【Last message】”自分がいて正解の場所” 彼女にとっての慶大女子ラクロス部とは/4年生特集「Last message〜4年間の軌跡〜」 No.22・横手希未子(女子ラクロス部)

女子ラクロス

24年度に引退を迎えた4年生を特集する「Last message~4年間の軌跡~」。第22回となる今回は、女子ラクロス部の横手希未子(法4・慶應女子)。早慶戦4連覇を成し遂げ、主将として大所帯を一つにまとめあげた彼女の本質について迫っていく。

 

横手は中高時代の先輩に「日本一が取れる部活」という口説き文句に誘われ、女子ラクロス部に入部を決意した。「面白そうだから」という理由でラクロスを始めた横手だが、ラクロスに捧げた4年間は決して楽しいだけのものではなかった。1年生の頃はコロナによる大打撃を受け、思うように練習ができないことも多かった。また、大所帯が故に同期とさえ上手くコミュニケーションをとることができなかった入部時は、「今振り返ればかなり大変だった」と語る。

そんな苦労も少なくなかった横手は自分のことを「根が真面目で視野が狭くなりやすい」と評した。いわば横手の「短所」を補完したのは紛れもなく同期の存在であった。横手は同期について、「視野をふわっと広げてくれる、ラクロスの自由さ楽しさを再認識させてくれる存在」と語った。

試合で活躍する横手

最終学年となった2024年、主将を務めることになった横手の傍には常に同期がいた。同期とのプレイ時間が増えただけでなく、24チームとして組織を作り上げていくために話し合うことが増えた結果、徐々に横手にとって同期は原動力となっていった。

そんな同期と挑んだ競技人生最後のリーグ戦は悔しさが残るものだった。リーグ戦序盤の慶大の勢いは目を見張るものがあった。順調に3連勝し、昨年度敗北した中大に対し僅差で勝利をもぎ取り雪辱を果たすこともできた。一見順風満帆に見えた慶大だったが、裏では不穏な空気が流れていたと横手は語る。「中大に勝ったことにより、自信もついたと同時にほっとするような安心感がチーム全体に流れていた」「緊張感がなくなってしまい、個人的にはヒヤヒヤしていた」と快進撃の裏では弛緩した空気が流れる中迎えた日体大戦は横手たちにとって4年間のラクロス人生の幕切れの試合ともなってしまった。

日体大戦最終局面、3点差を追う慶大は必死にボールを追っていた。しかし、現実は残酷なものであり、点差を詰めることができないままホイッスルが会場に鳴り響いた。横手はその瞬間、「もっとできることはなかったのか」と未練を吐露した。そしてそんな後悔が残る中、慶大は2年連続関東ファイナル4進出を逃した。

大学生活において、ラクロス部は横手にとって「自分がいて正解の場所」だった。苦手な早起きや辛い練習を4年間させられた場所であったが、同時に横手にとってラクロス部はどこよりも落ち着く場所だった。「人も活動も全て含めて間違っていなかったな、選んでよかった場所だと思います。」

仲間に笑顔を見せる横手

主将である横手は選手が皆ラクロスを”自由に楽しむ”ことを常に意識してチーム作りをした。時には組織として真面目に取り組まなければならない時もあったが、「できる限りみんなで自立して、自分たちから楽しめるようなところをチームとして意識していたと思います」と横手は語る。横手にとってラクロスは競争するものでもあったが、何より楽しむものであった。

最後に彼女は後輩たちへのメッセージを送った。「代によってカラーが違うので、自分たちだからこそできることを追求して欲しい。伝統に縛られるより自分たちが新しいことをやるということを意識してチーム作りして欲しいです。そしてそんな”自分らしさ”を大事にすることによって強さを身につけて欲しいです。」

ラクロスに捧げた4年間、どこまでも”自由なラクロス”を追い求めた横手は誰よりもラクロスという競技に向き合っていた。彼女のラクロスに対する姿勢は、これからも慶大女子ラクロス部に継承されつづけていくだろう。

(取材・記事:和田里咲)

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