日本ラクロス界で「最大規模の試合」とも称される、早慶ラクロス定期戦。圧倒的な注目度と観客動員数を誇るこの一戦には、早慶の関係者に限らず、多くのラクロッサーが日吉陸上競技場へ足を運ぶ。“KING”をスローガンに掲げ、早慶戦5連覇を目指して戦う慶應義塾大学體育會ラクロス部男子。そんな慶大ラクロス部の選手たちは、どのような想いでこの舞台に臨むのか。ぜひこの機会に、彼らの熱い想いや人柄に触れていただきたい。また、「ラクロスの魅力」や「早慶戦の見どころ」についても話を伺った。第4弾では、主将・峰岸諒選手(環4・慶應湘南藤沢)、副将・福田天真選手(法4・國學院久我山)、副将・山崎将英選手(法4・慶應志木)の対談をお届けする。早慶戦に懸ける彼らの熱意を、ぜひ感じていただきたい。
ーー他己紹介からお願いします!
福田→峰岸:諒は1年生の時から学年の主将を務めていて、2年生で唯一Aチームにいた時も、先輩たちに対して積極的に声をかけながらグラウンドを盛り上げていました。下級生の頃から、僕にはできないような周囲を動かす力を持っていて、いろいろな面で尊敬しています。昨年度は、U20世界大会(World Lacrosse Men’s U20 Championship)でディフェンスリーダーとしてチームを引っ張り、その中でも世界で8人ほどしか選ばれない「High Intensity賞」を受賞していました。上級生となった今も、リーダーシップはもちろん、選手としてもチームに良い影響を与えている存在だと思います。
山崎→峰岸:いい意味で1年生の頃から何も変わっていないですね。体験会の時から負けず嫌いで、今もその印象は変わりません。彼が最初にオフェンスを始めた時も、必死に食らいつきながら練習していましたし、2年生で唯一のAチーム選手だった時も、孤軍奮闘しながら戦っていた姿がとても印象に残っています。そうした姿勢は、本当にすごいなと思います。
峰岸→福田:同じアーセナル(未経験者チーム)出身で、この部活では幹部になるのは比較的珍しいタイプの選手です。彼は1年生の頃からトップレベルの実力を持っていて、2年生の時から主力として試合に出場していました。さらに、日本代表のフル代表としてプレーした経験もあり、おそらく今のチームの中で最も経験豊富な選手だと思います。最初の頃は、「ただの筋肉・パワータイプの選手なのかな?(笑)」と思っていたのですが、経験を積み重ねるごとにラクロス選手として本当に尊敬する存在になりました。そして何より困った時にしっかり点を取ってくれるので、とても頼りにしています。
山崎→福田:天真は、この部活の中で一番ラクロスが好きなんじゃないかと思うくらい、その熱量が伝わってくる選手です。誰よりも試合やプレー動画を見て研究を重ね、そうした積み重ねを欠かさず続けてきたことが、今の活躍につながっているのだと思います。
峰岸→山崎:将英も同じアーセナル出身で、1年生の頃から壁当てなど、人一倍努力を重ねている選手でした。その努力量は、学年の中でも際立っていたと思います。一昨年まではそこまで目立つ存在ではなかったかもしれませんが、本当にコツコツと練習を積み重ねた結果、昨年からは主力としてしっかり活躍しています。彼のように、すぐ隣で自分自身を追い込み続ける存在がいたからこそ、自分も負けじと頑張ってこられたと思います。ここで一つエピソードを挙げると、どうやら誰にも言わず、家の前でこっそり走り込みをしていた時期があったらしくて。その話を聞いて自分も家に帰ってからランニングを取り入れるようになりました(笑)。努力という面で、多くの刺激をもらっている選手です。
福田→山崎:将英の印象は、体験会の時から「一番上手い選手」というものでした。1年生の後半にはすでにBチームの練習に参加していて、自分がアーセナルにいた頃からBチームで点を決めていました。そんな彼の姿を見て、悔しさを感じることもありましたし、同時に大きな刺激をもらっていました。また、2年生ではBチームで活躍し、3年生ではAチームのファーストセットとしてチームを引っ張ってくれました。あとエピソードを一つ挙げると、将英くんはラクロス部に入ってからラクロス専用の練習場を買ったらしく、そこで本当にたくさん練習しているみたいです(笑)。そうした自主練の積み重ねが今の結果につながっているのかなと思います。
ーー主将・副将に就任した際のお気持ちを教えてください
峰岸:すごくシンプルですが、いざ就任してみると部員が140人いて、40年の歴史がある組織を背負うことの重みを実感しました。さまざまな人と関わる機会も一気に増えて、その中で主将としての自覚が芽生えたと思います。今年の代は個性が強く、自分次第ではバラバラになってしまう一方で、うまくまとめることができればとても強いチームになれるとも感じています。だからこそ12月、1月に社会人チームと戦う時までには、しっかり主将としてチームを引っ張っていかなければならないという覚悟も生まれました。
福田:諒は、主将として圧倒的なリーダーシップとカリスマ性を持った存在です。一方で、もしチームの方向性が少しズレてしまった時に自分は対等に意見を言える数少ない存在だと思っています。そういう時には、自分がしっかり峰岸に意見を伝え、方向性を正していく。それが副将としての自分の役目だと就任した時に感じました。
山崎:今も模索している部分ではありますが、僕はこの2人にはない役割を担いたいと思っています。これまで下のチームにいた経験があるからこそ、B・Cチームの声にも耳を傾けながら、誰一人取り残さない組織づくりをしていきたいです。

主将・峰岸諒選手(写真:長掛真依)
ーー今年度目指しているチームは?
峰岸:チーム全体としては、練習中はお互いに切磋琢磨しながら競争心を持って高め合い、試合中は全員が互いを応援し合える、そんなメリハリのあるチームを目指しています。
福田:去年は、個人の技術というよりもチーム全体にフォーカスすることが多かった印象です。今年は一人ひとりの技術をさらに高めて、社会人相手にも個の力で渡り合えるチームを目指していきたいと思っています。
山崎:試合に出ている・出ていないに関わらず、全員が自然と応援し合えるチームにしたいです。それに加えて部の内側だけでなく、外部の方々からも応援されるようなチームを目指していきたいと思っています!
ーー新チーム始動から、これまでを振り返って
峰岸:今年からは、チームとしてさまざまな取り組みを変えてきました。例えば、理想としている「応援し合えるチーム」を実現するために、応援そのものの練習を取り入れたり、應援指導部の方々と合同練習をさせていただいたりしました。また、フィジカル面では社会人トレーナーの櫻井さん(=櫻井唯太/Allスポーツ整骨院 久我山院)を招聘し、毎日の練習前に非常にハードなサーキットトレーニングを取り入れています。体力強化を目的に続けてきたのですが、ちょうど今日約3カ月ぶりに測定を行ったところ、数値が大きく向上していて、自分たちが目指しているところに着実に近づいていると感じています。
山崎:このチームは、良い意味でも悪い意味でも、練習中にワイワイとした明るい雰囲気があるのが特徴だと思います。ただ、その雰囲気が公式戦でも良くも悪くも表れている部分があると感じています。例えば、試合の立ち上がりは良くても、途中で少し中だるみしてしまうことがあります。そうした課題については今後しっかり調整していきたいです。
福田:先日、六大学戦が終わりました。例年、慶應はなかなか勝ち切れないイメージがありましたが、今年は4勝1分で1位という結果を残すことができました。自分たちがこれまでオフェンス・ディフェンスそれぞれの個人技術やフィジカルに集中して取り組んできたことが、結果につながったのではないかと思います!

副将・福田天真選手(写真:長掛真依)
ーー自身のポジションの“面白さ”について
峰岸:自分はロングスティックのDF(ディフェンス)なのですが、面白いところは相手が何をしたいのかを読み取りながら、能動的にプレーすることの奥深さだと思います。本当に堅実な性格の人が向いているポジションですね。
福田:性格の悪い人じゃない?(笑)
峰岸:まあ、性格の悪さも発揮できる頭の良い人が向いているポジションです(笑)。でも、オフェンスを支えるという意味でも、とても魅力的なポジションだと思います!
福田:AT(アタック)は、とにかくオフェンス全体をコントロールして、誰よりも戦術を理解しているポジションです。そして何より点を決める役割なので目立ちますし、一番かっこいいポジションですね!
峰岸:DFもかっこ良いです!!
山崎:さっきDFは頭がいいって言っていましたけど、正直、MF(ミッドフィルダー)が一番頭を使うと思います。
峰岸・福田:違うだろ!(笑)
山崎:MFの面白さは、やっぱりATとは違ってフライ(選手同士の交代)が多いところですね。個人的には、そのオン・オフの切り替えというか、フィールドに入る時に「よし、やるぞ!」と気持ちが切り替わる瞬間が好きです。
ーーご自身にとって早慶戦とは?
峰岸:自分にとって早慶戦は、いつまで経っても憧れの舞台です。高校まではサッカーをしていたのですが、観客に囲まれてプレーするような経験はあまりありませんでした。だからこそ、1年生の時に初めて見た日吉の競技場が多くの観客と歓声に包まれている光景に強く惹かれました。同時に「ここでプレーしたい」「4年間ラクロスに打ち込もう」という覚悟が芽生えた試合でもあります。自分はあまり緊張するタイプではないのですが、早慶戦は特別で、毎年すごく緊張します。
山崎:自分にとっては、原動力となる試合です。見ていて純粋にかっこいいし、華やかで、だからこそ「頑張ろう」と思える舞台ですね。これは部内の選手たちみんなが感じていることだと思いますし、部外の人たちにもそう感じてもらえる試合になったらいいなと思っています。
福田:自分にとっては、ラクロスを始めた時から目標としてきた舞台です。日本ラクロス界で最も多くの観客が集まる試合ですし、他大学のラクロス関係者もたくさん応援に来てくれます。また、早慶戦はリーグ戦の前に行われる試合でもあるので、その結果がその年の関東ラクロス界に与える影響はとても大きいと思っています。慶應にとってだけでなく、他大学の選手たちにとっても憧れの舞台なのではないでしょうか。

副将・山崎将英選手(写真:長掛真依)
ーーラクロスをあまり見られない方も、早慶戦にはいらっしゃると思います。改めて、ラクロスの魅力はどんなところにあると思いますか?
峰岸:ラクロスは「地上最速の格闘技」と呼ばれていて、スピーディーさとパワフルさを兼ね備えた競技です。さまざまなスポーツの魅力や激しさが詰まっていて、本当に見応えがあります。そして一度見たら病みつきになるスポーツだと思います。実際、自分がラクロスを始めるまではこの競技を全く知らなかった両親も、今ではどっぷりハマっていて、自分が出場していない遠方の大会まで観に行くほどです。それくらい一度観たら中毒になるスポーツだと思うので、ぜひ騙されたと思って一度会場に足を運んでほしいです!
山崎:防具を身につけてクロスを持ってプレーするので、一見すると複雑なスポーツに見えるかもしれません。でも実際は意外とシンプルで、そのシンプルさゆえの奥深さがあるのが魅力だと思います。ルールやプレーを少し知るだけでも、より楽しめるスポーツだと思います。
福田:先ほど諒も言っていたように、ラクロスは「地上最速の格闘技」と呼ばれています。クロスで激しく競り合う場面も多く、初めて見る人には少し野性的なスポーツという印象を持たれるかもしれません。でも、その中でも特にグラウンドボールの奪い合いや、1on1のぶつかり合いには、ラクロスならではの迫力と魅力が詰まっています。ぜひそうした激しいプレーにも注目して見てほしいです。
ーー早慶戦で注目してほしいポイントは?
峰岸:やはり注目してほしいのは、慶應の「個の力」です。オフェンスには一人で局面を打開できる選手がそろっていますし、ディフェンスにも1on1で負けない選手が集まっています。FO(フェイスオフ)やゴーリーにも、圧倒的な勝率やセーブ率を誇る選手を起用する予定なので、ぜひそれぞれの個人技に注目してほしいです。そして目標は、ダブルスコア。圧倒して、圧勝します!
福田:少しオフェンス寄りの視点になってしまいますが、誰よりもラクロスを楽しんでいる姿を見てほしいです。おそらく昨シーズンまでは、慶應は点を決めてもあまりゴールパフォーマンスをするチームではなかったと思うのですが、今年は練習の段階からゴールパフォーマンスを取り入れていて、ミーティングでもかなり話し合っています。
峰岸:YouTubeで調べているんですよ(笑)
福田:とにかく今年はどこよりもラクロスを楽しんでいる姿を見せたいです。1点目にゴールパフォーマンスするので見てほしいです!チームとしてはダブルスコア、オフェンスとしては2桁得点が目標です!
山崎:「個の力」があるのはもちろんですが、それに加えて慶應の一体感にも注目してほしいです。雰囲気が良くて、本当に仲の良いチームなので「応援したい」と思ってもらえるような僕たちの姿を見てもらえたらうれしいです。
峰岸:あと、先制点を取ったら10人全員でゴールパフォーマンスをします!そこもぜひ注目してください!
ーーぜひお願いします!

主将・峰岸諒選手(写真:長掛真依)
ーー最後に、当日観に来てくださる皆さんへメッセージをお願いします!
峰岸:ラクロスは本当に面白いスポーツですし、早慶戦は皆さんと一緒に応援を楽しめる特別な舞台になると思うので、ぜひ会場に足を運んでほしいです!ただ、当日は日差しが強く暑くなると思うので、暑さ対策には気をつけてください。今年ももちろんグッズも用意しています。ぜひそれらも楽しみながら、慶應ラクロスの一員として一緒に応援してもらえたらうれしいです。
山崎:僕たちは4年生なので、いろいろな意味で、これまで支えてくださった先輩やコーチ、両親、祖父母の方々に恩返しができるよう、感謝の気持ちを込めてプレーしたいと思っています。当日はぜひグッズを身につけていただいて、2色に分かれたスタンドを一緒につくれたらうれしいです。
峰岸:ぜひ白い服で来てください!!
福田:これまでラクロスの強さについてたくさん話してきましたが、やっぱり早慶戦では、個人技術で早稲田を圧倒して、「慶應は“KING”だ」と感じてもらえる試合を見せたいです。
果てしなき可能性をものにして、ラクロス界にムーブメントを、慶應にしか作れない景色を!!
ーー貴重なお話を、ありがとうございました!
【試合詳細】5月17日(日)@日吉陸上競技場
11:10〜 女子戦
14:00〜 男子戦
(記事・取材:野口ことみ、髙橋真衣)


