死力を尽くして駆け抜けた5日間の闘い
まさに死闘と呼ぶに相応しい駒大との最終戦。フルセットの闘いを制した瞬間、彼女はコートの真ん中に座り込んだ。立ち上がる気力すら残っていない。5日間、全10試合を藤岡莉子(総1)は一際強い闘志で闘い抜いた。
藤岡の武器は小柄な体格からは想像もつかない力強いストロークだ。それは、体幹を軸とした回転により力を得て、相手コートに突き刺さる。さらに、「スピンロブから前へ出る展開」など積極的な攻撃を取り入れようと試行錯誤を重ねており、その成長はとどまるところを知らない。
闘志みなぎるプレーを見せたリーグ戦
その藤岡が、リーグ戦で大躍進を見せた。初戦の山学大戦では単複で勝ち星を挙げ、全体で4-3であった初戦の勝利に大きく貢献。注目すべきは第3戦の専大戦。序盤から攻勢をかけ第1セットを先取するも、途中足の痛みを気にする様子があり、第2セットを落とす。だがそこから目覚しい猛攻を見せる。その結果第3セットでは相手に1ゲームしか許さず、強豪校から貴重な一勝をもぎ取った。
しかしメンバーの入れ替え無しにリーグ戦を闘った慶大の選手達にとって後半戦は厳しい闘いとなる。早大戦では格上相手に力及ばず。駒大戦では順当に第1セットを取ったものの第2セットで失速。疲れからかコントロールを欠いてしまう。だが絶対に譲れない第3セット、藤岡の闘志に火が点いた。1ポイント1ポイント全力をかけて相手コートにねじ込み、決まる度こぶしを作って自らを奮い立たせる。ネットプレーこそ無かったものの、理想としていた攻めのテニスがそこにあった。
新人から主力選手へ
リーグ戦通してシングルス3勝2敗。「先々慶應を背負う器がある」(佐藤副将・理3)という期待に応える、堂々の闘いぶりだった。また来年、期待の新人はより頼もしくなってリーグ戦に戻ってくるだろう。そのとき強豪ひしめく女子1部リーグにどんな嵐を巻き起こすか。慶大テニス部の次代を担う藤岡の活躍から目が離せない。
~選手の選ぶチームMVP~
・藤岡選手(理由)常に向上心を忘れない姿勢には刺激を受ける。団体戦になると力が倍増する徳島娘! “テニスが好き!”という気持ちをチーム全体に思い出させてくれて、地震と共にみんながこの環境に感謝するきっかけを与えてくれました。
・加藤主将(理由)どんなときもチームのことを考えている私たちのキャプテンだから。主将兼主務としてここまでチームを支えてきたのは本当にすごい。部のためにとても気をつかい働いてくれて、とても感謝しています。これからもよろしくお願いします。
・宇田川選手(理由)1として信頼しているし、一緒に良い練習を作り上げるためにやってきたから。
・鹿子木選手(理由)いつも明るくトレーニングを頑張っています。パワフルなプレーにも憧れています。
・特になし(理由)誰か一人が目立って成長したというより、皆がそれぞれ少しずつ変わっていったという印象がある。
選手の皆さんアンケートへのご協力ありがとうございました!
◆藤岡莉子 総合政策学部1年。使用ラケットはエアロジェル500ツアー。155㎝の小柄な体格ながらガッツあふれるプレーで年上の選手相手にも食らいついていく。春から成長した点は「勝ちに対する気持ちが更に強くなった」こと。今後の慶大を負って立つニューカマーの活躍に期待したい。
By Asuka Ito
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