【アイスホッケー】慶大アイスホッケーの歴史を塗り替えた一戦 関東大学リーグ戦 vs早大

慶大は秋のリーグ戦を既に2試合終え、勝ち点をまだ1点も取れていなかった。何としても勝ち点が欲しい慶大は、長年勝利することのできていない早大と秋リーグ第3節で激突した。第1ピリオドはシュートを多く相手に打たれたものの、少ないチャンスを逃さなかった慶大が1点リードした状態で折り返した。第2ピリオドはお互いに点を取ったら取り返す白熱した展開となるも、慶大は1点のリードを死守した。第3ピリオドでは早大の猛攻にあった慶大が1点を失い、5-5の引き分けで試合を終えた勝ち点を取るというチームの目標を達成し、何年も勝てていない早大を相手に歴史を塗り替える結果を残した。

 

平成28年度 関東大学アイスホッケーリーグ戦 DivisionⅠ GroupA 第3 

2016917日(土)1200F.O. @DyDoドリンコアイスアリーナ

慶應義塾大学5-5 早稲田大学

 

Period

1

2

3

Score

慶大

3(9)

2(13)

0(11)

5(33)

早大

2(19)

2(9)

1(13)

5(41)

()内はシュート数

 

パックに向かって走る長谷川(政1)

パックに向かって走る長谷川(政1)

 

 

 慶大は8月31日にも早大とサマーカップで対戦していて、その時は第1ピリオドで5失点をして試合を決められていた。前回の反省を活かし、立ち上がりを意識して臨んだ第1ピリオド。慶大は早大にパックを自由に回される時間が多く、試合は早大のペースで進むかと思われた。しかし慶大は守りながらも攻撃の隙を虎視眈々と狙っていた。9分に何度もリバウンドを叩く粘り強い攻撃で長谷川真之介(政1)がパックをゴールに沈め、見事先制した。その後攻撃の手を厳しくした早大を抑えられず、すぐに失点を許した慶大であったが、滝智弥(政2)は相手のミスを見逃さなかった。12分、相手の最終ラインのレシーブミスからパックを奪った滝は早大ディフェンスを置きざりにして早大のゴールに襲いかかった。落ち着いてバックハンドシュートを早大のゴールに突き刺し、再び慶大は2-1でリードする展開に。それから慶大はもう1失点を許すも、早大のパスミスからパックを奪った長谷川がゴール前に繋ぎ、史習成リック(総2)が押し込んだ。慶大は第1ピリオドのシーソーゲームを制し、3-2で第2ピリオドへ。

 

パックを奪い相手を交わしながらゴールに向かう滝(政2)

パックを奪い相手を交わしながらゴールに向かう滝(政2)

 

 第2ピリオドは乱打戦となった。第2ピリオドの先制点こそ早大であったが、その直後のプレーで十文字開紀(商1)が早大ゴーリーの肩口に鮮やかな追加点を決め、4-3に。さらに慶大は早大のミスをつく攻撃だけでなく、パスを繋いで攻める時間が増えた。特に長谷川は早大の選手に恐れることなくチェックをし、ゴール前でも多くのチャンスを作って試合の流れを作った。3セット全てがハードワークをし、14分には小池玲央(環4)のロングシュートからしぶとくリバウンドを滝が押し込み、5-3に。しかし早大も黙ってはおらず、再びわずかな隙をつかれ、慶大は失点を許した。こうして5-4となり試合は第3ピリオドへ。

 

得点を決め歓喜する慶大

得点を決め歓喜する慶大

 

 慶大は第3ピリオド開始時、大きく声出しをして気合は十分であった。相手の個人技を体で止め、守りを徹底した慶大であったが、早大も必死で慶大に追いつくべく攻め込んで来た。ディフェンスもフォワードも体を張ってシュートを止め、リバウンドの処理に当たった。それでも打たれたシュートは守護神の河合智哉(環1)が何度も防ぎ、多くの歓声を生んだ。守りを続け、少ないチャンスを見逃さず攻撃をしていた慶大であったが、15分に失点を喫し5-5に。そこから試合終了まで残り5分は、お互いのゴールを脅かす攻撃が両チームから続き、手に汗握る展開となった。残り3秒で最後に打たれたシュートは主将小池のディフェンスから駆け上がってのシュートであったが、惜しくも止められ試合は5-5の引き分けとなった。

 

慶大が長年涙をのんだ早大を相手に引き分けることができたという結果は、山中武司ヘッドコーチらを中心とした「新しい慶應のホッケー」がついに実を結んできた結果と言えるだろう。今回の試合で慶大は怪我で離脱している主力選手も多く、怪我から復帰したばかりのメンバーも出場した厳しいチームの台所事情であった。それでも強豪早大を相手にこれだけの試合をやってのけた慶大スケート部ホッケー部門に、今後の快進撃を期待せずにはいられない。

 

 (記事 鈴木 啓仁 写真 佐野ちあき)

 

 

以下コメント

 

主将 小池玲央(4)

(今日の試合を振り返って)まず最初に言いたいのは、勝ち切れなかったことが一番悔しいです。あんなに河合(環1)が守ってくれていたにも関わらず、相手に点を与えて引き分けになってしまったのは、大きな課題として挙げられます。でも前回(明大戦)、前々回(中大戦)の0-8という試合から、メンバーも復帰し対等に試合ができるようになったのは大きな進歩でした。(早大とはサマーカップ以来の対戦でしたが)今回はお互いに抜けている選手がいたので条件としてはあまり変わらなかったと思います。そのなかで差を縮められたのは、サマーカップでの試合の悔しさを忘れずに練習してきたからだと思います。時間が経つと悔しさって忘れちゃうんですよ。だからそれを忘れずに試合に臨めたのが良かったと思います。(課題となっていた立ち上がりについて)立ち上がりは良くはなかったですね。河合に守ってもらった部分が多かったのが正直なところです。立ち上がりはかなり攻められ、多くのシュートを打たれたので、その点に関してはまだまだ明後日の試合へ向けて反省していかなくてはなりません。けれど点を取れたということは大きな進歩です。そこは自信を持っていいと思います。でも得点した後にすぐに失点する場面が多くそれで流れが変わってしまうので、その点についても明後日につなげたいと思います。(試合終了間近に打ったシュートについて)今日は終始足が動いたので個人的には調子が良くて、3ピリオドの最後まで体力が残っていました。もうみんな疲れていたので、もしチャンスがあったらジャンプアップしようかなと思っていました。1回目は相手の新井に阻まれたんですけど、2回目は最後の方にチャンスが回ってきて、ここで真のキャプテンシーが問われるかなと思いながら「決めなきゃ」と思って打ったんですけど、中学の同級生である遠藤に阻まれてしまって、まだまだ自分も至らない部分が多いなと思い知らされました。(次節へ向けて)勝ちに行くということが大前提。サマーカップで東洋は早稲田に負けているので、僕らも可能性がある。ビビることなくしっかり準備して、必ず勝ちを取りに行くので応援よろしくお願いします。

 

 

滝智弥(2)

(今日の試合を振り返って)内容はそんなに良くなかったです。立ち上がりを意識しようとみんなで話し合っていたにも関わらず、1ピリオドはゴール前で結構叩かれていて、結果的に3-2で乗り切れたんですけど、本当に立ち上がりの甘さというのが出ていました。最後の方もギリギリまで勝っていたのに、最後の最後に危ないゾーンではシンプルにプレーするということを徹底できず、そういうところが自分達の甘さだと思うので、ギリギリのところで自分たちのプレーができないという場面に実力不足が露呈したというような試合でした。(早大とはサマーカップ以来の対戦でしたが)慶應は早稲田に対して勝手に苦手なイメージを持っていました。でもそれはただの勘違いで、自分たちのホッケーをしっかりやれば今日のような良い勝負ができるってことがわかりました。ただ勝ち切れなかったということが自分たちの弱さなので、2周目に対戦するときには勝てるようにしたいと思います。(本日は2得点決めました)1点目は相手がレシーブをミスするかなと思ったらミスしてくれたので、それを引っ掛けてノーマークで落ち着いて決められました。2点目は作戦どおり深いゾーンでプレーしてディフェンスからシュート打って、ゴール前で田中陸(政1)が1年生ながら体張ってくれて、自分がこぼれ玉を叩いたって感じで、2点目に関してはチーム全員で僕たちの1セット目として話していた形で点を取れたので、本当に良かったと思います。(次回に向けて)東洋大学も個人スキルの高い選手が多くて、フォワードで足の速い選手もいるんですけど、全員でしっかりゴール前を守って、少ないチャンスになったとしてもまたしっかりシュートを決めて、勝ち点をとって後半戦につなげられたらと思います。

 

長谷川真之介(1)

(今日の試合を振り返って)今まで勝ち点を取れていなかったので、勝ち点1を取れたということは良かったのですが、勝ちにいける試合だったのでもっと勝ち点を取りたかったです。点を取ったり取られたりという展開で、勝ちきれなかったというところが悔しいと思う部分です。(サマーカップでの早大戦の敗戦を経て)過去2回早大と試合をやって、2回とも1ピリオドで試合を決められてしまっているので、山中さんからとにかく開始5分は無失点でいくように言われていました。まず1ピリオドはリード、もしくはイーブンで終われるように気をつけました。1、2、3ピリオドを通して試合ができるように気をつけて試合に臨みました。(2ピリオドで長谷川選手には多くのチャンスがありましたが)今年はU20選考の年ということもあって、今年一回しかないのでなんとしてもアピールしたいという気持ちもありました。また、なにより早大に勝ちたいという思いは強くあったので個人の得点もですが、チームを自分の力で勝たせたいという気持ちも大きかったです。フォワードの自分としては、なによりもゴールをすることが1番チームを勝たせる近道なので、ゴールは貪欲に狙っていきました。(東洋戦への意気込みを)試合は明後日ということで疲れが残る心配もあるんですけど、言い訳をしているわけにはいかないので、今日のゲームのことは忘れて明後日の試合はまたゼロからのスタートと考えたいです。また1ピリオド開始5分から無失点でいけるように意識して、まず守りから入れるようにしたいです。

 

 

次戦予定

919() 17:30F.O. vs東洋大学 @DyDoドリンコアイスアリーナ

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