二冠達成に向け残すはあと2勝。この日は、野球の名門校である東北福祉大との一戦となった。前回王者を相手に迎えたこの一戦は、勝利を後押ししようと多くの塾生・塾員が神宮に駆けつけた。最後の最後まで勝敗の行方がわからない展開に、スタンドからは途切れることのない声援が送られた。そんな熱気に包まれた応援席の様子をリポートする。
6月13日(土)慶應義塾大学〇5-2●東北福祉大学
~試合概要~
全日本大学野球選手権の準決勝で前回王者・東北福祉大との一戦に臨んだ慶大。中2日で先発したエース・渡辺和大(商4・高松商業)が初回からエンジン全開の投球を見せると、4回に林純司(環3・報徳学園)の左前打を皮切りに無死満塁のチャンスを作り、相手の暴投から先制に成功する。6回にも吉野太陽(法4・慶應)の適時打で追加点を奪うと、渡辺和は7回途中1安打1失点、15奪三振という圧巻の投球でエースの矜持を示した。渡辺和の降板後、東北福祉大の機動力を駆使した攻撃で1点を返されるも、3番手・水野敬太(経3・札幌南)の火消しでリードを死守。するとその裏、打線が相手のプロ注目右腕・猪俣俊太(総マネ4・明秀日立)を攻め、一宮知樹(経2・八千代松陰)の適時打、丸田湊斗(法3・慶應)の押し出し四球で更に2点を追加する。このリードを守り切り、チーム今津の「二冠目」に王手をかけた。
前々日の日本体育大学戦に圧倒的な強さを見せ勝利した慶大。この勢いそのままに、準決勝に臨む。負けられない試合を後押ししようと、この日も神宮のスタンドには多くの観客が詰めかけた。
初回、攻撃前に壇上に上がった応援企画責任者・G.Hは「東北福祉大は50人から60人のプロ野球選手を輩出した名門校だと言わざるを得ない!」と相手校の実力を認めたうえで、それでも「我々は天皇杯をもらった王者だ!負ける気がしない」と力強い言葉がスタンドに送られる。

3回裏の塾生注目では、メイン台にあがった部員はこの日が探査機はやぶさの地球帰還の日であることを紹介し、「慶應の野球部にはホームベースへ帰還してほしい!」と述べ、そして「東北福祉大の皆さんには東北新幹線のはやぶさで帰還していただくぞ!」とユーモアを交えて呼びかけ、『三色旗の下に』が演奏された。

渡辺和が8者連続三振などの好投をみせ、そろそろ援護したい打線は4回。『我ぞ覇者一番』が演奏されると、林純がチーム初安打を放つ。そして小原大和(環4・花巻東)が左安でつなぎチャンスをつくると、『突撃のテーマ』が鳴り響く。その後も3番・今津慶介(総4・旭川東)の中安などで満塁のチャンスとなる。『ダッシュケイオウ』が力強く響く中、7番・横地広太(政4・慶應)の打席で相手の暴投の間にランナーが還り先制。『若き血』が神宮のスタンドにこだました。

『躍る太陽』が奏でられた6回、今津が四球で出塁し、盗塁で2死二塁のチャンスとなると、6番・吉野が適時打を放ち追加点を挙げ、観客席は大いに盛り上がる。

8回裏、久保讃良々副代表は「私は末っ子だから貪欲だし、わがままだし、めちゃくちゃ欲しがる性格だ」と告白。そして「1点差じゃ足りない」「もっと野球部と一緒に応援したい」と呼びかけ、観客席の笑いを誘った。この呼びかけに応えるかのように打線も爆発。小原が中安で出塁すると、今津の打席で『朱雀』が鳴り響き応援席のボルテージが上がる。今津も中安で続き、一宮の適時打で3-1となる。後続も続き、この回3得点をあげると『スリー慶應』が流れ、応援席の熱気は最高潮に達した。

最終回は1点を返されるも、最後の打者を3番手・水野が空振り三振に仕留め試合終了。スタンドからは大きな歓声と拍手が巻き起こった。
野球部と應援指導部で作り上げた物語は残すところあと1試合となった。グラウンドとスタンドが一体となって築き続けた軌跡はいよいよ最終章を迎える。念願の「二冠目」達成へ。最後に歓喜の涙で締めくくるべく、翌日の戦いに挑む。
~試合後インタビュー~
ーー今日の試合を振り返って
昨年度日本一になっている東北福祉大学ということもあって、簡単にいかないなと予想していたのですが、やはり前半苦しいゲームで強豪だなと改めて感じました。ただ、応援席としても選手を信じ、応援のボルテージを下げることなく渡辺投手の粘りだったり、終盤の打撃陣の「あと一本」を出す雰囲気作りができて勝利することができて良かったと思います。
ーーいつものリーグ戦とは違う雰囲気となるが、意識していることは
應援指導部の原点として、応援団ではなく應援指導部ということで、人と一緒にやってほしいということをモットーにしています。今回は今までのリーグ戦と違って、いろんな方々が見に来てくださるので丁寧な応援指導というのをいつも以上に心掛けていました。
--連戦と疲れも残る中で、意識している点は
試合が始まってしまえばアドレナリンがフルで出るので、疲れはそんなに感じないというのが本音です。各部員は確実に準備を重ねているので、神宮についたら気持ちが入れ替わるのでそこは心配なく皆様と一緒に応援できたらなと思います。
ーー翌日の決勝戦に向けて意気込みを
野球部が掲げる四冠という目標を達成したいという気持ちはもちろん應援指導部も強く持っているので、丁寧な応援指導とともに、一勝というところにこだわって勝てる応援席を作りたいなと思います。
※掲載が遅くなりましたことをお詫び申し上げます。
(取材、記事:神谷直樹 取材:吾妻志穂、小野寺叶翔、塩田隆貴、野田誉志樹 )

