2試合の結果で優勝が決まる慶関定期戦。前日の試合では、2Qと3Qで関大を突き放し、白星発進となった。だが、昨年の定期戦では1日目に勝利するも、2日目は惜敗。得失点差による優勝と、苦しい戦いになった同大会だけに、ほんの僅かな油断すら許されない。今年こそ2連勝で完全優勝を収めたいと、選手たちはみな意気込んで臨んだ運命の第2戦。試合は関大ディフェンスに手こずる場面もあったものの、伊藤良太(環3・洛南高)、矢嶋瞭(総4・福大大濠高)の両エースが合計57得点を挙げるという活躍もあり、慶大が勝利。見事2連勝を達成し、目標として掲げていた完全優勝を果たした。
2013/04/14(日) @関西大学千里山キャンパス | |||||
第81回慶関バスケットボール定期戦Bチーム戦 | |||||
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 | |
慶大 | 20 | 21 | 23 | 26 | 90 |
関大 | 15 | 14 | 20 | 28 | 77 |
◆慶大スターティングメンバー | |||||
選手名(学部・学年・出身校) | |||||
PG | 吉川治瑛(環3・世田谷学園高) | ||||
SG | 真木達(環2・國學院久我山高) | ||||
SF | 中村滉平(理3・慶應高) | ||||
PF | 山崎哲(環2・秋田高) | ||||
C | 黒木亮(環2・延岡学園高) |
完全優勝に向けて重要なBチーム戦。立ち上がりは、先日の本戦に続く出場となった黒木がゴール下で得点を重ね、オフェンスを牽引する。ケガから復帰した同学年の真木もそれに続き、序盤は慶大リードで試合を展開。中盤以降はやや停滞した空気の中での戦いとなるが、それでもディフェンスで踏ん張り関大の攻撃を抑えると、大木峻介(経4・慶應志木高)のジャンプシュートなどでリードを広げ、20-13で1Qを終える。2Qに輝きを放ったのは、今年新たに洛南高から加入した新入生の西戸良(総1・洛南高)。思い切りの良いジャンプシュートで慶大での初得点を記録すると、その後も武器であるシュート力や突破力を活かしてチームに貢献。このQで6得点をマークし、大器の片鱗を見せ付ける。ルーキーの活躍に刺激を受けた慶大は、その後も平石健斗(環4・慶應高)や中村、真木らも得点。1Qに引き続き関大を15点以内に抑えるなどディフェンスでも奮闘し、41-29と二桁差で後半を迎えることに。
真木のレイアップから幕を開けた第3Q。慶大は中村、山崎哲のリバウンドや、中島一樹(総2・高崎高)を起点とした速攻からチャンスを迎え、ペイントエリア内でのシュートを確実に決めて得点を伸ばしていく。だが、関大も反撃。アウトサイドシュートを軸にじわじわと迫ってくると、残り2分を切った辺りから更にトランディションのスピードを上げ、得点を奪いに来る。が、西戸が2Qに続き得点を奪うなど、このQでは相手を上手くいなしながら得点数を伸ばすことに成功。64-49で最終Qへ。だが、その最終Qの立ち上がりで、先程のQでは何とか逃れていた関大の術中にはまってしまう。相手の激しいプレッシャーに煽られシュートが外れ始めると、関大お得意の速攻の餌食に。慶大のスコアが凍結している2分間の間に8得点を積み上げられ、リードは7点差にまで縮まってしまう。しかし、その良い流れを作り出していた関大のポイントガードが5ファウルで退場となると、一瞬にして流れは慶大へ。その立役者は、大木と副主将の田中貴啓(環4・福大大濠高)の4年生コンビだった。先ずは田中が得意のミドルシュートを連発。角度の無い難しい位置からも見事に決めて見せ、再び二桁のリードを奪うことに成功する。関大も3ポイントシュートを武器になんとか同点まで追い付こうともがくが、止めを刺したのは大木。フリーのジャンパーを2本連続で難なく沈めると、残り1分を切った状況で、果敢なオフェンスリバウンドから得たフリースローを4本とも全て決めて勝負あり。上級生が意地を見せ、完全優勝がかかった本線に、最高の形でバトンを渡して見せた。
(記事: 大地一輝)
2013/04/14(日) @関西大学千里山キャンパス | |||||
第81回慶関バスケットボール定期戦2日目 | |||||
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 | |
慶大 | 27 | 26 | 19 | 22 | 94 |
関大 | 24 | 16 | 21 | 18 | 79 |
◆慶大スターティングメンバー | |||||
選手名(#背番号・学部・学年・出身校) | |||||
PG | #16 伊藤良太(環3・洛南高) | ||||
SG | #4 蛯名涼(法4・洛南高) | ||||
SF | #10 矢嶋瞭(総4・福大大濠高) | ||||
PF | #11 権田隆人(政3・慶應高) | ||||
C | #7 本橋祐典(環4・佼成学園高) |
序盤は両チーム譲らない展開に。まずは矢嶋のミドルシュートで慶大が先制する。慶大は得意のリバウンドからの速攻を中心に攻め立てるが、関大も負けじとアウトサイドシュートや速攻で得点を重ねていく。中盤に矢嶋、伊藤、矢嶋と3連続となる3ポイントを沈めるも、終盤には関大の連続3ポイントを許すなどディフェンスで踏ん張れず。両チーム点の取り合いを演じ、なかなか点差は離れず、1Qを27-24と3点差で終える。2Qは、いきなり見事なパスワークで得たチャンスから矢嶋がバスケットカウントを奪う。ディフェンスでも矢嶋、本橋のブロックショットが決まり、相手にプレッシャーを与える。そして上級生の蛯名、本橋、矢嶋が、オフェンスリバウンドやルーズボールへの飛び込みといった泥臭いプレーでチームを鼓舞。じりじりと関大を突き放す。最後は福元直人(環2・福大大濠高)が技ありのシュートフェイントから本橋のゴール下を演出し、53-40と二桁リードで後半へ。
3Qは苦しい戦いを強いられる。矢嶋のミドルシュートで先制するも、蛯名、矢嶋が立て続けにファールを犯す。嫌な流れになると、相手に連続で11得点を許し、あっという間に4点差まで詰め寄られる苦しい展開に。そんな嫌な流れを断ち切ったのは、司令塔の伊藤だった。3ポイントを沈めると、ドライブから本橋のゴール下をアシスト、さらには速攻からファールを誘い、フリースローもしっかり沈める。司令塔として流れを引き戻すことに成功した。その後、関大のゾーンディフェンスを前に攻め手を欠くも、権田と本橋がインサイドで踏ん張り、なんとか72-61と二桁の点差を維持して最終Qへ。勝負が決する4Q、まずは伊藤お得意のフローターショットで慶大が先制。そして権田、蛯名のオフェンスリバウンドからの得点や、大元のパスカットでチームが勢いづく。関大も3ポイントを立て続けに沈めて追いすがるも、伊藤の速攻や蛯名、矢嶋のミドルシュートで関大の追撃を許さない。そしてリードを保ったまま試合終了。慶大が2連勝で優勝を決めた。
徐々にメンバーが怪我から戻ってきており、慶大の戦力は整ってきている。今回の大会で真木達(環2・国学院久我山高)も復帰し、主力全員が出揃った。蛯名主将も「よかった」と胸を撫で下ろしている。さらに矢嶋は2試合目の前半だけで25得点と、持ち前の得点力を発揮。完全復活の兆しを見せ始めている。だが、この大会でも六大学リーグに引き続きディフェンスという課題も浮き彫りになった。「1対1の部分でやられ」(矢嶋)ていた部分も多く、「70点には抑える」(佐々木HC)という目標は果たせなかった。だが、形になりつつあるだけに、「上で戦うため」(矢嶋)にもディフェンスの更なる修正は重要となるだろう。伝統の慶関定期戦を完全優勝で終えた慶大。次なる戦いは京王電鉄杯である。トーナメントの前哨戦の意味合いもあるこの大会には、一部リーグの強豪校や同リーグのライバルなど、多くの強豪校が出場する予定だ。トーナメント、早慶戦で白星を挙げるためにも、しっかりと実践経験を養い、勢いをつけて春シーズンを駆け抜けてほしい。
(記事: 水島涼太)
[F] 矢嶋瞭(総4・福大大濠高)全体としてはショートゴールとして、完全優勝で終わろうと思っていたので、それを達成できて嬉しいです。(自身のプレーについて)去年の公式戦をやったのがこの慶関戦だけで、一年ぶりに戻ってきて、自分のパフォーマンスをどれだけ試せるかということを念頭にがんばりました。オフェンスについては前半だけは自分のプレーを出せたと思います。僕の役割はオフェンスだけじゃないので、それ以外の部分では反省すべき点が多いのかなと思います。(六大学からの修正点について)まだまだ全然できてないのですが、チームディフェンスをやってきたのがほんの少しは成果が出たのかなと思っています。(課題を挙げるとすれば)確実にディフェンスですね。ヘルプとかローテーションの部分は少し改善されましたが、1対1の部分でやられることが多くなっています。上で戦うためにはもうちょっと失点を抑えないと戦えないと思います。コンセプトを決めてディフェンスをやっていかないといけないと思っているので、その部分をみんなで話し合って、電鉄杯、トーナメント、早慶戦につなげていきたいと思います。(電鉄杯に向けて)一発目に青学大とできるということなので、慶應というチームワークがどんくらい強いんだよというのが青学大に見せられればなと思ってます。
[C] 本橋祐典(環4・佼成学園高)
目標だった、Bチーム戦を含めて完全優勝っていうのを達成出来たんで、それは凄く良かったと思います。(六大学からの修正)先生に指摘された体力の強化とディフェンスの面です。今回の遠征では少し向上したかなという達成感を得られたので、チームとして改善出来たんじゃないかなと思います。(ディフェンスの意識として変わったこと)チームとして何処を詰めて行くかということを先生が考え直して下さって、先生の指示を徹底するという所でシビアにやって来ました。(リバウンドについて)慶関戦に入る前に、リバウンドの面だったり4年生としての役割っていうのを自分の中で問いただす機会があって。それが、慶関戦の前の練習試合1試合と、今回の2試合で結果や数字として現れたので、凄い良かったと思います。(電鉄杯へ向けて)関西大とも途中シビアな戦いになったんですけど、彼らよりも一段二段上の相手とやるので。もう一度ここで上手く行ったことを自分達で確認して、課題を修正しつつ、格上の相手とやる機会があるので、そこで自分達のオフェンスやディフェンス、チーム力っていうのがどこまで通じるのか、確認したいと思います。
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