【野球】これぞ「華の早慶戦」 最終回に渡辺和大投入も天覧試合での胴上げ叶わずサヨナラ負け/東京六大学2026春季リーグ戦 早大2回戦 @明治神宮野球場

野球戦評

5月31日(日)東京六大学2026春季リーグ戦 早大2回戦@明治神宮野球場

早大に先勝して迎えた2戦目は32年ぶりの天覧試合となり、ここで勝利となれば優勝が決まるという運命の一戦。初回、2番・小原大和(環4・花巻東)が左安打で出塁すると、2死満塁の場面で林純司(環3・報徳学園)が押し出し四球を選び、先制点を獲得。先発として登板した広池浩成(経4・慶應)は2回裏に本塁打を浴び、同点に追いつかれる。すると3回表、藤田一波(環1・智辯和歌山)のリーグ戦初安打で勝ち越しに成功したが、4回に再び同点に戻されるというシーソーゲームの展開に。6回表、1死二、三塁の場面で今津慶介(総4・旭川東)が一ゴロを放つと、その間に丸田湊斗(法3・慶應)の好走塁もあり2点を追加。7回からは鈴木佳門(経2・慶應)がマウンドへ。霜結太(国教2・マクレーン)に二日連続の本塁打を被弾し1点を追加されるも、その後はコントロール抜群の投球で2回を4奪三振。1点リードで迎えた最終回、前日先発の渡辺和大(商4・高松商業)がマウンドに上がるが、覚醒したワセダ打線に安打を重ねられ、逆転サヨナラ負けを喫した。優勝のゆくえは翌日以降の試合の結果を待つこととなった。

123456789
慶大1010020004
早大010100102x5

慶大バッテリー:広池、水野、鈴木佳、●渡辺和ー吉開

早大バッテリー:宮城、中村心、佐宗、〇岡村ー尾形、川尻

慶大本塁打:なし

早大本塁打:德丸2号ソロ(2回)、霜2号ソロ(7回)

華の早慶戦、運命の2日目。前日は、渡辺和と鈴木佳の見事な投手リレー、打っては2回の打者一巡の猛攻、8回には主将・今津のダメ押しの2点適時打と、完璧な投打で5季ぶりの優勝へあと一勝となった慶大。しかし、この「一勝」は決して簡単なものではないという意識が監督、選手ともに強くある。なぜなら、相手は「陸の王者・慶應」の永遠のライバル「覇者・ワセダ」だからだ。2018年春、2019年秋には、同じく先勝するも、その後2敗を喫し勝ち点を落としている。今回は早慶戦での勝ち点が優勝の必須条件である。

さらに、この試合は天皇陛下ならびに愛子内親王が御覧になる32年ぶりの天覧試合となった。天覧試合で優勝を決めることができれば、史上初の快挙となる。まさにラストゲームにふさわしいこの日の一戦。天覧試合の開催に伴い厳重な規制が敷かれ、いつもとは少し異なる雰囲気が神宮を包んでいる。しかし、それらを重圧として背負うのではなく、むしろ優勝への勢いに変える力が、苦しい時間を耐え抜いた”チーム今津”にはあるはずだ。

優勝まであと「一勝」

この日の先発は、広池。これまでも東大2回戦で先発し、6回を無失点で抑えるなど今季第二先発として実力をあげてきた。対する早大先発の宮城誇南(スポ4・浦和学院)は、直近の試合では負けが続いているものの、リーグ戦では2年春から登板した実力ある投手だ。慶大打線はビックイニングを作り上げた前日と変わらず、対して早大はスタメンを大きく変更も強力なクリーンナップは固定させている。

先発・広池

初回、2番・小原がさっそく左安打で出塁すると、続く今津が内野安打を放ち1死一、二塁とする。続く一宮知樹(経2・八千代松陰)は一、二塁間を破る鋭い打球でさらにチャンスを広げ満塁にすると、林純が四球を選び、押し出しで貴重な先制点を獲得。

右安を放った一宮

今季の慶大の強みである打線のつながりを初回から存分に発揮し、若き血の合唱が応援席に響く。
打線の援護を受けて初回のマウンドに立った広池は、わずか7球で三者凡退と完璧なピッチングを披露し、上々の立ち上がりを見せる。

しかし2回裏、5番・德丸快晴(スポ2・大阪桐蔭)に右翼席への本塁打を浴び、さらに続く打者の打球を林純がうまく捕るも送球がわずかに間に合わずセーフ。その後、盗塁を許し1死二塁に。しかし、続く打者を空振り三振に仕留めると、最後は二飛で回を終え、最少失点に抑えた。

振り出しに戻った3回表、先頭・今津が四球で出塁すると、続く吉野太陽(法4・慶應)も四球で1死一、二塁。続く林純の右飛で今津は三塁へ。すると早慶戦からスタメン入りしたルーキー・藤田一の打球が一、二塁間を破るリーグ戦初安打が初打点となり、2-1とする。

初安打初打点を挙げた藤田一

3回裏、広池は二者連続で空振り三振に仕留めるが、続く佐藤寛也(政経3・早大学院)の打球は二塁手・今津を大きく超えて右安打に。さらに暴投で進塁を許すも、最後は左飛でリードを守りきる。

しかし4回裏、先頭打者・寺尾拳聖(人4・佐久長聖)に左への大飛球を浴び、これが二塁打に。すると続く壽田悠毅(社会4・早実)の右前適時打で2-2の同点に追いつかれる。

5回表から、ワセダの投手は中村心大(スポ1・早稲田実業)へ。吉野が死球で出塁すると、続く林純は遊撃手の失策で1死一、三塁とチャンスを広げる。しかし、続く打者が右飛、三振に倒れ、勝ち越し点を奪えない。

 

気温がぐんぐんと上昇する中、息のつく暇のない両者白熱の試合が続く。

6回表、先頭の吉開鉄朗(商4・慶應)が死球を受け出塁すると、続く丸田の打球は併殺打になるかと思われたが、相手の失策で無死一、二塁に。小原が犠打を成功させ、走者を二、三塁に進めると、続く今津の一ゴロ間に吉開、そして隙をついた好走塁で丸田が生還。誰一人として無駄な打席はなく、チャンスを逃さない姿勢が点に結びついた。

好走塁を見せた丸田

5、6回に登板したのは2番手・水野敬太(経3・札幌南)。堅実な守備で点を与えず、2点のリードで7回表の「若き血」の熱唱を迎える。

7回表、マウンドはリーグ戦経験豊富の佐宗翼(スポ2・星稜)。1死から林純は右翼手の前に落ちる安打で、慶大としては3回以来の安打となるも、後続が倒れる。

この日も勝負強さを見せた林純

7回裏には、今季絶好調の左腕・鈴木佳が3番手としてマウンドへ。しかし、1番・阿部葉太(スポ1・横浜)に代わった霜に二日連続となるソロ本塁打を浴び、4-3に詰められる。8回表、吉開と丸田が無死一、二塁のチャンスを作るも、活かせず。8回は、鈴木佳がストライク先行の完璧なピッチングでワセダ打線を抑えた。

1失点も好投を見せた鈴木佳

食らいついてくるワセダをなんとか引き離したい9回、相手投手は4番手・岡村遼太郎(教育3・早大学院)にスイッチ。吉野が内野安打で出塁すると、林純が完璧な送りバントを決め、続くは藤田一に代わり、横地広太(政4・慶應)。二塁方向への打球が内野安打と判定されるも、ビデオ検証の結果、アウトに。2死三塁の場面、続く八木陽(法3・慶應)が左中間への大飛球を放ち、これが適時打となるかと思われたが、ワセダの中堅手・寺尾の好守備に阻まれ、惜しくもこれで攻撃終了。

代打・横地

1点のリードで残すは最終回。優勝をかけたマウンドに立ったのは、今季の慶大のヒーロー・渡辺和。対するワセダは、渡辺和と同じく高松商業高出身の井櫻悠人(スポ4・高松商業)を代打で送る。するとその井櫻に二塁打を浴び、続く霜にもさらに左安打、そして代打・髙橋海翔(スポ3・山梨学院)に犠飛を許し、まさかの同点に追いつかれる。その後四球を許し、なおも2死一、三塁のピンチの場面。德丸に中前適時打を許し、痛恨のサヨナラ負け。天皇陛下の御前で堀井監督を胴上げすることはかなわなかった。

最終回のマウンドを託された渡辺和

慶大も巧みにチャンスを引き寄せようと奮闘したが、最後に波を掴んだのはワセダだった。しかし、互いに一歩も譲らず真正面からぶつかり合ったこの試合はまさに「早慶戦」の醍醐味の詰まった名試合であったことは間違いない。

泣いても笑っても、翌日の3回戦は今季を締めくくる大一番となる。覚醒したワセダ打線に対して、今季強化してきた慶大打線にはそれ以上のものが求められる。何より、ここまで腕を振り続け、慶大首位に大きく貢献してきた渡辺和に、負けを付けて終わるわけにはいかないだろう。
「チームのために」の思いを一つに、あと一勝。
一昨年、昨年の「悔しさ」が原点のこのチームは、まだまだここでは終わらない。

「勝つ喜びと負けた悔しさを知る世代」

(記事:片山春佳/写真:河合亜采子、鈴木啓護、

柄澤晃希、神戸佑貴、奈須龍成/取材:山内悠暉、秋吉一樹)

◆慶大野手成績

位置選手1回2回3回4回5回6回7回8回9回
[8]丸田湊斗(法3・慶應)中飛四球中飛捕失右安
[D]小原大和(環4・花巻東)左安三飛空三振投犠打左飛
[4]今津慶介(総4・旭川東)二安四球一ゴロ一ゴロ一ゴロ
[9]一宮知樹(経2・八千代松陰)右安二飛空三振遊飛中飛
[3]吉野太陽(法4・慶應)二飛四球死球二飛三安
[6]林純司(環3・報徳学園)四球右飛遊失右安一犠打
[7]藤田一波(環1・智辯和歌山)中飛右安右飛中飛
H7横地広太(政4・慶應)二ゴロ
[5]八木陽(法3・慶應)中飛遊ゴロ空三振空三振中飛
[2]吉開鉄朗(商4・慶應)投ゴロ四球死球左安

◆慶大投手成績

選手投球回打者投球数被安打被本塁打与四死球三振失点自責点
先発広池浩成(経4・慶應)41863511322
2水野敬太(経3・札幌南)2834201000
3鈴木佳門(経2・慶應)2930310411
4渡辺和大(商4・高松商業)0 2/3622301022

タイトルとURLをコピーしました