「非常にもったいない試合だった」(須田芳正監督)。この日、東国大のホームに乗り込んだ慶大は、開始2分に池田豊史貴(総4・浅野高)のゴールで幸先良く先制。その後は一進一退の展開ながら手堅い守備で決定機を与えず、60分までリードを保つ。しかし、自らのCKを跳ね返されてのカウンターから同点弾を献上すると、そこから崩れて3失点。終了間際に生まれた田中健太(法4・横浜F・マリノスユース)のビューティフルゴールもむなしく2-3で敗れ、半分以上の時間をプラン通りに進めた試合を落としてしまった。
第91回関東大学サッカーリーグ戦 第15節
2017/10/07(土)14:00KO@東京国際大学坂戸キャンパス第1グラウンド
【スコア】
慶應義塾大学 2-3 東京国際大学
【得点者】
1-0 3分 池田豊史貴(慶應義塾大学)
1―1 60分 町田ブライト(東京国際大学)
1―2 64分 安藤輝(東京国際大学)
1―3 90分 安藤輝(東京国際大学)
2―3 90+4分 田中健太(慶應義塾大学)
◇慶大出場選手
GK上田朝都(総2・横浜F・マリノスユース) |
DF手塚朋克(環4・静岡学園高) |
DF野村京平(総2・国学院久我山高) |
DF鴻巣良真(総3・国学院久我山高) |
DF北城俊幸(総2・青森山田高) |
MF渡辺夏彦(総4・国学院久我山高) |
MF落合祥也(商2・横浜FCユース)→85分 岩崎湧治(商3・ベガルタ仙台ユース) |
MF八田和己(総2・桐蔭学園高)→76分 渡辺恭平(商4・新潟高) |
MF近藤貫太(総4・愛媛FC) |
FW松岡瑠夢(総1・FC東京U-18)→ 63分 田中健太(法4・横浜F・マリノスユース) |
FW池田豊史貴(総4・浅野高) |
前節、専大に完敗し(1●3)後期初黒星を喫した慶大。今節は東国大とのアウェイ戦に臨んだ。ケガから復帰した鴻巣良真(総3・国学院久我山高)がセンターバックに入り、前節までセンターバックを務めていた八田和己(総2・桐蔭学園高)がボランチへ。2トップの一角には、松岡瑠夢(総1・FC東京U-18)が起用された。
「最初の15分で1点」(手塚)。慶大が描いていたゲームプランは、想定以上の形で実現する。3分、左サイドからのクロスに池田豊史貴(総4・浅野高)が合わせると、ボールはふわりとGKの頭上を越えてゴールへ。池田の2戦連続弾で、慶大は幸先よくリードを奪うことに成功した。その後も慶大は池田が相手センターバックとのマッチアップで優位を保ち、そこを起点にディフェンスラインを高く保つ。鴻巣が復帰して八田をボランチに据えた守備陣がうまく機能し、東国大のアタッカー陣に自由を与えなかった。とはいえ慶大の攻撃も決め手を欠き、先制点以降チャンスらしいチャンスは22分にGKの正面を突いた松岡のミドルシュートのみ。スコアは動かず、慶大が1点リードで前半を折り返した。
後半もこう着状態は続く。慶大の「逃げ切り」が徐々に現実味を増す中、60分、それまでうまく試合を運んでいた慶大が「決定的なミス」(須田監督)を犯す。近藤貫太(総4・愛媛FC)が蹴ったCKの跳ね返りを拾われてカウンターを浴びると、東国大FW町田ブライトのスピードに対応しきれず、失点。前節と同じ、自らのCKからカウンターを浴びるミスで、慶大の逃げ切りプランは崩れた。そして、今季の慶大が抱える連続失点の悪癖がこの日も顔を出す。64分、中央をパスで崩されると、GK上田朝都(総2・横浜F・マリノスユース)の2度のビッグセーブも実らず、ネットを揺らされてしまった。わずか4分での逆転劇。攻めるしかなくなった慶大だが、攻撃の起点となっていた池田に疲れが見え始め、なかなかゴールに迫れない。時間だけが過ぎていき、前掛かりになった90分、逆に強烈なミドルシュートで決定的な3点目を奪われてしまう。終了間際にPA外から田中健太(法4・横浜F・マリノスユース)が右足でカーブをかけた美しいシュートを決めて1点を返したものの、時すでに遅し。自滅に近い形で勝ち点を落とすこととなった。
全試合同時キックオフで行われた今節、7位以下のチームが揃って敗れ、順位に変動はなし。下位チーム陣の状態は悪く、残留争いは泥沼化しそうだ。勝ち点1が大きな差を生み出す状況の中、取れる勝ち点を落としたことは後々まで響いてくるかもしれない。池田の好調、鴻巣の復帰、さらに田中に復調の兆しが見えるなど、個々で見ればポジティブな要素もある。それらを、今なによりも必要な“勝ち点”という結果に結びつけられるか。慶大の地力が問われている。
(記事 桑原大樹)
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試合後コメント
須田芳正監督
(試合を振り返って)いやぁ…。ちょっともったいない試合だった。まあ1-0でそのまま逃げ切るパターンだったけども、自滅しちゃったみたいな。非常にもったいないゲームだったなと。(前半途中から押し込まれる展開となっていたが)セカンドボールっていうのはポイントにしていたんだけれども、セカンドボールを拾った後、最初のうちはテンポ良く回してそこから裏を狙っていたんだけれども、それがちょっと単調になったというか。ボールを拾ってからもパスミス、ロスが多くてそこから相手に渡して相手のペースになっていた。ただまあ今日のゲームっていうよりは我々のサッカーというのは先手を取ってそこから基本的には守りのチームで、守ってそのまま勝とうということなんで、相手のペースといっても基本的には今日はもう前からプレスをかけて自由にはやらせていなかったんで。やっぱり失点は我々のCKからなわけだから、それで先週と同じパターンでやられてしまったというのはちょっと…。まあ残念っていう感じだよね。(今後守備面でのテコ入れは)それはやらないと。我々のCKだから、その時のリスクマネジメントだったり、クリアされた時の戻りであったり、それは練習しないと。基本的には別にもうそのまま行けるわけだから、1-0で逃げ切れるというのが我々のパターンだし、決して後半に入っても悪いわけじゃなかったんで、非常にもったいないゲームだったと。そこがもう一つのポイントだったんじゃないかな。(点の取られ方が前期と同じような感じだったが)まあ1点目でしょ。あの失点でしょ、ポイントはもう。自分たちのミスだから。サッカーはミスのスポーツだから別にミスはいいんだけど、決定的なミスだから。それを2試合連続でしてしまうとまあ勝ち点は挙げられないかな。そこのところの意識とかその辺をもう一回反省してトレーニングやるしかないんじゃないかな。決して悪いゲームじゃないから、逆に良いゲームだったから、前半は。(相手も勝ち試合というわけではなかった)ないでしょ。うちらがミスをすればやっぱり勝ち点は取れないと、この関東1部ではね。(前半のままやれていたら後半もうまくいったのでは)失点するまでは全く悪くなかった。崩されて相手のストロングが出てやられたならまだこれは切り替えられるんだろうけど、うちらのCKだから。それはもう確実に防げる失点だから、これは。まあ今週練習はしたけれど足りなかったとかっていうところなんで、練習していきます。もう一回。(3連戦で良くない出だしとなってしまったが、今後の選手起用は)そうだね、やっぱり今日も足をつっていたりするんで、その辺は考えながらやらなきゃいけないなと。(次節に向けて)切り替えて。明々後日だからやるしかないんで。コンディションの良い選手を使っていこうかなと思っています。
手塚朋克(環4・静岡学園高)主将
(試合を振り返って)前半あれだけ良い形で試合を運べて、先制点も取れて、僕たちのペースだったんですけど、後半になって相手の戦い方の変化に対応しきれず、また先週と同じような失点をしてしまって、負けゲームになってしまったという感じです。(かなり早い時間に先制したことはゲームプランに影響したか)いや、まず最初の15分で1点決めようという話をしていたので、そういう意味では想像していた以上の結果を出せて、そこから気の緩みもなくすごく良い形で前半は運べたんですけど、そこから何か変化したときに自分たちで修正できなかったことが課題だと思います。(1失点するまでの守備はかなり良かった)そうですね。かなり安定していたので、1点取られた時にもう一度修正し直せば絶対にズルズルいかなかったと思うんですけど、そこで我慢しきれないのが僕らの力で、そこを僕だったり中心選手たちがカバーできなきゃいけないんですけど、それができなくて非常に悔しいというか残念です。(1失点目のカウンターの対応について)あれは自分の判断で少し距離を取って下がったんですけど、他の選手をもっと声を出して動かして、余裕を持ってやれていればああいう失点にはならなかったと思うし、その判断を下すのが遅かった、だからあそこまで運ばれて中途半端に出てしまったんじゃないかなと思います。(前期からよく見られた連続失点が改善していない)僕らも失点した後に前に行こうという気持ちでいるので、そこで守備のオーガナイズがしっかりできていなかった。そこが本当にずっと課題だったし、それを言い聞かせてやっていたんですけど、それでできないというのは絶対に良くないことだし、練習から集中してやっていきたいと思います。(次節に向けて)相手は順大なのでかなり力がありますし、僕らは我慢する展開になると思いますけど、我慢する時間帯を我慢すれば僕らのペースになると思いますし、我慢した試合に限ってはすごく良い試合ができて、勝ち切れている試合もあるので、また練習から気持ちを入れてやっていきたいです。
田中健太(法4・横浜F・マリノスユース)
(試合を振り返って)やっぱりこれから1試合も落とせないし、勝ち点1とか1点とかが本当に残留にかかってくるという中で、勝ち切れなかった、勝ち点1を取れなかったというのはすごくもったいないし悔しいです。(今日はどのような狙いを持っていたか)チームとしての狙いは、池田がポイントとしているのでそこをターゲットにして攻撃をするのと同時に、今日は(松岡)瑠夢が入ったので、瑠夢の足元に当てたりということを使い分けられればという感じでした。(今日はベンチスタートだったが試合をどう見ていたか)最初は早い時間に点が取れて、前半はそんなにピンチもなく守れていたのでそんなに悪いイメージはなかったんですけど、後半の頭はベンチから相手が出てくる時にも勢いがあって監督も鼓舞していたし、そういう中で相手の勢いに押されてズルズルと下がってしまったというのがあって、1点を取ってそれを守り切ろうというのではなくて、自分たちも仕掛けにいくというくらいの気持ちがなかったら特に攻撃力のある相手に対して取られてしまうのかなという印象でした。(同点の場面での出場となったが、監督から何か言われたことはあるか)自分はやっぱりFWで点を取るポジションなので、いつも監督には「点を取ってきてくれ」と熱い言葉をいただいているんですけど、今日もそれは同じで、それに加えて感性でプレーしてこいということを言われました。(自身のゴールシーンを振り返って)スピードに乗って良い形で前を向いてボールをもらうことができたので、仕掛けて、あそこのコースは中に入ったら自分でシュートを打てる位置だったので、ボールが入ってからはとにかくシュートを打つことを意識してドリブルをしました。(中2日で迎える次節に向けて)さっきも言ったんですけど、これからの1試合1試合は本当に残留に関わる試合になるので、勝つことはもちろん目指すことなんですけど、本当に1失点とか1点とかで残留が決まると思うのでワンプレーワンプレーに全てを懸けるくらいの気持ちで集中して戦いたいと思います。
池田豊史貴(総4・浅野高)
(試合を振り返って)最初先制して、そのあと3発食らって逆転されてるというので、すごくもったいない試合だし、悔いが残るゲームだと思います。(1点目のシーンについて)最初のセットプレーだったので、ここで絶対点を決めようって思っていて、最初に良いボールが上がって、それを野村が逸してくれて最後コースが変わって自分のところに来たので、とりあえず体のどこかに当てて押し込もうと思ったらももに当たって入ってくれたんで、ラッキーだなって思います。(試合全体を通してポストプレーを意識する場面が多かったが)まずはボールを持ったら自分のところを見て、セカンドボールを拾って攻めようというのを意識しているので、前半はできたんですけどやはり体力が落ちたり、相手が対応してきたりした後半になるとそれがもう読まれてセカンドボールも拾えず、押し込まれて失点をどんどん重ねるというのはすごく多かったので、次の試合まで短いですけど、そこを改善しないと勝てないなと思います。(FWでコンビを組んだ松岡選手について)1年生なんですけど自分の武器を持ってるし、堂々してるので、それはすごく良いと思います。自分自身がやることは変わらなくて、その後の動きだったりはすごく意識してやってくれてるので、もうちょっと彼の良い部分を自分が引き出せたらと思います。(火曜に迫った次節に向けて)本当に勝つしかないので、気合いを入れて挑みたいと思います。あとは、個人的に去年ゴールを決めたのが順大戦だったので、そこでまたゴールを決めてチームを勝利に導きたいです。ポジティブなメンタルで頑張りたいと思います。