10月28日。六大学野球の早慶戦と同日に行われ、“裏”早慶戦となった今節。慶大、早大共に是が非でも勝ち点が欲しい中行われた試合は、前半から一進一退の攻防を繰り広げる。しかしどちらも決め手を欠き前半を終えると、後半もチャンスを決めきることができず。そのまま勝ち点1を分け合うかたちとなった。この結果、慶大は大学リーグ1部残留が確定。目標のインカレ出場権獲得を目指して次戦の最終節・山梨学院大戦に臨む。
第32回関東大学女子サッカーリーグ 第8節 vs早稲田大学
2018/10/28(日)11:00KO @早稲田大学東伏見キャンパスグラウンド
【スコア】
慶應義塾大学0-0早稲田大学
◇慶大出場選手
GK 志鎌奈津美(環4・常盤木学園) |
DF 足立智佳(環2・大阪桐蔭) |
DF 小川愛(総2・神村学園) |
DF 奥本くるみ(環3・浦和レッズレディースユース)→90+1分 中井里衣子(総1・作陽) |
DF 佐藤幸恵(総2・十文字)→80分 加藤楓琳(総3・常盤木学園) |
MF 庄司夏穂(総3・聖和学園) |
MF 中島菜々子(総4・十文字)Ⓒ |
MF 工藤真子(総3・日テレ・メニーナ) |
MF 松木里緒(環3・常盤木学園) |
FW 鈴木紗理(総2・十文字) |
FW 山本華乃(理2・横須賀シーガルズ) |
前節終了時点で慶大は勝ち点8の6位。インカレ出場圏の7位以内をキープしてはいるもののまだ確定はしていない上に、インカレ圏外の8位とは勝ち点2差と、いまだ気が抜けない状態だ。対する早大も勝ち点16で首位に立ち優勝に近づいてはいるものの2位とは同勝ち点と、こちらも気が抜けない状態。現状今季最後とされる女子サッカー早慶戦はどちらも負けられない重要な一戦となった。この一戦で慶大はけがから復帰した小川愛(総2・神村学園)をCBで起用。また、左サイドでは庄司夏穂(総3・聖和学園)が大学リーグ初の先発起用となった。
ライバル対決は前半から手に汗握る展開となる。まずは11分、先にチャンスを作ったのは早大だった。右サイドを突破されると、最後はゴール前でシュートを許す。しかしこれはGK志鎌奈津美(環4・常盤木学園)が正面でセーブ。ピンチを凌ぐ。すると17分には慶大が攻勢に出る。前節から好調さを見せている主将の中島菜々子(総4・十文字)が中央でボールを受けると鈴木紗理(総2・十文字)へパス。鈴木はそのままドリブルで運ぶと最後は得意の左足でシュート。しかしこれはゴールの枠に外れ得点とはならなかった。その後も一進一退の攻防を見せる両者。自力で勝る早大がいつものように素早い展開からサイドを攻めるが、慶大も集中した守備と縦に速い攻撃で得点のチャンスを伺う。20、23、34分には山本華乃(理2・横須賀シーガルズ)にシュートチャンスが訪れるもいずれも得点には繋がらず。前半から激しい展開を見せた試合は熱を帯びたままスコアレスで折り返した。
後半、勝てばインカレ出場がほぼ決まる慶大は勝ち点3を取りに行く。48分、早大ゴール前で細かいパスを繋ぎ押し込むと最後は庄司がシュート。これは早大GKに阻まれるも慶大が勢いを見せる。そして59分にはこの日最大のビッグチャンスが訪れる。早大の攻撃を止めた慶大がカウンターで山本→工藤真子(総3・日テレ・メニーナ)と繋ぐと最後はゴール前に走りこんでいた佐藤幸恵(総2・十文字)にパス。自陣から一直線に走ってきた佐藤がフリーでこれを受けるとPA内からシュート。早大守備陣の隙をついた完璧なカウンターだったが、これは惜しくもGK正面へ。慶大サポーターも立ち上がるほどの決定機だったが、早大主将・熊谷汐華(ス4・十文字)の必死の戻りもあり先制とはならず。その後も両者譲らない展開が続く。86分には山本がチャンスを迎えるも決められず、逆に88分にはピンチを迎えるもここはこの日スタメン復帰した小川が体を張ったスライディングで得点を許さない。結局最後まで攻め合った両者だったがスコアは動かず。今年最後の早慶戦はスコアレスドロー決着となった。
この結果、慶大は勝ち点を9に伸ばした。また、他会場の結果から大学リーグ1部残留が確定。中島主将が「来年にも繋げられるなというのは一安心」というように来年も1部の舞台で戦えることが決まったことはひとまず良かったことだろう。また、大東大に抜かれ順位は7位まで後退したが、8位の武蔵短大が負けたため慶大は最終節、引き分け以上でインカレ出場が決定する。しかし大学リーグでは開幕戦で昨季女王の日体大と熱戦を演じ、今節は早大と対等に渡り合った慶大。この経験はインカレに向けて非常に良いものになっただろう。そして次節の山梨学院大は昨季慶大が2部リーグで苦杯をなめた相手。引き分け以上で7位以内が確定するが、リーグ戦の先を見据えて何としても勝ちたいところだ。伊藤洋平監督が言うように「良いトーナメントの位置からスタートできるように」するため、一つでも多く勝ち点を積み上げたい。目標はあくまで「インカレベスト4」。勢いを持ってインカレに臨むためにも、勝ってその先のステージへ繋げたいところだ。
(記事:岩見拓哉 写真:柴田航太郎)
☆ギャラリー
そのほかの写真はこちら
以下、試合後コメント
伊藤洋平監督
そうですね、まあ初勝利を目指して戦ったんですけど結果的に引き分けということで、悔しい反面勝ち点1取れたことは良かったかなと思います。
――手応えはあったか
本当に選手たちがプラン通りにミッションを遂行してくれたので、でもできれば勝ちたかったですね。
――早大対策は
高いラインを上手く利用して、我々がボールを前進させるためにはスペースが必要なので、まずはそのスペースを拡充させようというところから練習をしてきました。
――スタメンを何人か変更したが
けがとか体調不良とかいろいろあっての変更でもあったんですけど、結果的には良かったかなと。あとは調子の良い選手がこういう時には出てくるので、エネルギーを持った選手がピッチ内でもちゃんと動いてくれました。
――今日の結果で残留が確定し、インカレにも近づいた
そうですね、まああくまでも目標はインカレベスト4なので、一つでも上の順位を目指して良いトーナメントの位置からスタートができるように、ラスト1節しっかり準備をしていきたいと思います。
――試合終盤は勝ち点3を取りに行くのか1を取りに行くのか難しい時間帯もあったが
そうですね、どちらかというと水が漏れているところを埋めるような交代だったと思います。なので、もちろん勝ち点3が欲しかったですけど、まずは失点をしないというところを試合状況を見て判断しました。
――次節、最終節の山梨学院大戦に向けて
これで満足をしないように、山梨学院も去年の借りを返すじゃないですけど、しっかり倒してまた一つ成長したいと思います。
中島菜々子(総4・十文字)主将
苦しい展開ではあったんですけど、その中でも自分たちのペースでボールを回せる時間もあって、勝ち点1も取れたので大きな収穫があった試合だったと思います。
――関東リーグの開幕節と比べて成長した姿を見せられた
そうですね、これまでの過去3戦の早稲田戦に比べたら自分たちのやりたいこともできていて手応えは凄く感じる試合だったなと思います。
――今日は勝てば他会場の結果次第ではインカレが決まるという中、どのような気持ちで試合に入ったか
やっぱり個人的には4年で最後の早慶戦だったので、このチームの歴史を変えたいという強い気持ちと、あとはもう必死に目の前の戦いをやるのみだという感じでやっていました。
――今日も中島選手自身、中盤で相手の攻撃の芽をつぶすことができていた
そうですね、攻撃はやっぱり(鈴木)紗理とか(工藤)真子とかがやってくれるので、自分は他のところでカバーができればなという感じで必死に潰していました。
――インカレにも近づいたが
そうですね、まずは残留が決まったんじゃないかなと思います。それで来年にも繋げられるなというのは一安心ですし、やっぱり自分たちが目指しているのはインカレベスト4なので次節しっかり勝ち切ってインカレ出場を決めたいと思います。
――次節、山梨学院大戦に向けて
もう最後の山梨学院大戦に勝ってインカレを決めたいと思うので、必ず勝ち切りたいです。
*記事の公開が遅れてしまい申し訳ございません。