで勝ち点を落とすわけにはいかない。選手たちも「もう本当明日切り替えて勝つだけです。(横尾主将)」と次の試合を見据えている。
記事: 後藤理央
◆打撃成績
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| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
[6] | 山本泰 | 中安 |
| 四球 | 左安 |
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| 空三振 |
| 三ゴロ |
[8] | 梅野 | 三ゴロ |
| 遊飛 | 二ゴロ |
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| 右飛 |
| 捕ゴロ |
[5] | 横尾 | 中飛 |
| 四球 |
| 中安 |
| 空三振 |
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[9] | 谷田 | 投ゴロ |
| 右本③ |
| 空三振 |
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| 空三振 |
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[7] | 山口 |
| 四球 | 二ゴロ |
| 二ゴロ |
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| 右中2 |
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[3] | 沓掛 |
| 投犠打 | 右飛 |
| 三ゴロ |
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| 遊飛 |
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[2] | 小笠原 |
| 左安① |
| 三ゴロ |
| 投ゴロ |
| 四球 |
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[4] | 北村 |
| 遊ゴロ |
| 二飛 |
| 遊ゴロ |
| 空三振 |
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1 | 加藤拓 |
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[1] | 亀井 |
| 見三振 |
| 左安 |
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1 | 小原大 |
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| 空三振 |
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1 | 三宮 |
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4 | 川崎晃 |
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| 遊飛 |
◆投手成績
| 投球回数 | 打者数 | 球数 | 被安打 | 三振 | 四死球 | 失点 | 自責 |
亀井 | 30/3 | 14 | 54 | 2 | 0 | 3 | 3 | 3 |
小原大 | 3 | 12 | 40 | 3 | 0 | 1 | 1 | 1 |
三宮 | 1 | 3 | 17 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
●加藤拓 | 10/3 | 4 | 15 | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 |
◆監督・選手コメント
大久保秀昭監督
(今日も難しいゲームでしたが)今日も勝ち切りたいという思いでやっているので、明日のこととかを考えていなくて目一杯やった結果なので仕方ないなという感じです。(先発・亀井投手については)昨日熟考して、小原大とどっちにしようかなと思って決めました。3回まではよかったですが、あの4回の四球、死球がなければ言うことなかったですね。逆にあれで相手をその気にさせて、あのタイミングで変えてやれなかった監督の責任でもあるかなと思います。(3回2死一塁で監督がマウンド行かれましたが、どんな言葉をかけましたか)最初の四球だったし、点差関係なしにアウト一個取ろうと声をかけました。(打線は3番4番が機能しましたが)本当は4-2か4-3で逃げ切れたら理想だったのですが、2番手の齋藤君に粘られてしまったのがこういう形にしてしまった要因なので。やっぱり先発がダメだったら2番手。という部分ではうちは3点で、そのあと無駄な1点を簡単に与えてしまった。相手も必死なので。本当に力は五分五分ですよ。(齋藤投手に抑えられてしまった理由は)低めの変化球ボール気味の球に手を出していた気はします。セカンドまでランナーは置いたけど、もう一押しというところで…そんなチャンスはいっぱい来ないですから逆に打線は打っている方だと思いますよ。(明日に向けて)結果は終わってみないとわからないので今日みたいに総力戦でピッチャーも繋いでいくしかないので良い形で締められたなと思います。
横尾俊建主将(総4)
(今日の試合を振り返って)明日に向けて切り替えたいと思います。(第2打席ではファールで粘っていましたがどんなことを考えていましたか)何も考えていないです。(今日の試合の流れでチームの雰囲気は)もう本当に、切り替えて明日勝つだけです。試合中もそんなに悪い空気はなかったです。(追いつかれた時にチームに声かけは)声かけというか、1点を取って加藤拓で抑えてもらおうという話はしていました。(明日の試合に向けて)明日勝って勝ち点が取れれば全然問題ないので、勝ちたいと思います。
山本泰寛副将(環4)
(今日のゲームを振り返って)序盤は打撃の方も良くて、ピッチャーもしっかり抑えてくれていたのでいい形でいけていたんですけど、中盤で点数取れなかったので、そこから流れが変わってしまったなと思います。(流れが変わってしまったポイントはなんだと思うか)まあ、やっぱりホームランで3点取られて、そこから一気に流れが変わってしまったな、と。(自身のプレーについてはどう思うか)初回に出塁できたのも良かったですし、中盤もしっかり出塁できましたし、守備もちゃんと守れたので良かったと思います。(8回裏に盗塁刺でベースに入ったときは何を考えていたか)小笠原(環4)は肩がいいので、絶対に良いところに投げてくれると信じていたので、自分もタッチしっかりしようと思い入りました。(今日出たチームの課題はなんだと思うか)さっきも言ったんですけど、中盤でランナーを出して点を取ることができなかったので、終盤でもっと流れを変えられるようなしっかりとした打撃をしたいなと思います。(次はどんなプレーがしたいですか)明日も1球1球集中して隙のない野球をしていきたいと思います。(明日の第3戦に向けて一言)明日は絶対に負けられないので、本当に集中して全員で勝ちに行きたいと思います。
小笠原知弘(環4)
(今日の試合を振り返って)なかなか厳しい戦いでした。(亀井さんが公式戦初先発でしたが)最後3点ホームラン打たれたんですけど、それまで完璧なピッチングだったのもそうだったし、イケイケになったんじゃないかなと思います。(途中力を抜けというジェスチャーもありましたが)緊張はそれなりにしていたと思うんですが、日頃からやってる練習が途中まで出来ていて打たれた時だけ出来なくなって、もう一回練習の時から声かけていきたいです。(2戦連続タイムリーでしたが打った感触は)ありがとうございます。犠牲フライかなと思ったんですが、落としてくれてヒットになったのでありがたかったです。(明日に向けて一言)厳しい戦いになるとは思うんですけどその中で一点でも多く試合終わった時に取れてるように頑張ります。
谷田成吾(商4)
(今日の試合を振り返って)勝たなきゃいけない試合でしたけど、残念です。(2試合連続のホームランでした)そうですね。打てたのはよかったですけど、そのあとの打席で打つことができなかったので、そこは反省して明日に臨みたいと思います。(齋藤俊投手に抑えられました)そうですね。いいボール投げてたんで、やられてしまいました。(明日の試合に向けて)なんとしても勝ち点を取らないといけないので、絶対勝ちたいと思います。
小原大樹(環3)
(今季初登板となりました)投げることを楽しみにしていたので、投げられたのは嬉しかったですが、点を取られてしまい、1点を防いでいればという展開だったので僕の甘さが出てしまったかなと思います。(相手に流れが傾いた難しい場面での登板でした)自分たちの流れに引き戻せるような投球をしたかったのですが、できなかったのが悔しいです。(ブルペンでの調子は)調子自体は良かったですが、マウンドにいったら高めに浮いてしまったので、反省点です。(高めに浮いてしまった要因は)僕自身の心の準備不足が出てしまったかなと思います。(明日に向けて)負けないことが大事なので、ここから落とさないように1戦1戦大事にいきたいと思います。
加藤拓也(政3)
(今日の投球を振り返って)サヨナラ負けなので、だめだったなと。最後の1球は不用意だったと思います。豊村選手とは相性も悪いのでそのあたりも考えていましたが、初球がけっこう良い球だったにも関わらず次の球が甘く入ってしまいました。(8回は2つの三振を奪うなど、連投の中でも球威はあるように見えた)疲れがゼロということはないですけど、球威は(昨日と)それほど変わらなかったと思います。(試合終了直後の表情はそれでも明るかった)くよくよしてもしょうがないので、切り替えていこうと思っていました。(明日は3連投も十分考えられると思うが)なんとか勝てるように、準備をいつも通りやるだけです。(翌日も試合がある日は神宮から帰るとどのような準備を?)有酸素運動を行うことが多いです。ゆっくりする感じですね。(明日に向けて)なんとか勝ち点獲れるように頑張ります。
山口翔大(環3)
(今日の試合を振り返って)昨日したことをやり返されたという感じです。(前半まで好調に見えたが、試合のターニングポイントはどこだったと思われますか)連続四死球で打者を二人出してからホームランを打たれて、流れが変わってしまったと思います。(8回には今季初ヒットが出ました)練習試合は調子が良かったのですが、神宮で早く一本打たないとという焦りがあったので、ここで一本打てて自分の中でだいぶ楽になりました。(オープン戦と公式戦の違いは感じますか)神宮だと緊張して焦りが出てしまっていたところがあるので、明日からまたマイペースにできればいいなと思います。(第3戦に向けて一言)明日も頑張ります。
亀井倫太朗(商2)
(今日の先発を告げられたのはいつか)今日の朝、ここに来た時です。朝の9時半くらいです。(実際に先発してみて感想は)そんなに緊張とかもなく、投げるとしても長いイニングはいかないと思っていたので、27個のアウトのうちの数個を取れれば良いという気持ちで一人ずつ、一人ずつという感じで投げていました。(3回までは素晴らしい投球)真っ直ぐはそんなに走っていなかったんですけど、変化球が良かったので、なんとか低めに集めて打ち取ることが出来ました。(春の新人戦や、昨日打たれてしまった笠松選手に対して意識はあったか)やっぱりここまで完璧に打たれてしまうと、相性悪いな、と感じます。(明日に向けて)うちが昨日サヨナラで勝って、今日やり返されてしまって、明日負けると勢いも無くなってしまうのでしっかり勝って、勢いをつけて、後につなげていきたいです。