いよいよ東京六大学野球秋季リーグ戦が9月12日に開幕する。“強い慶應”を取り戻すべく挑んだ春季リーグ戦では、5季ぶり41度目の優勝を果たした。その後の全日本大学野球選手権大会でも、エース・渡辺和大(商4・高松商業)をはじめとする投手陣が粘り強く守り抜き、強力打線が得点を重ねて決勝まで駒を進めた。決勝では関西大の3枚看板に阻まれ、惜しくも準優勝。あと一歩届かなかった日本一への悔しさを胸に、チームは再び戦いの舞台へ挑む。新たな「秋の慶應」を示すべく、春秋連覇、そして今度こそ日本一へ。今回ケイスポでは秋季リーグ戦前企画第11弾として、秋季リーグ戦に向けたチームの現在地や意気込みについて堀井監督にお聞きしました。(このインタビューは8月23日(日)関西大とのオープン戦後に対面で実施しました。)
――まず春季リーグ戦を振り返って、率直にどのようなシーズンだったと感じていますか。
六大学リーグ優勝と、大学選手権は惜しくも準優勝だったんですけど、チームの力を発揮したという意味ではよく戦ったと思います。
――リーグ戦の中で、特に印象に残っている試合や場面があれば教えてください。
1戦1戦、1球1球、大事な場面の積み重ねだったんですけど、最初の立教の1回戦で斎藤蓉(コミュ4・仙台育英)と渡辺(=渡辺和大、商4・高松商業)の投げ合いで、斎藤も渡辺(和)も降板して、その後この試合を勝ち切ったということかな。この試合はやっぱりスタートしてね、そのあとのリーグ戦に大きな影響を与えて我々にとっても自信になりました。
――春季リーグ戦を戦う中で得られた収穫と、課題は何でしたか。
渡辺(和)が7勝というピッチャー大黒柱としての活躍をして、なおかつチーム全体が渡辺を攻守に盛り上げていくという、そういう意味でアマチュア野球のチームとしては理想的な形になったと思うんですよね。選手それぞれの役割を果たしていくというね。そこが1番の収穫でした。同時に課題という意味でいうと、やはり渡辺1人におんぶに抱っこだったチームなので、ピッチャー陣も含め、野手陣も含め、秋はもうちょっと渡辺を楽にするようなゲーム展開をすることが課題だと思っています。
――全日本選手権では決勝まで勝ち上がり、準優勝という結果になりました。この結果を監督はどのように受け止めていますか。
六大学優勝という看板を背負っての戦いだったので、素直に優勝したかった、しなければいけなかったという残念さや無念さは残ります。ただね、冒頭の話のようにチーム力を発揮したかしなかったという意味でいうと、精一杯の戦いはしたのかなという気もします。
――決勝まで勝ち上がった中で、チームのどのような部分に手応えを感じましたか。
2回戦の函館大戦の試合は多少エンジンがかからなかったというか、もたついたような試合だったんですけれども、次の日体大戦、東北福祉大戦はある意味チーム力をふんだんに出し切ったゲームが2試合できたというところに成長を感じましたね。1本勝負で心技体がそろっていないとなかなかそういうゲームにならないんですけど、そこは非常に評価できるというか、頑張ったと思います。
――一方で、決勝では日本一にあと一歩届きませんでした。改めて振り返って、チームに何が足りなかったと感じていますか。
関大さんのピッチャーをそれまで好調だった打線がね、機能しなかったというかね。もう打つ力が足りなかったんだろうなという反省はしています。
――この日も関大とのオープン戦。2か月後に再び対戦してみて違いは
点数は取られましたけど、今日のほうが勝ち目はあったと思いますね。チャンスもしっかり作れて、もちろんオープン戦だからお互いいろんな試しの中での試合なんですけど、大学選手権の決勝よりは、三者凡退があまりなく攻められているという成長を感じました。
――全日本選手権での経験を踏まえて、チームとして何か変えたことや、意識するようになったことはありますか。
第二ピッチャーの層を厚くすること。それから打線の力を強くすること。この2つに絞って、6月から取り組んできましたので、今日はそういう意味ではオープン戦の結果としては完敗ですけど、力的な手ごたえは感じました。
――韓国遠征では、チームとしてどのようなテーマを掲げて取り組みましたか。
野球そのものというよりも、学生としてのいろんな視野だったり、海外を経験することによっていろんな交流も含めて、そういう体験をしようという意図のほうが大きいですかね。野球のレベルからいうと、日本から韓国に行く、台湾に行く、というのはそれほど、アジアの中では大きなメリットじゃないかもしれないですけれども、同じ世代の学生と交流すること、あるいは異国の地で実際に生活を2泊3日とはいえ生活をすること。これは非常に大きな経験だと思っています。
――北海道キャンプでは、どのようなことを重点的に取り組みましたか。
選手権が終わってからの課題を、ピッチャー陣の層の厚さ、打撃陣の底上げ、この2つですね。
――この夏を通して、特に成長を感じた選手はいますか。また、どのような部分に成長を感じていますか。
ピッチャーでいうと、沖村(=沖村要、商4・慶應)、鈴木佳(=鈴木佳門、経2・慶應)。この二人が非常に力をつけてきていますね。もう一人挙げるとしたら熊ノ郷(=熊ノ郷翔斗、環2・桐蔭学園)かな。水野(=水野敬太、経3・札幌南)も頑張っていますね。その4人ぐらい名前が挙がるので、ピッチャーの方も着実に層が厚くなっていると。バッターの方でいうと一宮(=一宮知樹、経2・八千代松陰)、中塚(=中塚遥翔、環3・智辯和歌山)、今3番4番を打たせているんですけど、この辺の力がついていますかね。林(=林純司、環3・報徳学園)もいいかな。林も非常にいい経験していますね。
――春から夏を経て、チームとして最も変わったと感じる部分はどこですか。
1つの成果を出して、自信が出たと思います。でもそれがね、過信と自信の境目、秋も大丈夫だろうとかそういうことになりがちなので。でも、こういう風にやっていけば勝てるんだ、戦えるんだということは理解したと思います。理解というか、そういう自信がついたと思うのでそこが1番大きいですかね。やっぱり成果を出したこと自体が大きいと思います。
――秋季リーグ戦の開幕まで残り約3週間ですが、現時点でのチームの完成度をどのように評価していますか。
80~85パーセントまで来ていると思うので、あと残り15~20パーセントですね。直前にやることはコンディショニングと役割ということを明確にしているので、その2つを中心に仕上げていこうと。
――現時点で、秋の第一先発、第二先発はどのように考えていますか。
第1先発は渡辺(和)、第2先発はまだもうちょっとかかります。鈴木(佳)か、沖村か、広池(=広池浩成、経4・慶應)か、水野か。この4人だと思うんですけど、これはもう最後まで悩みたいところです。
――藤田(=藤田一波、環1・智辯和歌山)選手の急成長について
元々力はあったんですけど、バッティングの力がついてきました。彼は大学選手権の決勝の最後のバッターで、そういう経験もして悔しさとか使命感とか、そういうものが彼のこの頑張りにつながったんじゃないかなと思います。
――秋に向けて期待している新戦力はいますか。投手、野手それぞれ教えてください。
ピッチャーは熊ノ郷。もっと投げてほしいなと思います。バッターでいうと藤田(一)ですかね。
――秋季リーグ戦でチームの鍵を握る選手、いわゆるキーマンは誰だと考えていますか。
ピッチャーは熊ノ郷。バッターは一宮かな。熊ノ郷はどこで彼が役割を発揮するか。抑えなのか、中継ぎなのかね。先発はないと思うんですけど、相手の流れを止める役割を期待しています。それから一宮は打線の中心ということですね。
――秋季リーグ戦の開幕カードは東大戦ですが、今年の東大をどのように見ていますか。
常に力があるので、松本(=松本慎之介、教育3・國學院久我山)くんもエースとして春も活躍しましたので、東大がどこを食うのかという、勝ち点を取るのかという戦いをされているので。最初のスタートして1番気を抜けない、どっち転ぶかわからないという気持ちで行こうかなと思っています。
――秋季リーグではチームとしてどのような姿を目指していますか。
シンプルに学生野球なので、普段やっている成果を存分に出すという野球です。
――最後に秋季リーグ戦の意気込みやケイスポの読者に向け一言お願いします!
春の優勝、そしてパレードと本当に素晴らしい経験をしたので、これも選手にとってかけがえのない経験でした。また秋もね、同じ景色を皆さんと一緒に見たいと思っています。ということで、頑張ります。
(取材、記事:河合亜采子)


