慶應スポーツ新聞会

【ソッカー(女子)】<コラム>ポジショナルプレーのキーパーソン・小川愛 安定した足元の技術と展開力が慶大のビルドアップを支える 

10月28日、慶大野球部が完全優勝を懸けた大一番の早慶戦に臨む15分前。東伏見では、”前哨戦”や”裏早慶戦”と評するに躊躇う程の激闘に決着がついた(0△0)。同じピッチで、屈辱の9失点を喫した半年前からの成長を実感するクリーンシートを達成した慶大。そのCBには、怪我明けながらも慣れないポジションをこなした小川愛(総2・神村学園)の姿があった。

得点源として活躍した1年目

 

1年目には攻撃センスを遺憾なく発揮した

慶大では試合中、比較的大人しく淡々とプレーしているように見える小川だが、高校ではキャプテンを務めていた。寮生活を送りながら部員全員を日本一という目標に向かって1つにする「その責任と重圧に毎日戦っていた。」「人間として本当に成長できた。」 ――高校時代の事を尋ねると、ピッチ外での成長を真っ先に振り返った。”上手いチームではなく勝てるチーム”を常に意識していたという神村学園は、泥臭く走って走り通すチー厶。一方、伊藤洋平監督はポジショナルプレーと呼ばれる、適切なポジショニングによって様々な優位性を生み出す攻守一体のサッカーを標榜する。ソッカー部に入部した当初は、「とにかく泥臭く走って」だったチームから「一定の約束事を決めて繋いでいく」チームへの変化で戸惑い、どうやって自分の良さを出していくか悩んだ時期があったと言う。しかし、適応力を自らの強みに挙げる彼女は伊藤監督のサッカーに徐々に適応し、昨季は1年生ながら攻撃的なポジションに定着。大学リーグ第3節(7〇0)にはハットトリックを記録するなど、関東・大学の両リーグ1部昇格に大きく貢献。充実した初年度を過ごした。

 

中盤で定位置を確保するも…シーズン真っただ中でのけが

 

チームが好調な中でけがを負ってしまった

ポジショナルプレーにおいて、ポジション修正をしながら適切な距離感を維持し、頻繁にボールに関与するボランチはビルドアップの精度に大きく影響する。安定した足元の技術と展開力を買われた小川は、TEAM2018でその大事なボランチを務める機会が増加。絶え間なく中盤の底で動き直し、パスコースを創出する運動量も高校時代を考えると納得だろう。同じくボランチの主将・中島との連携も試合をこなすごとに深まり、大学リーグでは第3節までフル出場。慶大もインカレへ向け、スタートダッシュに成功した。しかし迎えた第4節(0⚫️4)、カウンターを阻止しようと全力で自陣へ戻った際に、以前にも怪我をした箇所を負傷。ピッチを後にした。この試合、それから慶大になかなかリズムが生まれなかったことが、小川の日頃の貢献度を物語っていた。

 

ピッチの外から多くのことを学んだ小川

チームの大事な時期、そして自分でも「調子が上がっていると実感していた」最中での怪我に激しく落胆した小川。だが、怪我の功名と言うべきか、試合を外から見るうちに2つ実感したことがあったという。1つ目はチーム全体で戦っていること。ピッチ脇の飲料の準備やボールガール等、試合中の仕事は多岐にわたる。「試合に出続けていると忘れてしまうけど、チーム全体でやっていることに改めて気づいた」全学年で28人と人数が少ない慶大は、そういった意味でもチーム全体で戦っていることを再認識した。2つ目はゴールへの意識の低さだ。ミーティングでも伊藤監督から「チームとしてゴールへの意識が足りない」と指摘があったと明かした小川は、客観的に試合を見る中でそれを強く実感した。早大戦後には、「守備的なポジションでプレーすることが多くなったが、これからはよりゴールを意識してプレーしたい。去年の経験も生かせる」と意気込んだ。

 

一回り成長して、次のステージへ

 

一段と成長した小川には要注目だ

最終節を残しながらも残留を確定させ、更に次節引き分け以上で3年振りのインカレ出場となる慶大。インカレベスト4達成へ、チームとしては連続失点、個人としてはもっと体を張ることを小川は課題に挙げた。リスク管理の意識を更に高め、特にネガティブトランジションの局面で、高いボール奪取能力を持つ中島と共に中盤のフィルターとなり得るか。「戻ってきたとはいえ試合に出るかどうかも分からない」と遠慮がちに小川は語ったが、インカレ出場権獲得、更にその先のベスト4へ--彼女の能力は間違いなく慶大のサッカーに必要となってくるだろう。怪我を経てまた新たな意識を持った小川愛。年末、インカレの舞台で躍動する彼女に期待したい。

(記事: 柴田航太郎)

 

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