【競走】全てを出し尽くす 陸上人生の集大成の走りを! 芦野清志郎×杉森星彦(前編)/箱根駅伝予選会直前特集2026③

競走

10月17日に開催される箱根駅伝予選会。本企画では、予選会での活躍が期待される9人の選手にインタビューを行いました。

今回話を伺ったのは、同じ理工学部で4年生の芦野清志郎(理4・高田)選手と杉森星彦(理4・県立中央)選手。これまで「アシ」を止めずに日々練習を積み重ねてきた二人が、慶大の「ホシ」となるべく、予選会への意気込みを語ります!

 

 

 

プロフィール

左:芦野清志郎(理4・高田)

右:杉森星彦(理4・県立中央)

 

 ――まずは、他己紹介からお願いします!

杉森:芦野は、自分が入部するきっかけになった存在です。
1年生の頃、理工学部は勉強が大変だと聞いていて、入部をためらっていました。そんなとき先輩から「同じ理工学部の芦野というやつが、もう入寮して練習しているよ」と聞き、それなら自分もと入部を決めました。入部してからも、授業や陸上以外のことを要領よくこなす姿を尊敬しています。

芦野:杉森は寡黙なタイプですが、芯のある選手です。
言葉にするとありきたりになってしまいますが、4年間一緒にやってきたからこそ、その強さが見えています。他の学年にはあまり本音を見せないものの、自分には見せてくれるときがあります。そうした部分が、1年生で10000m29分台を出したことや、主要な大会で結果を残してきたことにつながっているのだと思います。走れば必ず結果を出すタイプなので、今年も期待しています。

 

――今年の長距離ブロックは、どのようなチームですか?

杉森:学年に関係なく、意見を言いやすいチームです。普段は仲がいい一方で、練習中はピリピリした雰囲気もあり、メリハリがあると感じています。

芦野:今年はボトムアップの雰囲気が強いチームです。特に1年生が活きがよく、1年生から出た意見をチーム全体で実践してみる場面が多くあります。1年生が積極的についてきてくれることに加えて、4年生の立場が弱いというのもあるかもしれません(笑)。

杉森:(笑)

芦野:下級生が支えてくれる安心感のあるチームになっています。

 

――期待している下級生を具体的に教えてください

杉森:渡邊航成(総1・東海大相模)です。ポイント練習でも上級生に遠慮なく声をかけたり、新しい練習方法を広めたりしています。慶應の長距離ブロックに新しい風を吹かせようとしている存在です。

芦野:自分も渡邊が一番だと思います。ただ、吉川響葵(文1・姫路西)も頑張っています。渡邊が取り入れている動き作りなどを学んで実践していて、渡邊のエッセンスを受け継いでいます。渡邊は知識、吉川は実行力に長けていて、2人でチームを引っ張ってくれています。

 

――大学で陸上を続けて4年目になりますが、競技生活は長く感じましたか?それとも短く感じましたか?

杉森:最後の1年間はあっという間でした。2・3年生の頃は度重なる故障や貧血で走れない時期の方が多く、一日一日がとても長く感じられました。4年生になり、陸上ができる残り時間が限られていると意識してからは、毎日が瞬く間に過ぎています。

芦野:総括すると、自分もあっという間でした。ただ、その「あっという間」には2種類あります。今は充実しているからこそ、時間が早く過ぎていく。一方で以前は、何も考えずなあなあに過ごす中だるみの時期があり、そのせいで時間が過ぎるのが早かったという感覚もあります。振り返ると、どちらの意味でも短い4年間でした。

 

――陸上競技は、お二人にとってどのような存在ですか?

杉森:「人生の教科書」です。10年以上続けていて、もう生活の一部になっています。受験期やオフの日でも、走らない日が続くと体がうずうずしてきます。

苦しいときにも粘り強く頑張り続けること、周囲の人への感謝を忘れないことなど、人生で大切なことを陸上競技から教わりました。

芦野:「旧友」、いや「元カノ」のような存在です(笑)。中学・高校時代はまっすぐ向き合えていて、頑張った分だけ結果が返ってくる感覚がありました。しかし、大学に入ってからは結果が返ってこなくなりました。

最初は自分からアプローチしていたものの、次第に「陸上は全然結果を返してくれない」と思うようになり、少し距離を置いた時期もあります。結果が出ないのが怖くて、向き合うことをためらっていました。今はそれを乗り越え、「もう一回振り向いてくれよ」という気持ちで頑張っています。

 

――今シーズンここまでを振り返って、調子はいかがですか?

杉森:大学4年目にして初めて、大きな怪我や離脱なく練習を継続できています。
試合でも5000mとハーフマラソンで自己ベストを更新でき、充実したシーズンを送れています。2・3年生の頃は怪我が多かったので、その反省を生かして自分の体と向き合うようにしました。ここは頑張るべきところ、ここで無理をすると怪我をしそうだと、冷静に体と対話できるようになったことが、練習を継続できた理由です。

芦野:シーズン前半はとても良かったです。5000mで自己ベストを更新でき、練習も今までにない高い水準でこなせていました。ただ、後半は合宿期間も含めて足の痛みが続きました。練習自体は継続できたものの、痛みと闘いながら量をセーブする形になったので、100%良かったとは言えません。

 

――夏合宿では、どのような成果が得られましたか?

杉森:一次合宿は個人的な事情で参加できず、日吉に残って練習していました。
その間は、朝と夕方にそれぞれポイント練習を行う「ダブルセッション」を取り入れるなど、自分なりに工夫して取り組みました。上級生の練習日誌からもモチベーションをもらっていました。芦野の日誌を見ては「今年も爆走しているな」と刺激を受けていました。
その後、全体に合流した9月の紋別合宿では貧血が再発し、満足のいく練習を積めませんでした。ただ、早めに発見でき、コーチに相談してすぐに病院へ連れて行っていただきました。現在はかなり回復し、順調に走れるようになっています。コーチの方々には本当に感謝しています。

 

 ――ダブルセッションとは、具体的にどのような練習ですか?

杉森:長距離で速くなるための要素の一つに、乳酸閾値(LT値)を高めることがあります。その能力を高める練習を朝と夕方の2回に分けて行い、全体の練習量を確保するというものです。

 

 ――芦野選手は、夏合宿を振り返っていかがですか?

芦野:今年は足に痛みがあったので、練習量を少し抑えました。それでも、ポイント練習はしっかりこなすという目標は達成できました。これまでは一つ一つの練習に全力をかけていましたが、今回は全力を出し切らなくても、耐えながら練習をこなせるようになりました。そこは一つの成果です。

 

 

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取材:稲垣遥河、中島冬奈、中原亜季帆、野村康介 

記事:岩切太志、野村康介

編集:野田誉志樹、中原亜季帆