【野球】好機での1本が出ず、接戦を落とす 明大②

10月18日(日)東京六大学野球秋季リーグ 明大2回戦 

気合十分の投球で好投した先発の加嶋

7回1失点の好投を見せた先発の加嶋

優勝を懸けた明大1回戦に勝ち、先勝して迎えた2回戦。先発の加嶋宏毅(商4)は7回1失点と素晴らしい内容で試合をつくった。一方の打線は安打を放つものの好機で適時打を打つことが出来ない。終盤に追加点を許す一方、打線は最後まで明大の粘り強い守備を攻略することが出来なかった。結果は1ー3と接戦を落とし、これで1勝1敗のタイに。天王山の行方は明日の3回戦に委ねられる。

 

明大

慶大

 明大:上原、○水野(1勝)、齊藤―道端

慶大:加嶋、●原田匠(1敗)、三宮、加藤拓―小笠原

◆慶大出場選手

 

ポジション

選手名(学部学年・出身高校)

[6]

山本泰寛(環4・慶應義塾)

[8]

梅野魁土(環4・福岡大大濠)

[5]

横尾俊建(総4・日大三)

[9]

谷田成吾(商4・慶應義塾)

[7]

山口翔大(環3・桐光学園)

[3]

沓掛祥和(商3・慶應義塾)

 

清水翔太(総2・桐蔭学園)

[2]

小笠原知弘(環4・智辯和歌山)

[4]

北村祐樹(商4・丸亀)

 

樋口慈(文4・東葛飾)

 

原田匠(商1・慶應義塾)

 

三宮舜(商4・慶應義塾)

 

山本瑛大(商3・South Torrance)

 

加藤拓也(政3・慶應義塾)

[1]

加嶋宏毅(商4・慶應志木)

 

岩見雅紀(総2・比叡山)

 

R4

倉田直幸(法2・浜松西)

 

木村健人(政3・慶應義塾)

 

加嶋は持ち前のゴロを打たせる投球で、3度にわたって併殺打でピンチ拡大を防いだ

加嶋は持ち前のゴロを打たせる投球で、3度にわたって併殺打でピンチ拡大を防いだ

昨日とはうって変わり、秋晴れの青空の下行われた明大2回戦。今季の慶大は東大戦以外の2回戦で勝つことができていない。だが先発の加嶋は、「自分は2試合目だからと言って落とすつもりで投げていない」と気合十分で真っ新なマウンドに上がった。その言葉通り、今日の加嶋は持ち前の制球力に球のスピードやキレが加わった、素晴らしいピッチングを見せる。初回に北村祐樹(商4)の好守による併殺で波に乗ると、その後は凡打の山を築き上げた。これまで長く慶大を支えてきた4年生左腕が、「いままでで一番良かった」(大久保監督)という内容で明大に主導権を握らせない。

慶大打線は今日も好調だった。明大先発は、プロ注目の長身左腕・上原だ。角度と威力のあるボールに対し、慶大はコンパクトなスイングで対応していく。1回裏にさっそく好調の梅野魁土(環4)が左前打で出塁。梅野は惜しくも牽制で誘い出されアウトになるが、続く横尾俊建(総4)、谷田成吾(商4)と連続ヒットを放つ。さらに山口翔大(環3)も打撃妨害で2死満塁の好機をつくる。ここで6番・沓掛祥和(商3)は平凡な遊ゴロに倒れ先制とはいかなかったが、慶大打線の状態からして得点を挙げるのは時間の問題かに思われた。

しかしその後も明大の守備が持ち前の粘り強さを存分に発揮してくる。2回から4回で毎回四球や安打でチャンスをつくるものの、あと1本のところで上原を崩しきれない。今日は縦に割れる変化球と力のあるストレートの組み合わせが冴えていた。結局上原に5回を0封され、勝負は明大自慢のリリーフ陣との戦いにもつれることになる。

一方の加嶋も同様に充実の投球を続けていた。5回表には1死1塁の場面で、明大主将坂本の打球を好捕すると、迷わず反転し2塁へ鋭い送球を決め併殺を奪った。普段はクールな加嶋が慶大ベンチに向かって雄叫びを挙げる。球のキレに加え、体のキレも抜群。4年間の成長を感じさせるまさに鬼気迫る投球で、一歩も引かない投手戦を演じていく。

だが無情にも先取点は明大に入ってしまった。6回表の先頭に代打・東原が送られると、2球目を完璧に捉えられ打球は左翼席へホームラン。ついに0ー1と均衡が破れたが、今日の加嶋は7回を投げ失点はこの1点のみ。十二分に先発の役割を果たした。

7回裏2死二、三塁、暴投で三走の倉田が同点のホームイン

7回裏2死二、三塁、相手のバッテリーミスで代走倉田が同点のホームイン

加嶋の好投に応えたい打線は7回裏、代打・岩見雅紀(総2)が2番手・水野からラッキーな内野安打で出塁すると、続く山本泰寛(環4)も「絶対につないでやろう」としぶとい左前打で食らいつく。2死2・3塁とチャンスが拡大し、打席は頼みの横尾だ。慶大スタンドからは明大戦のみで使用される『孔明』の銅鑼が今日一番の大音量で響きわたる。すると初球にワイルドピッチが飛び出し、三塁走者倉田直幸(法2)が生還、慶大が同点に追いついた。ここで一気に明大を振り切りたい。だが皆の期待むなしく、力ない打球が二塁手へ上がりフライアウト。今季は幾度となく火を噴いてきた主軸のバットが、明大投手陣の粘りの前に封じられてしまう。

8回表は加嶋に代わってルーキー・原田匠(商1)が、リーグ戦初登板のマウンドへ。何とか慶大に流れを引き寄せるべく思い切った起用に打って出たが、原田匠は坂本に右中間への二塁打を浴びてしまい降板。「本当に申し訳ないです」とうなだれたが、「これを教訓として乗り越えてほしい」(大久保監督)の言葉を胸にこれから闘い続けてほしいところだ。ピンチを受け3番手・三宮舜(商4)が火消しに向かうが、自身の痛恨のエラーで無死2、3塁とさらに傷口が広がってしまった。ここで1番・竹村が見事にスクイズを決め、明大は執念で勝ち越し点をもぎ取る。ミスも絡んだ失点で慶大は苦しい状況になる。

8回裏2死一、二塁、空振り三振に倒れた代打の山本瑛。あと一本が遠かった

8回裏2死一、二塁、空振り三振に倒れた代打の山本瑛。あと一本が遠かった

8回裏は小笠原が本日3つ目となる四球を選び何とかつなぐ意識をみせるが、やはりあと1本適時打が出なかった。9回表に加藤拓也(政3)が佐野恵に2試合連続の一発を浴び1-3に。最後の攻撃は3者凡退に倒れ、接戦を落としてしまった。加嶋の力投実らずまたも2戦目を落とし、勝負は明日の3回戦へもつれこむ。

優勝を懸けた天王山は、やはり「一筋縄ではいかなかった」(谷田)。結果的には序盤の好機で先制できなかったことが、ずるずると終盤まで響いてしまった。「1死3塁の状況を作りきれなかった」(大久保監督)ことで打者に重圧がかかったが、そうしたプレッシャーに打ち勝ってこそ優勝が近づいてくる。打線は8安打と個々の好調は維持できている。適時打が出なかったことを悔やんでも仕方がない。横尾主将の「明日に切り替えていくだけ」の言葉通り、いかに気持ちを明日へ向けてリセットできるかが鍵になるだろう。明日勝ち点を取らなければ、優勝へ厳しい立場に立たされる慶大。だが苦しい3戦目を今季は全て勝ってきた。各投手・野手はしっかりと持ち味を出し、自らの仕事に徹することが出来ている。明日は総力戦。チームメイトを信じ、不退転の決意で明大から勝ち点を奪い獲る。

記事:砂川昌輝

◆打撃成績

 

 

[6]

山本泰

投ゴロ

捕邪飛

 

ニゴロ 

 

 

左安

 

遊ゴロ

[8]

梅野

左安

 

二ゴロ

 

空三振

 

ニゴロ

 

空三振

[5]

横尾

右安

 

 左飛

 

空三振 

 

二飛

 

 

[9]

谷田

中安

 

中安

 

左飛

 

 

三邪飛

 

[7]

山口

打妨

 

遊ゴロ

 

 

投ゴロ

 

左安

 

[3]

沓掛

遊ゴロ

 

 

右安

 

空三振

 

 

 

清水翔

 

 

 

 

 

 

 

右飛

 

[2]

小笠原

 

四球

 

四球

 

二直

 

四球

 

[4]

北村

 

空三振

 

捕邪飛

 

 

 

 

 

樋口

 

 

 

 

 

 

空三振

 

 

山本瑛

 

 

 

 

 

 

 

空三振

 

[1]

加嶋

 

 一ゴロ

 

空三振

 

 

 

 

 

岩見

 

 

 

 

 

 

遊安

 

 

木村

 

 

 

 

 

 

 

 

遊ゴロ

◆投手成績

 

投球回数

打者数

球数

安打

三振

四死球

失点

自責

加嶋

25

88

●原田匠

0 0/3

三宮

16

加藤拓

26

 

◆監督・選手コメント

大久保秀昭監督

(今日の試合全体を振り返って)投手はよく頑張ってくれましたし、野手もあと1本が出なかっただけなので。相手も負けられない状況のなかで、ちょっとミスが絡んでしまったのが残念ですけど試合としては締まったいい試合ができていると思います。秋は本当に大味にならずによく集中できています。(先発の加嶋投手の内容は)いままでで一番良かったです。東大戦の前ぐらいから、練習でしっかりと腕を振れて投げ切れていたので。それが1試合で終らずにまた次につながればいいと思います。(打線があと1本及ばなかった点は)まあ相手も必死ですし、1死3塁の状況を作りきれなかったです。2死から1本というのは中々難しいですから。(終盤の重要な場面でリーグ戦初登板の原田投手を起用しました)ずっと夏から練習させて非常に良い状態できていたので、坂本一人だけ、もしくは左の代打なら変えようと思っていました。ワンポイントです。投球練習で緊張していてストライクが入らないなかで追い込むまではいったのですが。他の投手もそうですが緊張して力を出せませんでした、では使えない投手になってしまうので。これを教訓として乗り越えてほしいです。抑えても自信になるし、やられても彼はこれからやってもらわないといけないのでいい経験になったと思います。チームにとっては痛い一打になってしまいましたが、僕が使っているので。(明日に向けて)普段と変わらずにやって勝てるかなので。それで負けたらしょうがないですし、勝ったらまた次につながるので。なんとか早慶戦まで優勝可能性を残して、という思いでずっとやってきているのでまたいい戦いをして勝つだけです。

横尾俊建主将(総4)

(今日の試合を振り返って)もう明日に切り替えていくだけです。(1打席はしぶとく右前打、振り返って)自然とバットが出て、体が反応しました。(第2打席は本塁打かのように見えた大きな左飛だったが)あれは直球に詰まらされました。(明日の大一番、個人としてチームとして、どのように明大投手陣を攻略していくのか)特にまだ考えていないので、帰ってから考えようと思います。(チームとしてもこれからということか)はい。(明日は優勝を左右する大事な一戦、意気込みを)負けたくないので、一生懸命頑張りたいと思います。

山本泰寛副将(環4)

(今日の試合をふりかえって)ピッチャーが粘ってくれたんですけど、打撃陣がダメだったなと思います。(チャンスであと1本が出なかったが明大投手陣の印象は)そうですね、低めに丁寧に投げてきたので打てなかったです。(加嶋投手が素晴らしいピッチング)ストレートもいいですし、変化球もコントロールできていて、加嶋らしいピッチングができたと思います。(七回は追い込まれてからヒットでつなぎ、同点機を演出した)ランナーが出たので絶対につないでやろうという気持ちでいきました。(明日は大一番)やるべきことは変わらないので全力でやりたいと思います。

梅野魁土(環4)

(今日の試合を振り返って)なかなか点数が入らなくて、本当に1点勝負だというのは分かっていたので先に点を取られても一点で食い止めたし、なんとかつないでチャンスを作ったのですが、最後の一点が取れなかったので仕方ないかなと思います。明日は頑張りたいと思います。(初回の走塁は盗塁を意識されていましたか)そうですね。はい。2試合戦ってみて明大の印象は)粘り強いです。(優勝は意識されていますか)特には意識していないです。(明日の試合に向けて一言)勝ちます。

小笠原知弘(環4)

(今日の試合を振り返って)ピッチャーがよく頑張ってくれたんですけど、なかなか点を取ってあげられなくて申し訳ないなと思っています。(今日の加嶋投手はどのあたりがよかったか)球のスピードを含め全体的に調子が良かったです。気合も入っていて。点が取れず苦しい状況を作ったんですけど、よく7回1失点で投げてくれたなと思います。(本塁打を浴びた球は失投だったのか)そうですね。でもあの一発だけなので気にしていないです。もう少し早めに点を取っていればもっといいピッチングになったと思うし、勝ち星も付いたと思うので。(上原投手は余力を残してマウンドを降りたが、明日はどう攻略したいか)二塁にランナーを置いて、チャンスを作ってというのを繰り返していくしかないです。エラーでもなんでもいいので相手にプレッシャーをかけ続けて、今日のパスボールのようにどんな形であれ点を取った後にホームランでさらに流れを持ってこられれば最高だと思います。(今日も3四球と、打席で余裕があるように見えるが)はい、練習していることが出せていて、いい感じですね。(明日へ一言)勝利した一戦目をもう一度やるという感じなので、ふつうにやりたいです。

加嶋宏毅(商4)

(今日の試合を振り返って)負けてしまって本当に悔しいです。(明大打線に対してどのような投球を意識したか)ここ最近は調子が良かったので、腕を振ってストライク先行でいけば抑えられるかなと思って投げました。(実際に対戦してみた印象は)左バッターが多かったので、対左は有利ということもありそれほど怖さはなかったです。でも髙山には打たれていたのでそこは注意して投げました。(好投の要因は)東大戦以外2試合目で勝てておらず、2勝1敗で勝てればいいという感じになるのは悔しいと思っていました。自分は2試合目だからと言って落とすつもりで投げていないので、攻めのピッチングで勝ちに行きました。(明日の試合に向けて)勝つしかないので、頑張ります。

谷田成吾(商4)

(今日のゲームを振り返って)そうですね。加嶋がすごく頑張ってくれたんですけど点数が取れなかったので。それが負けてしまった要因だと思います。(天王山2戦目を終えて)やっぱり、一筋縄ではいかないというか、簡単には勝ち点が取れる相手だとは思っていなかったので。今季はあまり連勝してきてないので明日勝たないと優勝はかなり厳しくなってくると思うので。明日は勝てるように頑張りたいと思います。(優勝候補としてのプレッシャーはあるのか)まあ、春は全然優勝できる成績ではなかったので、しっかりと一戦一戦頑張っていきたいと思っています。(谷田選手同様にプロ志望届を出している上原投手と対戦してみて)良いピッチャーというのは分かっていたので、狙い球しぼってしっかり捉えられたのが良かったと思います。(同じようなヒットが連続で出ていたが何か意識はしていたか)外寄りのボールが多いというのは分かっていたので、それをしっかりセンター方向に返そうという意識はやっぱりしていました。(明大には今夏同じ日本代表チームで戦っていた選手が多くいるが)ずっと昔から対戦している相手なので、どんな選手かはお互い分かっているので、難しい戦いだったと思います。(明日の3回戦を勝つために必要なものはなんだと思うか)連戦でピッチャーも連投になってくるので。加藤拓も昨日今日と連投して、明日3連投になると思うので、そんな中でいかに野手がピッチャー達に楽をさせてやれるか、先に点を取れることが大事だと思うので。野手としてしっかり責任を果たしたいなと思います。(優勝への意識は生まれているか)そうですね。絶対に優勝したいので。明日必ず勝ちたいと思います。

岩見雅紀(総2)

(今日の試合を振り返って)勝ちきれなかったので、明日頑張るだけです。(1点ビハインドの場面での打席となったが、どのような意識で打席に入ったか)ホームラン狙ってもいいかなとも思ったんですけど、出ることを意識しながら全力で振っていって、結果はついてくるかな、と思っていました。(結果、内野安打を放ったが)打った瞬間はちょっとミスったなって感じだったのですけど、飛んだところが良かったので、打球も見ずに全力で走りました。(明大との天王山は一勝一敗になった。明日への意気込みは)今まで通り自分たちの野球を頑張るだけです。

原田匠(商1)

(リーグ戦初登板でした)迷惑をかけてしまいました。本当に申し訳ないです。(今日はどのタイミングで登板を告げられたか)坂本さんにまわったところで僕が行く予定で、7回は加嶋さんが抑えて坂本さんまでまわらなかったので、8回からいくと。(登板前にマウンドに谷田さんが来ていましたが)気負わずいつも通り投げれば抑えられるからと言われました。(新人戦と気持ちの上で違いはあったか)リーグ戦の方が緊張してしまって自分の球を投げられなくて、打たれてしまいました。(先輩たちに囲まれて野球をしている環境ですが)先輩たちのために一勝でも多くしようと思ったんですけど、自分が打たれてしまって、負けてしまって、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。(残り試合に向けて)優勝できるように精一杯努力していきたいと思います。

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