2018年、慶大ソッカー部の新シーズンが幕を開けた。今季初の公式戦は東洋大との東京都サッカートーナメント学生系の部[Bブロック]準決勝となった。試合開始からペースを握った慶大は38分に佐藤海徳(政3・桐光学園)のゴールで先制するも、73分に失点すると1-1のまま90分が終了。10分ハーフの延長戦でも決着はつかず、勝負の行方はPK戦へ。慶大は1人目のキッカーが外すと、東洋大に5本すべてを決められ勝負あり。新シーズン初戦は悔しいPK戦での敗戦となった。
第23回東京都サッカートーナメント学生系の部[Bブロック]準決勝 vs東洋大
2018/03/25(日)13:30KO @東洋大学グラウンド
【スコア】
慶應義塾大学1―1東洋大学
(PK4-5)
慶大×○○○○
東洋大○○○○○
【得点者】
1-0 38分 佐藤海徳(慶應義塾大学)
1-1 73分 松崎快(東洋大学)
◇慶大出場選手
GK藤川誠人(総4・桐蔭学園) |
DF佐藤海徳(政3・桐光学園)→72分 井出悠介(環4・桐蔭学園) |
DF八田和己(総3・桐蔭学園) |
DF東山航大(総2・柏レイソルU-18) |
DF中島玲央(総4・柏レイソルU-18) |
MF江本優貴(総3・大宮アルディージャユース)→77分 落合祥也(商3・横浜FCユース) |
MF岩崎湧治(商4・ベガルタ仙台ユース) |
MF内桶峻(政2・国学院久我山) |
MF多嶋田雅司(商3・国学院久我山)→91分 小谷春日(環4・藤枝東) |
MF山田盛央(総3・藤枝東) |
FW松木駿之介(総4・青森山田) |
昨季、関東大学サッカーリーグ1部で最下位に沈み、10年ぶりの2部降格が決まった慶大。今季は指揮官に新たに冨田賢新監督を迎え、1年での1部復帰を目指す。そんな中迎えた今季最初の公式戦は、昨季からスタメンの顔ぶれも大きく変わり公式戦初出場となる選手もいる中、この日ワントップに入った松木駿之介(総4・青森山田)が主将としてチームを引っ張る。新チームになり、短い時間ながらも新監督の下で取り組んできたことをどこまで出せるのかにも注目が集まる。
前半、立ち上がりから勢いを持って試合に入った慶大がペースをつかむ。開始早々の2分、内桶峻(政2・国学院久我山)から佐藤へとつなぎ、最後はクロスに山田盛央(総3・藤枝東)が飛び込みヘディングシュート。これは惜しくも枠を外れたが、いきなりチャンスを作った。その後も慶大の攻勢は続き、38分には待望の先制点が生まれる。敵陣左サイドの深い位置からボールをつなぐと、最後は山田の横パスに反応した佐藤が走り込みそのまま右足一閃。これがゴール右隅に突き刺さり、慶大に今季初得点をもたらした。結局前半は東洋大にほとんどシュートチャンスを与えないまま、1-0で試合を折り返した。
前半同様、攻守にわたり積極的なプレーを見せたい慶大だったが、後半に入り徐々に疲れが見え始める。すると57分、ディフェンスラインのミスを突かれPKを献上。同点のチャンスを与えてしまう。しかしこの場面でGK藤川誠人(総4・桐蔭学園)が横っ飛びでPKストップ。気迫のこもったプレーでチームをピンチから救う。だがその後もなかなか流れを引き寄せられずチャンスも決め切れずにいると、72分に左サイドを破られ、クロスに頭で合わせられ失点。1-1の同点とされる。そしてこのまま90分が終了。10分ハーフの延長戦へと突入した。
延長戦は前半の99分、ゴール前で獲得したFKに東山航大(総2・柏レイソルU-18)がダイビングヘッドで合わせたがポストに嫌われ得点ならず。後半も両者決め手を欠き勝負はPK戦に託された。PK戦では先攻の慶大が1人目のキッカーで失敗すると、東洋大に5本すべてのキックを決められ4-5。決勝進出とはならなかった。
冨田新監督のもと臨んだ今季の公式戦初戦は惜しくもPK戦での敗戦となった。しかし前半から見られた主体的な守備や連動した攻撃は今季から新たに取り組んでいるところであり、それが随所で見られたことは1歩前進と言って良いだろう。もちろん冨田監督の言うように「クロスの対応」や「勝ち切る」ところなど課題もまだまだあるが、ひとまず新しい“慶大の形”ができ上がりつつあることは確かだ。リーグ開幕戦まであと約2週間。着実に変わりつつある慶大がこの長いようで短い時間でどこまで成長できるか。昨季のリベンジに燃える新生・荒鷲軍団の戦いはここからが本番だ。
(記事:岩見拓哉 写真:髙橋春乃、桑原大樹)
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以下、コメント
冨田賢監督
――試合を振り返って率直な感想は
本当に今まで準備してきたというか戦おうとしてきた守備からきちんとやっていこうというのは、まずまずやりたかったことはできたのかなと思います。あとは、3人目の関わりで攻撃していくというのも公式戦の中でどれくらいできるのか、たぶん上手くいかない部分の方が多いかなと思っていたんだけど、そういうのが見られるシーンもあったので。でもやっぱり最後にああいう形で1-0でゲームを勝ち切れないというのはこれからの課題というか、2点目を決められるようなシーンもあったし、あれで決められていたらゲームを決められていたかもしれないし、まあたらればになってしまうけど今回また色々な収穫も出たし、できたところとできなかったところ、それをまた来週の筑波大とのトレーニングマッチとあとは立正大戦に向けて、今年は成長していくということをテーマにしているから、今日のゲームよりもまた次のゲームでより良いゲームができるようにしていきたいです。チームの一体感とかそういった意味では、自分の想定よりはできたかなというのが率直な感想です。ただ、勝ち切るためにはまだまだ足りないということですね。選手たちもそれは一番わかっていると思うから。
――今日の試合で得られた収穫は具体的にはどの部分か
収穫は、まず守備のところでは計算ができたというところは収穫かな。今日は公式戦デビューの選手も5人くらいいたけれども、そうした選手たちもやれていたしチームとしてもベンチのメンバーも含めて、総力戦だったけど雰囲気とかチームとして戦っているという感じは持てたかなと思います。
――逆にあえて課題をあげるとしたらどこか
やっぱり失点のところもそうだけど、クロスのところ。特にブロックを敷いていて、最初は上手くはまっていたけど相手がサイドに数的優位を作ってきたりとか、FWの選手が落ちたりしてきたときにやっぱりSBがいくのかSHがいくのか、そこの判断があいまいになってしまったところを突かれてしまったのでそこを修正するというのと、クロスの対応というのはずっと課題ではあったからそこのところをもう一度しっかり修正していきたいです。セットプレーとクロスの対応ってやっぱり絶対にポイントになると思うから、そこはきちっと修正してクロスからの失点を減らしていくというのが課題かな。
――冨田監督にとってソッカー部での公式戦初采配だったが緊張などはあったか
そうですね、やっぱり自分自身もちょっとはあったね。たぶん選手たちも感じていたけど、でもそれを選手は結構力に変えていたと思うから、もっともっととにかく成長して、今日も相当ハードワークしていたと思うけどこれからまた回復させて、今年は積極的休養をやろうと思っているのでその辺の回復のところも含めてやっていきたいです。今日も90分以上やっているから回復のところは本当にポイントになると思うので、休養をしっかりとやっていきたいと思います。
――今日は東洋大が相手だったが特別な対策などはしてきたか
まあビデオを見て、ただ正直どのメンバーで来るかというのは読めなかったので、あまりどの選手がどう来てというのはやらないで去年の戦い方とかリサーチが見てこんな戦い方で来るだろうというのはミーティングで共有していました。
――延長、PKという展開になったが
最後は両チーム交代枠を使っちゃって本当に気持ちの勝負みたいになったので、そういう中で最後上回るのは僕は気持ちの部分が大きいと思っていて、それだけにしちゃいけないけど最後本当に選手たちが、僕も含めてチームとして勝ちたいと思えるかというところだったと思うので、だからセットプレーからうちのチャンスがあったりとかお互いあったけどね。
――リーグ開幕戦に向けて
本当に今日も1番はトーナメントを続けられるのがベストだったけど、逆に負けたときに筑波大とのゲームをやりたいと決めていたからそれもあるし、もう一回立正大戦に向けて、リーグ開幕が本当の開幕なので、今日も開幕の気持ちでやっていたんだけど、それに向けて頑張っていきたいと思います。
松木駿之介(総4・青森山田)主将
――試合を振り返って
まだ勝ち切るチームになれていないっていうのが一番感じたことです。1点取れた後に我慢できず追いつかれてしまった、無失点で試合を進めることができなかったという点は、ひとつ現段階でのチームのレベルを確認できた、良い試合だったと思います。
――関東リーグ1部の東洋大相手に1ー1という結果はどう捉えているか
ひとつは、自分たちにもやれないことはないと感じましたし、ただまだ1部のチームを喰える力もないというのも感じたので、フィフティーフィフティーというか、そんな感じです。
――攻撃面の手応えは
ゴール前までボールを運んだ時にその後がないというか、今はクロスという1つの形しかなくて、ゴール前のアイディアが乏しいので、そこを(リーグ)開幕までにもっともっと詰めていかないと、得点数も増えないと思うので、そこをチームとしてやっていきたいと思います。
――今日の自身のパフォーマンスについては
全然ダメですね。トラップが安定しなさすぎて、全然周りも見られなくて。やっぱり基礎技術がしっかりしないと持っている力も出せなくなるので、そういうところはもっともっとやっていく必要があると思ってます。
――延長戦になり皆足が止まってきている中、松木選手だけは最後までプレスの運動量が落ちなかった印象を受けた
ここ最近自分が走れるようになってきたなというのは感じていて、それはたぶん去年から三浦さん(三浦哲哉トレーナー)とトレーニングしてきて、走る感触も自分の中で変わってきたし、そういうところが生きてきているかなと思います。
――関東リーグの開幕に向けてやっていくことは
攻撃面も守備面も課題があります。今日の失点も、もともと自分たちでも弱いと認識していたクロスからやられているので、そこの改善と、攻撃はもっと人が流れてボールが動いて、もっともっとアイディアを出して面白い崩しができるようにならないと厳しいかなと思います。
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