【ソッカー(男子)】<コラム>守護神としての自覚と自信を胸に “熱さ”を帯びた慶大の壁 上田朝都

 今季の慶大で、ここまで関東リーグ全試合にフル出場している選手が2人いる。1人は攻撃の要である近藤貫太(総4・愛媛FC)、そして2人目はGKの上田朝都(総2・横浜F・マリノスユース)である。ケガ人が多い守備陣の中で唯一全試合に出場している上田は、18日に行われた第10節・順大戦(0△0)にも先発フル出場。13本のシュートを受けながらも相手に得点を許さず、勝ち点1獲得に貢献した。

 

 昨季はルーキーながら開幕戦からゴールマウスを任され、ケガで欠場した3試合を除く19試合で先発フル出場を果たした。1年生から多くの試合に出場してきたことにより「ベストな流れを試合に持ってくるということができるようになった」という上田。そんな中で迎えた今季だったが、昨季までディフェンスラインを形成していた宮地元貴(総卒・現名古屋グランパス)らの代が引退したことで顔ぶれが一新された。リーグ戦を戦っていくことが初めての選手たちの中で、唯一昨季からディフェンス陣に名を連ねていた上田が必然的に最も経験のある選手となった。

 

 その中で、上田自身も「求められる役割がちょっとずつ変わってきた」ことを自覚している。練習ではディフェンスの選手たちが試合で持っている力をいかにして出せるかというところを重視するようになった。試合の中でも「声は前のシーズンよりは出るようになったと思う」と少しずつその意識も変わってきている。「そういう意味ではちょっと前進できた」と語る上田にはもう一つ、昨季から変わったところがある。それは、“熱さ”だ。

 

 昨季からの変化について、「良く言えば熱くなった」と上田は明かす。それまでは冷静に後ろからチームを見ることを意識していたが、昨季、熱い先輩たちの中でプレーしていく中で自身も“熱さ”を帯びていった。「良い面であり悪い面でもある」と語る一面だが、当然持ち前の冷静さも失ってはいない。チームの失点が多い中でそれをしっかり受け止め、いかに失点を減らすかということや、苦しいチーム状況の中で「足元を見てやっていくことも考えていくべき」という発言からもそれはうかがえる。

 

 そんな頼もしさもまとい始めた上田にこの先の進路について聞くと、意外にも選抜やプロについてはまだ何も考えていないという。今見据えているのは、あくまでも慶大ソッカー部での日々のみ。「この4年間で面白い結果を残していければ」と語る上田は、昨季より堂々として見えた。GKながら「チームを勝たせていかないと」と語る上田には早くも慶大の守護神としての風格と自信、そして責任感が見て取れる。

 

 この先も、リーグ戦を戦っていく中でピンチを迎える場面が何度もあるだろう。しかしそんなときに最後の壁として立ちふさがる上田が、今後も慶大を“後ろから”引っ張っていってくれるに違いない。

(記事 岩見拓哉)

 

こちらの記事もあわせてどうぞ!!


タイトルとURLをコピーしました