【野球】13安打13得点の猛攻で勝利を収めるも投手陣に不安残す 東大③

9月19日(火)東京六大学秋季リーグ戦 東大3回戦

リーグ戦初先発で初勝利をあげた津留﨑

前日、リーグ戦初先発だった髙橋亮吾(総2)の完投によりなんとか星を五分に戻した慶大。なんとしてでも勝ち点を取りたい今日の試合は前日とは打って変わり、両軍合わせて23安打という壮絶な乱打戦となった。

 

東大

10

慶大

×

13

慶大:○津留﨑、佐藤、菊地、髙橋佑―郡司、三枝

東大:●宮台、濵﨑、小林、柴田、宮本―三鍋

 

慶大:岩見1号3ラン(3回)

東大:楠田2号3ラン(7回)、辻居1号2ラン(9回)

 

◆慶大出場選手

 

ポジション

選手名(学部学年・出身高校)

[9]

中村健人(総2・中京大中京)

 

H9

天野康大(環4・智辯和歌山)

[5]

瀬尾翼(理4・早稲田佐賀)

[8]

柳町達(商2・慶應義塾)

[7]

岩見雅紀(総4・比叡山)

 

R7

大串亮太(法1・慶應義塾)

[2]

郡司裕也(環2・仙台育英)

 

H

内田蓮(総3・三重)

 

三枝遼太郎(商3・慶應義塾)

[3]

清水翔太(総4・桐蔭学園)

[4]

倉田直幸(法4・浜松西)

[6]

照屋塁(環4・沖縄尚学)

[1]

津留﨑大成(商2・慶應義塾)

 

H

植田清太(総3・慶應義塾)

 

佐藤宏樹(環1・大館鳳鳴)

 

菊地恭志郎(政3・慶應志木)

 

H

小原徳仁(文4・慶應義塾)

 

髙橋佑樹(環2・川越東)

 

前日に続き快晴の神宮球場。秋晴れの日差し照りつける中プレイボールはかかった。慶大の先発はリーグ戦初先発の津留﨑大成(商2)。初回、先頭打者に四球を与えると犠打で送られ、続く東大・楠田に中前へ運ばれてしまう。次の4番・田口の打球をサード・瀬尾翼(理4)が好捕し二塁へ送球するも併殺崩れとなってしまい、初回、東大に1点を先制されてしまった。

津留﨑は初回に点こそ失ったものの2回、3回はショート・照屋塁(環4)のファインプレーにも助けられ東大打線を無得点に抑える。そんな津留﨑を援護したい打線は3回、2アウトから死球と安打で2死一・三塁のチャンスを作る。バッターは慶大の主砲、4番・岩見雅紀(総4)。ドラフト候補の東大先発・宮台の2球目を完璧に捉えると、打球はレフトスタンド中段へ。頼れる4番が今季チーム初となるホームランを放ち、慶大はこの回逆転に成功する。

今季初本塁打にガッツポーズを見せる岩見

波に乗る慶大は4回、連打で1死二、三塁のチャンスを作ると投手の津留﨑がタイムリーを放ち4-1。リードを3点とする。その後は東大・宮台のタイムリーエラーにも助けられ、4番・岩見にこの日4打点目となる適時打が飛び出すなどこの回一挙5点を追加する。慶大先発の津留﨑は4、5回も無失点に抑え、この回で降板。5回で75球を投げて被安打3、6奪三振と初先発としては申し分のない投球を見せた。

6回からは佐藤宏樹(環1)がマウンドへ。力のあるストレートでランナーを出しながらも無失点に抑える。迎えた7回、回跨ぎをした佐藤がマウンドへ上がったが、先頭打者に粘られ四球を与えてしまう。次の打者を三振に取ったものの、8番・三鍋への3球目がワイルドピッチとなってしまい、自ら得点圏に走者を進めてしまう。結局三鍋にも四球を与え、1死一、二塁のピンチを招いてしまう。続く9番・小林の三塁線へのバントを佐藤が処理するも一塁への送球が悪送球となり、二塁ランナーの生還を許してしまう。その後も1番・辻居からタイムリーを浴び、この回だけで2点を失った佐藤。2死二、三塁となったところで慶大はエース・菊地恭志郎(政3)にスイッチ。だが悪い流れは止められない。迎えた3番・楠田への初球は完璧に捉えられ3ランホームラン。この回で計5点を奪われ、東大に2点差まで詰め寄られてしまう。

途中出場で今季初ヒットの適時打を放った天野

追加点が欲しい打線は7回、先頭の清水翔太(総4)がツーベースヒットで出塁すると、続く倉田直幸(法4)が手堅く送って1死三塁。ここで照屋がきっちりとライトへの犠牲フライを放ち待望の1点を追加する。これだけでは終わらない。菊地がセンター前ヒットで出塁すると、途中出場の天野康大(環4)が今季初ヒットとなるライトオーバーの適時二塁打を放ち、慶大はさらに1点を追加し、リードを4点とした。

8回は回跨ぎをした菊地が東大打線を三者凡退に抑え、流れを引き寄せる。打線はその裏、清水翔の三塁打と倉田のヒットで3点を奪い、点差は13対6と試合は決まったかに思われた。しかし最終回、代わってマウンドに上がった髙橋佑樹(環2)がパッとしない。先頭打者を三振に取ったものの、9番・宮本から犠飛をはさんでホームランを含む5連打を浴び、3点を失ってしまう。2アウトを取ったものの味方のタイムリーエラーも出てしまい、東大についに3点差まで追い上げられる。しかし最後は代打の土井を三振に取りゲームセット。慶大はなんとか逃げ切る形となった。

3戦連続でマルチ安打を記録した清水翔

打撃陣は13安打13得点と効率の良い攻撃を見せた。一戦目に完投を許した宮台を4回途中8失点でK.O.し見事にリベンジを果たし、5回以降も集中力を切らすことなく追加点をあげ、非常に頼もしかった。また、4番・岩見が4打点の活躍で今季初HRが飛び出したこともチームにとって大変明るい材料だと言える。対照的に投手陣は東大に14年ぶりとなる二桁得点を献上してしまい、バッテリーエラーも多く出てしまった。だがその中でも初先発・初勝利をあげた津留﨑の好投はチームにとっても大きく、今後につながるだろう。4日後には法大戦が控える慶大。投手陣が充実している法大との戦いでは、援護も少なくなるものと予想され、慶大投手陣がどれだけ粘ることができるかにかかっている。投手陣の奮起に期待したい。

 

【This is YOUR day!!】 リハビリを乗り越えた苦労人 津留﨑大成

リーグ戦初先発で初勝利をあげた津留﨑大成。高校3年時に肘を痛め手術し、リハビリを乗り越えて昨季リーグ戦初登板を果たした苦労人である。「ストライクゾーンで勝負しようと思って投げました」と言うように、2回以降はストライク先行のテンポのいい投球を見せ、奪三振はイニング数を上回る6つを記録。苦しい投手陣の中に見えた一筋の光明。同期が試合で活躍する中、少しだけ出遅れはした。だがこれから取り戻せばいい。神宮のマウンドで歓喜の瞬間を迎える、その日まで。

記事:染谷優真

◆打撃成績

  

[9]

中村

左飛

 

遊ゴロ

投野選①

     

H9

天野

    

一ゴロ

 

右線2①

  

[5]

瀬尾

左2

 

死球

右飛

 

右飛

中飛

  

[8]

柳町

二ゴロ

 

中安

左越2②

 

二ゴロ

 

左飛

 

[7]

岩見

遊ゴロ

 

左本③

中安①

 

四球

 

遊失

 

R7

大串

         

[2]

郡司

 

中飛

中飛

二飛

 

遊飛

   

H

内田

    

 

 

 

四球

 

三枝

    

 

 

 

  

[3]

清水翔

 

四球

 

二ゴロ

四球

 

中越2

右中3②

 

[4]

倉田

 

投犠

 

二安

遊飛

 

投犠

中安①

 

[6]

照屋

 

右飛

 

左線2

右飛

 

右犠飛①

左飛

 

[1]

津留崎

  

逃三振

右安①

     

H

植田清

    

死球

    

佐藤

         

菊地

      

中安

  

H

小原徳

       

左飛

 

髙橋佑

         

 

◆投手成績

 

 

投球回

打者

球数

安打

三振

四死球

失点

自責

○津留崎

19

75

佐藤

12/3

10

41

菊地

11/3

20

髙橋佑

31

 

◆監督・選手コメント

大久保秀昭監督

(今日の試合を振り返って)とりあえず勝ち点を取れたので良かったです。岩見がしっかり(4番の)仕事をして津留﨑が初勝利をあげたこと、それだけです。野手は13点よく取りました。ピッチャ―に関しては津留﨑以外は何も良いところが無かったです。バッテリーも含めて。(東大三連戦を振り返って)とにかく疲れました。東大に自信を付けてしまいましたね。(今週末は法大戦も控えているが)負けないように対策して。頑張ります。

 

天野康大(環4)

(今日の試合振り返って)投手陣が踏ん張れない苦しい展開でしっかり点取れて、勝ち点が取れたことは良かったです。(開幕戦からベンチ起用が続いています)試合に出してもらった時に、しっかり打つってことを心がけて練習の時から準備するようにしています。(開幕は少し出遅れたが)必死にみんなに追いつくように調整してます。(今季初ヒット)劣勢というか、しんどい場面だったのでどうにか一本繋ごうと思って打席に入っていました。(次戦に向けて)今週より簡単ではないし、苦戦する相手だと思うのでしっかりそこに合わせて調整していきたいと思います。

 

岩見雅紀(総4

(乱打戦になりました。今日の試合を振り返って)勝ち点取れて良かったです。(土曜日苦しんだ宮台投手を攻略しました。何か策はありましたか)特にないです。ただただ打たなきゃいけない試合だったので。とにかく試合前から(宮台投手に)疲れがないわけはないだろうし、絶対打とうと思ってました。(本塁打を打った打席を振り返って)点が絶対欲しい場面で、逆転したかったので打てて良かったです。(真っ直ぐを狙っていたか)狙っていたというよりは、強く叩くことを意識して、変化球だろうとストレートだろうと振り切ってやろうと思いました。(来週は法大戦です)勝つだけです。(次戦に向けて意気込みを)春連敗しているので、しっかり勝ちたいです。その一勝を取るための練習をしてきているので、勝ち点を取って優勝に繋げたいと思います。

 

倉田直幸(法4)

(今日の試合を振り返って)完璧な試合ではなかったです。課題が残った試合だったと思います。(どんな課題が出ましたか)1、2戦目は打撃が上手くいかなかったり、今日は気の緩みというか、最後のアウトまで取りきれなかったりという課題が残ったと思います。(今日は今季初ヒットが出ました)調子は良いわけでも悪いわけでもないです。明日からしっかりまた練習して、次も打てるよう頑張ります。(バントも2つ決めました)今まで全然打ててなかったので、バントだけは最低限きめて貢献したいと思ってました。(法大戦に向けてひと言)春負けている分秋は絶対に勝たないといけないと思います。東大戦で1戦落としているので、1戦必勝で優勝に繋げられるよう頑張ります!

 

清水翔太(総4) 

(今日も2安打で二塁打、三塁打が各1本ずつ出ました)結果的に長打になったので良かったなと思います。後ろのバッターに繋ぐことが出来たので。(東大戦3試合で10打数6安打と高成績を残していますが)いい感じでとらえられています。でもまだ、1カード目に過ぎなくここから4カード続くので、自分の調子をどうしていくかが重要なので、ここままいい形で法政戦へと繋げられればなと思います。(最近好調が目立つが、何か心がけていることはあるのか。)バッティングの意識はあんまり変えてはいないのです。神宮が立ちやすいというか、結構相性が良いと思っているので、ポジティブに打席に立ってるかなと思います。凡退した後でも打てるんだという気持ちで立てているので、初球からしっかりとらえられているかなと思います。(法大には菅野投手、長谷川投手と良い投手が揃っています)春は打てたことは打てました。どう攻められるのかとか大体予想がついてはいるのでそこの穴を埋めて、甘い球を逃さないというのは相手の投手がどの投手でも変わらないことなので、そこの精度を上げていけるように練習をしたいなと思います。

 

瀬尾翼(理4

(今日の試合を振り返って)負けられない中で、点数はそれなりに取れましたが、全力疾走など今までやってきたことができていなかったり、最後まで点を取られすぎたというところで締まりのないゲームになってしまいました。どうにか立て直さないと次も簡単には勝てる相手ではないので、しっかりやっていきたいと思います。(今日は今季初ヒットとなる二塁打、感触は)感触はそんなに良くなくて、相手のエラーで出ただけなので、これからちょっとずつ(調子を)上げていけるように頑張ります。(大事な1カード目をとった感想は)最初のカードで負けていたら優勝なんてできないので、最低限勝ち点を取れたということで、ほっとしているというか、もっとしっかりしないとなと感じています。(次は法大戦、警戒する選手は)ピッチャーが良いのでそれを打ち崩すことと、バッター陣も振れているバッターが多いので、全員ですね。(次の試合に向けて、意気込みを)これから強い相手ばかりなので、自分の役割を果たし、みんながそれぞれしっかり役割をして繋いでいけば、ちゃんと試合にはなると思うので、しっかり役割というのをみんな徹底して、やってきたことを出せればと思います。

 

三枝遼太郎(商3)

(守備での出場は初めてでした)点差があったとはいえ、点を取られてしまったので、あまり良くなかいデビューでした。(リード面はどうでしたか)全部高い球が打たれていたので、それをもっと低い球、厳しい球を投げさせなくてはならなかったと思います。(高橋佑投手の調子はいかがでしょう)1戦目の時よりは良かったと思うけれど、本調子では無かったと思います。(東大打線に対してリード面でどのような意識をしていたか)中軸とそれ以降でバッティングが違い、楠田、田口あたりは思いっきり振ってくるので、2つに分けて考えていました。(今後に向けて一言)もっとプレーで貢献できるように頑張ります。

 

津留﨑大成(商2

(今日の試合を振り返って)先制点を挙げないようにと入ったんですけど、与えてしまいました。守備に助けられて、岩見さんの一発もあって楽に投げられました。(先発を伝えられたのはいつですか)昨日の試合後に林助監督から明日先発で行くぞと言われて、やってやるぞという気持ちで臨みました。(投球で意識したことは)とにかく1人1人のバッターと勝負して、イニングを気にせずアウトをたくさん取ろうと思いました。ストライクゾーンで勝負しようと思って投げました。(修正できたポイントは)技術的な面もですけど、気持ちの面で岩見さんの一発で楽になってリズム良く投げられたかなと思います。(今日のピッチングで得たものは)これから改善しないといけない部分がたくさんあると思いました。反省点の方が多かったです。(自身の投球スタイルは)1人1人のバッターと逃げないで勝負することを今シーズンのテーマに決めています。(タイムリーも打ちました)オープン戦でも打席にはほとんど立っていませんでした。目をつぶって振ったら当たったという感じですね(笑)(次の登板に向けて)これから1戦1戦厳しい戦いが続くと思いますが、なんとか投手陣が粘ってゲリラ戦を制するような試合が出来ればと思います。

 

柳町達(商2)

(この3連戦をチームとして振り返って)勝ち点は取れたんですけどミスが多かったので、次の法政戦に向けて修正していかなければいけないなと思います。(自身の打撃の調子は)悪くはないです。それなりにボールも見えてますし、ヒットも出ているので、このまま継続していければと思います。(今日の2本のヒットについてはいかがですか)1戦目に宮台投手で落としてその攻略をよく考えた上で、真っ直ぐを打とうと思って2打席目は真っ直ぐを打てました。3打席目は、チェンジアップだったと思うんですけど、体が反応して上手く打てたかなと思います。(チームの打線のつながりについてはどう感じていますか)昨日とか今日の感じだと、徐々に良くなってきていると思います。今日も岩見さんが打ってくれて、それもかなり大きいと思います。(4回にはファインプレーもありましたが)打った瞬間に一歩目を切れたので、それが良かったかなと思います。守備については、自分でも詰めていけるところだと思ってやっています。(次の法大戦に向けて)負けられない試合なので、絶対に勝って優勝に近づきたいと思います。

 

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