【ソッカー(男子)】第21節 絶体絶命の慶大を救ったのは2年生コンビ! 激戦の残留争いは最終節へ 駒大戦

大きな、大きな1勝だ。残留争いで厳しい状況に置かれた中で迎えた駒大戦。慶大はピーダーセン世穏(経2・FCトリプレッタ)の仕掛けから獲得したPKを佐藤海徳(政2・桐光学園高)が沈めて先制すると、佐藤のCKからピーダーセンも得点。2年生コンビの躍動で前半のうちに2点のリードを奪った。後半は駒大の猛反撃を受けたが、気持ちのこもった守備で逃げ切りを図る。駒大の精度の低さにも助けられながら反撃を1点に抑え、勝ち点3を獲得。得失点差の関係で降格圏は抜け出せなかったものの、残留望みをつないだ。

 

第91回関東大学サッカーリーグ戦 第21

 

2017/11/11(土)11:30KO@龍ヶ崎市陸上競技場たつのこフィールド

 

【スコア】

慶應義塾大学 2-1 駒澤大学

 

【得点者】

1-0 17分 佐藤海徳(慶應義塾大学)

2-0 41分 ピーダーセン世穏(慶應義塾大学)

2-1 70分 小田駿介(駒澤大学)

 

慶大出場選手

GK上田朝都(総2・横浜F・マリノスユース)

DF鴻巣良真(総3・国学院久我山高)

DF野村京平(総2・国学院久我山高)

DF八田和己(総2・桐蔭学園高)

DF佐藤海徳(政2・桐光学園高)

MF岩崎湧治(商3・ベガルタ仙台ユース)

MF落合祥也(商2・横浜FCユース)

MF手塚朋克(環4・静岡学園高)

MF松木駿之介(総3・青森山田高)

FWピーダーセン世穏(経2・FCトリプレッタ)→80池田豊史貴(総4・浅野高)

FW田中健太(法4・横浜F・マリノスユース)→63松岡瑠夢(総1・FC東京U-18)→90+3小谷春日(環3・藤枝東高)

 

1部残留へ、目指すのは勝ち点3のみ

前節、明大との接戦を落とした(0●1)慶大は、最下位の日体大に勝ち点で並ばれてしまった。敗れれば最終節を待たずに降格が決定するおそれもある今節、駒大戦。出場停止明けの主将・手塚朋克(環4・静岡学園高)がスタメンに復帰し、絶体絶命の中で勝ち点3だけを目指す試合となった。

 

2得点に絡むなど圧巻のパフォーマンスを見せたピーダーセン

先制点を奪われると勝率が極端に下がる慶大。先手を取るために風上の逆エンドを選び、試合は始まった。立ち上がりは両チーム硬さが目立ったが、15分前後から試合は激しく動き始める。主役となったのは、ピーダーセン世穏(経2・FCトリプレッタ)。巧みなポストプレーでカウンターのチャンスを演出すると、直後にはFKに頭で合わせ駒大ゴールを脅かす。続けて17分、PA内でのピーダーセンの仕掛けが相手DFのハンドを誘い、PKを獲得。「緊張しなかった」と話した強心臓の佐藤海徳(政2・桐光学園高)がこれを沈め、先制に成功した。インカレ出場のためには1つも負けられない駒大も意地を見せ、ロングボールから一対一のピンチ、FKに合わせたヘディングシュートなどが続いたが、いずれも駒大のフィニッシュは精度を欠く。そして前半も終わりに近づいてきた41分、再び2年生コンビが魅せる。風を読んだ佐藤が利き足ではない左足で右CKを蹴ると、インスイングのボールをピーダーセンが頭で叩き込んだ。ピーダーセンはそのまま応援団のもとに飛び込み、慶大は歓喜の渦に。興奮冷めやらぬまま、シナリオ以上の前半が終了した。

 

GK上田を中心に駒大の猛攻を凌ぎ切った

風下の後半、ハーフタイムに「守りに行くんじゃなくて取りに行く」という須田芳正監督の指示を受けた慶大は50分、ピーダーセンがドリブルで数人をかわしてPA内に侵入したが、シュートは打ちきれず。その後はやはり、風を利用した駒大のロングボール戦術に押し込まれていった。56分、ゴール正面から強烈なシュートを浴びたがGK上田朝都(総2・横浜F・マリノスユース)が弾き出す。61分には相手GKのパントキック1本で裏を取られ、上田もかわされたが、無人のゴールに流し込むだけのシュートは枠を逸れた。慶大は63分に松岡瑠夢(総1・FC東京U-18)を投入すると、その直後に松岡、岩崎湧治(商3・ベガルタ仙台ユース)がいずれもカウンターからシュートチャンスを迎えるが、どちらも枠を捉えられない。両者決定機を決め切れない展開だったが、70分、駒大にセットプレーの競り合いからこぼれ球を押し込まれ、1点差に。その後は俄然勢いに乗る駒大に対し、絶対に勝ち点3を落としたくない慶大も八田和己(総2・桐蔭学園高)を中心に粘り強いディフェンスを見せ、これ以上の決定機を与えない。そして2-1のまま、試合終了のホイッスル。手に汗握るラスト20分間を慶大が耐え切り、1部残留へ首の皮一枚つながった。

 

「勝つしかなかった」(佐藤)。思い返せば、今季我々は何度、彼らが悲壮な表情で「勝つしかない」と話すのを聞いただろうか。残留争いのライバルたちとの直接対決。残り3節で降格圏に転落した次の試合。「勝つしかない」試合で、慶大はことごとく勝てなかった。そして絶体絶命のピンチに陥り迎えた今節、彼らはついに勝った。その原動力は、極限まで追い込まれて吹っ切れたメンタルだろうか。それともヒーローインタビューでピーダーセンが話した、「“俺たちは慶應だ”というプライド」だろうか。最終節、慶大は仮に敗れても、得失点差次第で残留圏内の10位に浮上できる可能性はある。しかし、荒鷲軍団は誰一人、そんな幕切れを思い描いてはいない。「勝つしかない」(手塚)——。長く、苦しかったシーズン。最後は、笑って終わる。

 

(記事 桑原大樹)

第21節終了時の順位表。1試合を残し、筑波大が13年ぶり15度目の優勝を決めている

 

 

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試合後コメント

 

手塚朋克(環4・静岡学園高)主将

(試合を振り返って)全体的に気持ちが入って良いゲームだったと思います。(本当に追い込まれた状況で迎えた試合だった)こういう状況でも楽しむ気持ち、メンタルを持たなきゃ割り切ってできないと、そう思って1週間ポジティブにやってきたので、その成果が出たんじゃないかなと思います。(いつもよりボールに触れる回数が多かった)今日は攻めに出るということで自分の持ち味を十分に発揮しようと思っていたので、ストロングポイントが少しは出せたんじゃないかなと思います。(田中選手との連携で崩すシーンが多かった)僕は先週累積警告で出れなくて、その分練習試合に出た時に(田中)健太とすごく多くコミュニケーションを取って練習してきていたので、今週はFWが誰が出るかあまり分からなかったんですけど、すごく良い形を作れたんじゃないかなって思います。(後半はかなりの勢いで押される時間帯があったが)まあ耐えるしかないと思っていたので、全員で鼓舞して、集中した守備ができたんじゃないかなと思います。(できれば無失点という気持ちもあるのでは)まあでも僕らは1失点した後に連続失点することが多かったので、そういう意味では向かい風になった瞬間に気持ちを切り替えて、1点入れられた後も踏ん張ることができたのはすごく良い成果だと思います。(次節に向けて)次も勝つしかないと思っているので、残留するために今週以上に良い準備をして、練習を積み重ねていきたいと思います。

 

ピーダーセン世穏(経2・FCトリプレッタ)

(非常に大事な一戦をものにしたが今の率直な気持ちを)めちゃくちゃ嬉しいですけど、得失点差を考えると1失点が無駄だったかなと思いますね。(負ければ降格が決まるおそれもあった中で、試合前の心境は)「ここまで来たら気負うことなくプレッシャーを感じずにこの舞台を楽しもう」っていう話で、吹っ切れていたんで、すごく良い雰囲気でした。(この1週間は良い雰囲気でトレーニングができていた)そうですね。2,3週間前くらいは結構もうピリピリしていて、降格が見えてきた時点で練習の雰囲気もちょっと下向きっていう感じだったんですけど、明治に負けてからはもう「気にしても仕方ない」みたいに吹っ切れてやれていたんで、良かったですね。(試合を振り返って)うまく立ち上がり入れて、相手のセンターバックの裏の処理が悪いというのは元々分かっていてそこにポンポン入れられたんで、それでPKも取れて。前半の入りがめちゃくちゃ大事だったと思います。(後半については)後半立ち上がりに相手が来るっていうのは分かっていたんですけど、それでもやっぱり勢いで負けちゃって、失点も悪いタイミングだったんですけど、何とか気持ちで耐えられて良かったなと思いますね。(2得点ともに絡んだが)相手のセンターバックが意外と背負っちゃったらガツガツ来なかったんで、「あ、これ背負えるな」と思って。放り込めみたいな感じで入れてもらって、ターンしたらハンドになって。CKもこの2週間すごく緻密にやってきたんで、結果につながって本当に良かったと思っています。(CKは狙い通りだった)狙い通りですね。ゴール裏にみんながいたんで、最高でしたね。(関東リーグ初ゴール、やっと第一歩を踏み出せた)そうですね。しかもこのタイミングで、この大舞台で出せたっていうのは自信にもつながりますし、チームに対する影響もあると思うんで、良かったですね。(この厳しい状況の中でここ最近は起用が増えているが、意気に感じることもあるのでは)そうですね。監督から期待されているのは感じているので、今回はそのチャンスを生かせてよかったですけど、先週は生かし切れずに終わって悔しかったですし。こういうのをプレッシャーに感じないタイプなんで、大一番でプレーできる喜びというのを来週も楽しみながらやりたいなと思います。(池田選手と体格が似ているとはいえ違った良さがあると思うが、自身はどう考えているか)ジャンボさんはとにかく体が強くて、体を張って周りにこぼれてそれをみんながかっさらうみたいな感じなんですけど、自分は体格がありながら足元で収められる選手を目指していて、そういうところではちょっとタイプが違うかもしれないですね。(残すところあと1試合となったが、最終節に向けて意気込みを)やっぱり「自分たちは慶應だ」というのをもっと強く持って、慶應に対するプライドというのを強く持って、絶対1部に残すというのをみんなが強く持ちながらも、最後1試合を楽しむっていうくらいの明るい雰囲気でやれれば、また今日みたいに良い入りができて良い結果につながるのかなと思います。

 

佐藤海徳(2・桐光学園高)

(試合を振り返って)とりあえず勝てて良かったです。まあ勝つしかなかったので、点を取るしかなかったし、もうちょっと3点目4点目を決めたかったですけど、勝てたので良かったです。ほっとしました。(残留争いをしている中での勝ち点3だが)大きいですね、やっぱり。大きいというかもうそれしかなかったので、それができたというのは残留の望みに繋がったと思います。(PKのシーンを振り返って)自分が蹴るということをチームとして決めていて、もうピーダーが(PKを)もらった瞬間にもう「決めてやるぞ」と思って、まあ緊張もしなかったので、普通に蹴りました。(自信はあったか)自信はあります。(得点後は喜びを爆発させていた)そんなに喜ぶつもりは無かったんですけど(笑)。勝手に体が動いたっていう感じです。(2点目のアシストの場面について)1回目のCKを右足で蹴って、風が強くて風上で自分の(ボールの)回転と逆に風が吹くので、それが合わせづらいと思っていて、練習でも左足で蹴ることをしていたので、そこの練習でも上手くいっていたし、いけると思って左足で蹴りました。(ハーフタイムの指示は)やっぱり(点を)取りに行くというところで。守るんじゃなくて取りに行くということでした。でも結局振り返ると後半全部守っていたって感じなので、やっぱりあそこで3本、4本くらいパスを繋いで自分たちの攻撃の時間とかを作っていかないと、今日みたいな苦しい展開になるし、もう1点決められてもおかしくなかったので、まあ勝てたのは良いですけど、理想は違いますよね。(次節に向けて)自分はずっとケガをしていて、試合に出られないで不甲斐なさを感じていて、自分がピッチで結果を残すということをここ1年ずっと思ってきたので、それを今日やっと結果としては出たんですけど、残留しないとやっぱり意味が無いので、勝って残留を決めてっていうところを一番思っているので、残留したいです。あとはやっぱり松木とずっとリハビリしてきて、ずっと「チームをこうしたい」とか「自分たちが出て結果を残そう」という話をしていて、自分は(点を)取ったんですけどあいつはまだ復帰してから得点できていないので、最終節は自分のアシストから松木がゴールを決めたりとか、松木と何かをしてやりたいです。

 

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