【スピードスケート】インカレに挑んだもう一つの顔。―スケート部スピード部門― 日本学生氷上競技選手権

 

自分を見て慶大を目指してきてくれたら、という菊原。来季は大舞台での活躍に期待だ。

自分を見て慶大を目指してきてくれたら、という菊原。来季は大舞台での活躍に期待だ。

1月初旬、栃木県日光にて、第88回日本学生氷上競技選手権大会が行われた。ホッケー、フィギュア、スピードの3競技に分かれて行われるこの大会。慶大スケート部からも、ホッケー部門、フィギュア部門、スピード部門がそれぞれの競技に出場した。ホッケー、フィギュアについてはすでにお伝えしているが、今回注目するのはスピード部門。男子部員が増え、今季は久しぶりにリレーでの出場がかなった。練習環境の整わない中で、その逆境をどう乗り越えようとしているのか。

 

 

現在部員6名で活動している慶大スケート部スピード部門。個性的なその部員は、大学2年から始めた者もいれば、世界を目指す者もいる。人数が少ない分、個人に任されることも多くなるが、今季のスピード部門はチーム力を発揮した。10月に行われた日本学生ショートトラックスピードスケート選手権大会(ショートインカレ)に、全員で出場。男子学校対抗3000mリレーでは4位にくいこみ、総合では慶大が6位となった。また女子も、1年の谷本光(環1)が500mで3位、1000mで2位と健闘。個の力を見せつけた。

 

今季主将としてスピード部門をまとめてきたのは、北原侑典(総4)。全国大会優勝経験をもつ彼だが、大学では伸び悩んだ。スケート人生最後のシーズンとなる今季、集大成としてあくまでも結果を求めてやってきた。しかし、11月の全日本選抜でまさかの予選落ち。目標にしていた全日本選手権には届かなかった。相当悔しさがあったに違いないが、その言葉は口にしなかった。「やり切った実感はあった」「最後の締めくくりとしては良かった」という。人数の少ない部で、求められるのは「結果」。そろっているとは言えない練習環境で、それを出すのは難しいことだ。過去の自分と現実の相違に、何度も挫折を味わってきたという北原。しかし、オリンピックを夢に持つことができるスポーツ選手はほんの一握り。一時でも世界を夢に持ち、努力をしてきた経験は、きっと今後にもいかされるだろう。

 

1月初旬、日本学生氷上競技選手権大会(アウトインカレ)で再び2000mリレーに出場した慶大。スタートを任された佐藤大樹(法1)が、北原主将へとつなぎ、小塚太資(理2)へ、そして来季主将を務めることになる菊原魁人(環2)がゴールした。タイムは遅れたが、部として出場できる数少ない機会。今後またそれぞれの目標に向かって、良いスタートを切れたに違いない。今季は氷上での練習が足りず、来季に標準を合わせてきたという菊原も、来年からは部を率いる存在として、「結果」を出してきてくれるだろう。

まだ初めて1年経ていない住岡は、初心者でも全国大会に出場できることを証明した。(左)小塚(右)住岡

まだ初めて1年経ていない住岡は、初心者でも全国大会に出場できることを証明した。(左)小塚(右)住岡

 

(文・写真 須佐奈月)

 

◆以下、選手コメント

 

北原 侑典(総4

(今季を振り返って)最後のシーズンになるので、結果を求めてやってきたのですが、レベルの高い選手が多くて。自己ベストも更新できないまま、結果も去年より下がってしまい。納得のいくものではなかったし、不甲斐ないなと思う部分もあります。ただ自分のできることをやり切ったという実感はあるので、最後の締めくくりとしてはまぁ良かったかなと思います。(掲げていた目標については)ワールドにからむ、全日本選手権を目標にしていたのですが、手前の選抜で止まってしまうという結果で。去年も同じように選抜までは行けて、今年こそはと意気込んだのですが、コンディションを合わせるのも難しくて、伸び悩んでしまったかなと。夏も就活があったりして滑り込みが足りなくて、体力不足が目立ちました。(人数もそろい、リレーでの出場が叶いましたが)アウトインカレでリレーに出場できるのが、ここ十数年なかったことだと思うので、久しぶりに出るだけに、まずらゴールしたいなと。ショート専門の選手がほとんどなので、経験がない分チームで声かけあって、なんとかレースを最後まで走りきれるようにと思っていました。(3年生不在のなか、現2年生が来年からは引っ張っていく存在になりますが)来年彼らが引き継いでも3年生なので、まわりの部に比べると年下の部になりますが、現1年生には世界にからむ部員もいますし、皆で切磋琢磨して、各々が結果求めてやってくれたらなと思います。(引退まで残りわずかですが)大学生として出る試合はもうなくて、国体と都道府県対抗で地元香川県の代表として出場して終わりになりますね。(スケート人生を振り返ると)小学生時代にぐんぐん伸びて、全国大会でも優勝しましたが、その後伸び悩んでしまったなと。香川県という環境も良くはなくて、ずっと一人だったので。昔の勢いのまま今まで来られればオリンピックも狙える位置だったのかなと思いますが、それはそれで良い経験だったかなと。挫折も多く味わって、それを乗り越えようという努力をずっとしてきたので、この経験を今後別の形で、仕事していく中でも活かせていけたらなと思います。(後輩に向けて応援の一言を!)主要スポーツに比べたら練習がやはり取れないけれど、その中でどれだけレベルアップできるかが重要で。一本一本集中して、何を課題にして取り組むべきかを常に考えながら、そしてそれを克服して試合に臨むっていうのを繰り返していけばいいと思います。プロセスが大事と言いますが、結果も求められてくるので、後輩にはぜひ結果を求めて努力して欲しいです。

 

菊原魁人(環2

(今季を振り返って)練習不足という感じです。(掲げていた目標は)今シーズンは、とにかく来シーズンのための権利を取ることを。ランキングによって決まってくるので。タイム東京でリンクがない状態なので、陸トレばっかりで氷に乗る時間が少なかったのが、今回の結果にも出てしまったかなと。2月にまた大きい大会があるので、学校が終わったらすぐに合宿に行って、そこで結果出したいと思います。3年がいない状況の今、来季には菊原選手が部を引率する存在になっていくと思われますが)そうですね。来年は自分が主将としてやっていきますが、慶應スケート部スピード部門自体、経験者は自分と1年の谷本さんだけで。大学から始めた部員もいる中で、どうまとめていけば良いのか難しい面もあり…今は部で合宿することもないので、部としてまとまりをもって、チーム力を少しでも高められたらなと思います。(個人としてはどんな選手になっていきたいですか)慶應に選手がなかなか入って来ない状況なので、慶應目指すような高校生に見られることも考えて、まずは礼儀正しく、結果も出して、自分を見た子たちが慶應に入りたいと思ってくれるような選手になりたいです。(決意の一言をお願いします!)死ぬ気で頑張ります!

 

小塚太資(理2

(今季を振り返って)今年はB級目指してやってきて、ちょうど秋に取ることができたので、目標は達成できたかなと思います。続いてA級を目指してやっていきたいのですが、そこからあまりのびがなかったので、フォームを変えて、A級取りたいと思います。(今季は人数もそろい、リレーでの出場が叶いましたが)アウトでリレー出られることがほぼなかったということで、リレーに出られるということはチャンスになるかなと。成績は期待できないですか、経験として活かせるかなと思います。(今後の目標を!) 今シーズン中にはA級のタイム出せるようにしたいのと、来シーズンには東日本選手権で、ぎりぎりでも勝ち上がって全日本選抜へ行きたいと思っています。

 

住岡直樹(経2

(今季を振り返って)自分は2年から初めて、スケートは小さい頃からやっている人がほとんどなので、右も左もわからなかったのですが。初心者の自分でもわかるように教えてくれるコーチの方がいて、陸トレから教えて下さったので、自分の中では良いペースで成長することができました。まず大会に必要なC級取ることができたので、次B級を早く取りたいと思っているのですが、先日そのラインに近いタイムが出せたので、また出られる大会が増えるかなと。A級に届くにはまだ壁があるので、時間もない中焦りもありますが、1年目は基礎をしっかりやっていきたいと思います。(今後の目標を!) 来シーズン中にはA級圏内までタイムを伸ばして、大会で少しでも戦えたらなと思います。

 

佐藤大樹(法1

(アウトインカレを終えて)10月の全関東よりは良いタイムが出たのですが、目標には届かなかったので、その点は悔しかったです。(今季を振り返って)ずっとショート中心にやってきて、B級を目指していたのですが、少しだけ届かず。今季残り1試合しかないので、そこで確実に取りに行きたいと思います。(大学1年目、成長したと思う点は)高校のころからスタートが苦手だったので、重点置いてやってきた分良くなったと思います。(部員が少ない分、個人に任されることも多いと思われますが)自分のことは自分でやって、先輩方のサポートもしっかりやっていきたいです。(今後の目標を!)B級取って、来季はA級を目指して小塚選手と戦えるようになっていきたいと思います。

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