【野球】好調打線&継投実り首位浮上 明大①

10月17日(土)東京六大学野球秋季リーグ戦    明大1回戦

6回から登板した加藤拓。自己最速タイとなる153kmを記録した直球で、明大打線を無失点に抑えた

6回から登板した加藤拓。自己最速タイとなる153kmを記録した直球を主体に、明大打線を無失点に抑えた

首位を走る明大との初戦。慶大、明大ともに勝利すれば優勝に大きく近づく一戦なだけに、緊張感の漂うなか試合は始まった。2回、慶大は梅野魁土(環4)のライトへのタイムリーで先制すると、続く3回にも谷田成吾(商4)、山口翔大(環3)の連打などで得点を重ねる。先発・三宮舜(商4)が4回に3ランを浴び1点差とされるも、小笠原知弘(環4)の犠牲フライで2点差とする。最後は三宮からマウンドを引き継いだ加藤拓也(政3)が点差を守り抜き首位攻防戦の大事な初戦を白星で飾った。 

 

11

慶大:○三宮(2勝)、加藤拓―小笠原

明大:●柳(3勝1敗)、星、水野―坂本

◆慶大出場選手

 

ポジション

選手名(学部学年・出身高校)

[6]

山本泰寛(環4・慶應義塾)

[8]

梅野魁土(環4・福岡大大濠)

[5]

横尾俊建(総4・日大三)

[9]

谷田成吾(商4・慶應義塾)

[7]

山口翔大(環3・桐光学園)

 

重田清一(環3・佐賀西)

[3]

沓掛祥和(商3・慶應義塾)

 

清水翔太(総2・桐蔭学園)

[2]

小笠原知弘(環4・智辯和歌山)

[4]

北村祐樹(商4・丸亀)

 

原田直道(商4・慶應義塾)

 

倉田直幸(法2・浜松西)

[1]

三宮舜(商4・慶應義塾)

 

濱田匠(経3・宇都宮北)

 

加藤拓也(政3・慶應義塾)

東大戦で連勝し勢いに乗る慶大は、優勝を争う明大との大一番を迎えた。

先発の「明大キラー」三宮が今季2勝目を挙げた

先発の三宮が今季2勝目を挙げた

初回、梅野の右中間を破る三塁打と横尾の四球でチャンスを作るも谷田と山口が倒れ無得点に終わる。その裏、先発・三宮は立ち上がりからストライク先行で連続三振を奪うなど試合を慶大ペースに引き寄せる。

続く2回、先頭の沓掛祥和(商3)が変化球をとらえセンターへヒットを放つと、小笠原のきっちりとした犠打や山本泰寛(環4)の内野安打などで2死満塁とする。ここで打席に立つのは先ほど三塁打を放った梅野。6球目を軽やかにライトへ飛ばすと、三塁走者の沓掛が生還。優勝争いの行方を左右する重要な試合で慶大は先制点を奪取した。

3回には谷田が初球を打って出塁すると好調山口が2球目を強くたたき右中間への痛烈なタイムリー二塁打を放つ。また小笠原にもタイムリーが飛び出し3-0とリードを広げ、明大先発・柳を攻略した。

4回表1死二塁、センターへの適時打を放つ横尾。東京六大学新記録の5試合連続本塁打はならなかったものの、勝利に貢献する効果的な一打を放った

4回表1死二塁、センターへの適時打を放つ横尾。東京六大学新記録の5試合連続本塁打はならなかったものの、勝利に貢献する効果的な一打を放った

4回、1死から梅野が四球で出塁すると3番・横尾俊建(総4)が10球粘った後、高めに浮いたストレートを仕留めてセンターへタイムリーヒットを放ち、点差を4点に広げた。

このまま慶大のリズムで中盤以降を迎えるかと思われたが、4回裏、「ストライク先行で力まないようにするつもりができなくなってしまった」と反省するように、三宮は変化球がばらつきはじめボール先行のピッチングになってしまう。不安定な投球のまま、1死一、三塁の場面で明大5番・佐野恵を迎えると、ふわりと浮いた三宮の変化球をライトスタンドまで運ばれスコアは4-3と点差をつめられてしまった。

6回裏、三宮を引き継いで加藤拓也(政3)が登板する。1点差の場面で託されたマウンドだったが、3つの四球こそあったものの自身最速タイの153キロの直球を繰り出すなど力強いピッチングで、追い上げられた後の決して安全とは言えないわずかなリードを確実に守り切った。

7回表1死二、三塁、センターへ犠牲フライを打ち上げる小笠原。ここまでリーグ3位の打率.389、リーグトップの6犠打とチームをけん引している

7回表1死二、三塁、センターへ犠牲フライを打ち上げる小笠原。ここまでリーグ3位の打率.391、リーグトップの6犠打とチームをけん引している

加藤拓の踏ん張りに打線が応えたのは7回表。1死二、三塁から小笠原から貴重な追加点となるフェンスぎりぎりにまで届くセンターへの犠飛が飛び出し点差を広げた。

9回、最後は加藤がしっかりと三人で試合を締めて5-3で勝利を収め、慶大は首位に浮上した。

この試合、慶大にとって今季初めて本塁打のない試合となった。しかしそれは打線の低迷を意味するものではなく、つなぐ野球でも勝利を得られるという慶大のもう一つの強さを証明しているものだといえる。なかでも横尾は5試合連続本塁打という大記録がかかっていたが、「チームに貢献できるヒットが出たのでそれが一番嬉しい」とチームの勝利を優先する値千金のつなぐバッティングを見せた。また小笠原は2つの犠打とダメ押しとなる犠飛をしっかりと決め相手に流れを渡さなかったものの、チーム全体としてみれば犠打の成功率は低く、まだまだ精度を磨いていく必要があるだろう。

投手は加藤拓が4イニングを無失点に抑える好リリーフを見せた。今季、加藤拓は主に中継ぎ起用が続くなかで結果を残しており、この試合を終え、防御率は0.36と脅威の数字でリーグトップに君臨する。

この試合を勝利で終えたため、明日の試合にも勝利することができれば優勝に大きく近づくことになる。明日、明大の先発はプロ注目の上原が予想されるが、これに慶大打線がどう対応していくのか。慶大の真価が問われる試合となる。

 

【Today’s Legend】走攻守そろった小さな巨人 梅野魁土

1回表1死、右中間への三塁打を放つ梅野。無安打に終わった東大戦のうっぷんを晴らす大活躍だった

1回表1死、右中間への三塁打を放つ梅野。無安打に終わった東大戦のうっぷんを晴らす大活躍だった

ベストナインに輝いた昨季に続き、梅野が今季も存在感を示している。打ってはこの日3安打猛打賞の活躍で打率を3割に乗せ、守っても初回に好守を見せスタンドを沸かせた。4回には盗塁を決め、リーグトップの6盗塁を記録。高いレベルでの走攻守の三拍子揃ったプレーは相手の脅威となっている。164センチという小柄な体格から慶大不動の2番打者として成長した梅野も、いよいよラストシーズン。大学卒業と共に野球から離れる梅野にとって、野球人生をかけた最高のプレーが優勝へと導いてくれるに違いない。

 

記事 山田万里子

◆打撃成績

 

 

[6]

山本泰

二飛

三安

 

空三振

 

右安

 

二ゴロ

 

[8]

梅野

右中3

右安①

 

四球

 

右飛

 

右安

 

[5]

横尾

四球

右飛

 

中安①

 

二ゴロ

 

空三振

 

[9]

谷田

遊飛

 

左安

中飛

 

 

四球

一ゴロ

 

[7]

山口

空三振

 

右中2①

一ゴロ

 

 

投バ安

 

死球

重田

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[3]

沓掛

 

中安

右飛

 

右飛

 

 

 

 

清水翔

 

 

 

 

 

 

一ゴロ

 

投バ飛

[2]

小笠原

 

投犠打

中安①

 

見三振

 

中犠飛①

 

投犠打

[4]

北村

 

一邪飛

見三振

 

投ゴロ

 

見三振

 

 

原田直

 

 

 

 

 

 

 

 

中飛

倉田

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[1]

三宮

 

四球

一ゴロ

 

 

 

 

 

 

濱田

 

 

 

 

 

空三振

 

 

 

加藤拓

 

 

 

 

 

 

 

四球

 

 ◆投手成績

 

投球回数

打者数

球数

安打

三振

四死球

失点

自責

○三宮

19

91

加藤拓

16

63

◆監督・選手コメント

大久保秀昭監督

(首位攻防戦に先勝した今の気持ちは)まだ一つ勝っただけなのでね。でも今日は勝ちたいなという話を試合中から何度もしていたので、一つとれたということはよかったなと。(重要な試合でしたが選手に緊張の色は)当然選手も強い想いが入っていましたけど、そこは相手とお互い様なのでね。(試合前に)ベースボールしようよみたいなことを言って、選手がそれに応えてくれました。(先発の三宮投手の投球はどう映りましたか)ゲームを作ってくれたと思います。ホームランを打たれたイニングもありましたけど、打たれたのは仕方ないのでね。最低ラインの5回を投げ切ってくれたので80点ぐらいはあげてもいいんじゃないかと思います。7回を3点ぐらいに抑えれば100点あげられますね。(打線は柳投手を攻略しました)攻略できたのは自信にしてくれていいと思います。データ班の力もかなりあると思いますし、それと打者個人が感じる部分がマッチングしていい方向に向かったと思います。ただ明日はピッチャーも変わりますので気持ちをリセットして明日は明日で頑張りたいと思います。(横尾選手の5試合連続本塁打は監督自身、期待していましたか)まあそれは(本塁打は)いつでも期待しますよ。名前が残るという点では欲しかったとは思いますけど、記録よりも優勝だと、僕がキャプテンだったらそう思いますよ。(横尾主将の)その気持ちがあわやという打球のあとのタイムリーにも出ていたと思います。(加藤拓投手は1安打に抑える好リリーフでした)持っている力を出して期待通り頑張ってくれているので、今後も続けてほしいと思います。フォアボールが1イニングに2個、3個と重ねてしまうと試合展開としてまずいなとは思いますけど、1試合を通しての四死球数は加藤も三宮も減っているので、そこは成長していると思います。(明日に向けて)目の前の一投一打に集中して頑張ります。

横尾俊建主将(総4)

(試合をふりかえって)本当に負けられないなかで、勝ちきれてよかったです。(明大投手陣に対しての対策は)特にはないです。(チームとして準備してきたことは)1戦目から変わらず、ちゃんとできることをやろうと。特別なことをするのではなく、いつもと変わらないようにやってきました。(横尾選手自身は5戦連続弾の新記録を、試合中はどの程度意識していたか)確かに意識はしていました。ただそれよりもチームに貢献できるヒットが出たので、それが一番嬉しいです。(三宮投手が失点してしまった後のチームの雰囲気は)いやもう全然落ちていないです。あれだけ良いピッチングしてもらって頑張っていたので、3点取られても三宮なので。そのあと切り替えて3人で終われたので、全然問題なかったです。(その後の追加点が効きましたね)そうですね。あの1点が大きかったなとは思います。(明日へむけて)明日も取る、という気持ちでやりたいです。

山本泰寛副将(環4)

(今日の試合を振り返って)バッターもピッチャーも粘り強くて、慶應らしさが出た試合かなと思います。(2安打を放ったが、打撃の調子は)調子は悪くないです。(一本目は得点圏での安打となったが、どのような意識で打席に入ったのか)なにがなんでも塁に出ることを意識してやりました。(ランナーなしで放った二本目の打席は)ツーストライク取られて追い込まれたんですけど、ランナーに出ることが役割なので、出塁出来てよかったです。(守備を振り返って)走塁で牽制されて、若干疲れていた部分はありました。その中で一個ミスしてしまったあと、しっかり切り替えてできたので良かったです。(天王山となる明大戦に先勝した)初戦勝ったことは本当に大きいと思うので、良かったなというのがあります。(次戦への意気込み)明日もやっぱり苦しい試合が続くと思います。ピッチャー陣が粘ってくれると助かるので、ピッチャー陣に頑張ってほしいなと思います。

梅野魁土(環4)

   (今日の試合を振り返って)厳しい試合になるとわかっていたので、気持ちで勝とうということだけ考えていました。みんな積極的に打って勝てたので良かったです。(天王山と言われた明治戦にどのような気持ちで臨みましたか)本当に勝つしかないと思っていたので、勝つイメージだけを持って試合に挑みました。(この2週間の練習で意識したことは)個人的には、バッティングの調子が良くなかったので、調子を上げることだけを考えて、あとは普段通りにしていました。(今日は3安打と活躍したが)自分の思った通りのスイングができるようになったので良いかなと思います。(相手投手の印象は)コースを投げ分けようとしている印象だったので、それを考えながら打席に立とうと思いました。(今季6つ目の盗塁をして春の記録と並んだが)塁に出たらとにかく走ることを常に考えながらやっているので、機会をうかがって行けたら行きたいと思っています。(明日の試合ではどんなプレーがしたいか)勝つために、僕が塁に出て、できることをやってチームが勝てたらいいなと思います。

小笠原知弘(環4)

(今日の試合を振り返って)結果的にホームランは出なかったんですけど、いつも通りの試合だったと思います。(首位攻防戦を先勝)一戦目をとっても勝ち点を取らないと意味がないので、勝ち点をとれるように頑張ります。(試合中、どういったことを意識してリードをとっていたか)点を取られてもテンポよく投げることと、一気に点を取られないことを意識してリードしました。3点取られてしまったのが痛手だったかなぁとは思います。(点を取られてからは三宮投手にどのような声かけを)1点ずつ取られる3点も、一発の3点も同じなので、勝っているから気にせず投げてくれと伝えました。(加藤拓投手の制球について)いつも通りです。(打っては今日、3本の犠打飛)バントを決めることができて、相手に流れを渡さない攻撃ができたんじゃないかなと思います。(7回のセンターへの犠飛は大きな当たりだった)絶対打ったろうと思って打ったらフェンスぎりぎりまで飛んでくれたので、点に絡める打球が打ててよかったです。(明日に向けて一言)自分たちの野球をやって、結果的に勝ちたいです。明日、負けてしまってもそこで流れを渡さず次の日に勝ち点をとれるように頑張ります。

三宮舜(商4)

(得意の明大戦、意識はしていたか)そうですね、イメージはできていました(笑)。(一巡目はストライク先行の素晴らしいピッチング、調子は)調子はよかったほうです。(4回はボール先行になって失点、何か変化はあったか)今日やろうとしていたことが最初はできていたんですけど、だんだんおろそかになってしまって、そこで修正できなかったのが今日の反省点です。(やろうとしていたこととは)力を抜いて、ストライク先行で絶対に力まないようにすることを意識していました。(2回には打席で粘って、先制点につながる四球を選んだ)そうですね、つなげればいいなと思って打席に入っていました。(明日以降にむけて)今勢いがあるので、このままの勢いでチーム一丸となって頑張りたいと思います。

谷田成吾(商4)

(優勝を争う明大戦を前に今日への準備は)相手の先発は柳か上原というのは分かっていたので、それに対する準備はしっかりやって、それ以外はいつも通りの気持ちで試合に臨みました。(1点を争うゲームとなったが、今日の試合を振り返って)先制できて、中盤追いつかれそうになりましたけど、そのあとしっかり1点取れたのが大きかったと思います。(今日の試合はバントの企画など繋ぐ野球が意識されていたように思いますが)ホームランが出なかった試合でしたが、その中でしっかり単打で繋いでっていう場面が多くて、終盤はバントの機会が多かったですけど、ああいう場面で併殺打じゃなくて、バントなどで流れを渡さないというのが大事だと思いますし、そういう采配だったのかなと思います。(谷田選手も追加点のきっかけとなる安打を放ちました)しっかり先頭で塁に出たかったので良かったです。2度先頭打者の場面があって両方出塁できたのは良かったです。(明日への意気込み)連勝すれば優勝に近づくので、明日もしっかり勝てるように頑張りたいと思います。

加藤拓也(政3)

(今日の投球を振り返って)勝っている展開で出て、何とか0点で抑えようと思ったので、0点で抑えられたことが良かったと思います。(6回からの登板となった)始めは4点差あったのですが、1点差になったところで、「早い展開(での登板)もあるな」と準備し始めて、ちょうど三宮さんの打順が回ったところで代わったので、あまり準備不足ではなかったです。(立ち上がりやや制球を乱しピンチを招いたが、そこを無失点で凌いだ)満塁までいってもホームに帰さなければ0点なので、そのことを意識しながら、取れるところでアウトを取ろうと思って、一球一球投げていました。(今シーズン、走者を背負いながらも最終的に無失点で抑える投球が光っていますね)ランナーを背負ってからどれだけ自分の投球ができるかを大事にしているので、(今日も)0点で抑えられて良かったです。(今日は150km超えのボールが多く計測された)今日は球が走っていて、それもあって小笠原さんが直球で押してくれたのだと思います。(防御率は0点台前半と素晴らしい成績。その数字は意識しますか)意識するというより、毎試合毎試合0点で抑えようと思っていて、その結果、そういったことに繋がればいいなとは思っています。(明日に向けて)全力で勝ちにいくだけなので、自分が投げる展開が来る時に向けて、しっかり準備していきたいです。

沓掛祥和(商3)

(今日はどういう気持ちで臨んだか)東大戦でスタメンを外れたので、今日はスタメンだったのでがんばろうと。ヒットを打ってやろうという気持ちで。(第一打席でヒットが出ました)真っ直ぐを狙っていましたが、変化球をなんとかヒットにできました。(明日に向けて一言)ホームラン打ちます。

山口翔大(環3)

(今日の試合を振り返って)かなりいい内容の試合で勝ててよかったです。(柳投手対策は)ある程度リーグ戦も重なってきてデータも取られてきたのもあって、どう攻めてくるのか予測ができていたのはありました。その予測が結果につながったので良かったです。(第2打席のタイムリーについて)狙っていた場所に来たので、思い切り打ちました。(2本目のバントヒットはサインですか)はい、サインです。1球で決めなくてはという気持ちがはやって小フライになってしまったのですが、逆にうまい具合に転がってヒットになったのでラッキーでした。(今日はチームとしてバント指示が多かった)相手に流れを行かせないようにヒットなら打たせるけれど、 死球や失策でランナーを出したら相手にプレッシャーをかけていこうという戦法だったのでバント指示の場面が多かったのかなと思います。(明日に向けて)またみんなで打って投手を援護できたらなと思います

 

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