ついに関東リーグも最終節を迎えた。その試合で序盤からペースを握ったのは慶大。佐藤幸恵(総2・十文字)が右サイドを何度も突破してチャンスメイクをする。しかし決定機を作ることはできず。一方守備では東洋大のカウンターを瀬戸際で守り、前半をスコアレスで折り返す。後半もボールを持ち続け、65分過ぎからはセットプレーなどで立て続けにゴールへ迫るも、決め手を欠き最後までネットを揺らせず。勝ち点1を獲得した慶大は他会場の関東学園大が敗れたため、12月30日(日)にホーム・下田グラウンドで行われる入れ替え戦へ回ることとなった。
第24回関東女子サッカーリーグ 後期第7節 vs東洋大学
2018/12/8(土)13:00KO @東洋大学板倉キャンパスグラウンド
【スコア】
慶應義塾大学0-0東洋大学
◇慶大出場選手
GK 志鎌奈津美(環4・常盤木学園) |
DF足立智佳(環2・大阪桐蔭)→76分 奥本くるみ(環3・浦和レッズレディースユース) |
DF 小川愛(総2・神村学園) |
DF 加藤楓琳(総3・常盤木学園) |
DF 佐藤幸恵(総2・十文字)→89分 鈴村萌花(総4・村田女子) |
MF 庄司夏穂(総3・聖和学園)→45分 勝木日南子(総3・大和) |
MF 工藤真子(総3・日テレ・メニーナ) |
MF 中島菜々子(総4・十文字)Ⓒ |
MF 松木里緒(環3・常盤木学園) |
FW 山本華乃(理2・横須賀シーガルズ) |
FW 鈴木紗理(総2・十文字) |
4月に開幕し、ここまで長らく戦ってきた関東リーグもついに最終節を迎えた。最下位に沈み、残された道が自動降格か入れ替え戦の2択となった慶大。関東学園大学とは勝ち点で並んでいるものの得失点差で大きく劣るため、最低でも勝ち点1が必要な試合となった。ユニバーシアード日本女子代表候補合宿に召集された工藤真子(総3・日テレ・メニーナ)と鈴木紗理(総2・十文字)の両名もチームに合流し、インカレ前の最後の公式戦に臨んだ。
じりじりとした接戦が多いこのカードで、ペースを握ったのはアウェイの慶大。開始直後は相手左SBの裏のスペースに佐藤が再三抜け出し、19分にはグラウンダーのクロスから足立智佳(環2・大阪桐蔭)がシュートを放つもブロックされてしまう。25分、中島菜々子(総4・十文字)のクリアボールを山本華乃(理2・横須賀シーガルズ)が胸トラップで受け1人をかわすとハーフウェイライン付近からゴールを狙った。41分にも中央でのポストプレーから佐藤がシュートを打つも堅い守備を破れず。44分には工藤が個人技で右サイド深くまで侵入しクロス性のボールを供給したがこれはバーの上へ。長身の山本をターゲットにしたCB加藤楓琳(総3・常盤木学園)、小川愛(総2・神村学園)からのフィードボールや、右サイドの佐藤と松木里緒(環3・常盤木学園)、そして左サイドの足立と庄司夏穂(総3・聖和学園)のコンビネーションで攻撃のリズムを作ったが、得点は奪えず。両者とも無得点のまま前半を折り返した。
ハーフタイムで勝木日南子(総3・大和)を投入した慶大。中盤でのパスミスからショートカウンターを何度か浴びるもこれらを何とかしのぐと、60分過ぎから立て続けにチャンスを迎える。62分、佐藤が滞空時間のあるクロスを上げ、山本が頭でそらすと最後は勝木がボレーシュートを放った。65分には鈴木の創造性のある浮き球で工藤が抜け出し、ゴール前へグラウンダーのクロスを入れたが山本には合わない。この後、鈴木が「巻いてゴールに向かっていく、あとは触るだけ」という非常に精度の高いCKを3度蹴ったが、いずれも押し込めなかった。1点が遠い慶大は、84分にこの試合最大のチャンスを迎える。鈴木のふわりと浮かせたピンポイントクロスがフリーの山本へ入り、ゴール隅を狙ったヘディングシュートを放ったが相手GKのファインセーブに阻まれネットを揺らせず。試合はこのまま終了し、ポジショナルプレーを志向する両者の対決は10月の対戦(1△1)に引き続き、またも勝ち点1を分け合う形となった。
試合後に工藤が「正直もう少しやれた」と語ったが、内容的には勝ち点3を挙げなくてはいけない試合だった。しかし他会場の関東学園大が敗れたため、慶大は入れ替え戦へ回ることとなり1部残留に望みを繋いだ。「緊急じゃないけど重要な課題に取り組むことができた」という大学リーグ最終節からの1か月間。相手をハーフコートに押し込んでからの攻撃の幅や精度に改善が見られ、「今一番成長できている時期」との伊藤洋平監督の言葉通りチームは確かに成長し続けている。組み合わせも発表となり、いよいよ2週間後に迫ってきた第27回全日本大学女子サッカー選手権大会、通称“インカレ”。創部以来初のインカレ勝利、そして悲願のベスト4進出へ。12月23日、慶大は3回戦までの舞台となる兵庫県で運命の初戦を迎える。
(記事:柴田航太郎 写真:桑原大樹、髙橋春乃)
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以下、試合後コメント
伊藤洋平監督
――試合を振り返って
試合内容は一旦置いておいて、入れ替え戦につなげられたことが良かったなと思います。
――大学リーグ最終節から期間が空いた
半面でのビルドアップであったり、つまり緊急じゃないけど重要な課題にちょっと時間も空いたので取り組むことができました。
――比較的主導権を握る試合となった
ゴールが奪えていないので、そこに対してはやっぱりしっかり目を向けないといけないのかなと思います。
――次戦はいよいよインカレを迎える
今一番成長できている時期だと思うんですよ。というのも、インカレ出場っていう1つのプレッシャーから解き放たれて、まあいろいろチャレンジもできているので、また1つ成長した慶應のサッカーをぜひインカレでお見せできると思いますし、今日の試合によって12月30日にまた下田で試合ができることが決まったので、インカレは遠方になりますが下田でまた応援よろしくお願いします。
中島菜々子(総4・十文字)主将
――今日の試合を振り返って
勝たなきゃいけない相手だったなというのが率直な感想で、その中で自分たちが主体性を持ってゲームを作っていくっていうところとかができなかったので、インカレに向けて課題が見えた試合だったかなと思います。
――入れ替え戦への出場が決まった
本当に去年やっと1部に戻ってこれたのに、また自分の代で2部に落としてしまうっていうのはすごい責任を感じていたので、なんとしてでも入れ替え戦への出場権は取らなきゃいけないなと凄く思っていたので、首の皮が一枚つながったなという感じです。
――大学リーグ最終節から約3週間、どのようなことを意識して練習に取り組んできたか
結構自分たちが主体的にゲームをコントロールするところを意識していて、例えば勝っているときにどういう風にゲームを運ぶかとか、今までフォーカスしてこなかったようなところに取り組んできたと思います。
――インカレを2週間後に控えている
個人的にも本当に1年生の時は連れて行ってもらったっていう感覚だったし、あの時の独特の雰囲気であったり、そこで初戦敗退してしまった悔しさっていうのは今でも忘れないもので、そこへのリベンジもですし、今シーズンは「インカレベスト4」っていうのを掲げている中で、一戦一戦しっかり戦って西が丘に帰ってきたいなと思っています。
――インカレ初戦に向けて
まだ慶應としてインカレでの勝利っていうのは1回もあげたことはないので、まずは史上初のインカレ勝利っていうのをつかみたいと思います
工藤真子(総3・日テレ・メニーナ)副将
――試合を振り返って
シュートチャンスはあったんですけどなかなか点を入れることができなくて、相手の守備も硬かったんですけど、正直もう少しやれたし点を決めて勝ちたかったです。
――インカレ前に残留争いとなる試合を迎えるにあたってどのような心境だったか
インカレに向けてもそうですけど、まずはこの試合に勝って、やっぱり2部と1部では違うので、何としても1部に残りたいということで戦いました。
――今日の試合に向けてはどのような準備をしてきたか
自分はユニバで抜けていたんですけど、チームのミーティングとかでは東洋のリサーチを聞いていたのでそれを聞いて臨んだという感じです。
――ユニバーシアード代表候補合宿はどうだったか
ユニバの合宿は皆さんレベルが高くて、パスとかトラップとか一つ一つの技術が高いなというのは感じていて、すごく充実した3日間だったと思います。
――インカレに向けて
本当にインカレに向けて一つ一つの練習にこだわって、少しでも長く試合ができるようにインカレベスト4に向けてチーム一丸となって戦っていきたいと思っています。
鈴木紗理(総2・十文字)
――試合を振り返って
他会場次第で入れ替え戦に行けるか決まるっていう中で、私たちは勝つことしかできることはなかったんですけど、自分たちのやろうとしていたことがうまく出せずに90分が終わってしまったという感じです。
――主導権を握ってチャンスも多かった印象だが
ボールは持てていたんですけど、前線での崩しのところだったり、カウンターのリスク管理だったり、90分を通して課題が多く出た試合かなと思います。
――鈴木選手のCKからも何度も惜しいシーンがあった
巻いてゴールに向かっていく、あとは触るだけというボールを心掛けているんですけど…。
――あと少しというところで入らない試合だった
入ればもっと良い展開になっていたのかなと思います。
――大学リーグの最終節から期間が空いたが、準備の部分は
今まで戦ったことのない相手と練習試合ができたりして、今まで見つからなかった課題が多く出た中で、一つ一つ改善はしているんですけど、また新しい課題が出てきたり、まだまだ改善すべきところが多いなという感じです。
――鈴木選手はユニバーシアードの代表候補合宿に呼ばれていたが、そこでの経験はどうだったか
普段一緒にやらない選手たちと、レベルの高い中で、自分の足りない点がすごく分かったし、自分の立ち位置っていうのが明確になりました。
――次はいよいよインカレを迎える
もうやるしかないと思っているので、慶應の良いところをどの相手にも出せるように、かつ緊急性の高い改善点に向けてみんながベクトルを合わせて取り組んでいければ良いと思います。