慶應空手部が100周年を迎える今年。節目の年を勝利で飾ることは叶わなかったが、試合がすべて終了した時、悔しさが滲む中に、選手の表情には、全てを出し切ったような、すがすがしい表情が見られた。
12月1日(日)第83回空手早慶定期戦 @日吉記念館
【試合結果】
先鋒 田村全(医4・慶應湘南藤沢) ●4-10○ 岩渕凌(スポ科・水城)
次鋒 野津友希(法1・慶應志木) ●1-5○ 満田夏旺(商2・早稲田渋谷シンガポール)
三峰 森陽和(医4・白百合学園) ○5-3● 小黒綾香(社1・頌栄女子学院)
四峰 野川嵐志(環2・岡山朝日) ●4-5○ 舘花遙希(創理1・早稲田実業)
五峰 関右京(商3・慶應志木) ●1-3○ 米盛新(スポ1・世田谷学園)
六峰 西田朱里(環1・九州学院) ●0-4○ 太田花希(スポ1・福井工業大学附属福井)
中堅 山田吉治郎(政1・慶應) ●3-8○ 上野凌雅(法1・京都産業大学附属)
六将 志村侑悟(商3・両国) ○8-2● 吉田蒼一朗(スポ4・世田谷学園)
五将 森陽和(医4・白百合学園) ●1-8○ 栗田眞悠(スポ1・小松大谷)
四将 濱田聡平(文4・所沢北) ○4-0● 澤祐太郎(教4・世田谷学園)
三将 岩本遼(総3・高松中央) ○6-1● 時田隼門(社4・玉川)
副将 西田朱里(環1・九州学院) ●0-2○ 武川裕奈(社1・小松大谷)
大将 西田孝佑(法4・保善) ●4-6○ 池田倖紀(スポ4・恵庭南)
今年で83回を迎える早慶空手定期戦。今年も形演舞から始まる。今年の形演舞では、山田和花(環3・埼玉栄)のパープーレン、尾野真歩(環21卒・日大鶴ヶ丘)のチャタンヤラクーサンクーが披露され、慶應側のスタンドは大いに盛り上がった。
今年で慶應空手部は100周年である。大学試合組手に先立って行われた高校試合組手では、中盤逆転されることもあったものの、終わってみれば慶應6-3早稲田と、早稲田側を圧倒し、記念すべき試合を勝利で飾った。高校試合組手の勝利のまま、流れに乗りたい慶應義塾大学。應援指導部による応援と、塾歌が響く中、大学試合組手が幕を開けた。
初戦、先鋒・田村全(医4・慶應湘南藤沢) は、4ポイントを先取される苦しい立ち上がりで、上段突きが2つ決まり盛り返すも、気迫に押され4-10で敗北。次鋒・野津友希(法1・慶應志木)も相手の気迫に押され、1-5と及ばず。しかし3試合目、三峰・森陽和(医4・白百合学園)がゲームの流れを変える。序盤から突きが入らない展開が続く中、残り15秒に中段突きを決め、5-3で勝利。慶應義塾が初めて勝利した。続く4試合目、四峰・野川嵐志(環2・岡山朝日)は気迫ある突きで先取する。その直後に逆転を許すも、負けじとその直後、足払いで倒れたとこを素早く突き、一本で逆転!このまま勝利かと思われ終了間際、相手の中段蹴りが決まり4-5で逆転負けを喫する。
5試合目、五峰・関右京(商3・慶應志木) は序盤から積極的に立ち向かうも、両者ポイントが奪えない展開。中盤に中段突きを決められる。反撃も及ばず、1-3で敗北。続く6試合目、六峰・西田朱里(環1・九州学院) は、相手に完璧な上段蹴りを決められ、0-4で及ばず。7試合目、中堅・山田吉治郎(政1・慶應)も、相手の落ち着いた突きに押され3-8で敗北。しかし、8試合目、六将・志村侑悟(商3・両国)は上段突きで幸先よく先取すると、続けて上段突きが4つ決まりリードを広げる。 途中、負傷により治療を挟むも、負傷をものともせず、その直後上段突きを2つ決め、さらには終了間際に完璧な中段突きを決め、快勝。
9試合目、五将・森陽和(医4・白百合学園)は相手の気迫に押され1-8で敗北。ここまで流れを掴みきることができない慶應義塾。しかし10試合目、四将・濱田聡平(文4・所沢北) は完璧な中段蹴りが決め、そのまま相手に流れを渡さずに4-0で勝利。そして11試合目、三将・岩本遼(総3・高松中央) も睨み合いが続く中、相手を圧倒する凄まじい気迫を見せ、中段付きで先制。直後には完璧な中段蹴りで2ポイントを取り、6-1で快勝した。
副将対決となった12試合目。副将同士の対決とあって、他とは違う、気迫と気迫のぶつかり合いが展開された。副将・西田朱里(環1・九州学院)は序盤から相手と睨み合うも、中盤に先取される。そのまま相手の落ち着いた守りを崩すことができず、0-2で敗北。13試合目、意地を見せたい大将・西田孝佑(法4・保善)は素晴らしい上段突きで先制する。しかし中段蹴りで逆転され、そのまま相手から流れを奪えない展開が続く。だが試合終盤、西田孝佑(法4・保善)は突きを立て続けに3つ決め、大将として、そして慶應義塾としての意地を見せる。慶早の意地と意地がぶつかり合ったこの試合、西田孝佑(法4・保善)は凄まじい追い上げを見せるも、4-6と及ばなかった。
濱田(文4・所沢北)、岩本(総3・高松中央)が勝利選手賞、森(医4・白百合学園)が敢闘賞に輝いた。
4-9で、慶應義塾の勝利とはならなかった。慶應空手部100周年を勝利で飾ることは叶わなかったが、悔しさが滲む選手の表情の中にも、どこかやりきったような、晴れやかな様子が見て取れた。
(取材:神戸佑貴、山口和紀)