【アメフト】前年関西リーグV関学大を前に大敗  全国奪還の秋へ全力の調整を/KGボウル 関西学院大学戦

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慶應義塾大アメフト部UNICORNSは「春の交流試合」と銘打ち、大阪府吹田市のMK TAXI FIELD EXPOで関西学院大FIGHTERSと対戦。昨年の関西王者の前に圧倒され、0-48の完封負けを喫した。両者の対決は2024年の全国大会準々決勝以来で、互いに当時を知る中での一戦となったが、ゲームでは王者の壁の高さを見せつけられることとなった。

『早慶アメフト号外』配布お知らせ

慶應スポーツ新聞会アメリカンフットボール班は、きたる4月29日(水・祝)午前11時から、駒沢陸上競技場にて『早慶アメフト号外』を4000部配布いたします。1面は天野・丹羽両主将を据え、2面には当日出場が見込まれる選手たちを掲載。アメフト号外は2006年以来20年ぶり、カラーでの発行は弊会約50年の歴史上初めてとなります。歴史的な1面をぜひお手に取ってご覧ください。
 

関学大との前回対戦は2024年11月23日に行われた全国選手権大会の準々決勝。当時の慶大はUNICORNS史上屈指のパスユニットを携えて挑んだものの、7-20で惜しくも敗れた。

全国の舞台で健闘した両者だったが、昨年のチーム成績は明暗が分かれた。関学大は昨年も関西リーグを制覇。甲子園ボウル優勝こそ逃したものの、常勝街道のど真ん中にいる。一方の慶大は、昨年TOP8の位。入れ替え戦にもなんとか勝利を収めるなど、非常に苦しいシーズンとなった。

前年関西リーグV、全国大会準Vの関学大

この状況での春のオープン戦ということもあり、負けたら終わりの前回対戦とは性質の異なる試合とはなるが、当時の2年生が主将世代となり、互いのチームの成長が試されることとなった。観客席には地元の関学大の応援はもちろん、関東からも慶大を応援する赤いシャツの観客が多く訪れ、選手に声援を送った。

強豪相手に意地を見せたい慶大

第1QQBを任されたのは滝沢徹(経3・慶應)。幸先よく滝沢とRB・田中玄樹(理3・本郷)のランで押し込んでフレッシュを獲得するが、パスが不発に終わるなどで次のフレッシュは獲得できず、攻撃権を関学に返上する。前年の関西王者は次のプレーでロングパスを決めると、パスとランの連続攻撃であっという間にエンドゾーンに駆け込まれ、先制を許した。トライフォーポイントで関学はキックを選択するが、ここでDL・岩戸旦和(経4・慶應)がキックを弾き追加点を阻むファインプレー。差は点のままとなった。

松本、水嶋、山岡ら偉大なるQBの先輩たちの後を担う滝沢

反撃のきっかけを作りたい慶大だが、ランがことごとく強力ディフェンス陣の前に屈し、陣地を回復することができない。なんとかファーストダウンを取ろうとWR・高原煌世(商2・慶應)にロングパスを投じるが、このパスを関学にインターセプトされ、攻撃権を強奪される。しかし、1Qで立て続けに2本のタッチダウンは避けたいディフェンス陣がここで意地を見せる。ランプレーの連続攻撃を仕掛けた関学を押し戻すと、最後は4th downギャンブルを仕掛けた関学RBにLB・松岡尚吾(環3・鎌倉学園)が突撃し倒すファインプレーを見せ、フレッシュを阻止した。踏ん張るディフェンス陣の奮闘に応えたいところだったが、関学の前に手が出ず、すぐに攻撃権を返上。我慢の時間が続く。

2Qは自陣深くから始まる。最初のプレーでフレッシュを取られるもDB・稲井裕二朗(経3・慶應湘南藤沢)のTDパスカットなどで凌ぎ続ける。しかし最後はガラ空きのレシーバーへのパスが決まりタッチダウン。点コンバージョンを狙う関学だったがここを抑えて、0-12。キックチームは2回連続で追加点を防ぐファインプレーとなった。

いい流れを得た慶大は、小林海斗(法3・慶應)へのパス、田中玄のランで久しぶりのフレッシュ。しかし関学陣地の壁はあまりにも厚く、またも攻撃権を返上。約38ヤードのロングパスで一気に自陣へ押し戻される。この日の慶大はランを効率的に止めていく一方で、パスをほとんどカットできない苦しい展開が続く。

WRとして早慶戦スタメンに期待がかかる小林海斗

再度攻撃権を得ると、WR・富安航大(経2・慶應)へのパスで1st down。しかし後が続かずパントでボールを戻そうとしたが、このキックをカットされるとそのままエンドゾーンに駆け込まれ、追加点を許した。これで019となり、このまま前半を終えた。

関学からの攻撃で始まった後半。敵陣でパスを投じようとした関学QBにディフェンス陣が襲いかかると、こぼれたボールをLB・渡辺晴(経4・慶應)がダイレクトキャッチし、インターセプトに成功。思わぬ形で、今日初めて敵陣への進入に成功する。

続くプレー、QB・滝沢はフィールド右端にロングパスを放つも、惜しくもボールはレシーバーを掠め、千載一遇のチャンスを逃す。勢いを失った慶大はこのシリーズで攻撃権を手放すと、ノーマークのロングパスからエンドゾーンまで一気に駆け抜けられ追加点を許す。

後半からはパス戦術で攻撃していく慶大。しかし、QBとレシーバーの連携がなかなか噛み合わず、得点に繋がらないシーンが続く。

一方の関学は後半に入ってもその勢いを全く衰えさせずに慶大に襲いかかる。大小さまざまなパスとランを効果的に組み合わせ、慶大ディフェンス陣を翻弄。気づけば目の前にはエンドゾーンが迫る。ここを抑えられず、追加点が入っていく。

なんとか点が欲しい慶大は3Q終了間際、田中玄が約38ヤードのロングゲインで敵陣目前に迫る。田中玄の強みは、タックルを受けても振りほどく力強さと、ラグビー出身ならではのステップ。1年生からリーグ戦に出場した経験値を糧に、UNICORNSにとって積年の課題だったランプレーに解決の糸口を見出すプレーを見せた。

全国大会出場時1年生だった田中玄(写真中央)も3年生に。

第3Qをいい形で終え、試合は第4Qへ。この勢いのまま次のフレッシュを目前にした慶大だったがあとヤードが遠く、フレッシュの獲得には至らず。ヤードを進むことの厳しさを思い知らされることとなった。

一方の相手にしてみれば、勢いに乗りかけた敵を抑えたことは、自分たちの勢いを増幅させることになる。慶大のパスディフェンスの穴を突き続けてタッチダウン、差を39点として突き放す。

その後も慶大は諦めることなく攻撃を続けるも、要所で関学にディフェンスに阻まれて強みを生かしきれない。関学はセーフティーリードの中で時間をふんだんに使い、慶大の使える時間を削っていく。最後は47ヤードのキックを決められ、042となった。慶大は残り分余りで最後の攻撃に打って出る。

田中玄のランでフレッシュを獲得し、タイムアウトも使うなどしながら徐々に前進していく。しかし時間がなく苦しい攻めとなり、一矢報いることはできなかった。

最後には関学がとどめの一撃となるタッチダウンで048。悔しい完封負けで春の交流試合は幕を閉じた。

関西王者との一戦に選手は何を感じたか

春の交流試合として行われたこの試合。昨年の成績だけを見比べても、関西王者と関東トップリーグに辛うじて残留したチームの対戦で、実力差は明らかだった。敗戦こそしたものの、慶大が得るものは大きい。田中玄樹を中心としたランプレーは王者相手にも効果的に機能し、秋大会に向けてさらなる進化を予感させた。ディフェンス陣もランを止める場面やインターセプトを決めるシーンもあり、関学大に食らいつくことができた。一方で、オフェンス陣のパスについては課題が残る。関学大はロングパスでのゲインが多く、またその成功率が高かったのに対し、慶大はショートパスが効率的に機能せず、ロングパスもQBとレシーバーの連携が噛み合わないシーンが目立った。レシーバーにとっては必ず成功させなければならないノーマークでのパスキャッチを失敗するシーンもあり、春先の調整の難しさも垣間見えた。敵陣にほとんど入り込めず、完封負けを喫したという結果についてはチームとして重く受け止める必要があるだろう。

徹底したラン阻止が光ったディフェンス陣

とはいえ、これは春のオープン戦で、しかも次の試合となる早慶戦まではあと10日の猶予がある。QB陣のスローイング精度やレシーバーのキャッチを修正すれば、すでに強みを持つランユニットと合わせて破壊的な攻撃力を生み出せる。ディフェンス陣もまた、相手のパスを通しすぎているという今日の結果を踏まえた改善が上向けば今日のような大量失点をすることは少なくなるだろう。2024年も、春のオープン戦では730の完敗を喫しながら、秋までの攻守の修正が功を奏し、関東3位を掴み取って全国への切符を手にしている。春はあくまで調整期間という意識を胸に、焦らずに自分たちの強みを引き出せるような強化を期待したい。

(戦評:東九龍、取材:神戸佑貴、水野翔馬)

 

QB・滝沢透(経3・慶應)

ーー今日の試合を振り返って
率直に悔しいです。スタメンで初めての試合だったので、QBとしてやり通せなかったのも悔しいですし、単純に自分たちの練習の甘さとかも分かった試合になりました。

ーー強豪・関学の印象
自分たちのミスで結構自滅しているという風に感じていて、もちろん関学のディフェンスも良かったんですけど、関学のディフェンスに手も足も出なかったというよりは、結構自分たちのミスが多かったなと感じました。

ーー早慶戦への意気込み
自分たちは、今までやってきたことを信じて、10年ぶりに勝ちたいなと思っています。

(インタビュワー:水野)

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