いよいよ1週間後に迫ったラグビー早慶戦は今年で100周年。慶應スポーツでは、慶大選手、監督へのインタビューを配信していきます。第4弾は、中楠一期(総4)と永山淳(総3)の國學院久我山コンビです!
ー他己紹介をお願いします
中楠:永山くんは、背が高くてかっこよくて頭が良くて、3つぐらい事業をやってる社長で、全男の憧れみたいな男です。(笑)
永山:言い過ぎ(笑)
中楠:本当に「全男の憧れ」の一言でいけると思います。(笑)
永山:一期さんのことは小学校の時から知っていて、中学から一緒にやっているんですけど、ラグビーでもグラウンドの外でも自分をしっかり持っているなというのが1番強い印象です。それはコーチに何か言われてもブレないし、試合中もそれを貫いているので、自分はそこについて行っているって感じです。
ーラグビーを始めたきっかけ
中楠:父親がやっていて、母がやらせたいっていうことで近くにあった田園ラグビースクールに連れて行ってもらったのが年少でしたね。そこが始まりでした。
永山:僕もお父さんがラグビーをしていたので、公園で遊んでいたのがきっかけです。近くにあったスクールがたまたま田園ラグビースクールで、5歳頃から始めました。
ーご自身のプレーの武器
中楠:僕は、ゲームコントロールに自信を持っています。あとは、スキルセットがしっかりしていると思うので、そこが武器ですね。
永山:僕は、サイズがあって身体を大きく使えるので、キックのスキルと、前に出る時のオフロードのスキルとかが武器かなと思います。
ー夏合宿での個人的なテーマ、目標
中楠:僕は3月に膝を怪我して、山中湖合宿の最初はプレーせずに合宿の最後3日間くらいで復帰しようと思っていたので、個人的には復帰がテーマでした。その中で、強度の低い練習から徐々に混ざり始めて、スキルの部分を戻して復帰するというのを目標にしていました。
永山:自分は山中湖合宿には特にテーマとかはなかったかなと思います。菅平での流経大戦と東海大戦の2試合があったんですけど、その秋シーズンに入る前合宿中にミーティングを長めにしていたので「チームとしてこういう試合がしたい」というプランがある程度しっかりしていて、そのプラン通りに試合を動かすということにフォーカスしていました。
ー夏合宿を終えての成長
中楠:今までは怪我をせずにプレーしてきたのであまり自分の体と向き合ったことがなかったんですけど、復帰する過程でそこをしっかりできたので、怪我をする前の自分より強くなって戻れたかなという実感があります。
永山:自分はスキルよりはメンタル面で、試合80分を通して落ち着いてプレーできるようになったかなと思います。自分のことで精一杯にならずに、視野を広く持って周りを気にしながらプレーできたと感じています。
ーお互いに尊敬する部分
中楠:尊敬する部分はめっちゃ沢山あるんですけど…本当にかっこよくて(笑)
永山:それ言ったからもう(笑)
中楠:サイズとかは才能でもあるので、そこは本当に羨ましいなというか、頑張っても得られないものなのでいいなぁとは思いますね。あとは、脚が長いのでキックは飛ぶし、サイズがある分オフロードとか前に出る力が凄くあるので、僕にはできないことでリスペクトしています。
永山:自分の考えがしっかりあって、それが絶対にブレないというのが一期さんの尊敬するところです。自分は、色々な人の意見を聞いて納得してその意見に寄ることがあるので、一本の軸を持っているのは凄く強いなと感じています。スキルの部分で言うと、試合の流れが決まる時間帯に絶対にミスをしないので、一つのパスとか一つのキックがチームを前に出しているなと思います。そこの精度の高さを凄く尊敬しています。
ー中楠選手:4年間を1年ずつ振り返って
中楠:1年生の時は「1年から試合に10番で出る」というのを入学前から目標としていて、そこに全てを懸けていたので、結構必死だったかなと思います。スタイル的にもファンタジスタみたいな感じのプレースタイルだったので、徹さんとも話して色々助けてもらいながら勉強して「10番として何が必要か」というベースは全部1年生の時にできたかなと思います。2年生の時は、そのベースをもとに実践する場でした。チームが結構強かったのもありましたし「自分がどれだけゲームコントロールをしてチームを勝たせられるか」というような、自分の力が問われていた感じがありました。3年生では、リーダーをやったりポジションが1回変わったりということがあったので、生みの苦しみじゃないですけど、結構自分の中でもがいたなという記憶があります。4年目は、最上級生になってチームのこととか色々やらなければいけない中で初めて怪我をして、恵まれていたからこそ見えなかったことが沢山あったなと感じています。ずっと上のグレードにいたので、そのグレードの人としかあまり話していなかったことに気づいて、結構周りが見えるようになったのが4年生かなと思います。
ー永山選手:プレイヤー以外の面(事業)でのラグビーへの関わりを通じて得たもの
永山:自分は、中高生をメインにコーチングとか栄養指導とかをするアカデミーを立ち上げています。これには色々なきっかけがあるんですけど、1つはラグビーをやっている選手のキャリアを考えたことが凄く大きいです。例えば、慶應でラグビーをしていて、小さい頃から15年ぐらいラグビーに時間を使って知識もスキルも持っているのにそれを活かさずサラリーマンになるのは、自分的には凄くもったいないなと思っています。プロになって引退した先の人生設計って凄く難しいことで、それを受け入れられる土台とか、プロでプレーしていた選手が引退後に活躍できる場所がないなって感じています。だからこそ自分は学生でこういうことを始めたんですけど、将来的にはそういうし引退した後の選手とかが教えられるベースをつくっていければいいかな、というキャリアの部分が大きいと思っています。
ー今でもラグビーを続けている理由は
中楠:好きだからですかね。楽しいからやってるし、楽しいと思えている時がやっぱりパフォーマンスも良いし、そこが原動力というか一番大事なところかなって思います。
永山:俺も楽しいからっていうのが一番大きいと思います。やっててずっと楽しいわけじゃないけど、楽しい瞬間があってそれを味わいたいから続けています。事業もやっているのでそっちに全振りしてやめようかなって思った時もあったんですけど、怪我して競技から離れているとラグビーしたいなって思うので、やっぱりそういうところが大きいかなって思います。
ー高校時代を振り返っての成長は
中楠:まずプレースタイルが結構変わったかなというのがあります。プレースタイルが変わる中で大事なことに気づいたりとか、さっきも言ったように、周りが見えるようになったというのは結構大きいかなぁと思います。・・・多少丸くなったというか(笑)
永山:(笑)
中楠:高校生のときだいぶ尖ってたと思うので(笑)
永山:自分は結構ラグビーを考えるようになったかなと思います。高校の時よりも周りの選手のレベルが高い状況で1年生からやらせてもらっているし、大雑把にプレーしてるっていうよりは、「こう動いて次の選手がこう動いたからここにスペースができる」みたいに頭を使うようになりました。高校の時使ってなかったわけじゃないですけど、周りのレベルも高くなってそういう練習が日頃から出来ているから考えるようになったかなというのがあります。
中楠:確かに!プレーに理由がついたかもしれない。
永山:そうそう!その判断に、理由とか意思がちゃんとあるなって感じです。
ー早稲田で意識している、一緒にプレーしたい選手
中楠:やっぱり(槇)瑛人(スポ4・國學院久我山)ですね。瑛人は田園ラグビースクールで、高校も久我山でやってきてるので、一緒にやりたいなと思いますね。あとは、同じポジションの吉村絋(スポ4・東福岡) とかは高校代表の合宿とか試合とかで結構マッチアップしていたので意識はします。
永山:僕も一番は瑛人くんですね。小さい時から知っているっていうのもあるし、高校3年間一緒にやってお世話になったので、試合があったらよく話します。意識している選手ってそこまでいないんですけど、高校代表で一緒だった伊藤大祐(スポ3・桐蔭学園)とか岡﨑颯馬(スポ3・長崎北陽台)とか何人かいるのでその人たちですかね。
ー黒黄を着ることへの思い入れ
中楠:僕は1年生から着ていたので、自分の中での意味合いっていうのはあんまり今まで持っていなかったかもしれないです。でも、試合前に4年生が出場する選手にそれぞれ手紙を書いてロッカールームに置くっていう伝統があって、そういうのを読んだりお話を聞いたりとかする中で、着たくても着られない人の存在が多くあることに気づきました。そういう人たちの思いは背負って着るし、何も知らない人からしたら普通の服かもしれないけど、それに袖を通すことで多少の責任は生まれるかなっていうふうに思いますね。
永山:自分は、学年が上がるにつれて試合に出られない4年生のことは凄く考えます。普段は仲良く接してくれていて気持ち的な部分を見せない人でも、試合前の手紙を読むと、それだけの想いを懸けてやってたんだなっていうのを強く感じます。その人たちがグラウンドに立てない分、グラウンドに立てる自分はちゃんとやらないとなっていう責任感は大きいと思っています。
ー早慶戦にかける思い
中楠:僕の中では、試合においてチームでプランを立ててやらなければいけないことを遂行することしか考えていないので、対抗戦の一つの試合として捉えています。でもやっぱり伝統の一戦でもあるし、あれだけ観客が集まる異様な空間が出来上がるところでもあるので、その意味合いは結構大きいかなと思います。伝統を積み重ねてもらった先輩方へのリスペクトも、慶應が十何年勝てていないっていう事実も含めて、試合になるまではそういう意識もすると思います。
永山:周りの注目度が高いっていうのを考えると、伝統とか、「大事な1試合なんだな」っていうのは感じます。もちろん対抗戦の中の1試合なんですけど雰囲気とか全然違うので、その雰囲気を楽しんでるっていう感じはあるかもしれないです。この前の筑波みたいにずっと負けている相手なので、ほかの相手と比べたら勝ちたい思いが強いです。
ー今後への意気込み
中楠:結構日本一に向けて、試合に出ている出ていない関係なく全員何かしら頑張ってきたものがあると思っています。風通しが良くて仲いいチームだと思うので、結果で報われるように引き続きみんなで全力で頑張っていきたいと思います。
永山:日本一という目標は凄く大きなことのように感じるんですけど、自分はどちらかというと一つ一つの試合を勝っていくのが大事だと思っています。先のことを見過ぎずに、一つ一つの試合に集中してけたらいいかなと思います。
ーありがとうございました!
(取材:愛宕百華)