慶應スポーツ新聞会

【ラグビー】紫紺に傷つけられた黒黄のプライド 次の早慶戦で復活を/関東大学対抗戦⑤VS明治大

関東大学対抗戦Aグループ vs明治大

慶大3-40明大

11月10日(日)11:30K.O.

@秩父宮ラグビー場

 

 

 

前回の日体大戦で痛恨の負けを喫し、大学選手権出場に向けてあとがない慶大。対抗戦5戦目では昨年度日本一に輝いた明大との伝統校対決に臨んだ。慶大はSO中楠一期(総1・國學院久我山)のPG(ペナルティゴール)で先制するも、それ以降は「前へ」とテーマを掲げる明大ラグビーに終始苦しめられ、明大を相手に3年ぶりの敗戦となった。2週間後に迫った早慶戦までに、チームの立て直しが求められる。

PG=中楠

 

 

伝統校対決を見届けようと、多くの観客が押し寄せた

ワールドカップによるラグビー人気で満員となった秩父宮ラグビー場。晴天の中、明大のキックオフで試合が始まった。先制したのは慶大。前半8分、明大ディフェンス陣がオフサイドを取られたところで、慶大はPGを選択。プレースキッカーのSO中楠が22mライン付近からそれを成功させ、幸先の良いスタートを切った。

先制のPGを決めた中楠(写真左)

しかし、それ以降は「前へ」というテーマを掲げる明大ラグビーに苦しめられる。16分に明大にインゴール前のラインアウトから右に展開され、相手CTBのラインブレイクから失トライ。続く23分には明大のアドバンテージの中、明大SO山沢京平にショートパントで慶大ディフェンスの裏のスペースに突かれると、チェイスした相手FBにボールをキャッチされそのままインゴールを割られる。あっという間に11点差をつけられてしまった。

すぐさま反撃したい慶大だったが、「(明大の)強いブレイクダウンとディフェンスに対し自分たちのテンポを出せなかった」(川合)とアタックが停滞。なかなか主導権を取り戻せない中、33分に再びラインブレイクからトライにつなげられ、3-22というスコアで試合を折り返した。

果敢なランを見せた沖

巻き返しが期待された後半。慶大はBK(バックス)陣のランやキックで果敢に敵陣に攻め込むも、明大の出足の早いディフェンスを攻略できず、敵陣22mラインをなかなか越えられない。そんな状況の中、後半16分に慶大がマイボールスクラムでコラプシングを犯すと、相手に自陣でのマイボールラインアウトを持ち込まれる。そこからBK陣とFW(フォワード)陣が一体となった波状攻撃でインゴール前まで攻められると、相手PRに近場を突かれ、後半最初のトライを献上。さらに28分、明大の順目のアタックから最後はFWにピックアンドゴーで決められ、失点。

交代の際に抱き合う大山(後方)と室星。写真右奥は川端

これ以上トライを許したくない慶大は攻めに転じたいところだったが、セットプレーで劣勢となり、アタックのテンポをなかなか作り出せない。すると35分、「自分たちのディフェンスのセットが遅かった」(川合)と1対2の不利な状況を作られると、途中出場の快速WTB山村知也に抜き去られ、明大に6トライ目を決められた。その後も明大がボールをキープする展開が続き、最後は相手SO山沢がボールをタッチに出しノーサイド。3-40と明大相手に大敗を喫した。

対抗戦で明大に敗れるのは3年ぶり。「FW陣が強いということで、内側で慶大がかなりプレッシャーを受けてしまい、結果として外のスペースが空いてしまったところを突かれた」とPR有賀が話すように、明大の強みであるFW陣を生かしたアタックに慶大ディフェンスは苦戦。さらに、アタック面ではキックで局面の打開を図り好機の演出を試みたが、「蹴った後にプレッシャーをかけて相手がミスをしても取り切れなかったり、反応が遅かったりと意識が低い部分があった」(宮本)と詰めの甘さが出てしまった。攻守において明大に歴然の差を見せつけられる格好となり、「やはり明大は強く、惨敗でした」(有賀)と慶大フィフティーンは試合後に悔しさをあらわにした。

だが、慶大は2週間後に早慶戦を控え、落ち込む暇はない。早慶戦への準備が急務となる。その早大はこの日、帝京大に9季ぶりに勝利を収めて勢いに乗る。BK陣には、SH齋藤直人、SO岸岡智樹で構成される強力なハーフ団と、FB河瀬諒介、CTB長田智希といった決定力のあるランナーが揃う。それを生かした伝統的な展開ラグビーが持ち味である。さらに、今季はFW陣の強化が進んでおり、栗原徹HC(ヘッドコーチ)は「隙のないチームになっている」と警戒。明大戦と同様にかなり厳しい戦いが予想される。

次戦の相手・早大も強力なFW陣を誇る

「慶應のプライドっていうのが今すごく薄れかけていて…」(宮本)。確かに、今年度の対抗戦では筑波大、日体大、明大に負けを喫し、2勝3敗とかなり厳しい状況で慶大は早慶戦を迎える。だが歴史を振り返ると、2008年に明大が11年ぶりに大学選手権を逃したとき、明大は紫紺のプライドを見せ、のちにこの年の日本一に輝いた早大を伝統の早明戦で下している。それと同じように、慶大も120年にわたって日本ラグビーを支えてきたルーツ校としてのプライド、黒黄のプライドを早慶戦という最高の舞台で取り戻そうではないか。

試合前の塾歌斉唱。ルーツ校としてのプライドをぶつけたい

(記事:萬代理人 写真:堀内大生、松嶋菜々美、川下侑美、竹内大志)

 

次戦 vs早稲田大

11月23日(土)14:00K.O.

@秩父宮ラグビー場

 

 

以下出場メンバー、試合後コメント、星取表

◇出場メンバー

Starter

1.PR(プロップ) 有賀光生(総4・國學院久我山)

2.HO(フッカー) 原田衛(総2・桐蔭学園)

3.PR(プロップ) 大山祥平(経3・慶應)

4.LO(ロック) アイザイア・マプスア(総1・King’s College)

5.LO(ロック) 今野勇久(総1・桐蔭学園)

6.FL(フランカー) 川合秀和(総4・國學院久我山)

7.FL(フランカー) 山本凱(経2・慶應)

8.No.8(ナンバーエイト) 濱野剛己(総3・桐蔭学園)

9.SH(スクラムハーフ) 上村龍舞(環4・國學院栃木)

10.SO(スタンドオフ) 中楠一期(総1・國學院久我山)

11.WTB(ウィング) 鬼木崇(法1・修猷館)

12.CTB(センター) 栗原由太(環4・桐蔭学園)

13.CTB(センター) 三木亮弥(環3・京都成章)

14.WTB(ウィング) 宮本恭右(総3・慶應)

15.FB(フルバック) 沖洸成(総3・尾道)

Booster

16. 安田裕貴(政4・慶應)

17. 松岡勇樹(法1・慶應)

18. 室星太郎(総4・静岡聖光学院)

19. 川端隼人(理4・國學院久我山)

20. 良知健佑(商4・慶應NY)

21. 五藤隆嗣(商1・慶應)

22. イサコ・エノサ(環1・King’s College)

23. 鎌形正汰(商3・慶應)

選手変更
37分 山本 凱→20 良知兼佑

58分 三木亮弥→22 イサコ・エノサ

70分 有賀光生→16 安田裕貴

70分 沖 洸成→23 鎌形正汰

78分 上村龍舞→21 五藤隆嗣

78分 今野勇久→19 川端隼人

78分 原田 衛→17 松岡勇樹

78分 大山 祥平→18 室星太郎

 

◇試合後コメント

共同記者会見より一部抜粋

栗原徹HC

――今日の試合について一言

準備を学生とスタッフ一丸でやってきました。なかなかプラン通りにいかず、最後は負けてしまって残念に思っています。ただ、体制をしっかり立て直して成長するための糧にしていきたいので応援の程宜しくお願いします。

 

――中楠一期の評価は

ベーシックスキル、SOとしての判断力が備わった選手だと思います。1年生からレギュラーとして活躍してくれていて、これから成長しないといけないところはあると思います。プレッシャーのあるゲームで10番山沢(京平=明大)と対戦して経験を積んでしっかり成長してほしいです。

 

――次戦の相手・早大の印象は

展開ラグビーというのが早大の特徴だと思います。FW陣の強化も進んでいるので隙のないチームになっていると思います。慶大としてできることは限られていると思うので選手一丸となって戦っていきたいです。

 

 

FL川合秀和副将(総4・國學院久我山)

――今日の試合について一言

明大に対して一週間準備をしてきました。しかし、相手のセットプレーに流されてディフェンスでは相手のBK陣にスペースの間を抜かれるなど、課題が残る試合でした。次の(相手の)早大もBK陣を中心となるチームだと思うので、そういった部分の課題をしっかり修正していきたいです。

 

――ディフェンスに関してはどのように守ろうとして、実際に明大はどのように攻略してきましたか

まず前に出るということですね。しっかりBK陣のWTBの選手が前に出て、内側が強いタックルで出るということでした。明大の順目順目のアタックに対して僕たちはFW陣が追いつけないところがあって、そこで余られた部分がありました。

 

――トライを取れませんでした

まずはセットプレーからのアタックを準備していました。しっかりセットプレーで劣勢になり自分たちのアタックをうまくできませんでした。(明大の)強いブレイクダウンとディフェンスに対し自分たちのテンポを出せなかったです。そういった部分が自分たちがやりたかったアタックを出せなかった要因だと思います。

 

 

試合後個別インタビュー

FL川合

ーー試合を終えて、今の率直な感想

明治に対して準備してきたつもりだったのですが、アタックもディフェンスも相手が一歩上だったかな、という印象です。

 

ーー試合を振り返って

相手のセットプレーで自分たちのアタックが出せなかったです。そこでいいテンポを出せませんでした。だから負けたんだなと思っています。

 

ーーアタック・ディフェンスともに噛み合ってない印象でした

明治に対して、アタックでいうとセットプレーからテンポを出すことができず、ディフェンスでいうと相手が順目順目に回って来るのに対して自分たちのディフェンスのセットが遅くて(相手の)バックスに間を抜かれることが多かったです。

 

ーースクラムの出来は

前半などは特に自分たちが今まで組んできたスクラムをしっかり組めてはいたのですが、明治はフォワードを強みにしているチームでそこの真っ向勝負で負けてしまいました。

 

ーー日体大戦から改善されてきたことはありましたか

この1週間はトップチーム23人のみならず、全員で明治に勝とうというマインドで、練習中もそれ以外でもメンバー外含め勝ちたいという思いで過ごしてきました。日体大戦は規律の部分で課題があって、明治大との対戦にそれをしっかり持ち込み、それにプラスして明治をどれだけ最小化できるかなどの準備をしてきました。

 

――2週間後の早大との対戦に向けて

セットプレーで今日は劣勢になって自分たちのアタック、自分たちのやってきたことが出せなかったのが課題です。そこをしっかり修正しなければと思っています。また早稲田はバックスの展開力があるチームで、それに対して自分たちがどれだけ敵の出したいところに出させないかが勝負になると思っています。チーム全員でひたむきに全力でやるしかないので、頑張ります。

 

 

PR有賀光生(総4・國學院久我山)

ーー今日の試合を振り返って

日体大戦で負け、僕たちなりに今日の試合に向けて様々な準備はしましたが、やはり明大は強く、惨敗でした。

 

ーー明大とのスクラムを振り返って

正直、(明大と)組んでいて最初はそこまでバインドでのプレッシャーはなく、ヒットも慶大はかなり出せていたと思います。ただ、その後の明大のセカンドシンクというさらに低くなる押しでプレッシャーを受けてしまい、マイボールのキープができなかったり、ペナルティーを取られてしまいました。スクラムで劣勢に立ったことがこの試合の敗戦に繋がったかなと思います。

 

――明大の攻撃はいかがでしたか

FW陣が強いということで、内側で慶大がかなりプレッシャーを受けてしまい、結果として外のスペースが空いてしまったところを突かれたという感じです。やはり明大は強かったです。

 

――今試合での攻撃プランは

本当に明大は強いので、ハイパントを上げて明大のFW陣を前ではなく後ろに走らせ、少しでもラインを下げさせようという形を目指しました。しかし、結果的にはハイパントを上げてもうまくチェイスができず、明大ボールとなり、有効的なアタックができませんでした。

 

――早慶戦に向けて

早慶戦は僕が入学してから一度も勝ってない試合で、本当に早大だけには勝ちたいという気持ちがあります。今日の反省を生かしてまずはスクラムを修正し、スクラムから早大にプレッシャーをかけて、絶対勝ちたいと思います。

 

 

WTB宮本恭右(環3・慶應)

――率直に今日の試合を振り返って

「やる準備」はしっかりこの1週間してきました。あとはどれだけ自分たちがやってきたことを出して、一人一人が役割を果たせるか、というところでした。でも試合が終わって全員が出し切れたかというと、そうじゃなかったと思います。一人一人の試合中の意識や日頃からの意識が低いわけじゃないですけど、自分の持ってるものを出し切れる状態になかったです。みんなが持ってるものを出し切れない圧倒的な力負けという感じでした。2週間後の早稲田にむけて、しっかり持ってるものを出し切れるように、日頃の練習から体で出していこうという話をチーム内でしました。

 

――「やる準備」という点で、明大に対してどういった対策を練っていましたか

明治の強みを消して、自分たちの強みを出して、プレッシャーをかけるという大きなテーマでやっていました。ただ、うまく流れをつかめず、波に乗れず…。自分たちのいいアタックに持っていけるシチュエーションがなく、ディフェンスの時間が多くて、最終的にずっと受け続けてしまいました。

 

――具体的に明大のどういった強みを消そうとしていましたか

明大のスローガンでもある「前へ」という部分ですね。彼らを後ろに下げさせるために、具体的にはキックを蹴って、全員でチェイスすること。そこから慶大の強みであるディフェンスから相手のミスや反則を誘って、こっちのチャンスに変えよう、というテーマもありました。

でも、キックを蹴った後にプレッシャーをかけて相手がミスをしても取り切れなかったり、反応が遅かったりと意識が低い部分があったと思います。

 

――明大のアタックの印象はいかがでしたか

明大のアタックはそんなに複雑じゃなくて、一人一人のフィジカルを生かして前に前に出て、空いたところで外に回してくるというシンプルなアタックでした。ただ、一人一人のフィジカルが強くて、1対1で押し込まれてしまいました。

2人でタックルしてひっくり返せばよかったんですけど、1対1を作り出されて、相手のペースにされてしまったという場面が多かったですね。

 

――試合後、チームで円陣を組んでいました。どんな話をされていましたか

結果じゃなくて、自分たちがどれだけ悔いなく全部出し切れるか、ということも試合中に話し合いながらやっていました。けど、全員が全部出し切れたのか、ということを考えると、そうじゃない人もいたと思います。一からすべてを見直して、どうしたら自分たちが100パーセント出せるかを考えて、これから成長していこう、という話をしました。

 

――2週間後の早慶戦については

慶應のプライドっていうのが今すごく薄れかけていて…。

それを取り戻すいい機会だと思います。

しっかりみんなで2週間準備して、もう一度慶應のプライドを見せる試合にしたいと思います。

 

◇星取表

 

帝京大

早稲田大

慶應義塾大

明治大

筑波大

青山学院大

日本体育大

成蹊大

勝敗

帝京大

 

32●34

11/30 
@秩父宮

11/24 
@秩父宮

24○22

80○7

59○30

78○7

4勝1敗

早稲田大

34○32

 

11/23 
@秩父宮

12/1 
@秩父宮

52○8

92○0

68○10

120○0

5勝

慶應義塾大

11/30 
@秩父宮

11/23

@秩父宮

 

3●40

14●17

35○3

27●30

101○0

2勝3敗

明治大

11/24 
@秩父宮

12/1 
@秩父宮

40○3

 

59○33

63○12

103○0

139○5

5勝

筑波大

22●24

8●52

17○14

33●59

 

11/30 
@江戸川陸上競技場

11/24 
@前橋敷島公園

87○19

2勝3敗

青山学院大

7●80

0●92

3●35

12●63

11/30 
@江戸川陸上競技場

 

18●37

11/24 
@前橋敷島公園

5敗

日本体育大

30●59

10●68

30○27

0●10311/24 
@前橋敷島公園
37○18 11/30 
@江戸川陸上競技場
2勝3敗

成蹊大

7●78

0●120

0●101

5●139

19●87

11/24 
@前橋敷島公園

11/30 
@江戸川陸上競技場

 

5敗

 

 

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