10/15 (日)14:00K.O. 関東大学対抗戦vs日本体育大学
@高崎市浜川陸上競技場
ここまで対抗戦2連勝。順調な滑り出しを見せた慶大は第3戦、秋雨のぱらつく高崎市浜川陸上競技場で日体大と対戦した。体格面で優位に立つ慶大はスクラムで日体大を寄せ付けなかったものの、粘り強く前に出る日体大に合計3つのトライを許した。結果的には49-22で勝利を収めたものの、ライバル校との対戦に向けて、いくばくか不安の残る試合となった。
慶大 | 日体大 | |||
前半 | 後半 | 前半 | 後半 | |
4 | 3 | T | 1 | 2 |
4 | 3 | G | 1 | 1 |
0 | 0 | PG | 1 | 0 |
0 | 0 | DG | 0 | 0 |
28 | 21 | 小計 | 10 | 12 |
49 | 合計 | 22 |
T=松村2、細田、辻、金澤、丹治
G=古田7
ポジション | 先発メンバー | 交代選手 |
1.PR | 渡邊悠貴(経3・慶應) | |
2.HO | 細田隼都(商4・慶應) | |
3.PR | 吉田雄大(総4・秋田) | →後半36分 大山祥平(経1・慶應) |
4.LO | 辻雄康(文3・慶應) | |
5.LO | 佐藤大樹(総4・桐蔭学園) | →後半33分 川合秀和(総2・國學院久我山) |
6.FL | 中村京介(文4・明和) | →後半38分 辻本大河(法3・慶應) |
7.FL | 永末千加良(法4・慶應) | |
8.No.8 | 松村澟太郎(商4・慶應) | |
9.SH | 江嵜真悟(商3・慶應) | →後半35分 小宮山大地(政4・慶應) |
10.SO | 古田京(医3・慶應) | |
11.WTB | 宮本瑛介(経3・慶應) | →後半36分 宮本恭右(環1・慶應) |
12.CTB | 堀越貴晴(総4・茗渓学園) | |
13.CTB | 柏木明(経4・慶應) | →後半27分 栗原由太(環2・桐蔭学園) |
14.WTB | 金澤徹(商4・慶應) | |
15.FB | 丹治辰碩(政3・慶應) |
試合序盤、慶大は今季好調のスクラムで優位に立つも、マイボールラインアウトで相手にボールを弾かれるなど、今一つ流れに乗ることができない。前半14分、相手ペナルティーからゴール手前のスクラムで押し込み、No.8松村凜太郎(商4・慶應)がグラウンディング。先制点を挙げたものの、直後の17分、敵陣から相手BKの独走を許し同点に追いつかれてしまう。それでも26分、味方のハイパントを「結構練習してきた」というWTB金澤徹(商4・慶應)が好キャッチ。そのままガラ空きの右サイドを一気に駆け抜け、インゴールに飛び込んだ。更に35分、フェーズを重ねて徐々に前進し、HO細田隼都(商4・慶應)のトライで21-7とリードを広げる。39分に日体大にペナルティゴールを決められたが、直後の40分に敵陣ゴール前のスクラムで一気に押し込み、松村が2つ目のトライ。28-10で前半を終え、ようやく慶大がペースを掴んだかに見えた。
しかし迎えた後半、またしても慶大は立ち上がりに攻め込まれた。自陣ゴール付近での競り合いで反則を連発する。SO古田京(医3・慶應)がインテンショナル・ノックオンでシンビンを受け、直後の7分、インゴールを割られてしまう。それでも簡単に相手に主導権を渡さなかった。19分、復帰したSO古田京(医3・慶應)がトライ。32分に相手のスピーディーな展開に対応できずトライを返されたが、その後は地力で勝る慶大が一気にリードを広げる展開に。途中出場のFL川合秀和(総2・國學院久我山)のゲインでチャンスを作り、最後はLO辻雄康(文3・慶應)が力強く押し込んだ。40分にもFB丹治辰碩(政3・慶應)がトライを奪い、この試合全てのゴールを成功させている古田がここも難しい角度を決め、49-22でノーサイド。慶大が苦しみながらも勝利を収めた。
「日体大より慶應の方がフィジカルで勝っていた」(辻)。今季好調のスクラムは本試合も健在で、日体大に付け入る隙を与えなかった。アタックでもフィジカルのアドバンテージを生かし、執拗に近場を突く形でトライを量産した。しかしその一方で、らしくないディフェンスの綻びも見受けられた。ゴール際に追い込まれた際の反則や、ディフェンスの隙間を簡単に抜かれたりラインアウトモールで粘れず押し込まれたりする場面が目についた。今後強豪校との連戦を迎えるにあたって、このあたりの課題の修正は急務となる。
次戦の対戦相手は因縁の明大。昨季の対抗戦は前半で22点のリードを奪いながら、後半で31点を失い、まさかの大逆転劇を許した。あの屈辱は、実際に経験した選手はもちろんのこと、慶大ファンの記憶に今も深く刻みこまれている。あの時は、「タックルミスとペナルティーで自分たちのリズムが崩れ、それが選手にとってプレッシャーになった」(金沢篤HC)。来る一戦では、最後まで集中力を切らさず、軽率なミスを可能な限り減らしていきたい。
勝負のポイントについて、「うちのディフェンスじゃないですか。慶應がいかにグラウンドにしっかり立って前に出てディフェンスできるかだと思います。それがゲインを切られるようだと、明治のリズムになる」と金沢HC。FW/BKともに強力な“個”を擁する明大のアタックを、いかに生命線の“チーム”ディフェンスで抑え込んで流れを作れるか。1年越しの悲願達成に向けて、慶大蹴球部の真価が問われようとしている。
記事:田中壱規、江島健生 写真:萬代理人、江島健生
以下、コメント
金沢篤HC
——苦しみながらも勝利を収めました。今のお気持ちを
毎回言っていますが、ここがピークではないので、一歩一歩自分たちができたことと、できなかったことを確認して進んでいくだけかなと思います。ただ実際のところどうかはわからないんですけど、雨や色んな環境の変化で、正直何人かの選手は集中していなかったのかなと思いますね。例えばタックルした後に立ち上がるとか低くタックルするとか、そういった姿勢に出てくるんですけど、そういう選手がいたのがこういう流れになってしまった原因なのかなと思っています。
——全体的にディフェンスで苦戦していたように見受けられました
時間帯じゃないですか。前半は全体的には悪くなかったように思いますが、後半もいくつか時間帯ではディフェンスで食い込まれてしまう時間帯があったので、そういうところで前に出ることを徹底していたのは日体大さんの方かなと思います。
——その食い込まれてしまった要因というのは
自分たちが出られるところで出られなかったからだと思います。タックルのポイントが前に出れば、ゲインラインも前になるので。
——タックルが甘くなる場面が多く見受けられました
日体大さんが格下というわけでもなんでもなく、12番の石田くん、15番の中野くんなど良いランナーがいるので、彼らを止められなかったという事実は受け止めます。そこはこれから個人としてもチームとしても強化していかなくちゃいけないと思います。
——アタックに関してはBKで展開するというより近場を突く形が多かったですが
そうですね。グラウンドの状況も悪く雨が降っていましたし、日体大さんが凄く前に出てプレッシャーをかけてくるディフェンスをしていたので、パスをすればするほど(ゲインライン)が下がるんですね。なので、基本的には近いところで勝負するように指示していました。そこに日体大さんとの差も凄くあったので。
——今後課題になるポイントは
一番は自陣のエリアを取るときにどうやって取るかというところだと思います。うちのキックを日体大は真正面でキャッチしていたのに対し、日体大がキックしたボールに対して自分たちがいつも背走する形になったのはわかりますか。どういうふうにキックを使うのかというのはもっと上手くやらなければいけません。ただ相手に与えているだけになってしまうと、そこから彼らのランが始まるわけですよね。そういうところをもう少しやっていかなければいけないのかなと思います。
——今日は普段はPRを務める細田選手(隼都=商4・慶應)が、HOとして起用されていましたが、どのような意図があったのでしょうか
けが人とかそういう関係ですね。彼は高校時代HOの経験がありますし、準備はしていました。これから先誰がHOをやるにしてもその準備は必要だと思って、今回起用しました。
——次は対抗戦の山場となる明治との試合になります。今季の明大の印象は
スキルの高いチームだと思います。BKに足の速いランナーがいて、トップリーグで言えばサントリーみたいなチームですね。監督も代わりましたし。強い相手だと思います。
金澤徹(商4・慶應)
――どのように今日の試合に臨んだか
チームとしてファーストタックラーが下に入って、セカンドタックラーが上に入ることと一対一で勝つことを意識して試合に臨みました。
――今日の試合を振り返って
前の試合もそうでしたが、自分たちが今まで練習でやってきたことを試合で最初からできませんでした。リズムが崩れることが多く、そこをどう修正できるかが課題です。
――ピッチの状況が悪かったことに関して
足が取られることが多かったのであまりステップや加速での攻撃は臨めなかったです。
堅くプレーするようにしました。
――ご自身のプレーを振り返って
試合の序盤、ディフェンスとキックでミスをしてしまいした。ミスを減らせるようにしていきたいです。
――前半のトライを振り返って
ハイパントキャッチを結構練習してきました。その練習の成果が出て、良かったです。
――自陣でのプレーすることが多かったことに関して
自分たちのミスで自分たちを苦しめました。そこをミスなくいつも通りのディフェンスやキックをしていきたいです。
――明治戦に向けて
秋の対抗戦で明大に勝ってないので、今年こそ勝ってみせます。
LO辻雄康(文3・慶應)
——今日の試合に向けて監督からの指示は
今日のテーマはレッグタックルをするということと、セカンドマンファイトをするということで、ディフェンスによくフォーカスをして試合に臨みました。ですが、結構頭がヒートアップしてしまい、コミュニケーションを横で取るということがあまりできていなかったと思うので、その部分で結構相手にゲインされた場面とかがよくありました。そこから相手に流れを作らせてしまったのではないかと思います。
——ヒートアップしてしまった原因は
1番最初に自分たちに流れがあるときに、勝ち切れなかったことですかね。例えばペナルティーをスクラムのときに何回も取られてしまうことなど、自分たちのミスから流れを崩すことが多かったので、もしも自分たちのミスが無ければ、何点も普通にやれば取れたのではないかと思います。ですから、そこでまずしっかり最初に勝ち切れないことが流れを相手に渡してしまう原因だったのではないかと思います。
——試合中に、チームとして試合前の指示をどれだけ達成できたか
全然駄目だったのではないかと思います。コンタクトの接点のところは慶應がフィジカル強い分勝てたと思います。ですが、ゲインされた後の自分たちの戻りからのディフェンスなどの時にコミュニケーションが取れていなくて、自分たちがいるべき場所に人がいなくてやられてしまったので、もっと喋りながら落ち着いていつでもプレーすることが大事なのではと思います。
——良かったところは
日体大より慶應の方がフィジカルで勝っていて、そこで自分たちが培ってきた揺るぎないものが成果として出たと思います。絶対フィジカルでは負けないというふうに思っていたので、(苦しくなった時間も)そこに立ち返って戦うことができました。
——ご自身の出来栄えは
何回か接点で相手を仰向けにすることができて、その部分はよかったかもしれないですが、もっともっとボールに絡むチャンスは何回もあったと思うので、もっと積極的に絡むべきだったと思いました。
——次の試合に向けて
次は明大戦なので、絶対接点のところで負けないで、自分がまず明大の重いFWの重量級FWに勝つところからやろうかなと思います。そこにプライドを持って慶應として勝ちたいと思っています。