【競走】「全勝せよ!!」 4人”固有のベクトル”で目指すは未だ見ぬ頂/競走部新体制インタビュー

競走

2026年、新たなスローガン「全勝せよ」を掲げ、109年目が始動した慶大競走部。ケイスポでは、第109代新幹部に就任した須﨑遥也主将(商4・丸亀)、倉田紗優加副将(環4・伊那北)、成沢翔英副将(環4・山梨学院)、飴野湊大主務(理4・慶應湘南藤沢)の4人にインタビューを行い、新体制となった競走部の姿に迫ります。今回は、これまでの競技人生や競技への思い、今後の目標などを紹介します!

新幹部プロフィール

第109代競走部主将

須﨑遥也選手(商4・丸亀)

専門:走高跳

 

第109代副将

倉田紗優加選手(環4・伊那北)

専門:やり投

 

第109代副将

成沢翔英選手(環4・山梨学院)

専門:中長距離(1500・5000メートル)

第109代主務

飴野湊大選手(理4・慶應湘南藤沢)

専門:短距離(100・200メートル)

 

——インタビューに入る前に「他己紹介」をしていただきます!
成沢

倉田副将について…

 

倉田は、やり投が専門で副将も務めているんですけど、やっぱり競技実績が圧倒的なんですよね。昨年から今季にかけて、全国大会でずっと優勝し続けていて。今年はチェコへの海外遠征も経験しているんで、僕としてもその“チェコの力”をぜひ借りたいなと思っています(笑)。あとは、女子副将として女子部員全体を本当によく見てくれています。他の幹部は僕含めて男3人なので、どうしても気づけない細かい部分や込み入った話まではフォローしきれないことがあるんですけど、倉田が女子の代表としてしっかり意見を伝えてくれるので、僕たちもかなり助かっています。同期として本当に心強いです。

倉田

須﨑主将について…

 

須﨑くんは走高跳の選手で、まさに“みんなが知っている主将”という存在です。彼は本当に視野が広くて、幹部会議でも私たちが思いつかないような意見をパッと出してくれたりするみたいに、常に次の次の、その次の行動まで考えて動いているので、まさに“競走部のブレイン”という感じです。競技面でも、これまで怪我を経験しながらも、やるべきことを確実に積み重ねて、「ここで活躍してほしい」という大事な場面でしっかり結果を出す安定感があります。そうした姿を見せてくれるからこそ、部員みんなにとっての精神的支柱になっているんじゃないかなと思います。

須﨑

飴野主務について…

 

飴野は主務としていろいろな仕事をこなしてくれていますが、一番の特徴は、誰とでも円滑にコミュニケーションが取れるところですね。部員同士はもちろん、外部の方やコーチ・スタッフ陣との連携もしっかり取ってくれるので、彼のおかげで部活全体がうまく回っているなと感じる場面が非常に多いです。彼は短距離選手として競技も続けていて、そんな中で、裏方としても部を支えてくれているので、「明るくてしっかり者」なキャラも相まって、本当にありがたい存在だなと思っています。

飴野

成沢副将について…

 

成沢は、とにかく競技者としての芯が強いですね。最初に「ケニアに行く」って聞いた時は、正直「何を言ってるんだ?」と(笑)。僕自身、海外で練習するという選択肢が頭になかったので、倉田も成沢も(海外遠征に)行く決断をしたのは驚きました。でも、現地でしっかり練習を積んで実力を伸ばして帰ってきた。目標に向かって一直線に無我夢中で突き進むその行動力と強さは、話していてもすごく伝わってきます。これほど陸上競技者に向いている人はいないなと。また、副将としての成沢の良さは、みんなが言いづらいことでもしっかり口に出してくれるところです。周りが良くなるために、自分がどう思われるかを気にせず、すべきことを伝えてくれる。本当に信頼できる副将だと思っています。

 

——幹部4人が決まった経緯について
須﨑

主将の選出については、まず同期の中で話し合いや投票を行いました。その上で、主将にふさわしい候補者を絞り、最終的な協議を経て僕に決まったという形です。副将については、僕が「ぜひ一緒にお願いしたい」と思ったメンバーを指名させてもらいました。思い描くチームを形にするために、力を貸してほしいと心から思えるメンバーを選んだという経緯になります。

飴野

主務の選出は少し特殊な経緯で、本来主務は前年から継続してやっていく中で、最終的にはマネージャーチームやサポートチームの中から選ばれるんですが、僕の場合は一つ上の先輩方から指名していただいて、「じゃあ頑張ろうかな」という感じで引き受けました。

 

——109代のスローガン『全勝せよ』に込めた思い。この言葉に決まった経緯について
須﨑

まず自分たちが「どんなチームにしたいか」という方針を固めた上で、そこにインパクトメッセージ性のある言葉を幹部みんなで出し合いました。その中で、この言葉が僕たちの目指す姿に一番しっくりきたんです。陸上競技をやるからには、やっぱり「勝ちに行こう」という思いが根底にあります。ただ、単に勝負に勝つだけでは本当の意味で価値があるものにはならないと感じたんです。そこで、この「全勝」という言葉の「全」という漢字に、「全う(まっとう)する」という意味を込めました。全部員が自分たちの役割や目標を全うし、その積み重ねが最終的に勝利へと繋がる。そんなプロセスをチームとして成し遂げたいと思っています。もちろん公式戦での勝利は目指すべき場所ですが、それ以上に「一人ひとりがやり遂げることを大切にしよう」という思いを込めています。

「勝負に勝つだけでは本当の意味で価値があるものにはならない」(須﨑)

 

それぞれ目指す理想の主(副)将/主務像は?
須﨑

少しエゴな言い方になるかもしれませんが、主将としてチームビルディングなどの組織力向上については、2025年のうちにやり切ってきた自負があります。 2026年、いよいよシーズンが始まる上では、主将という肩書きはあっても、僕自身も一人の競技者であることに変わりはありません。まずは自分ができること、競技の方でしっかり結果を出したい。その姿が、結果として後輩やチームに良い影響を及ぼせればいいなと思っています。

「一人の競技者として」(須﨑)

成沢

僕自身、ずっと海外で練習してきましたが、須﨑が言った通り「副将である前に一人の選手」です。まずは結果を出して背中で見せていく。今年の幹部全体として「結果で引っ張る」という意思は一致しているんで、その先陣を切れるようにしたいです。 あとは、僕は自分では話しやすいキャラだと思っているので(笑)、色々な人に積極的に話しかけていきたいですね。何か困りごとがあった時に、選手をサポートできる存在でありたいと思っています。

「まずは結果を出す」(成沢)

倉田

私も成沢と同じく冬に海外に行かせていただいたのは、何よりも「結果を出すため」です。しっかり結果を出した先に、慶應という名前を世界に広めていきたい。私はこの大学の仲間が本当に大好きで、慶應にプライドを持っています。自分が活躍することで「こんなにいい仲間がいるんだ」ということを証明したいですね。 あとは、遠征で3ヶ月ほど部を離れていた時期もあったので、シーズンに向けて部員とのコミュニケーションを大切にしたいです。技術的な話はもちろん、モチベーションなどの精神的な部分でもみんなを支えていきたいと考えています。 

「『こんなにいい仲間がいるんだ』ということを証明したい」(倉田)

飴野

他の3人が「結果、結果」と実力主義で先頭を走ってくれているので、僕はあえて違う視点を持ちたいと思っています。部員150人全員が、最初から彼らと同じ高い視座を持てているわけではありません。 以前どこかの記事で「体育会の主務は、列車の最後尾にいるような存在」という言葉を目にしたのですが、僕もまさにそうありたくて。先頭を走る3人が結果を出しやすい環境を整えるのはもちろん、後ろから部員全員をどう押し上げていけるか。150人全員が力を発揮できる環境を作ることが、僕の今年1年の使命だと思っています。

「150人全員が力を発揮できる環境を作ることこそ…」(飴野)

 

——今年のチームを一言で表すと?
飴野

……「固有ベクトル」かな

須﨑

 

 

固有ベクトル(笑)

飴野

分かりづらいか(笑)。でも、全員が「独立」しているんですよ。誰かの下についているような「従属」な存在がいなくて、全員が違う方向を向きながらも一直線に突き進んでいるイメージ

倉田

理工学部(笑)。でも確かに、それが一番しっくりくるかも。一人ひとりのキャラがすごく濃いし

成沢

みんなストイックだよね。確かに、今の幹部が決まる前の春休み、部活の集合がない日でも部室に行けば必ずこのメンバーがいたし。倉田や須﨑は自主練してるし、飴野はずっと作業してるし(笑)。「どうすれば強くなれるか」をそれぞれが考え抜いた結果、自然とこの4人が集まっていた感じ

倉田

競技が第一であるからこそかも。登り方はそれぞれ違うけれど、みんな同じ山頂を目指しているような感覚

須﨑

慶應にはいろんなバックグラウンドを持つ部員がいるけれど、最後には本質的な競技の強さに結びつけるのが全員の役割だと思っているから。

飴野

……でも「固有ベクトル」どんどん伸びていっちゃうから、みんなバラバラに離れて行っちゃうのよ(笑)。

倉田

でも最後には、ちゃんと収束して一つになる。

飴野

ひし形みたいな感じか

成沢

いいじゃん(笑)「今年のチームはひし形です」って

須﨑

まとめます。「ひし形固有ベクトル」

 

——今年の競走部の強さや伸びしろはどこにありますか?
飴野

強みは、競技力を上げることに対して何も制限をしないし妥協もしないという柔軟な姿勢だと思います。成沢や倉田のように外部や海外へ練習拠点を移すことも認めたり、ちゃんと強くなるための選択を尊重しています。 伸びしろで言えば、部全体の繋がりですね。種目ごとの団結力は強いのですが、部全体としてどう繋がるかは代々の課題です。ただ、他大学では駅伝と陸上競技で組織が分かれているケースも多い中、慶應は一緒になって頑張れている方だとは思うので、そこをさらに強めていきたいです。

成沢

この代は、歴代の中でも一番ゴールの目的意識が言葉にしなくても一致していると感じます。正直、結果と正面から向き合うのはプレッシャーもありますし、逃げたくなる瞬間もありますけど、そこでシンプルに「結果を出していこうよ」と言い切れる信念を持った選手が、今年の幹部や同期には多い。そこが強いですね。

倉田

課題としては「慶應の中だけで完結してしまう部分」かなと思っています。私自身も海外遠征を経験して、世界の人たちが強くなるためにどんな練習をしているのかを肌で感じ、視野が大きく広がりました。みんなが海外へ行くのは難しくても、例えば早稲田大学の練習に一回でも参加してみるだけでも、気づくことはたくさんあるはずなので、この自由な環境を活かしきって外の世界に触れる力が、競技力向上に直結すると思っています。

須﨑

みんなが言ってくれたように、主体性を持てることが慶應競走部の強みであり、同時に弱みでもあります。自分なりにチャレンジできる環境があることを理解してみんな入部してきているはずなので、あとはそれをどれだけ実現できるかですね。実際に各々がチャレンジを形にしていければ、部の雰囲気もさらに高まっていくはずです。

「各々がチャレンジを形にしていければ」(須﨑)

成沢

弱点を補うというよりは「それぞれの強みをどんどん後押ししていこう」というスタンスだよね。マルチにこなすより、尖った強みを伸ばしていく。僕らもその先陣を切っ

ていきたいと考えています。

 

——チームとして大切にしている信念は?
須﨑

成沢の話にもありましたが、「個々がとにかく自分の道へ突き進むこと」ですね。やっぱりそれが結果として組織の力を最大化させ、他の部員に良い影響を及ぼすと信じていますし、海外遠征に行った2人が一つのロールモデルとなって、部全体が「もっと広い視野で競技を捉えていいんだ」と感じてくれたら嬉しいですね。高校生や保護者、OBの方々にも「慶應の競走部は変わったな」と思ってもらえるような姿を見せていきたいです。

飴野

「多様性」「自由」と言いつつも、体育会である以上、やはり最後はある種の「泥臭さ」が必要だとい思います。この3人も、誰もがやるような地味で基礎的な練習を、逃げずに淡々と繰り返している。その泥臭い積み重ねの先にこそ華やかさがあると思うので、コツコツやることから逃げない姿勢は、主務としてみんなに伝えていきたいですね。

「泥臭い積み重ねの先にこそ華やかさがあると思うので」(飴野)

成沢

やっぱ、「物事を有耶無耶(うやむや)にしないこと」ですかね。自分の意見や譲れない部分ははっきり言う。須﨑とかもそこが徹底していて、幹部会でも「俺はこう思う、こう行こう」と責任を持って決断してくれます。信念を貫き通す強さは、この代の大きな特徴でもあります。あとはとにかく、今年は結果を出したい。僕が海外で挑戦している間、残ってチームを支えてくれた須﨑と飴野たちのためにも、結果で恩返しをしたいという思いが強いです。

倉田

「本気で取り組む気持ちを行動に移すこと」ですね。今年からブロックごとに部員全員の競技結果を可視化するランキング制度を導入したんですよ。一見残酷ですけど、だからこそ「競技が第一である」という意識が浸透して、健全な競争心が生まれるし、それが関東インカレなどの勝負の場で戦う力に繋がると思うんです。陸上競技に本気で取り組む集団になるための舵取りはできているかなと感じています。

 

——チーム/個人としての2026年度の目標について
須﨑

自分は、とにかく「日本一を取りたい」という思いが一番強いです。高校時代から含めてずっと2番で悔しい思いをしてきて、だからこそ主将としての原動力になっているんですけど、最終学年で最高の記録と順位を出して、結果で示してこそ伝えられる言葉があるはずだと信じています。

成沢

目標は、関東インカレ表彰台日本選手権出場です。昨年、ケニア遠征のためにクラウドファンディングで資金を募ったのですが、その目標に「結果を出す」と書いてしまったんで、もう後がないんですよ。……正直に言うと、今ものすごいプレッシャーで(笑)。だんだんとお金の重みを知っていくうちに、「やばいことをしてしまった」と思えてきました。でも、その過酷な環境で結果至上主義を叩き込まれました。陸上をやっている以上、結果がすべてなんですよ。世界基準で見れば僕に求められるハードルは高いんですけど、関東インカレとかは本来は通過点だと思っているんで、そこは全て超えてみせます。

「陸上をやっている以上、結果がすべてなんですよ」(成沢)

倉田

今年はロサンゼルス五輪までを見据えた「3年計画」の1年目だと考えています。2028年のロス五輪、2027年の北京世界陸上、そして今年のアジア大会。これらは全て繋がっていて、世界ランキングを上げるためには、今年のアジア大会で高いパフォーマンスを出すことが不可欠なんです。まずはアジア大会の派遣標準記録である60m25 を突破して、日本選手権で2位以内に入って代表権を勝ち取ること。安定して60m台を投げ続ける実力が求められる厳しい戦いですが、やるべきことは明確なので精神的には落ち着いてはいます。関東インカレや日本インカレなどの国内大会も、全て世界へ繋がるステップなので、私自身が結果でチームを引っ張り、良い影響を与えられる存在でありたいです。

 

——新入生、入部を検討している方へのエールを!
飴野

慶應競走部は、他大学と比べると入部のハードルが決して高くないと思っていて、初心者でも伸びしろがある人なら誰でも受け入れる門戸の広さがあります。ただ、入ってから部内で勝ち進んでいくには、それ相応の厳しさが待っていて、その分、成長できる可能性は非常に高い環境です。それに、学内の他の体育会と比べても、個人競技でありながらこれほど全員が結果を追い求めて、良い組織を作れている部は珍しいなと思っています。自分で考え、頭を使って高みを目指せる新入生を待っています!

倉田

「一つ上のステージを見ることの楽しさ」を知ってほしいと思っています。私自身、チェコ遠征では周りのレベルが高すぎて、何をするにも自分が最下位という環境でした。でも、「できないこと」をたくさん知るのはすごく面白いし、トップ選手が何を考えているかを知るのは本当に刺激的だと思うんです。どうせやるならとことんやって自分を追い込み、成長してもらいたいので、一つ上の景色を一緒に見に行きましょう。来てください!

「『できないこと』をたくさん知るのはすごく面白い」(倉田)

成沢

大学生は、多くの人にとって学生生活ラストステージなんで、競走部は「最高に青春ができる場所」だと思います。関東インカレなどの大きな舞台はもちろん、裏方として仲間を支える充実感や、練習後の何気ない食事。そんな一日一日の積み重ねが、大人になった時に「あの時代は良かったな」と思える一生の絆になると思うんです。本気だからこそ芽生える絆と言いますか。そんなアオハル気分を味わいたい人は、是非(笑)!

須﨑

競走部は、単なる自己満足の「自分なりに頑張る」人のためではなくて、仲間に結果で認められたい、自分の限界すら打ち破りたい、そんな人たちがどこまでも突き進める組織です。これは選手だけでなく、マネージャー、トレーナー、サポート陣全員に言えることです。本気で結果を出したいと情熱を抱く人を、僕たちは歓迎します。皆さんの入部をお待ちしています!

 

——インタビューは以上です!競走部の皆さん、取材へのご協力ありがとうございました!

 

(取材:河合亜采子、小林由奈、竹腰環、中原亜季帆 編集:竹腰環)

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