【野球】陰でチームを支える4年生マネージャー 雪辱の頂へ想いは一つ~沖﨑真周×水品玲香×藤井綾乃×石坂梨紗~/秋季早慶戦直前インタビュー

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春季リーグ戦で優勝し、全日本大学野球選手権大会では準優勝を果たした慶大。春秋連覇・日本一を目指して臨んだこの秋は、一時首位を独走するも、第4節・明大戦で勝ち点を落とし、優勝の行方は最終週の早慶戦に持ち越された。明大が立大から勝ち点を獲得したことで、慶大は早慶戦で2連勝すれば優勝、2勝1敗なら明大との優勝決定戦、勝ち点を落とせば明大の優勝となる。

一方、ワセダは5勝5敗で現在4位につけており、早慶戦の結果次第では2位に浮上する可能性もある。優勝の可能性はないものの、慶大にとって難敵であることに変わりはない。4年生の有終の美を飾り、”忘れ物”である日本一をつかむためにも、まずは早慶戦で2連勝し、春秋連覇を成し遂げたい。そこでケイスポは、早慶戦を前に闘志を燃やす慶大の選手・スタッフ・首脳陣にインタビューを行った。

今回はマネージャーの沖﨑真周(経4・幕張総合)さん、水品玲香(商4・慶應湘南藤沢)さん、藤井綾乃(商4・清教学園)さん、石坂梨紗(経4・慶應女子)さんです!(このインタビューは10月29日にオンラインで実施しました。)※杉山雄剛(経4・慶應)さんは体調不良のため、今回のインタビューには参加されていません。

 

――他己紹介をお願いします

沖﨑→藤井:藤井彩乃さん23歳。生まれは大阪でお父さんがプロ野球選手。近鉄、楽天、阪神で活躍された藤井(=彰人)さんの娘さんです。非常に野球に詳しく、任された物事を一生懸命やる子です。面倒くさい事でも面倒くさい顔をせずに引き受けるのが彼女の良いところかなと思っています。

藤井→水品:水品玲香さん22歳。出身は神奈川県で、高校がSFCです。私と同じく留学経験があって、彼女は1年間ニュージーランドに行っているので、英語が堪能です。性格は優しいというのが一番合っているかなと思います。人が嫌がることをできるし、お世話好きなマネージャー向きの気質を持ち備えている女性だと思います。

水品→石坂:石坂ちゃんは慶應女子高校出身で、もともとすごく野球が好き。ヤクルトの大ファンです。性格としては、人当たりが良くていつもニコニコ明るいので、周りを惹きつけるというか、誰とでも仲良くなれてしまうのが彼女の魅力だと思っています。すごく美味しそうに食べる姿を見ることが多いです。サマーリーグなど他大学との交流が一番多い子ですけど、すごく関係を築いてくれていて、野球部の新しい機会を作ってくれる子です。

石坂→沖﨑:沖﨑真周、幕張総合高校出身の23歳。高校まではずっと野球をやっていて、怪我していなければベンチメンバーに入れるくらい野球ができる方です。野球部にいた勝野(=淳、R8経卒)さんという一個上の主務とも幼馴染。一浪して野球部に入ってマネージャーをしています。主務としては要領良く仕事をしているイメージで、オープン戦とかで色々な人に会う機会がありますけど、大人の方に対しても、どんな時でも堂々としていてとても頼れる、主務らしい主務だと思います。

 

――同様にお互いの業務紹介をお願いします

沖﨑→藤井:藤井さんはこれから入部してくる高校生の入部手続きサポートしています。僕らは明治、早稲田、法政とかと違って野球推薦が一切ないので、様々な入試方法を駆使しながら、多くの部員を受け入れています。慶應を受けたいというモチベーションがある子の練習参加のサポートや、部の説明会など、対外的な活動が多いと思います。

藤井→水品:水品さんは大きく2つ仕事があって、1つは会計、もう1つは三田倶楽部担当です。会計の仕事は文字通り、部のお金の運用を彼女がトップで仕切っています。年度の予算であったり、マシンを1つ購入するにも限度があるというところで、OBの方と連携しながらやりくりをしてくれています。三田倶楽部は野球部の卒業生のことで、サポートして頂いている支援会への対応を中心的に行ってくれています。

水品→石坂:石坂さんは広報担当として、SNSや部のホームページなど、色々な媒体を通じて部の活動やイベントを発信しています。そのコンテンツの作成から、すべての発信物の確認をしてくれています。インスタグラムでよく見るアイキャッチも広報のみんなが担当してくれています。もう1つは1、2年生主体のフレッシュリーグの運営を担っています。夏は新潟、秋は静岡、春は茨城といった風に、一気に短期間で試合を行って経験を積むというリーグです。慶應はそのリーグでリーダー校として取りまとめをしているので、各大学との連携や大会の運営を彼女が中心となって行っています。

石坂→沖﨑:沖﨑は主務として全ての仕事の責任を取ることをしています。色々なマネージャーの仕事の中で大事な事柄を主務に共有して把握してもらうとか、大事な局面でどうすればいいかの判断を基本的にしています。監督や学生コーチと相談して、オープン戦をどういった時にどういった相手と組むのかを決めていて、相手校の方との連絡なども主務が行っています。あとは何個もある合宿の移動手段や宿泊先の方との連絡や、使用する球場の方との連絡など、そういった全ての連絡を取っている、部の責任者といった感じです。

 

――慶大野球部のマネージャーになったきっかけを教えてください

沖﨑:さっき石坂が言ってくれたように、ずっと選手をやっていたので野球が大好きで、小中学生の時から六大学でプレーするのが野球人生の目標でした。さっきも言いましたけど推薦を取っていないけどこんなに強い。勉強もできるけど、野球も強くてみんなが考えながら野球をやっているチームカラーがすごく好きで、慶應で野球がやりたいなという思いがありました。怪我をしてしまって野球を辞めようかなと思いましたけど、一度入ると決めたチームだし、マネージャーとして入部しました。

藤井:私は高校の時から野球部のマネージャーをしていますけど、大学で何をしようか悩んでいる時に、父親の同僚だった方が慶大野球部の出身で。その方とお会いした時に、慶大野球部の良さを熱弁されたことで、初めてその存在を知りました。実際に足を運んでみないと分からないということで、高校3年生の受験終了時くらいにグラウンドへ行ったら、野球推薦がなくて色んなバックグラウンドを持つ人が集まる組織にすごい魅力もありましたし、雰囲気が良いと感じて入部を決めたのが一番の理由です。

水品:私は慶大野球部に入るまで野球とは無縁の人生を送ってきました。小中高とバスケットボールをずっとしていて、十年以上やってきた競技をやりきったという感覚があり、高校からは内部進学になるので、大学では何をしようか考えていました。そこで野球部の同級生の引退試合を見に行く機会があって、その後同期となった田上遼平(商4・慶應湘南藤沢)、玉津優志(商4・慶應湘南藤沢)が試合で頑張っている姿を見て、野球っていいなと感じて。それが入部したきっかけになります。

石坂:私は水品と同じく内部の慶應女子高校だったので、大学で何をしたいかと考えた時に、自分は一つのことに熱中して取り組みたいと思っていたので、体育会に入ることをまず決めました。その中で、自分は小さい時から1日何試合も見るくらい野球が大好きで、どうせ体育会に入るなら野球部に入りたいと思いました。ですが慶大野球部はプロ野球のような憧れの世界で、一歩踏み出すには勇気がいりました。しかし早慶戦を観戦している時に母の友達から「そんなに野球が好きなんだったら野球部のマネージャーになったらいいんじゃない?」と言われて、自分でも普通になれる世界だと思い、挑戦してみようと決意しました。

 

――水品さんは野球未経験で入部し、ルールをどのように覚えていきましたか?

水品:最初はホームランぐらいしかルールを知らない状態でした。1年生の最初のマネージャーの仕事がリーグ戦の結果をSNSやホームページに反映するという仕事だったので、戦評やスコアは書けないとお話にならないので、藤井と石坂にサポートしてもらいながらやってきました。マネージャー含め、アナリストもトレーナーもどこか野球に携わってきた子たちが入ってきている組織なので、そこのキャッチアップはすごく最初の頃は大変だったかなと思います。

 

――藤井さんは入部時のブログに「野球の魅力を追求したい」と書かれていたが、4年間を経て変わりましたか?

藤井:父親の仕事もそうですし、高校生の時はどちらかというとずっと見る立場でした。高校野球って空気が独特で、もちろん考えもしますけど、どちらかといえば指導者譲りというか。指示されたことを全うして、チームで決められたことを絶対に守るという理不尽なところもありました。大学野球は、プロの世界を目指す人たちは与えられたものばかりこなすのではなく、それプラスアルファで自分にしかない強みをどうやって表現するか、かつチームにそれをどう還元するかといったところまで考えているし、あとは寮生活を見ていて、ストイックな子は食べ物から気を遣っていて、野球に人生を捧げているのだと思います。これまでは部活動の中の1つのスポーツぐらいの捉え方をしていましたけど、1日24時間あったら23時間くらいずっと野球のことを考えられるのではないか、それくらい熱いスポーツだという風に変わりました。

 

――石坂さんはファンとして慶大野球部に憧れを抱いていたと思いますが、実際に携わることで印象に変化はありましたか?

石坂:何も変わっていないですね。小さい時、プロ野球選手はKーPOPアイドルとかキムタクくらいの会えない存在だと思っていましたけど、野球部に入って、実際に自分が1年生の時に廣瀨(=隆太、R6商卒)さんがソフトバンクに行かれて、この前の日本シリーズでもベンチ入りされていましたし。同期も渡辺和大(商4・高松商業)がソフトバンク3位、今津慶介(総4・旭川東)は日本ハムに育成5位で選ばれていて、身近で頑張っていた選手があのプロ野球の世界で活躍するんだ、と驚きました。またドラフト会議の中継を見ていても、六大学の野球部はすごく一目置かれていて。フレッシュリーグを運営する際にも他大学の方から話を聞く中で、慶大野球部がいかに伝統のあるすごいところかというのを実感しました。

 

――沖﨑さんは春の幹部インタビューで「全部自分に聞けばわかる」状態を目指すとおっしゃっていたが、これまでを振り返って理想には近づけた?

沖﨑:そうですね、ある程度はできたと思っています。完璧ではないかもしれないですけど、部員から何か聞かれる時には、ほぼ答えられるようにはなっていたと思います。主務は野球以外、グラウンド以外のリーダーだと自分は思っていて、そのようなリーダー的存在にはなっているかなと思います。

 

――仕事が大変な時、何を支えに業務をこなしてきたか

沖﨑:勝ちたい、日本一になりたいという一心で入ってきたので、そこが一番の原動力でした。あまり大変だとは思わず、チームが日本一になるために必要なことだと思ってやってきました。

藤井:一番は絶対日本一を取るという気持ちで、目標のためだったら何でもする感じでした。仕事が大変だったとしても、任せされた私はできると思ってもらえたとか、私なりに頑張ろうと自分なりに落とし込んでいました。どんなときも前向きにというモチベーションで頑張っていました。

水品:選手が楽しそうに野球している姿が大好きで。野球環境を整えたり、会計業務でお金のやりくりを上手くすることによって、選手に貢献できると思っていました。結局は仕事が選手のためになるというのを意識してやっています。

石坂:私は辞めようと思った時がありましたけど、選手に相談したら「俺が4年生の時にホームラン打って優勝して泣かせるから、一緒に頑張ろう」って言ってくれた子がいて。辛くても必死に頑張っている人たちの前で逃げ出そうとしている自分が格好悪いと思って、頑張り続けました。

 

――4年間で成長した部分

沖﨑:一番は礼儀を学んだことだと思います。もともと野球は礼儀を重んじるスポーツですし、高校までの間である程度は自分も礼儀は身につけたと思っていましたけど、大学でマネージャーをやると、社会に慣れている大人の方々や企業の方とかと接する機会が多くて。自分が悪くないのに頭を下げたりすることも多かったですが、ビジネスマナー的なものを身につけることができました。社会に出る前にそういったことを野球を通して学べたのは、すごく価値のあることだと思っています。

藤井:一言で表すのは難しいですけど、私はさっきの新入生のサポートもそうですし、他にもBAJという子供に野球を教えるプロジェクトなど、渉外的な活動が多い4年間でした。その対応もそうですけど、色々な事が当たり前に出来ていることは当たり前じゃない、という。色々な人からのサポートや支えがあってどんなことも成り立っているので、物事には道理があるということをすごく気づかされた4年間だったなと思います。

水品:私は4年間すごく自分に自信がついたような気がしていて。本気で日本一を目指す組織に入るってなかなか体験できないことだと思います。部内にいる時は200分の1の部員ではありますけど、マネージャーとして対外的に部活の外の人と接しているときは、他の方からしたら私がその人にとっての野球部の顔になるので、そういった時に私がおどおどしていては野球部に対する印象がすごく下がってしまうので、自分と接した後に例えばお相手がもっと慶大野球部を応援したいと思ってもらえるようにするにはどうしたらいいか考えて行動していました。あと堀井監督の言葉で「誰にでもできることを誰にもできないぐらいやれ」というのを1年生の時に聞いて、これを実践していたらいつか自分もやってきたことに自信が持てるかもしれないと思ってやってきた4年間でした。

石坂:私も人間的に成長できた4年間だと思っています。特に責任を持って仕事を全うするということを何度も経験してきました。例えばフレッシュリーグの大会運営で、雨の時はどこを中心に試合をするかとか、いつ試合中止の判断をするかとか。参加してくれている学生の方をどう動かすかとか、そういったことを責任者として判断を求められる立場で即座に判断しなければいけない状況もあったので、責任を持って仕事をすることをすごく学んだ4年間でした。前までは責任を持つことが怖かったですが、将来絶対自分で責任を負わなければならない時も来ると思うので、学生の間でそういったことを学べたのは大きかったです。

 

――みなさんにとって野球とは

沖﨑: 人生そのものという感じですね。振り返ると野球がなかったらこうしてたくさんのことを学ぶことはできなかったし、成長できなかったなと思います。自分の人生を変えてくれたものでもありますし。

藤井:なくてはならない存在で、今の私が元気に生きているのも野球のおかげです。野球観戦に行くことが1日のスケジュールで組まれているくらい、毎日幼少期から見に行っていました。マネージャーをすることで野球がスポーツという名の共通言語だなという風に感じていて、10年、20年経っても当時のことを昨日のことのように思い出して話せるものかなと思います。

水品:成長する機会をくれたものというか。大学4年間を捧げてきて人間的に成長することができたと思っています。尊敬できる人たちに野球を通じて出会えたことは自分にとって宝物です、堀井監督は人格者なので、言っていることが真っ当というか。この人にだったらついて行きたいなと思える方です。指導者の方や同期、選手など色々な人から色々なものを吸収した4年間でした。

石坂:野球は私の人生の軸の1つですし、チームスポーツを体現するものだなとすごく思っています。どれだけいい選手がいても勝てないですし、逆に個々の力は強くなかったとしても、その試合に勝ちたいという思いとか、次の打者につなぎたいという思いで勝てる試合もたくさんある、本当に不思議なスポーツだと思っています。どの試合も順当に勝てるわけではないですし、何が起こるかもわからないし。みんなの気持ちが一つになって集中して勝ちたいという思いを繋げて、繋げて、繋げてやっと勝てる。本当にチームが一丸となれる、いいスポーツだなと改めて思いました。

 

――早慶戦でのキーマンを1人挙げるなら

沖﨑:キーマンは今津(=今津慶介、総4・旭川東)にします。このチームは彼のチームなので、彼が打てば勝つ、逆に打たなかったら負けるという試合が多かったです。最後はあいつの一打でチームを勝たせてくれると思います。

藤井:吉開鉄朗(商4・慶應)にします。彼は昨年の秋からスタメンマスクを被っていて、渡辺和(=渡辺和大、商4・高松商業)をはじめ先発陣をずっと引っ張ってくれています。打撃はもうちょっと頑張って欲しいなと思いますが、確実に守備の司令塔として良い雰囲気を保ってくれています。最近デッドボールなどトラブルはありましたけど、屈する事なく熱いプレーを続けてくれているので、早慶戦も普段と変わりなく引っ張って欲しいです。

石坂:被りますけど、私も今津にします。今津のチームだと思いますし、今津が打てば勢いがつくし、今津がファインプレーをしたり、ヒットを打ったりすればこのチームはどうにかなる、負けていても勝てると思わせる力があると思います。とにかく今津が勢いづくような試合展開にできれば無敵だと思います。

水品:私は小原大和(環4・花巻東)にします。ずっとリーグ戦に出ていることもあって、小原が打つとすごく盛り上がります。普段はおちゃらけていて明るい選手ですけど、野球に対する思いや熱さは人一倍ある選手なので、彼が打つところを見たいというのもありますし、チームの打線を繋げていって欲しいと思います。

 

――早慶戦に臨む同期たちにメッセージを

沖﨑:4年間日本一を目標にやってきた仲間なので。春あと一歩のところで負けて、その悔しさは相当なものをみんな持っていますし、この秋にかける思いもどこのチームよりも強いので。日本一取ろうという思いです。

藤井:春のリーグ戦で優勝して、全日本では決勝戦の関大戦に負けたことが本当にあの瞬間は悔しすぎて、私たち同期も現実が受け止めきれない時間がありました。もう同じ気持ちには絶対なりたくありませんし、このままの勢いで早慶戦2連勝して、絶対日本一を掴みに行こうと伝えたいです。

水品: 本当に2連勝してリーグ戦優勝を掴み取って欲しいなと思っていますし、ここまでチーム今津が1年間やってきた集大成にはなるので、自分が日本一になりたいという気持ちもありますが、それより彼らが日本一になった輝いた姿を見たいというのが私としての願いなので、一丸となって全力で臨みたいと思います。

石坂:(早慶戦は)リーグ戦で見たら最後のカードになるので、みんなで頑張ってきたこの4年間をぶつけて、今までで一番チームが一体となった試合にしたいと思っています。最後は勝ちたいという思いや、チームに対する愛が強い方が勝つと思っているので、スタンドもスタメンもベンチも全員が一体となって戦っていけたらなと思います。

 

(取材、記事:林佑真)