【野球】「野球は怖い」9回逆転サヨナラ負け 法大②

4月12日(日)東京六大学野球春季リーグ戦 法大2回戦

4回無死二、三塁、右中間を深々と破る先制の2点適時三塁打を放った沓掛

4回表無死二、三塁、右中間を深々と破る先制の2点適時三塁打を放った沓掛

春の陽気に包まれた開幕2戦目。慶大は4回、沓掛(商3)のタイムリースリーベースで2点を先制、9回には梅野(環4)のタイムリーツーベースで1点を追加。8回1失点の先発・三宮(商4)に代えて2点リードの9回、今季のクローザー・加嶋(商4)が登板。安打と2四球などで1死満塁とされると法大・柴田の同点タイムリー、その際にライト・谷田の失策も絡んで逆転サヨナラ負け。6季ぶりの開幕連敗スタートとなった。

慶大
法大 3x
法大:熊谷、青木勇、玉熊、谷川、○宮本幸―中村

慶大:三宮、●加嶋―小笠原 ◆慶大出場選手

ポジション 選手名(学部学年・出身高校)
[6] 山本泰寛(環4・慶應義塾)
[8] 梅野魁土(環4・福岡大大濠)
[9] 谷田成吾(商4・慶應義塾)
[5] 横尾俊建(総4・日大三)
[7] 齋藤大輝(商3・慶應義塾)
[3] 沓掛祥和(商3・慶應義塾)
[4] 北村祐樹(商4・丸亀)
[2] 小笠原知弘(環4・智辯和歌山)
[1] 三宮舜(商4・慶應義塾)
山口翔大(環3・桐光学園)
加嶋宏毅(商4・慶應志木)
前日と打って変わって初夏の陽気すら感じられる快晴の第1試合。客席には半袖で観戦するファンの姿も見受けられた。

先攻の慶大が対する法大先発は2年生右腕・熊谷。慶大は1死から梅野魁土(環4)の叩き付けた打球をその熊谷が取り損ねて出塁し(記録は内野安打)、谷田成吾(商4)の2球目に二盗、さらに横尾俊建(総4)の死球で2死一、二塁と先制のチャンスを作る。しかし齋藤大輝(商3)が二ゴロに倒れて無得点に終わる。

気合の投球で8回1失点の好投を見せた先発三宮

気合の投球で8回1失点の好投を見せた先発三宮

慶大先発は昨秋、自身初の規定投球回に到達し4勝を挙げた三宮舜(商4)。初回先頭から2者連続の空振り三振、2死から四球を許すが続く4番・畔上を抑えて上々の立ち上がりを見せる。

慶大打線は3回、2死から梅野が四球で出塁するとまたも谷田の初球で二盗成功。未だ無得点の慶大にとって開幕してから5度目の得点圏だが、谷田は詰まった遊ゴロに倒れる。

続く4回、先頭の横尾の四球、齋藤のレフトへのゴロヒットで一、二塁とすると、沓掛祥和(商3)への初球が暴投に。この間に横尾は三塁、齋藤も二塁へとスキのない走塁を見せる。カウント2-0からの3球目、強く振りぬいた打球は前進守備を超え右中間で跳ねて2者生還。今季6度目の得点圏をようやくものにして先制に成功し、さらに打者走者・沓掛も悠々三塁を陥れた。

法大の投手は2人目・青木に代わった5回、2死から谷田が今季7打席目で初安打となる二塁打を放ち、横尾が四球を選び一、三塁のチャンスを作るが、斎藤は空振り三振。中押し点を奪うことはできなかった。

三宮は緩急を生かし4回までリズムよく好投を続ける。2回はフライ3つで三者凡退、3回は2死から安打を許すものの続く2番・清水二を二飛、援護をもらった4回も10球で三者凡退と打たせて取る投球。序盤は二塁すら踏ませずに中盤、終盤へと期待の出来る投球内容を見せる。

しかし5回、先頭の蔵舛の左中間への二塁打、若林の犠打で1死三塁とこの試合初めてのピンチを迎える。続くは昨日殊勲打の中村だが、カウント1-0からピッチャー前へバント。見事にスクイズを決められ1点を失う。 その後は3イニング連続の三者凡退、8回まで105球2安打5三振1四球1失点と完投ペースのピッチングを続ける。

9回表2死一、二塁、ライトへのタイムリーツーベースを放つ梅野。ダメ押し点になるかと思われたが…

9回表2死一、二塁、ライトへのタイムリーツーベースを放つ梅野。ダメ押し点になるかと思われたが…

打線は好投手・玉熊の前に6回から8回まで無安打だったが9回、谷川から先頭・北村祐樹(商4)が安打で出塁すると、小笠原知弘(環4)への初球はワンバウンドで足に当たって死球となり一、二塁とダメ押し点のチャンス。ここで打席が回ってきたのは好投の三宮。2-1と勝っている場面の9回表、無死ではあるが代打でもう1点を狙うか、1死犠牲にしてでも好調・三宮の続投か、迷うところで打席に立ったのは代打・山口翔大(環3)。 しかし山口、山本泰寛(環4)と連続三振に倒れて2死。ここで点が入らないと裏の守りに重圧がかかるところであるが、梅野が放ったカウント2-1からの強い打球は前進守備の外野を超える右翼線へのタイムリーツーベース。3-1と2点差に広げて今季初勝利へと残り3アウトと残すのみとなった。

今季のクローザーに指名された加嶋宏毅(商4)が初めて、9回裏のマウンドをリードした場面で救援する。先頭・皆川への初球はライト前安打となり、続く清水二への2球目の前のボークでランナー二塁となるが、3球目で三ゴロに抑えてクローザーとしての初のアウトを取る。しかしここからストライクが入らない。佐藤竜、畔上に連続四球を与えて1死満塁とすると、柴田は2球目をライトへ軽打。

9回裏1死満塁、無情にもライト谷田の差し出したグラブの下をすり抜けた

9回裏1死満塁、法大柴田の放った打球は、無情にもライト谷田の差し出したグラブの下をすり抜けた 

ライナーが右翼手・谷田の前で弾む。三塁走者は既に生還、三塁コーチは腕を回して二塁走者の代走・中川を本塁へ突入させる。谷田は転がる打球にチャージするが取り損ねて後逸、そして一塁走者・畔上は両手を挙げて本塁を駆け抜け、一塁ベンチから飛び出してきた法大ナインとハイタッチ。

2点リードの9回裏に1死満塁から3者が生還してサヨナラ負け、連敗で慶大は開幕カードを落とした。 負け投手となってしまった加嶋に対し、大久保監督は「もちろん、やってもらわなければなりません。4年生であるということも含め、将来野球を続けるという思いもあるから。」と述べた。初めてクローザーとしてリードした場面で投げて初球を打たれ、さらにボークまで取られて動揺した部分もあるだろう。「優勝するうえでは必要な戦力」(大久保監督)である故、この敗戦をバネにして今後の飛躍を期待したい。

Today’s Legend  緩急つけて相手を翻弄 三宮舜

昨年よりさらに安定感の増した三宮

昨年よりさらに安定感の増した三宮

昨季、春はリリーバーとして優勝に貢献、秋は先発として自身初の規定投球回に到達し4勝、防御率もリーグ4位1.88と大活躍した。今季も変化球とストレートとの緩急で相手打者のペースを乱し、打たせて取るピッチングで白星を積み重ねることを期待される。初登板となった今日も序盤はわずかにランナーを許しながらも後半には3イニング連続三者凡退など、8回を105球2安打5三振1四球の好投を見せた。フィールディングにも安定感があり、失点した5回の2つのバント処理も含め3度の守備機会も落ち着いてこなした。落ち着いて見られる素晴らしい投球は次戦以降への期待を持たせる。

記事:石井 博己

◆打撃成績
[6] 山本泰 右飛 空三振 二ゴロ 遊ゴロ 空三振
[8] 梅野 投安 四球 三邪飛 見三振 右線2①
[9] 谷田 空三振 遊ゴロ 左中2 左飛 四球
[5] 横尾 死球 四球 四球 二ゴロ 右飛
[7] 齋藤 二ゴロ 左安 空三振 三振逃
[3] 沓掛 二ゴロ 右中3② 遊ゴロ 二直
[4] 北村 一直 三邪飛 四球 中安
[2] 小笠原 三ゴロ 空三振 遊併打 死球
[1] 三宮 中飛 空三振 二直
山口 空三振
加嶋
◆投手成績
投球回数 打者数 球数 安打 三振 四死球 失点 自責
三宮 27 105
●加嶋 1/3 15
◆監督・選手コメント

大久保秀昭監督

(2試合ともいい試合ではありました)選手はよく頑張ってくれたと思いますし、勝利に持っていけなかった監督の責任を感じます。選手に辛い思いをさせてしまいました。(選手にはどのような声をかけましたか?)みんなよくやってくれているので、本当に申し訳ないと。(三宮投手の交代について)非常に良かったからあのまま投げさせるのが最善だったかもしれない。ただ、加嶋はクローザーとして昨日も好投したし、優勝するうえでは必要な戦力だから信頼して送り出しました。(加嶋への信頼は変わらない?)もちろん、やってもらわなければなりません。4年生であるということも含め、将来野球を続けるという思いもあるから。(打線について)もうちょっと投手を楽にしてあげなくてはいけない展開だった。申し訳ない。(山本泰はまだ今季1安打、梅野は好調)そうですね、梅野がよくカバーしてくれていい流れになるかなと思いましたが、野球は怖いです。一生懸命やってくれている中で勝ちに持っていけなかった監督の責任を感じます。

横尾俊建主将(総4)

(最後このような終わり方となりましたが、今日の試合を振り返って)今日はしょうがないです、はい。(ご自身の打撃の状態は)ヒットは出ていないですけど、ボールは見えているので切り替えて、次の明治戦に向けてしっかり調整していきたいです。(三宮投手が好投を見せましたが、チーム全体の守りについては)チームとしていい感じに来ているとは思います。(ここからチームを立て直すためにどのようなことを行っていきたいですか)監督に言われたことを徹底して、練習から頑張っていきたいと思います。(次の明治戦に向けて)もう後が無いので、全力で頑張るだけです。

梅野魁土(環4) (今日の試合を振り返って)悔しいです。(昨日から調整した点はあったか)特に自分で変えた部分はありませんでしたが、とにかく塁に出ることを意識して打席に立ちました。(2本の安打を放ったことについて)塁に出ることと、最後の打席はランナーがいたのでダメ押し点をと取れればいいと思って、ランナーを返す意識でやりました。(塁に出てからは積極的に盗塁を狙っていた)やはり塁に出たら盗塁を常に意識して、走るタイミングがあれば走ってチャンスを作るのが僕の役目なので、今後も同じようにやっていければと思います。(次回の明治戦に向けて一言)もう負けられないので、勝てるようにチーム全員で頑張って勝ちにいきます。

加嶋宏毅(商4)

(今の気持ちは)情けないです。(マウンドに上がったときの気持ちは昨日と違ったか) いや、特に変わらなかったです。(次に向けて)がんばります。

三宮舜(商4)

(本日を振り返って)結果負けてしまい2連敗は悔しいです。あまり言葉になりません。(緊張はありましたか)とても緊張しました。(相手打線を2安打に抑えましたが)調子はよかったです。(完投の気持ちは)ありました。7回ぐらいに完投いけるなと思いました。でも監督が交代の指示を出したので。交代の時は投げ終わったという気持ちが強かったです。(神宮のマウンドが変わっていましたが)とくに気になりませんでした。(再来週の明治戦に向けて)2連敗は痛いですが、次は2連勝してなんとか持ち直したいです。

山本泰寛(環4)

(今日の試合を振り返って)最後まで守備もテンポよくいけました。最後の最後にはああいう形になってしまったのですが、やるべきことをやろうというその結果だったので誰のせいでもなく、仕方ないかなと思います。(法大の粘り強さは感じたか)こっちも向こうも最後まで諦めないで戦うということは当たり前ですが、最後に勝ち切るという難しさを感じました。(ご自身の打撃の調子は)あまりよくないですが、法大戦だけで終わりではないので次の明治戦に調子を合わせたいと思います。(次の試合までの調整は)いつもと変わらず考えすぎず、その日その日で調子も変わってくるのでしっかり自分ができることをやっていきたいなと思います。

沓掛祥和(商3)

(今日の試合を振り返って)野球は怖いな、ということだけです。(リーグ戦初長打となるスリーベースの感触は)最高に気持ちよかったです。(打つイメージはしていたか)イメージはしていました。左中間狙ってたんですけど、いい感じに右中間に飛んでくれたって感じです。振り抜けたんで長打になりました。(振り抜くことは毎打席意識しているか)そうですね、ストレートに張って思いっきり振ってます。ノーアウトランナー1,2塁の場面で普通ならバントかもしれないですけど、監督さんが僕に任せてくれたっていう思いもあって、絶対に返してやろうという思いで打ちました。(リーグ戦初打点を記録したことについて)最高です。オープン戦もこんな感じで点を取っていたんで、僕が打てば点が入るって感じです。(主軸の意識を持っているか)そうですね。(山本)泰寛さんがいつも出て谷田さん横尾さんが返してって感じなんですけど、今ちょっと(山本)泰寛さんの調子が悪くてそれがなく、クリーンナップが打っていいところで僕に回ってくるので、返すことだけを意識しています。(明大戦への意気込み)さっきシャワー室で話してたんですけど、明治には野球をやめたいと思わせるぐらいコテンパンにしたいです。

齋藤大輝(商3)

(試合の流れをふりかえってみて)今日も相手ピッチャーが良かったのであまり打てなかったですが、いい流れで点も取れてしっかり守れていたので最後あのような負け方になってしまって悔しいです。(齋藤選手自身はオープン戦から状態がよさそうですが)まずまずといったところです。これから上がってくると思います。(外野の守備はやりやすいですか)もともと外野の方が得意なので、特に外野の守備に不安はないですね。(沓掛選手と齋藤選手にチームを盛り上げていってほしい)そうですね。谷田さんと横尾さんは相手チームからマークされると思うので、後ろの僕と沓掛でチームを盛り上げていけたら勝てると思っています。まだこれからです!

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